異世界って聞いたら、普通、ファンタジーだって思うじゃん。   作:たけぽん

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キャラが増えていきますが、そんなにたくさんは出ないので、覚えてもらえると嬉しいです。


3. 登校

 

 ピピピピピピピピピピピピピ。

アラームを止めてベッドから起き上がる。洗面所へ行き身支度をし、キッチンで適当に飯を作り、ニュースなどを見ながら食べていた。特に変わったニュースはやってないな……。本当に何の世界なんだここは……。

 

ピンポーン  チャイムの音。玄関を開ける。

 

「お、おはよう望月君……」

「おはよ」

 

説明しなくても分かるだろうが沢渡ひなだ。

 

「じゃあ行きますかね。」

「望月君はこっちに越して来たばかりなんだよね?前はどこに住んでたの?」

 

通学中、沢渡ひなはそんなことを聞いてきた。

 

「白石区」

 

嘘ではない。生前は本当に札幌市白石区に住んでいたのだから。

 

「ひなは?」

 

何か墓穴を掘る前に俺は聞き返す。

 

「ふぇ!?」

 

昨日から思ってはいたが“ふぇ”って驚き方するやつ見たことないぞ……。二次元以外では。

 

「なんだよ、そんなに驚くことか?」

「お、おおおどろくよ!だって出会って昨日の今日で名前呼びとか!」

 

あーなるほど。確かに高校生ならそんなもんか。大学ではみんな名前呼びだったからなあ。まぁみんなと言ってもそんなに友達いなかったけどね。だがここで急に名字で呼んでは負けた気がする。

 

「ひなは自分の名前呼ばれただけで驚くんだな。」

「ま、また……」

「別に気にすんなよ。なんだったら俺も武哉でいいぞ?」

「よ、呼ばないし!絶対呼ばないし!」

「さいで……」

 

とか何とか言っていたら、中雲高校が見えてきた。なるほど、これは……なかなか立派だな。

玄関で靴を履き替え一年B組の教室へ向かう。ドアを開けるとそこにはTHE・高校というような風景が広がっていた。

 

「おはよーひな!」

 

教室へ入ってすぐ、メガネをかけた女子がひなに話しかける。

 

「おはよう。瑠璃ちゃん。」

「ん?」

 

瑠璃と呼ばれた彼女は俺に気付く。

 

「ややっ!?ひな、もう彼氏ができたの!?」

 

とかいう爆弾発言を投下しながら。

ざわ……ざわ……と教室がざわめく。そりゃそうだ。声、デカいんだもん。

 

「ち、ちちちちがうよ!家が隣で、道が分かんないって言うから一緒に来ただけだから!ホントだから!」

 

 ひなは見事に動揺していた。なにこれ、リアルギャルゲシチュエーション? まあ、こいつらは放置でいいだろう。人の噂も七十五日だ。……さて、俺の席はっと。見た感じ空いているのは、窓際、最後尾のあの席だろう。一応、確認はとっておくか。俺は隣の女子に話しかける。

 

「望月武哉の席はここで合ってるか?」

「そこで合ってるよ。……ん?ということは、君が昨日、入学式をサボった望月君だね?しかも、彼女とイチャイチャ登校してくるとは、もう完全にマンガだね!」

 

なんだこいつ。外見は普通だが中身は普通じゃないタイプだなこれは。

 

「俺が主人公だったら即打ち切りだろうよ。言わせんな悲しい。で、君は?」

「私は赤坂しおり、よろしく。打ち切り主人公くん♪」

「赤坂って……この座席、五十音順じゃないのか?」

 

てっきり望月が一番端だから五十音順だと思っていたぞ……。

 

「うん、なんかクラス委員長が『諸君!最初の座席が五十音順という他人に敷かれたレールの上でいいのか!?我はここに席替えを宣言するぞおおおお!』ってさ。それでこうなったの。君は余ったからそこな訳。」

 

何その暑苦しい厨二くさい委員長。ていうか……、

 

「結局、その委員長様の敷いたレールの上を走って席替えしてんじゃねーか」

 

といった瞬間、急に近寄ってきた男がいた。

 

「貴様あああ!我の行為をそのように言うとは……見下げ果てたぞ!」

 

誰だよこいつ。てか何そのしゃべり方。材木座かよ。

 

「そのうえ彼女と登校だと!?ふざけやがって!イラっとするぜ!」

 

出た! シャークさんの激おこコンボだ! 受けて立つぜ! 俺のターン!

