ジェントルロリータの小悪魔日和   作:マカロニ(ちゅうえい)

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1004文字。10話目、ほぼ10000文字というキリの良いところで1話目終了です。次の話からは必ずしもこうならないと思います。そもそも狙ったわけでもないですからね……。
よろしければ明日からもお付き合いください!

※10/28日追記 こいつは何を言っているんだ(10話目)。8話目ですね……これは痛い


The number of devils 9

「絶対に起きたなあれは、まったく……まあいい。私たちは私たちで遊ぼうか」

 

 軽い口ぶりに軽い足取りで近づいていくシックス。歩み寄ってくる得体の知れない脅威に天使たちは弓を、大天使は拳を構える。そして、シックスが剣を構える。

 矢が放たれる。シックスは剣の刃を立てずに振り抜く。突風が巻き起こる。風の防壁が矢の尽くを弾く。矢が効かないと見るやすぐさま大天使は間合いに入る。悠々と佇むシックスに向かって拳を叩き込む。しかし振り下ろした拳が宙に打ち上げられる。対空のサマーソルトキックが直撃していた。再び拳が振り下ろされる。再び蹴り上げる。何度も拳が振り下ろされる。何度でも蹴り上げる。「もちつき」を楽しむシックスを再び矢の雨が襲う。矢が弾かれることもなく、拳が打ち上げられることもない。破壊のエネルギーが一点に打ち込まれた。

 天使たちは油断することなく構え直す。死体も光の粒子も見当たらない。敵はまだ生きている。自分たちの知らない方法でどこかへ逃れたのだ。どれほどの傷を負わせられたのか。血の一滴も、粒子の一粒も見当たりはしない。どれほどの傷を、負わせられたのか、天使たちには分かっていた。

 風が吹きぬける。殆ど同時に鈍い音が4回鳴る。シックスは転がる頭の1つを蹴り上げて右手に収める。

 

「6体もいれば多少は退屈せずに済むようだな。今はもう1体だけだが」

 

 頭を切り取られた天使は全て光へと変わっていく。空いた右手にはブーメランのように飛んできた剣が収まる。大天使は散らばる光の粒子に手を伸ばすが、あっという間にシックスが吸収してしまう。ただ1体残された大天使は咆哮する。あらん限りの力を籠めて拳を握る。渾身の拳が振り下ろされる。

 大天使は体ごと打ち上げられる。またしてもサマーソルトキックで凌がれたのだ。そしてそれだけでは終わらない。シックスは腰を据え、背中に意識を集中する。息を吐き力を抜いていく。大天使が落ちてくる。

 

「ぬぅん!」

 

 鉄山靠、背中からの体当たりが直撃し、大天使の体が吹き飛んでいく。その先にはこの街で一番高いビルが聳え立っている。シックスは何の対応もせず、ただ見守っている。

 刹那の後にはビルの天辺に巨体がぶつかっていた筈だった。シックスは斬撃の軌跡がこの明るすぎる夜に一筋の闇を刻み付けたのを見る。光の粒子がビルの一室に吸収されていく。

 シックスは斬撃の主に拍手を送り、恭しく礼をする。そして跡形もなく姿を消し去った。


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