孤高剣士の歩む道   作:O.K.O

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こんにちは、O.K.Oです。
この小説を読んでいただき本当にありがとうございます。

前話でついに主人公の力が垣間見えましたね。やはり戦闘描写が難しいですが、そちらの方が書いてて楽しいですね。

それでは第9話、張り切っていきましょう。


第9話 討伐の爪痕

ドスジャギィを討伐した刀夜は刀身を白く光らせる黛を見ていた。

 

MHにおける太刀という武器にはある特徴がある。

練気ゲージの存在だ。練気ゲージは通常攻撃(気刃斬り以外の攻撃)をする度に増加していき、気刃斬りをすることでそのゲージは減少していく。そして通常攻撃によりゲージが満タンになれば、一定時間ゲージが減少しなくなり、気刃斬りを連続で打てるようになる。ここで、3回気刃斬りを繰り出した後に気刃大回転斬りを繰り出すことが出来るようになるのだが、それを命中させる度に練気ゲージが無色→白→黄→赤と変化していき、それと共に武器の攻撃力が増加していくのだ。

 

そんな太刀の特徴を刀夜は思い出していた。そして刀夜は確信する。この世界における太刀もそれと同様であるということを。

 

「まさかゲームにおける太刀と仕様が同じとはな。これは更に攻撃の幅が広がる。本当にこの世界はどこまで俺を楽しませてくれるんだ、ククク…」

 

そうして初のドスジャギィ戦を終えた刀夜は、ケイルから貰ったアイテムの特徴が記載された本を見つつ、先程討伐したドスジャギィの剥ぎ取りを行い、その場を離れたのであった。

 

 

 

 

 

刀夜がドスジャギィの死体の元を離れてまもなくした頃、その場に4人のギルドから派遣された調査隊が佇んでいた。4人の目には斬殺され、素材を綺麗に剥ぎ取られたドスジャギィが映っており、その傷跡を見て驚愕の色で染まっていた。

 

「おいおい…。ドスジャギィとは言え、こんなに綺麗に斬られた死体今まで見たことあったかエルザ…」

 

1人の屈曲なハンマー使いの男が、エルザという1人の女性に話しかける。彼女は非常にすらっとしたモデルのような体型をしていたが、その背中には彼女の体型に似つかわしくない大剣が担がれていた。

 

「1度だけ…。ギルドマスターと共にリオレウス討伐に向かった時の斬り傷がこんな感じだったのを覚えているが…。これはそれ程のレベルの人物が残せるものだ」

 

「マジかよ…。うちのギルドマスターってソロでリオレウス希少種倒す化けモンだろ?それと同じ斬り傷を残すやつがなんでこんな辺境にいるんだよ」

 

少し砕けた話し方をする彼はライトボウガンを担いでいた。

 

「はぁ…プロント…。ギルドマスターに向かって、それってなんですかそれって!でも、私もさすがにこんなに綺麗な斬り傷今まで見たことがないですね…。これをやった人は相当な腕の持ち主です」

 

「んなお硬いこと気にするなよルーナ…」

 

ライトボウガンの男性がプロントであり、ルーナと呼ばれる狩猟笛を装備した女性にその言動を咎められた。

 

「2人ともその辺にしておけ…。それはともかくエルザ、この件について上への報告はどうする?[カーディナル孤島にてギルドマスターと同等の実力を持つと思われる太刀使いが、ギルドを介さずドスジャギィを討伐していた]と書くわけにはいかないだろう…」

 

ハンマー使いの男が困ったようにそう問いかける。エルザという女性は少し考えそれに答えた。

 

「確かにローウェンの言う通りだな…。正直に上へ報告すれば間違いなくギルドナイトがこの島に押しかけ、そいつを連行しようとするだろうな。報告にはドスジャギィ1体が討伐されていたとだけ書いておこう。このような辺境のドスジャギィが1体倒されたからと言ってギルドが動くとは思わないしな。それに….」

 

そう言ってエルザは不敵に微笑む。

 

「そんな強者なら、実際に会ってみたいと思うだろ?」

 

ローウェンと呼ばれたハンマー使いの男は、また始まった、と困ったように笑うが、プロント、ルーナ、そしてローウェンさえもそう思っていたので否定はしなかった。

 

「まあ、今は会うことはないだろう。ギルドに戻って報告しなければならないしな。だが、こういう者が存在するということだけ知れたのも大きな収穫だ。もしこの者が本当に強いのならば、いずれ会うことになるだろうしな」

 

「あぁ、本当に楽しみだ。それと、この近辺の村にはドスジャギィが討伐されたと報告しておく。ドスジャギィでも一般人からすれば充分な脅威だからな。それが討伐されたと知れば安心できるだろう」

 

「あぁ、分かった」

 

「了解リーダー」

 

「分かりました、エルザさん」

 

エルザの提案に残りの3人が同意する。

そしてプロントが口を開く。

 

「こんな田舎の生態調査を任されて、正直今の今まで乗り気じゃなかったんだけど…こんな面白いことに関われるなんて俺達もついてるな!」

 

「プロントと同意見なのは気に食わないがな…」

 

「本当にそうですよ…。ですが、早くその方に会ってみたいです!」

 

「俺の扱い酷くないか…?」

 

そう項垂れるプロントにエルザは苦笑いをしつつ、3人に声をかける。

 

「雑談はここまでにしよう。カーディナル孤島の生態調査はこれで終わりだ。ギルドに戻るぞ」

 

エルザがそう言うと4人はドスジャギィの死体から離れていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドスジャギィ討伐から数時間、現在刀夜は孤島とモガの村を繋ぐ桟橋を歩いていた。空はすでに夕焼け色に染まっており、日が沈みかけていた。

