孤高剣士の歩む道   作:O.K.O

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こんにちは、O.K.Oです。
いつも読んでいただきありがとうございます。

今回少し短いです。区切れが良かったので切りましたがご了承ください。

では、第12話、張り切っていきましょう。


第12話 刀夜の条件

刀夜はその日の晩、ケイルから借りたこの世界についての本を読んでいた。その本による情報をまとめると以下のようなものである。

 

まず、この世界は主に4つの地方に分けられる。

北のアルカナ地方、東の東洋地方、西のヴェノム地方、そして南のノイス地方。ヴェノム地方-アルカナ地方-東洋地方-ノイス地方とドーナツのような円形に陸続きになっており、中央部は大きな海となっている。ヴェノム地方とノイス地方の間には海があるためそこは繋がっていない。

ノイス地方を除く3つはさらにそこから東部と西部に分けられ、それらそれぞれの計6箇所にその地域のハンターをまとめるギルド本部が存在する。そして、ノイス地方は例外として北部と南部に分けられているが、これは北部と南部の間にある大きな溝が原因である。また、ここにもギルド本部が存在するかと思いきや、南部にはそれがなく、代わりに北部にギルド本部含め全てのギルドを束ねるギルド総本部が存在する。

ギルド総本部がノイス地方北部にある理由、それはノイス地方南部にある。ノイス地方南部、そこは古龍の発生源とも呼ばれ、何故かその地域のみが過酷な環境で、他の生物が一切存在していない。そして古龍が出現すると、奴らは何故か北部へと進行してくるため、そのままにしておくと世界が滅びるような大災害を引き起こしてしまう。これを防ぐために腕利きのハンターが集まるギルド総本部をノイス地方北部に設置し、古龍が発生してもすぐさま対応できる体制を整えているのだ。

 

次にモガの村の位置だが、区域的には西のヴェノム地方のそのまた西部の端に位置するカーディナル孤島の一部である。そしてエリスが言っていたリエル王都であるが、これはヴェノム地方西部の貴族、リエル家が治める領地であり、その領地内に世界で6つの内の1つのギルド本部がある。ただし、ハンターズギルドとは国や貴族などの領地には一切含まれず、独立した団体であるため、リエル王都内にあるギルド本部も独立したものとして世間では捉えられている。

 

他にも色々情報はあったが、刀夜が必要とした情報はこれくらいであった。

 

「リエル王都、貴族の領地内にあるギルド本部…。面倒なところにギルド本部を立てたな…。だが…やはりそこに行かないとな。まあ流石に防具が一切ないというのはまずい、それに依頼もまだあるだろう。そういう問題が片付き次第、本格的な旅を始めるか」

 

そうして刀夜の今後の方針が固まるのであった。

 

 

 

 

 

それから2週間、刀夜は淡々と依頼を片付け、ライトはメキメキと実力をつけていった。ライトに至ってはベースキャンプが出来たため、毎日村の依頼とギルドのクエストで忙しそうであったが、先日ドスジャギィを討伐したとのことでランクが2に上がり、村で宴会が開かれた(なお刀夜は眠いと言って参加しなかったが)。エリスもライトの前では「まあ、これくらいやってもらわないとね」と言いつつも内心ではその成長速度に驚いていたらしい。

刀夜に関してはこの2週間、特に波風立てることなく、ひたすら小型モンスターを倒しながら今後必要になりそうなアイテムを集めていた。ゲームで調合レシピが全て頭に入っていた刀夜にとっては一見使えなさそうなアイテムも必要になることがあると分かっていたからだ。そして、ついに刀夜も村の一通りの依頼を完遂すると同時に、自分のハンターシリーズを生産できたため、リエル王都に向かう準備が整ったのであった。

 

 

 

 

 

刀夜は今日、モガの村を離れリエル王都に行くと決めたことを話すためにケイルを探していた。そして目的のケイルを見つけたが、なにやら焦っている様子である。ケイルは刀夜の姿を見つけるとすぐさま走ってきた。

 

「トーヤ!お前さんを探していたんだ!」

 

「そんなに焦ってどうした…少しは落ち着け」.

 

刀夜は嫌な予感しかしていなかった。自分に面倒事が押し付けられる、そんんな気がしてならなかった。そして刀夜のその考えは現実となって彼に降りかかる。

 

「実は…ライトがクルペッコ討伐に向かったんだ…。最近この近辺にクルペッコの目撃情報があってな。クルペッコ自体はそれほど攻撃的ではないんだが、奴は怒ると他のモンスターの泣き真似をして応援を呼ぶ。そうして呼んだモンスターは攻撃的なやつばかりで、そこの生態系を変えてしまうんだ。で、そのクルペッコなんだが…今回、よりにもよってリオレイアを呼び寄せやがった…」

 

刀夜は内心イビルジョーじゃなくて良かったなと思っていたが、ここは現実の世界、リオレイアも一般人にして見ると極めて危険なモンスターであることを思い出す。

 

「あぁ、それは大変だな。で、何故それでライトは討伐に向かったんだ」

 

「それが、リオレイアを呼び寄せたと分かったのはついさっきの事なんだ。村の住民がリオレイアが飛行しているのを見たと言っててな…」

 

「なるほどな、ドスジャギィを倒したことで次の段階のクルペッコ討伐に向かったところ、そのクルペッコが呼んだのはリオレイアでライトが危険…そういうことか?」

 

「あぁ、その通りだ…。エリスと俺もクルペッコならいい勝負ができると踏んで送り出したんだが…リオレイアとなると話は別だ。ハンターランクは1から7まであることは知っているな?」

 

刀夜はもちろん知っているので頷く。

 

「リオレイアはランク4、ランク4だぞ?そんな奴で勝てるかどうかのレベルだ。次元が違う…」

 

刀夜はそんなに勝つのが難しいのか、と人事のように考える。

 

「そこで刀夜、本当に無理なお願いだとはわかっている。だが、お前さんにライトを連れ戻してきてほしいんだ…。お前さんも立派なハンターの1人だ。恐らく、クルペッコは小型モンスターも呼び寄せているが、そいつらなら刀夜も倒すことが出来る。ライトの退路を作って共にこの村へ帰ってきてくれ…」

 

そう懇願するケイルの元へエリスが駆け寄ってきた。

 

「トーヤ!私からもお願い!ライトがクルペッコ討伐に向かったのは私のせいなの…。私が、私がライトにクルペッコ討伐を進めなければ…」

 

そう言ってエリスは目に涙をうかべる。普段エリスはしっかりしていて、思ったことを言う性格であるが、本来彼女は心優しい。目に涙を浮かべる少女は年相応であるように見えた。

泣いて助けを求める少女がいれば手を差し伸べるのが普通だろう。ただ、相手はあの刀夜である。自分にメリットが無ければ動かない。

 

「まあ、条件を飲んでもらえれば動かんでもない」

 

「できることはさせてもらう!その条件を…教えてくれ」

 

「この村では世話になったが、目的ができた…。俺はこの村を離れることにした。だからこれが俺の受ける最後の依頼にすること、そしてリエル王都までの足を用意してもらいたい」

 

ケイルとエリスは、急な刀夜の村を離れるという宣言に驚嘆し固まってしまうのだった…。

 




話がようやく進み始めました。次の話、少し気合入れて書いていきます。

ではまた次の話で会いましょう。

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