 

「彼女は……彼女ではない(無言の腹パン軽め)」

「ぐほっ!き、貴様も遊戯王民か……」

 

へー、この世界にも遊戯王があったのか。ま、それはさておき、一連の発言からしてこいつが例の委員長だろう。

 

「委員長、うるさい、うざい、本当にうるさい。あとうるさい。」

 

赤坂しおりの怒涛の罵倒に委員長は

 

「シュン……すまない……危うく封印が解けるところだった……」

 

とか何とかほざいてる。まあ、高校生活を潤滑に進めるためにも、委員長とかとは仲良くしておいたほうがいいだろう。

 

「俺は望月武哉。よろしく委員長。えっと、名前は?」

「気安く話しかけるなリア充!!爆ぜろ!ジャッジメント!」

「どこのゲイヤールだお前は。先に話しかけてきたのはそっちだろ。」

 

なるほど、ヴァンガードもあるのか。これはカードゲーム系の異世界の可能性もあるな。

 

「っく……はめられた……この我がっ!」

「委員長、早く名乗らないとホームルーム始まるよ? あとキモい」

 

赤坂しおりのナイスフォロー。そして委員長へのあたりが強いな。

 

「ウエッホン。いいか、よく聞けええ!我が名は城之内亜季斗!この一年B組の委員長にして、いずれこの世の全てを手に入れるものなり!!」

 

と,ビシイっとくそダサイポーズと共に城之内亜季斗がキメたところでチャイムが鳴った。

ホームルームか……どんな先生が担任なのかオラワクワクすっぞ。

 

ガラガラ

「ういーっす、おはよう。」

 

入ってきたのは黒髪の天然パーマで腐った目、そして眼鏡。(3年Z組銀八先生の銀八、もとい坂田銀時の黒髪版をイメージして欲しい。)そして声は杉○だった。

銀さんんんんんん!?なんだこれ……ここは銀魂の世界だったのか?

 

「さて……おっ。今日は全員揃ってるようだな。では早速、望月武哉ア!起立!」

「ふぇ!?」

 

おい、何だ今の俺のリアクションは、ひなじゃあるまいし……。それはそうと俺は起立させられた。もしかしなくても入学式をさぼったことだろう……。

 

「てめー朝職員室の窓から見てたら、女子と登校してきやがったなア!?なんだおい。ここ数年彼女いない俺へのあてつけか!?」

 

全く違った。てかおれこのネタでキレられすぎだろ……。

 

「何黙ってんだ……早く俺の納得いく理由を説明しろやア!」

 

はあ……これ何言っても怒られるやつだ。隣を見ると、しおりが笑いをこらえている。悔しい。ふと、ひなの席を見るとメッチャこっちを見てた。こわい。てか、ひなだけでなくクラスメイト全員が俺を凝視している。くっ、こうなったらあれを使おう。バイト先、学長室などで俺が使い続けてきた必殺技……。

 

「一身上の都合で……」

 

ふっ……完璧だ。こう言われれば誰も何も返せまい。下手に聞くと地雷を踏み抜いてしまうかも、という恐怖感を与えつつ何かしらの事情があることを証明する最強必殺技。ガルガンチュアパニッシャーもびっくりの威力だぜ!さすが牙王くん。

と思っていたが何やら周りの様子がおかしい。

 

「えっ、なに、一身上の都合で沢渡さんと登校ってこと?」

「まさか朝帰りか!?」

「ひょっとして同棲してるとか!?」

 

うん。地雷を踏んだのは俺だったわ。ドルベもびっくりの自爆だった。そりゃまあ高校生なら容赦なく突っ込んでくるよな!おれの考えが甘かった!

 

「望月ィ……あとで生徒指導室こいやああああ!!」

 

というわけで、俺は放課後、生徒指導室で説教……もとい先生の与太話を聞かされた。合コン行ってもはずればっかりだとかなんとか言っていたような気がするが、興味がないから忘れた。覚えているのは先生の名前。藤堂豊、だそうだ。坂田銀時はかすりもしなかった。

 

はあ。初日からこれで、このあと大丈夫なのか俺……。

 

 




次回予告


武哉「というわけで次回予告だ」

亜季斗「今回のゲストはこの我!B組委員長!城之内亜季斗だ!フハハハハハハハハハ!」

武哉「いや、まじでうるせえ。予告ぐらい自重しろ」

亜季斗「す、すまぬ……」

武哉「にしてもキャラの名前が城之内だったり無言の腹パンやったり、作者がカードオタクなのがバレバレだな」

亜季斗「ちなみに主要キャラの名前は作者の好きなアニメキャラから名字、知り合いから名前をとっているらしいぞ?」

武哉「え、じゃあ沢渡ひなの沢渡ってまさか……」

亜季斗「沢渡さん!まじ凄すぎっすよ!」

武哉「次回『本音』」

亜季斗「ルールを守って楽しくデュエル!」

武哉「やめろ」

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