かねてより書きたかった、『人類は衰退しました』の二次創作を書いてみました。

今作は、試しにわたしちゃん視点で書いてみたものです。
ので、アドバイスなどあったらぜひお願いします。

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かねてより書きたかった、『人類は衰退しました』の二次創作を書いてみました。

今作は試しにわたしちゃん視点で書いてみたものです。
ので、アドバイスなどあったらぜひお願いします。


妖精さんの、いせかいりょこう

 ライトノベル。

 今、クスノキの里を賑わせているのはこれでした。

 

 その勢いはYが広めたアレな漫画に迫らんとするものがあります。むしろ読者層が厚い分、こちらの方がヒットしている感じはありました。

 

 ことの発端はひと月前、Yが調停官事務所にふらりと現れた日にまで遡ります。

 

 お察しの通り。

 ライトノベルブームを引き起こしたのも我が友人、Yなのでした。

 

 

 

 「おーい! これは流行るぞ!」

 

 あの日、勢いよく駆け込んできたYは開口一番、文庫本を片手に振り回しながら興奮気味に叫びました。挨拶もなく。

 

 「なんですまた急に」

 

 今ではすっかり尻に馴染んだ所長の椅子に深く腰掛けたまま、久しぶりに見る悪友の顔を見やります。

 目がらんらんに輝いていました。

 

 「とりあえず、これを見てくれ」

 

 ずい、と差し出された文庫本の表紙には可愛らしくデフォルメされた、いわゆる美少女キャラが描かれていました。銀髪で、赤い瞳の、やけに凝った意匠が施された格好の。

 

 タイトルは、『やはり俺の異世界ライフに出会いを求めるのは間違っている』。な、長い……。

 

 パラパラと適当にページを捲ります。

 

 ざっくり内容を見るに、ひょんなことから異世界に性別転換して転生した元『どこにでもいる普通の男子高校生』が、その愛くるしい美貌から数々のイケメンのハートを射止めつつ、鈍感故に気づかないまま異世界の乙女たちを百合に目覚めさせていく……というストーリーのようです。

 

 「……これは?」

 

 「ライトノベルってやつ。こないだ発掘したんだよ」

 

 『2034年に出版されたライトノベルだと記録されています、マム』

 

 卓上のクレイドルに座ったプチモニが解説を入れてくれました。

 

 ライトノベル。知識としてなら学舎で文献を読んだので知っています。

 

 十代前半から二十代前半を読者層に見据えた、軽い文体のキャラクター小説。登場する女キャラの美少女率は恋愛系少女漫画(約百パーセント)に次ぐ脅威の約九十パーセント。

 俗に言うご都合主義があるていど黙認されている、読者年齢層に「うける」ことを目指して書かれた小説。そんな風に認識しています。

 

 「その認識でだいたい合ってる……と思う」

 

 自信なさげにYが肯定してくれました。

 

 「漫画の方が行き詰まってきててさ。うちのチームのメンバーで新しい漫画の参考資料を発掘しに行ったんだ。そしたらそこで見つけた。保存状態もいいし、一巻から最終巻まで全巻揃ってる」

 

 得意気に語っていますけど、

 

 「どこで見つけたんです?」

 

 「廃墟。都市遺跡のとある家の地下にでっかい書斎があってさ。そこにライトノベルとかフィギュアとか、いろいろ保管されてた」

 

 どうしてそんなところまで発掘しに行ってるんですか……。一番近い都市遺跡でも、かなり遠かったはずです。

 ああ、だから最近顔を見なかったんですね……得心が行きました。

 

 でも、大昔の都市部は建造物の老朽化が深刻で危ないため、立ち入り禁止だったはずですけど……?

