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では、第7話行ってみましょう。
モガの村には太陽が昇り、朝を迎えていた。刀夜の部屋に眩い光が指す。その光によって刀夜は目覚めた。
「こんなに寝たのは久しぶりだな…」
前世において、あまり満足な睡眠を取ることがなかった刀夜はそう呟き、すっかり疲れが取れた体を起こす。そうして壁に掛けた黛を装備し、部屋を出た。
「おう、トーヤか!おはよう。今日からしっかり働いてもらうからな!」
昨日ベースキャンプで出会った村長の息子、ケイル=バーンが刀夜に声をかける。
「まあ、こちらとしては寝泊まりさせて貰っている身だ…。それくらいの対価は支払わせてもらう」
ケイルと刀夜がそんな話をしていると、1人の少年がケイルに話しかけた。
「ケイルさん、おはようございます。流石に昨日は疲れたんで部屋ですぐ寝ちゃいました…。ところで、そちらの方はどなたですか?」
そう眠そうに問いかける少年。その体は程よい筋肉ですらっとしており、顔立ちもとても整ったものであった。
「おう、おはようライト。昨日はご苦労様だな!ちょうど良かった、こいつが昨日話したトーヤだ。今日からこいつにも色々手伝ってもらうから仲良くしてやってくれ」
ケイルがそう言うと、ライトは笑顔で刀夜に話しかける。
「あなたがトーヤさんでしたか!初めまして、僕はライト=フェルマーと言います。最近ギルドからこの村に派遣された、ハンターランク1の新人ハンターです。気軽にライトと呼んでください!」
ライトが自己紹介を終えると、ケイルが刀夜の肩を叩いた。今度はお前さんの番だ、ということなのだろう。刀夜は気が進まなかったが、こればかりはしょうがないと、いつもの無愛想な表情で口を開く。
「霧雨刀夜…。昨日からこの村で過ごすことになった。
刀夜は軽く皮肉をこめた言い方をしたが、ライトはそれに気づくことはなく笑顔で、よろしくお願いします!と返答するのであった。
そうしてお互い自己紹介を終え、ケイルが2人に話す。
「よし!んじゃ自己紹介も終えたところで、早速今日の仕事について2人に説明するとするか!まずライト、お前さんには昨日に引き続きベースキャンプで使う竜骨<小>と、新たに鳥竜種の牙を集めてもらいたい」
「鳥竜種の牙…。てことはジャギィの狩猟ですか…。あのモンスター、すばしっこくて苦手です…」
「ジャギィは動きが早く、気性も荒い。攻撃的で危険ではあるが…お前さんの腕なら大丈夫だと判断した。次にトーヤだが…」
2人のやり取りを聞き、刀夜は胸の内で驚いていた。
(ジャギィが危険…?いくら黛を持っていたとは言え、一撃だったぞ…。この世界のハンターはそれほど弱いのか?それとも新人だからか?いずれにせよ、この世界のハンターのレベルも知っていた方が良さそうだな…)
「おいトーヤ、急に固まって大丈夫か?まあ驚くのも無理はない。ジャギィは新人ハンターが相手するモンスターでは無いからな。つまりそれだけライトの腕がいいってことでもある」
「お世辞はやめてくださいケイルさん」
褒められたライトは満更でもなさそうである。ケイルは刀夜が固まっていた理由を完全に履き違えていたが、刀夜は訂正するのも面倒なのでそのままにしておいた。
「まあそれはいいとして、トーヤの仕事についてだな!トーヤにはベースキャンプ設置時に使うネンチャク草とツタの葉、それとアオキノコを何本か集めてきてほしい。アオキノコは回復薬を作るために使うんだが、こちらは無理に集めなくてもいい。それぞれの特徴は今から渡すこの本に書いてある。くれぐれも気をつけてな」
そう言ってケイルは刀夜に採集アイテムの特徴が書かれた本を渡す。
「あと、トーヤ。無いとは思うがもしも凶暴なモンスターと出会った時にそんな服装では危険だ。一応、防具としてハンターシリーズを貸し出しておく。出かける時はそいつを着て行くようにな」
