カルデアにこいつらを召喚してみた   作:Million01

55 / 78
書けました。今回は募集していたキャラの二人を出させてもらいました!


結城友奈は勇者である
バーサーカーとランサー


ゴゴゴと地面が揺れ、山が唸る。

 

「な、なに!?」

 

カルデアのマスターが体制を崩して思わず尻餅を着く。空気が震え、大地が裂ける。

 

「こ、これは!?」

 

マシュが辺りを見渡す。地中から出てきた無数の巨大な木が蠢き、立香が向かう山の山頂へと目掛けて集まっていく。

 

 

 

《ダブル!》

 

アサシンと戦っていたライダーが仮面ライダーダブルの使用していた"プリズムビッカー"をアサシンへと振るう。

 

「これは……?」

 

「神樹、さ」

 

蠢く木の根を軽快な動きで避けてそれを観察するライダー。そんな彼の姿を見てアサシンは口を開いた。

 

「神樹…?」

 

「これはこの世界の人間共の魔力を吸い上げる神樹さ。当然、貴様らサーヴァントもな」

 

「!」

 

気付いた時には既にいくつもの木の幹がライダーへと迫る。

 

「くっ!」

 

《ファイズ!》

 

《オーズ!》

 

《鎧武!》

 

ライダーが鎧の各所に刻まれた戦士のレリーフに触れて戦士を召喚した。

 

仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム

 

仮面ライダーオーズ プトティラコンボ

 

仮面ライダー鎧武 カチドキアームズ

 

それぞれが武器を持ち、必殺の銃弾を放ち迫る木の幹を消滅させる。その後、仮面ライダー達がそのまま還っていく。

 

「面白い力だ。それほど強力な戦士を口寄せさる力。やはり、須佐能乎で相手しないとな」

 

メラメラと燃えるように青いオーラがアサシンの体から立ち上がり巨人の形へと形成していく。

 

ライダーとアサシン。それぞれ二人のサーヴァントが衝突し合う。

 

 

 

『マシュくん!立香くん!気をつけたまえ、その木は人々やサーヴァントの魔力を吸収して力を貯めている!』

 

「こんなデカイ木が?」

 

『ああ。しかも、その魔力はどうやら山頂の木へと流れている。しかもこの反応……聖杯だ』

 

「ということはこの木を辿れば聖杯の元に辿りつけるというわけですね」

 

『そうだけど、半分正解で半分ハズレかな』

 

「どういう意味?」

 

『その木に聖杯が取り込まれているんだよ』

 

「えっ?」

 

『どうやったかは知らないがこの木の至るところに聖杯の反応がある。それに、木が普通こんなに成長するなんて魔術でもありえない』

 

「確かにそうですね。ダ・ウィンチさん、とりあえず私達は山頂へと向かえばいいんですね?」

 

『ああ、だけど充分気を付けてくれ給え。木の幹が立香くんやマシュくんを取り込もうとするはずだ』

 

「わかりました。行きましょう、先輩」

 

通信を切ってこちらに振り返る後輩の少女の言葉に立香はコクリ、と頷いた。

 

「止まって下さいっ!」

 

ピシャリと少女と思わしき声が二人の耳に響く。二人の歩く先にいる女子中学生と思わしき服の赤髪の少女が立っていた。

 

「子ども……?」

 

立香が少女の姿を見て首を傾げ呟いた。

 

「先輩、彼女から魔力反応です。しかもこれは!」

 

「これは……?」

 

「サーヴァントです!」

 

マシュの言葉に立香も少女もピクリと体を震わせた。

 

「ていうことは貴方達が神樹様を悪用しようとするマスターとサーヴァント!」

 

「神樹様?」

 

「手加減はしないよ!」

 

少女がスマホを取り出して素早く操作すると少女の周囲に花びらが舞う。桃色の光を放つ花びらが舞い、少女の服装が段々と変化していく。まるで神秘そのものを纏ったかのような姿。体のあちこちに華が飾られ、桃色の手甲を装備し、先程まで赤かった髪はまるで桜のように桃色をした髪へと変わっていた。