 

 「そうだっけ、まあいいじゃん。無事に戻ってこれたんだしサ」

 

 あっけらかんと言いましたよ、この人。

 分かっていたことですが、反省の色は欠片も見れません。

 

 ……まあいいです、わたしはなにも聞きませんでした。聞かなかったったら聞かなかったんです。

 

 どこで本を手に入れたか? そんなのどうだっていいじゃないですか(手のひら返し)。

 

 「そんなことより」

 

 Yは身を乗り出して、ニヤリと笑みを浮かべました。

 

 「実物を見るのは初めてだろ?」

 

 大人しく頷きます。

 

 「そうですね。学舎の図書室にもありませんでしたし……ヒト・モニュメント計画でも特に重視されていなくて、一般図書の記録を集めることの方に注力していましたから」

 

 あとは、童話と映像媒体と一般小説。漫画とライトノベルは文学的価値がそこまで高くないとして、情報収集作業を後回しにしていたとか。「酷い!」とYが憤慨していたのを覚えています。

 

 計画が再始動した今では漫画はだいぶ発掘されていますが、ライトノベルはまだ見つかっていなかったはずです。

 

 「それで……これが、流行る?」

 

 キャワイイ女の子のイラストを指さして問います。

 

 こんな表紙の本、手に取りづらいでしょうに。恥ずかしいでしょうに。引かれるでしょうに。

 

 とてもとても、配給券を差し出して「この本と交換してください」と言う勇気は捻り出せそうにありません。

 

 ――しかし。

 

 「その通り。間違いなく流行る」

 

 しかしYは、大胆不敵にも断言しました。

 

 「今、クスノキの里は大人口流入期だろ? 十代後半から二十代後半までの年齢層が急激に厚くなりつつある。これはライトノベルの対象年齢にほぼ重なる。つまり需要があるってコト。それに、あんたは文句言いたそうだけど、こういう表紙が読者の心を掴むんだよ。内容はもちろん大事だけど、表紙がよければとりあえず手に取ってもらえる。昔は表紙買いって言葉もあったらしいしサ」

 

 ふんす、と得意気に鼻息。

 

 熱弁を聞かされたわたしはもう一度、机の上の文庫本の表紙に視線を落としました。

 

 そこにいるのは銀髪の美少女。

 胸の膨らみが強調された服装に、最低限の仕事しかしていない際どすぎるミニスカート。

 庇護欲を掻き立てるような上目遣いに、薄らと朱を帯びた頬。

 透きとおった赤い瞳がわたしを見上げています。

 

 「ないですね」

 

 「はあ!?」

 

 ちょ、耳が痛いですって!

 

 「……ちっ、どうせリア充には理解できない価値だよ……」

 

 「何か言いました?」

 

 「なんでもない」

 

 ぶっきらぼうに言って、Yはわたしの机の上から文庫本を取り上げました。

 

 「とにかく、絶対に流行る。流行らせてやる!」

 

 Yがそう宣言したのが、ひと月前のことです。

 

 

 

 

 結果。

 

 流行りました。流行りまくりました。

 

 Yが最初に発掘したライトノベルだけでなく、そのあとに続々と見つけ出されたライトノベルまで、ありとあらゆるライトノベルが流行っていました。

 

 里にはそこかしこに異様な光景が広がっていました。

 

 まず、美男子がプリントされた抱き枕を片手に歓談に興じる、うら若き乙女たち。

 「見て、こちらが私の夫よ。素敵でしょう」「何を言ってるの、彼は私のダーリンよ」「違うわ、私のよ」「でもとりあえず、ダーリンがイチバンよね」「そうね、その通りだわ」「頭が良くて、容姿端麗で、スポーツ万能」「その上に家事スキルまで優れているだなんて、完璧よ!」

 

 次に、口調がすっかり変わったワンパク小僧に小娘たち。

 「ふう、今日も世界は平和だな」「不幸だー!!!!!」「これが世界の選択だ」「プークスクス!」「こっから先は一方通行だァ!!」「テメェは深淵を覗いたことがあるか? オレはあるぜ。あれはそう、まさに深淵だった……」「混! 沌!」「今日から俺のことはキリトと呼んでくれ」

 