刀夜のアイテムポーチには依頼されたアイテム3種とドスジャギィから剥ぎ取った素材、それとつい先程まで採取していた有用なアイテムが数多く入っていた。

 

「今日の収穫は本当に多かった。アイテム面もそうだが、知識面においても。ドスジャギィを討伐できたことも大きい。明日以降も今日のような有意義な時間を過ごせると思うと待ち遠しいな」

 

そう心を弾ませる刀夜であったが、次の瞬間その気持ちが冷めてしまう。刀夜の名前を呼ぶ声が後ろから聞こえてきたのだ。その声に刀夜は聞き覚えがあった。

 

「トーヤさーん!」

 

新人ハンターのライト=フェルマーだ。その姿を見て刀夜は桟橋を歩き続けようとしたが、ライトの手が刀夜の肩に置かれる。

ちなみに刀夜は18歳であるが、15、6歳程のライトと身長はほぼ同じであった。これは刀夜の身長が若干低い為である。

 

「トーヤさん、待ってくださいよ〜。折角帰り際に会えたんですから、一緒に帰りましょ!」

 

それを聞いて刀夜は一瞬嫌な顔をするが、すぐに元の無表情に戻す。ライトは刀夜の些細な変化に気づかなかったようだ。

 

「もうすぐ日が暮れ、夜になる…。ケイルに怒られたくはない…」

 

今回は100%嘘である。本当の理由はもちろん、1人で行動したいからである。そんな刀夜の気持ちにライトが気づくことはなく、では帰りながら話しましょ!と言って刀夜に話しかけるのであった。

 

 

 

「そんなわけでジャギィ3匹をなんとか倒せたんですよ!本当に危なかったです…」

 

今話しているのは言葉の通り、ライトがジャギィ3匹と相対し、ギリギリ討伐出来たという話だ。刀夜はそんなライトの話を聞き流しつつ、適当に相槌を打つ。

 

「あぁ…それは危なかったな…」

 

「ですよね…。それでさらに危なかったのが、なんとその場にドスジャギィが現れたんですよ!僕、大型モンスターを見たの初めてで腰抜かしちゃいそうになりました…。孤島に1匹目撃情報があるとの事で警戒していたのが良かったのか、すぐに隠れてやり過ごすことが出来ました」

 

それを聞き、刀夜はあのドスジャギィか…と口を開きそうになったが、なんとかこらえる。刀夜がそのドスジャギィを討伐したとライトが知ったらどんな面倒ごとが降り掛かってくるか分かったものではないからだ。

 

そんな話をしている内に2人はモガの村に到着する。2人とも依頼についての報告しなければならなかったのでケイルの元へと向かう。ケイルは2人の姿を見ると笑顔で迎えてくれた。

 

「おう!ライトにトーヤ、無事だったか!実は今日、珍しくハンターズギルドの調査隊がこの孤島に派遣されていたらしくてな、そこで討伐されたドスジャギィが発見されたみたいなんだ。大型モンスターがハンターによって討伐されるのは珍しいことではないんだが、なにせ見つかった場所がこの村の近くでな…。ギルドの人が報告に来てくれたんだ。まあ、2人とも無事で何よりだ!」

 

それを聞いた刀夜は内心焦った。

 

(十中八九、俺が討伐したドスジャギィだろうな…。危うく調査隊にバレるところだったというわけか。まあ、調査隊が来る頻度は少ないようだし、頭の隅に入れる程度にしておこう)

 

ライトは、僕もあんなドスジャギィを討伐できるようになりたいです!と、意気込んでいる。そんなライトにケイルは声をかける。

 

「あぁ、ライトには期待しているからな!なんせこの村に所属している唯一のハンターがお前さんなんだ。俺達もライトのサポートを全力でさせてもらう」

 

ケイルがそう言うとライトは頑張ります!と笑顔で答えた。

 

「さて、それはそうと本日の依頼は2人ともどうだった?早速報告してもらおう、まずはライトからだ!」

 

「はい、ケイルさん!今日の依頼の竜骨<小>と鳥竜種の牙ですがこの通りしっかり集めてきました!」

 

ライトはそう言うとアイテムが入った袋をケイルに渡す。

 

「おぉ!こんなにあるのか!これ、集めるのに苦労しただろう?」

 

「へへ…頑張っちゃいました」

 

「ありがとな、ライト!こいつはありがたく使わせてもらうとしよう。さて、次は刀夜だな!」

 

自分の番がきたので刀夜はネンチャク草、ツタの葉、アオキノコが入った袋を渡す。

 

「ありがとな、刀夜の方もバッチリだ!2人とも今日は疲れただろう。しっかり休んでくれ。明日も働いてもらうが、無理だと思ったら中断してもらって構わない。自分の体を第一にな」

 

そう言ってケイルは刀夜とライトが集めたアイテムを倉庫のような場所に運んでいった。ライトはと言うと、

 

「僕も今日は疲れました…。部屋に戻りますね。トーヤさんもしっかり休んで、明日もお互いに頑張りましょ!」

 

そう言って部屋に戻っていった。

残った刀夜も部屋に向かい、集めたアイテムが入った袋を部屋の端に置いて、ゆっくりと休んだのだった。

 

 

 

 

 

 




新しいキャラクターが出てきました。一応まとめておきます。

エルザ→大剣
ローウェン→ハンマー
プロント→ライトボウガン
ルーナ→狩猟笛

ただこれらのキャラに関しては登場機会がまだまだ先になりそうです。
そしてMH3に武器として狩猟笛はありませんが、こういった感じでこれから他のシリーズのものも混ぜていきます。それが吉と出るか凶と出るか…。

それではまた次話出会いましょう。


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