 

「魔法少女……?」

 

まるで魔法少女もののアニメを見ているかのような光景だった。

 

『マシュくん、気をつけ給え。そのサーヴァントのクラスはバーサーカーだ!』

 

「讃州中学勇者部のバーサーカー、行きます!」

 

讃州中学勇者部のバーサーカーと名乗った少女が大地を蹴ってこちらへと迫る。右腕を大きく引いて可憐な姿でこちらへと接近した。

 

「ハァっ!」

 

「っ!」

 

マシュの大盾とバーサーカーの拳がぶつかり合う。激しい衝撃波が波紋のように空気を振動させ立香の体を震わせた。

 

(踏ん張らないと、吹き飛ぶっ!)

 

足に込める力を強めて目元を腕で覆いなんとか持ち堪える。

流石はバーサーカーのクラスなだけはある。あれほどの華奢な身体にどれほどの力が秘めているのだろうか。

 

続いて身体を捻ってマシュの大盾に回し蹴りを放つ。大盾が上へと外れ、体制をマシュが崩した。

 

「マシュ!」

 

「大丈夫です……」

 

素早く距離を取って体制を立て直すマシュにバーサーカーが静かに佇んだ。

 

「先程のアサシンのサーヴァントと同じく、ここに呼ばれたサーヴァントの人達はとても強いですね」

 

そうだね、と立香も頷いて今頃ライダーと戦っているアサシンのサーヴァントを思い浮かべる。

アサシンの割には彼の扱う奇妙な魔術は派手でそして超強力だった。あんな目立つアサシンなんて蛇の男を置いて他にいない。いや、それ以上かもしれない。

 

「先輩!木が!」

 

マシュの言葉で意識を現実へと戻す。気が付くと木の幹が蠢きこちらへと向かってきているのだ。

 

───ヤバい、と自覚する。この特異点の危険性は恐らくこれだろう。木に取り込まれればどうなってしまうのか自分には想像もつかない。

 

獲物を見つけたかのようにこちらへと迫る木をマシュは盾で払い除けていくが数も相当で段々と押されているのが目にわかる。

 

そんな彼が心配するのはマシュだ。彼の背後にも危険が迫っているのにも気付けなかった。

そんな立香の背筋に悪寒が走り、一切に額の汗が出てきた。

 

「っ!?」

 

振り向きたくないとは思っていたが体が反射的に動き振り向いた。そこにいたのは巨大な一本の木の幹が彼へと迫っていたのだ。

 

避けると言ってもこの太さじゃあ避けきれない。かと言って走るわけにもいかない。絶体絶命。そん感じた時だった。

 

「───ハァァァッっ!!」

 

彼の目の前に流れ星が落ちて燃えて尽きて、そして降ってきた。木の幹に衝突し、彼の危機を救う。

 

「大丈夫ですか!?」

 

流れ星が、少女が振り返った。恐らくバーサーカーと同じぐらいの歳の少女だろう。インナースーツを身に纏い、両腕、両足には走行を装着した少女。白いマフラーを靡かせ、甘栗色の髪を揺らし立香を見た。

 

「サーヴァント……?」

 

「ハイっ!ランサーのサーヴァント、立花 響です!かぐやさんの指示で貴方を迎えに来ました!」

 

「かぐや……?」

 

「色々と説明したいんですけど、そういうわけにもいきませんよね!」

 

立花 響と名乗ったランサーがバーサーカーの方へと視線を向けた。

 

「貴方はカルデアのマスターを守るのに専念してください!あの子は私が相手します!」

 

ランサーがマシュへとそう語り構えを取る。拳を握り体の前へと。

その姿に立香は思わず眉を潜めた。彼女が槍を持たず拳を構えたということは基本的には槍を使わない戦法なのだろう。

 

「はぁっッ!」

 