 そして、謎ワードを呟く老若男女。

 「萌え~」「踏まれたい」「ぺろぺろしたい」「男の娘……男の娘……うっ、鼻血が」「まじマイエンジェル」「うほっ」「とつかわいい」

 

 ……世代を超えて流行っていました。

 

 中でも一番変わり果ててしまったのは、私より少し歳上の方々でしょう。

 見た目からしてガラリと変わってしまっています。

 ええ、コスプレ、ですよ。

 

 あなたどこの国の人? そもそもヒトでいらっしゃる? まあ素敵な角を生やしておいでですこと――というような方があちこちにいます。その光景はさながら種族と国家を超えたユートピア。

 

 腰に剣や銃を携えている方もいますが、ご安心ください。助手さんのコレクションとは違って、あれは精巧な玩具です。

 

 住人の変わりぶりに目をとられて見逃してしまいがちですが、里自体の景観もところどころ変貌していました。

 

 広場に建てられた、騎士風の女の子の彫刻(ラノベイラスト風。ペイントされている)。

 

 家の壁に恥ずかしげもなくデカデカと描かれたライトノベルのキャラクター(意味深なセリフ付き)。

 

 映画館では連日のように都市遺跡から発掘されたアニメ(ディスク)が上映され、市場には同じく遺跡から発掘された保存状態の良いフィギュアの他に、最近では里の手先の器用な人が自作したフィギュアまでもが陳列されるようになっています。

 

 どういうわけか、調停官事務所に『二次元に行きたいんです。どうか方法を教えてください!』とマジな口調で相談に来る娘さんがいたりと、わたしの仕事も不必要に増えています。

 

 正直、目を覆いたくなるような惨状でした。

 

 「ほらな、言った通りだろ。ばっちり流行ってる。読みが外れたね、相棒」

 

 その日の書類仕事を片付け終えて机に突っ伏していると、やって来たYが勝ち誇った笑いを上げました。

 

 宣言を聞いた日から一向に姿を見ていなかったんですが、それは連日のように同士を引き連れて都市遺跡にライトノベルを発掘しに行っていたからだそう。

 

 「なぜ……なぜこんなことに……」

 

 がっくし項垂れたまま、どうしてこんなに流行ってしまったのかを考えます。

 

 「厳しい現実を忘れさせてくれるから……ですかね」

 

 思いついたことを言うと、Yは「確かにそれもあるだろうけど……」と前置きして、ライトノベルの大ヒットの深い理由を語り始めました。

 

 「ライトノベルは新しい自分に気づかせてくれるのさ。読んでると『目覚める』瞬間がある。登場キャラの不幸に愉悦を覚える自分とか、男の娘にドキッとする自分とかさ。普通の日常生活を送ってたんじゃ出会えない自分に出会わせてくれるってコト」

 

 「……それで?」

 

 「つまり、新たなアイデンティティの確立だよ。自分という人間を豊かにしてくれる。これは人間的成長と言えるネ」

 

 言えるんですかね。

 

 一人うんうんと頷くY。わたしには理解の及ばない話です。

 何だか言いくるめられたようで悔しかったので、反撃に転じることにしました。

 

 「昔読んだ人類文化社会学の文献で、ライトノベルやアニメにあまりに夢中になってしまうと、現実と虚構の区別がつかなくなってしまう、と書いてあるのを見たことがあります。これは危険なのでは?」

 

 「はっ!」

 

 Yはせせら笑いました。

 

 「区別がつかなくなる? 笑えるね。三次元と二次元の違いは痛いほど分かってるさ。だからみんな二次元に行きたいって願ってやまないんだよ!」

 

 悲痛な叫びでした。

 

 「ああ……二次元に行きたい……」

 

 さっきまでのテンションはどこへやら、来客用の椅子に力なく腰を下ろすブルーなY。

 

 「姐さん、ただ今戻りました」

 

 ちょうどそのとき、助手さんが帰ってきました。

 肩から下げているバッグの中には収穫物が入っているんでしょう、ホクホク顔です。

 

 「おかえりなさい、助手さん。お疲れ様です」

 

