セイバーとキャスター
〜亜種特異点? ??〜
空中に浮かぶ神殿の中は神秘的な雰囲気を放っていた。
宇宙空間が見える天井の広間には聖杯を手にしている黒マントの男がいた。
「後は頼んだぞ。キャスター」
男がそう告げると突如、目の前から一人の男が現れた。女性のように長く美しい金髪、魔力とも似た黄金の輝きを放つ存在であった。
「ダオス!」
その姿を見た傷だらけの金属鎧を着た青年が叫んだ。
「クレス・アルベイン……」
ダオスと呼ばれた金髪のキャスターは青年の名を呼んだ。
「ダオス……なぜ……」
「敵のマスターよ……先に行け。私はそこの男を相手にするだけで精一杯だ」
『!?』
「何故そのような事を?」
その場にいたものが驚き、マシュが訳を聞いた。
「私は奴に逆らえないのだ。聖杯の力を使われそうされているのだ」
「クレス……」
藤丸がクレスを見て呟いた。
「行ってくれないか、立香。ここでダオスを倒せるのは僕だけなんだ」
「その通りだ。私は魔術でしか倒せない。だが、彼の剣術は私を傷付け、倒した。見たところ君のサーヴァントには魔術師が見当たらない」
図星を突かれ、立香は焦った。確かに今はキャスターを呼んでいない。
呼ぼうにも呼べるが少しだけ時間がかかってしまう。その間に攻撃されたらひとたまりもない。
「……分かった」
「ありがとう」
クレスがそう言うと立香がダオスの横を通り過ぎた。
「ダオス……」
「……迷っているのか?いや、後悔しているのか。私を倒したことを」
「…………」
クレスはダオスの言葉を聞いて視線を落とした。
「お前は自分達のために私を倒した。私も自分達のために人間を滅ぼそうとした。私を倒すことに意義があった」
「でも……」
「だが、今は違う。私はあのマスターの敵だ。ならば倒すことしか意味がない。さあ、行くぞ」
ダオスが光の魔術を放ってくる。
「くっ、エターナルソードよ!」
クレスは剣を掲げ、自身の宝具を呼び出し飛んでくる光球を斬り裂いた。
「
クレスは剣を振り上げダオスに衝撃波を放つ。だが、その衝撃波はギリギリのところで躱されてしまう。
「フレアトルネード!」
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」
ダオスが魔術を唱えるとクレスを中心に炎の竜巻が発生しクレスを襲う。
「まだだ、
「ぐおっ!」
炎の竜巻からクレスが飛び出て、獅子の形をした闘気でダオスを吹き飛ばす。
剣と魔術の攻防が続いた。
「これで終わりにしよう……」
ダオスが右手をクレスに向けた。
「アルベイン流剣術最終奥義……」
クレスが好機を見逃さずダオスに接近し、剣を振り下ろす。
「ダオスレーザー!!」
「
ダオスの右手から放たれたレーザーを振り下ろした剣の三連撃で迎え撃った。
―――――――――――――――――――――
「ダオスめ……マスター達はこちらに行かせたな」
黒マントの男は立香達の方を向いてそう言った。
「貴方の目的はなんですか?」
「世界の破壊」
「え?」
立香は思わず呆気ない声を出した。
「世界征服よりは現実的だろう?」
黒マントの男は口元を歪ませてそう言い放った。そして、懐から聖杯を取り出し……
「ダオスよ我らのために動いてもらうぞ」
聖杯を掲げると、聖杯は眩い光を発するとダオスの方に飛んでいった。
「な、何っ!?」
ダオスは目を見開いた。ダオスの体に聖杯が入ってきたのだ。
クレスも突然の出来事に思わず言葉が出ない。
「あの男……聖杯を!?」
ダオスが何か異形なものに変化していき、それは巨大な何かとなっていく。
「これは……あの時の!!」
クレスはその姿に見覚えがあった。その姿は『フェザーダオス』と呼ばれていた存在でだった。
フェザーダオスはクレスを見下ろし右腕を振りかざした
「くっ!!」
くれは横に転がり込むように右腕を躱し、ダオスを見上げる。
流石の自分でもこの状態のダオスとは一人では勝てない。
「―――――――――」
聖杯の力で暴走しているのだろう。クレスを叩き潰す勢いで両手で交互に叩きつける。
「
クレスが宝具を掲げるとその場から消えた。しさまるで瞬間移動したかのようにフェザーダオスの上空に現れた剣を突き刺す。
「硬い!?」
だが、その刃はフェザーダオスを深く傷つける事はできなかった。