ケイルは刀夜にハンターシリーズを渡す。刀夜としては特に必要としないものであったのだが、他に防具も持っていないこともあり、ケイルの善意を素直に受け取っておくことにした。
「分かった…。使わせてもらう」
「おう!サイズも大丈夫なはずだ!2人とも、孤島は予想以上に危険だ。これからも色々依頼するが、目利きの聞かない夜になる前に帰ってくるようにな。それと、くれぐれも無理はしないこと。危険な状況になれば仕事よりも自分の命を優先してくれよ。では、気をつけてな」
そう言ってケイルは二人の前から立ち去った。
今日も頑張りますか!と意気込み、狩りの準備をするため部屋に戻ったライトとは対照的に、刀夜は無表情のままハンターシリーズを着るため部屋に向かうのであった。
ハンターシリーズと黛を装備した刀夜は桟橋を経て孤島に到着していた。ライトが出発したのを確認してから刀夜は出発したため、現在刀夜は1人である。
「さて、俺が集めるべきアイテムはネンチャク草、ツタの葉、アオキノコだったか…。正直こんな本が無くても簡単に集められるとは思っていたんだがな…」
刀夜はケイルから貰ったアイテムの特徴がまとめられている本を眺めていた。
刀夜は前世においてゲームでMHを熟知していたため、どの場所にどのアイテムがあるかを覚えていた。そのため簡単に目的の物を集められると思っていたのだ。しかし、現在その考えは甘かったと自分の浅はかさに嫌気がさしていた。
「どれがどのアイテムなのかが全く分からない…。ゲームではアイテムの色や形を見る機会などなかった。実物が分からないなら採取しようもない、そんなことに今まで気づかなかったなんてな…。この本がなければ本当に危なかった。それに…」
そう言って刀夜は、それぞれのアイテムを採取できるポイントが書かれたページを見る。そこには刀夜が見たことのないような孤島のエリアがどっさりと記されていた。
「やはりゲームと現実は違うな。ゲームにおける1〜12のようなエリアも存在してはいるが、あくまでそれは孤島の一部に過ぎないというわけか。なるほど…これはますます面白くなってきた」
ゲームのMHの世界と似て非なるこの世界に、刀夜は更に楽しみを膨らませる。
「確かケイルは夜まで帰ってくるようにと言っていたな。それはつまり、夜まで孤島を自由に歩き回れるということでもある。であるならば、これから仕事は早く終わらせて、残り時間を目いっぱい散策と狩猟に費やすとしよう」
そうして刀夜は自由時間を少しでも多くするため、急いでアイテム採取に向かうのであった。
昼過ぎくらいであろうか、刀夜は依頼されたアイテムの採取を終え、現在村から支給された昼ご飯を食べていた。前世でろくに食べ物がなかったため、昨日の晩もそうであったのだが、今回の昼ご飯にも刀夜は大変満足気な様子である。採取したアイテムは防具の腰に掛かっているアイテムポーチに入っていた。そこにはちゃっかりアオキノコも入っている。
そうして最後に何かしらのモンスターの肉を食べ、刀夜は昼食を終えた。
「やはり俺がハンターじゃないことを考慮したのだろう、採取ポイントの周りにはほとんどモンスターいなかった。どこも比較的安全な場所だったのだろうな…。これが俺じゃなければありがたい事なのだろうが…」
そうなのだ、刀夜が呟いたように今日彼はモンスターと全然遭遇できていなかった。いてもアプトノスやケルビーという非常に大人しいモンスターであり、本日刀夜にはまだ1度も黛を抜く機会が訪れていなかった。だが、これからの散策を思い描いたのか刀夜に悲観した様子はなかった。
「まあ、これからが俺の本当の狩りだな」
そう言うと刀夜はうっすらと笑みを浮かべつつ、孤島の散策を開始したのであった。
少し主人公の強さの片鱗が見えましたかね?
いよいよ次の回から戦闘です。
展開遅くて申し訳ありません、どうしてもキャラ設定や描写に時間をかけてしまう…。
暖かく今後を見守ってください。
それではまた次話出会いましょう。