 助手さんには妖精さん絡みの道具の探索アンド回収作業を頼んでありました。

 どうやら助手さんは宝探しに並々ならぬ嗅覚を発揮するようで、いつも何かを持ち帰ってきます。

 

 わたしがやるよりも断然効率がいいですから、助手さんに任せているというわけです(建前)。野外活動はなるべくやりたくないですし(本音)。

 

 来客用の椅子で死にかけているYに気づいておろおろする助手さんを手招きして、今日の回収物の報告をしてもらいます。

 

 「まず一つ目、これは『えすかりぼるぐ』です」

 

 助手さんが取り出したのは黒いゴムハンマーでした。

 

 「叩いたものを小さくする効果があるみたいです」

 

 手渡されたそれで、試しにポットを軽く叩いてみます。「ピコーン」と快音がしました。

 見ると、確かに少しだけ、ポットが小さくなっているような……。

 

 もう一度、今度はもうちょっぴり強めに叩いてみます。「ピコーン!」

 すると、ポットはぐぐん、と明らかに小さくなりました。一回りほど。叩いたところにダメージはないみたいです。

 

 釘打ちには使えないですね。

 効果を確かめ終えたので、助手さんに返却します。

 

 「二つ目は『さぷれっさー』です」

 

 まち針でした。

 

 「これは?」

 

 「感情が高ぶったときに肌に刺すと、心が鎮まる効果があるみたいです。でも、使いすぎると感情がなくなってしまうとか」

 

 「処分!」

 

 「承知ですぜ」

 

 こういうものがたまに紛れているから油断ならないんですよね。わたしも一回、妖精さんの道具で自分の知能を失ってしまったことがありましたし。

 

 敬礼から直った助手さんが次に取り出したのは、やけに近未来的デザインの黒い大型拳銃です。

 

 「最後は『どみねーたー』です」

 

 「ドミネーター」

 

 名前からして不穏な響きです。しかも、モロにごつい武器です。

 助手さんは嬉しそうにしていますが、残念ながらコレクションに加えることは許可できそうにありません。これは処分になるでしょう、きっと。

 

 まあ、ひとまず助手さんからの説明を聞きます。

 

 「正式名称は携帯型脳内診断鎮圧執行システム。目標の頭の中を診断して、それに合った攻撃をすることができるらしいです」

 

 「脳内診断」

 

 とりあえず、助手さんから手渡された『どみねーたー』とやらを構え、助手さんをロックオン。

 

 『診断対象を確認。診断を開始します』

 

 合成音声めいた女性の声が聞こえたかと思うと、次の瞬間、思わず「わお」と声を上げてしまいました。

 

 なんと、わたしの視界に診断結果が表示されていくではありませんか!

 

 『喜』、『無』、『嬉』、『好』、『想』、『愛――――――

 

 

 

 

 

 「………………姐さん?」

 

 「――はうっ!?」

 

 助手さんの声で我に返りました。

 

 「姐さん、大丈夫ですか? 顔が赤いですよ」

 

 心配そうに見つめてくる助手さん。

 

 きゃー!! 直視できぬ!

 

 「だ、ダイジョブですよ?」

 

 ちょっと不意打ち食らってびっくりしただけですから。全然大丈夫ですから。

 

 とにかく、これはアブナイ――!

 

 「助手さん、これは処分です。厳重にお願いします。絶対に誰の手にも渡らないように」

 

 目に見えて助手さんはしょぼんとしましたが、こればかりはダメです。プライバシーに関わります。わたしが没収して密かに使うという手もなくはないんですが、もしなんらかのミスがあり、Yなんかの手に渡って逆にわたしが診断されてしまったら―――とにかくダメです!