短い気合と共にランサーが地を蹴った。流石はランサーというだけあって速い。一瞬で数十メート先にいたバーサーカーへと距離を詰めているのだ。

 

ドン、と短く重い音と共に二人の周囲が震えた。お互いの拳が衝突する。拳と拳、拳と脚、脚と脚が幾度となく衝突し、辺りの地面に亀裂を生じさせる。

 

「す、凄い……」

 

マシュが目の前の戦闘に息を呑む。立香も同じ気持ちだった。あのバーサーカー相手に拳と脚だけで互角に戦っている。しかもあれ程の少女がだ。バーサーカーもそうだがランサーも生前はどんな生き方をしてきたのだろうか。どんな存在と戦い勝ち抜いてきたのか。不思議で他ならない。

 

姿を変えて戦う姿ということは彼女達はライダーと同じく異形な存在と戦ってきたのだろうとなんとなく想像する。

 

「「ハァァァッ!」」

 

ランサーの少女はこの特異点を解決するために、バーサーカーの少女は神樹を守るために拳を、力を、想いを振るう。お互いの想いがぶつかり合う。

 

(この人、強いっ!神樹様の力を纏った私にこれほど互角まで戦えるなんてっ!!)

 

(凄い威力!バーサーカーってだけあって力もタフさも凄まじい!)

 

二人が相手の強さを再度認識した。短い掛け声と共にお互いの蹴りが衝突し、二人の体が弾け飛ぶ。

 

((あまり使いたくなかったけど出し惜しみしてられないっ!))

 

「イグナイトモジュール、抜剣ッ!」

 

先に動いたのはランサーの方だった。自身の胸元にある赤いクリスタルの装飾のとある機能を起動させる。そのクリスタルが光り展開し、彼女の体へと突き刺さったのだ。

黒い魔力が彼女の体に纏わりつき、鎧の色が黒く変色していく。

 

撃槍・ガングニール イグナイトモジュール。彼女の纏う宝具であるシンフォギアの力を大幅に強化する機能。それが起動したのだ。

 

(溜め込んだ満開ゲージをここで使う!)

 

対して、バーサーカーの少女が行ったのは"満開"と呼ばれるスキルだ。

彼女の背には大きな桜の花が咲き、周りには無数の花弁が舞う。

そして彼女の背には彼女の腕と連動した巨大な傀儡の腕が具現化されていた

 

バーサーカーとランサーはまさに光と闇を象徴するかのようにも見えた。光が動き、闇が蠢いた。

 

ランサーへと拳を振り下ろす。ランサーが大きく目を見開いて彼女の拳を避けるとそのまま彼女へと拳を突きつけた。

 

「っ!」

 

バーサーカーがもう一方の腕で彼女の拳を防ぐとそのままサマーソルトキックを繰り出す。

クルリ、と体を縦回転させ彼女の顎へと蹴りを狙う。

 

「くっ!」

 

だが、ランサーも負けてはおらずそのまま背を反らして顔を引く。スッ、とランサーの目前にバーサーカーの脚が通過した。

 

(流石にイグナイトモジュールでも、あのバーサーカーの強さについていけないっ!こうなったらっ!)

 

「ハァっ!」

 

バーサーカーが急接近して拳を突き付けた。直後、彼女の拳がランサーの体を中心に現れた黄金の半透明の球体に阻まれた。

 

「なっ!?」

 

「負けるものかっ!」

 

ランサーが腕を上げ拳を強く握りしめる。その腕から現れるのは黄金の華。

黄金の花弁が舞い、彼女の鎧が進化する。

 

融合症例(アマルガム)。彼女の纏う鎧の凄まじいエネルギーを分解し、黄金のバリアを持つコクーンを構築し、さらにそこから高出力型の鎧へと再分解したイマージュとして変化させるスキルだ。

 

まるでバーサーカーかのような巨大な腕がランサーの背からも黄金の巨大な腕が構築されている。

 

「さらにもう一段階っ!?」

 