「―――――――――」
フェザーダオスがクレスを自身の体から落とし思い切り右腕を振るった。
「ぐっぅぅぅ!!」
「クレス!」
柱に叩きつけられるその場に膝を付くクレスに立香達が近づいた。
「立香か……」
「クレス、あれは?」
白銀の鎧を纏ったセイバー、アーサーはフェザーダオスを見てクレスに聞いた。
「あれはダオスだよ。聖杯の力であんなんになったけど」
「あれが……」
「アーサー……力を貸してくれないか?」
「?」
「僕が時間を稼ぐから君は宝具でダオスを倒してほしい」
「でも、彼に魔術は……」
「今の彼は効くんだ」
クレスが真っ直ぐな瞳でアーサーを見た。
「……分かった。君の言葉を信じよう」
アーサーは今の瞳に嘘はないと信じ頷いた。
「私も戦います。防御は任せてください」
「へっ、俺も戦わせてもらうぜ」
赤い槍を持ったランサー、クー・フーリンは槍を持ってフェザーダオスに攻撃し始めた。
「クレス!宝具、いつでも撃てるよ!」
「了解!」
「
アーサーが宝具を目の前に掲げた。
「───承認。ベディヴィエール、ガレス、ランスロット、モードレッド、ギャラハッド」
そして、剣から女性の声が響き渡る。
「是は、世界を救う戦いである」
「アーサー」
カッ、とアーサーは目を見開くと剣を上に構えた。高密度な黄金の魔力がアーサーの聖剣に収束し、更に一層聖剣が輝きを放つ。
そして、膨大な魔力が放出され巨大な刃となった。
「
「―――――――――」
膨大な魔力に襲われ、身悶えするフェザーダオス。黄金の魔力がフェザーダオスを包んだ。
「どうだ!?」
「―――――――――」
煙が晴れると共にまだ生きていたフェザーダオスが右腕を振り下ろした。
「フッ……流石だな」
黒マントの男はその場に膝を付くサーヴァント達を見てそう呟く。
「くっ……」
圧倒的絶望に追い込まれたサーヴァント達はどうする事もできなかった。
―――勝てない
そう感じたのだ。
「―――――――――!?」
だが、そこでフェザーダオスに異変が起こった。
段々と姿形が変わっていき、人の姿になっていくのだ。
「な、何ィ!!?」
男かま素っ頓狂な声を上げて驚く。
「ダオス、何をした!!」
男はそう言うと天使の姿のような存在となったダオスを見た。
「あの姿は元々、聖杯の力なしでもなれるのだ。聖杯を使って姿を変わったが力を抑え、今ではこの姿になれた」
「ダオス……?」
「しかも、聖杯が私の中にあるお陰で貴様に逆らう事ができる。礼を言おう……相応のな!」
ダオスの背後から巨大な魔法陣が現れた。
「幕を引くとしよう…! 受けよ!」
魔法陣から四本のレーザーが放たれ、男を襲う。
「スーパーダオスレーザー!!」
ブォン!と最後に極太のレーザーが放たれ、男を吹き飛ばす。
「さあ、クレス・アルベイン!敵を討て!!」
「ダオス、すまない!僕に力を!!」
クレスが剣を掲げると内に秘めた闘気を開放した。
「
クレスが男に衝撃波を放ち、闘気を纏った剣を振り下ろす。
「
更に後方に吹き飛んだ男を追いかけるように上空に瞬間移動し、敵を斬りつけた。
「―――
最後に剣の切っ先の空間を歪ませ……
―――思い切り剣を振り下ろした。
「藤丸 立香。これが聖杯だ」
ダオスは最初の姿に戻り、立香に聖杯を渡した。
「いいんですか?」
「ああ、今の私には叶えてほしい願いもない。ましてや欲しいものなどない」
「……ありがとう」
「礼には及ばん。クレス・アルベイン、自分が貫いた道を通してみせろ」
「ダオス!」
ダオスがそう言って消滅していった。クレスは未だに悩みのある瞳をしながらダオスを見送った。
「クレス、最後まで付き合ってくれてありがとう」
「……いいんだ。こっちこそダオスを倒すのを手伝ってくれて嬉しいよ」
クレスが笑みを浮かべて立香に言った。
「アーサーもありがとう」
「いいんだ。けど、君とはまたどこかで会えるような気がするよ」
「はは、そうだったら嬉しいよ」
「そろそろ時間だ。クレス、また」
「ああ、またね」
クレスはアーサーの言葉を最後にその場から消えていく立香達を見送った。
一騎当千のキャラも出そうかと思っています。
とりあえず孫策伯符と関羽かなと思っています。
あと鉄拳の風間 仁さんも。