 

 「処分です。いいですね、これは所長命令です」

 

 「……分かりました」

 

 「よろしい。じゃ、ティータイムにしましょうか」

 

 『どみねーたー』をバッグに戻した助手さんは敬礼して、お茶を入れに行きました。

 

 ……さて、わたしもわたしでお茶の準備をしますかね。

 

 「ちょっと、起きてくださいな」

 

 来客用の机と椅子を占領しているYに声をかけます。

 

 「なんだよ、せっかく人がセンチメンタルな気分に浸ってるってのに」

 

 顔だけをこちらに向けて、すっかり意気消沈した様子のYがぶつくさ言いました。

 

 「お茶にしますよ。マカロンもあります」

 

 「お! いいね」

 

 Y、あっさり再起動。

 

 「テーブルを拭いといてくださいな。わたしはお菓子の準備をしますから」

 

 「しょーがねーな」

 

 とかなんとか言いつつ、鼻歌交じりのY。

 

 そのまま何事もなく、スムーズにお茶の支度は整いました。

 部屋のあちらこちらで道具になりきっていた妖精さんたちも招いて、穏やかな午後のひとときは、お茶の香りとお菓子の甘さに包まれてのんびりと過ぎていきます。

 

 マカロンを齧りかじり、Yが静かにお茶を飲んでいる助手さんに声をかけました。

 

 「助手くんはラノベ、なんか読んでないの?」

 

 ふるふると首を振る助手さん。

 

 「助手さんは宝探しが忙しいですからね。最近は里に出回る妖精さんの道具の数が増えているみたいで」

 

 「へえ、ラノベの影響かな。さっき言ってた道具の名前、全部ラノベにあるやつだし」

 

 衝撃の事実がYの口から告げられました。助手さんも知らなかったようで、微かに驚きが表情に出ています。

 言われてみれば、前回の神話シリーズとは違って聞き覚えのない名前の道具ばかりでした。

 

 「ちなみに『えすかりぼるぐ』は?」

 

 「『絶殺天使ボクっ娘ちゃん』っていうのに出てくる」

 

 「……」

 

 控え目に言ってドン引き。

 

 「ぼくっこはもえますなー」

 

 お菓子をひっしと抱きしめた妖精さんが言いました。

 

 「ぼくっこはです?」「わかってるですな」「そそるものがありますゆえ」「はかいりょくばつぐんのみりょく」「はーときゃっちされちゃう」

 

 染められてる!

 

 「二次元に行きたい」

 

 唐突に、遠くを見る眼差しでYが呟きました。

 

 「にじげんにいきたいですな」「でもちょっとむりぽい」「だめかー」「かなしみにくれるです?」「ふぃぎゅあできもちをまぎらわすです」「でもなー」「こころがみちたりぬ」「にじげんにこいしてるですな」

 

 デタラメな力を持つ妖精さんでも、流石に二次元に行くことはできないようです。

 

 「せめて、魔法がある異世界に―――」

 

 「「「「…………」」」」

 

 何かを言いかけ、Yは口を閉じました。

 

 沈黙が舞い降りました。妖精さんたちは動きをピタリと止めて、遠くを見つめるYをつぶらな瞳で見上げます。

 

 ――これは、まずい。

 

 わたしの第六感が告げていました。このままでは何か厄介なことになる、と。根拠はなし。でも、とにかくめんどくさいことになるぞ、と。

 

 慌てて話題を変えようとしましたが――時すでに遅し。

 

 「――……ラノベの世界に、行けたらなー」

 

 Yの呟きに、妖精さんたちは――――

 

 

 「それならおそらく」「できたりするです?」

 

 「らいとのべるによくにたいせかい、たくさんありますゆえ」

 

 「さんじげんだが」「それでよしなら」「ねがい、かなえまっせ?」

 

 

 最後、何で大阪弁――なんてツッコミを入れる余裕はなく。

 

 ああもう手遅れだな、と。

 

 これから先に巻き込まれるであろう冒険を予感しながら、さよらならピースフルエブリデイ、と。

 

 「……お茶が美味しいですね、助手さん」

 

 ああ、助手さんの同情の眼差しが心に沁みる……。

 

 

 

 ――これが、波瀾万丈な異世界旅行の幕開けとなったのでした。

 

 

 

 



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