バーサーカーが驚きで目を見開いて距離を取る。だが、そうはさせまいとランサーが素早く彼女へと距離を詰めた。

 

「速いっ!」

 

ランサーの黄金の腕とバーサーカーの純白の腕が衝突し合う。だが、ランサーの猛撃はこれだけではない。さらにもう片方の腕を振るう。

 

「くっ!」

 

黄金の腕が彼女の純白の腕を殴りつける。繰り出される無数の拳撃が徐々にバーサーカーを押していく。

 

「───ハァァァッ!」

 

そしてついに彼女の腕がバーサーカーの体を吹き飛ばす。勢いよく吹き飛ばされたバーサーカーの体はいくつもの木の幹を突き破って吹き飛ばした。

 

「っ!私は諦めない!私には神樹様を守る勇者なんだからっ!!」

 

足を震わせゆっくりと立ち上がると硬い決意を持った目で拳を構える。神の力をその腕へと纏い一気に力を溜める。

 

「私も全力でいくよ……」

 

ランサーもその様子を見て決意した。彼女を倒すために、と。拳を構えて力を込める。黄金の腕がドリルのように回転し、回転速度を上げる。

 

「───勇者パーーーンチッ!」

 

「───ハァァァッっっ!!」

 

二つの英霊が地を蹴って衝突する。黄金と桜色の流星が真っ直ぐに相手を突き破るために拳を、腕を、力を、想いを振るった。

 

 

 

 

 

 

───ズズズズ!

 

「暴れているな、バーサーカーのヤツ」

 

放たれる銃弾を俊敏な動きで躱すアサシンが揺れる地面に何かを思った。

 

「それにしても哀れな少女だ。自身の世界の神樹とは全く異なるというのに守る必要のない神樹を守るとは」

 

あれも狂化の影響か、とアサシンが呟いた。

 

「守る必要のない?」

 

そんな彼の言葉に反応してライダーが眉を潜めた。一気に距離を詰めたライダーがジカンギレードを振り下ろす。

 

「そもそも貴様はこの神樹がなんの目的でここに降臨したか知っているか?」

 

「……?」

 

巨大な団扇でそれを受け止めるとアサシンが語り始めた。

 

「ならば、この世界で起きたことを教えてやろう。この世界には少し前から月からやってきた姫がいた。名を蓬莱山(ほうらいさん) 輝夜(かぐや)。月の姫だ」

 

「かぐや姫……」

 

ライダーにもその話は知っていた。おじいさんが竹を取りに行った事が発端の有名な物語。竹を切り、その竹の中に黄金の光を発する女の子の赤ん坊がいたのだ。おじいさんがその子を家に持ち帰りおばあさんと大切に持ち帰った。

その子は瞬く間に成長し、ある時月から迎えに来ると告げる。

そしてその日は訪れた。月からの使者がこの地に訪れて彼女を迎えに来たのだ。そして彼女は月に帰るのだ。

 

「この世界ではその物語があるらしいな」

 

無論、アサシンはこの世界で活躍した英霊ではない。だが、英霊として呼ばれ、ある程度の知識は備わっているのだ。

 

「そんな月からの使者を待つ姫の時代にある一人の女がこの地に舞い降りた。名を大筒木(おおつつき) カグヤ。俺達の世界に存在していた姫だ」

 

「カグヤ……?」

 

ライダーは戦いながらもアサシンの言葉を聞いていた。

 

「誰かが呼んだのかあるいは自分から現れたのかは知らん。そんな大筒木 カグヤはこの世界を見てある術を企てようと考えたのさ」

 

「ある術……?」

 

アサシンが一度、瞼を閉じて再び開くとその術を口にした。

 

「───無限月詠(むげんつくよみ)

 

 




なんか似た者同士の二人(色々) 

この特異点で悪いこと企んでるやつがしているのがとんでもないやつという……誰か止めてくれ(

次話はこの投稿の10分後に投稿する予定です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。