アルベドは元々酒など嗜まない部類だった。別に飲めないというわけではないし、その楽しみを否定することもしない。
どちらかと言えば自分は紅茶の方が性に合ってる。けれどそれはそれとして、美酒の香りと味わいを楽しみながら、頭脳をアルコールに溶かしてもらって一時的にリフレッシュするのは素晴らしい嗜好なのだろう。
けれど自分には必要が無かったのだ、どんな美酒にも勝るアインズ様という愛しい存在に酔えたから。
かつてはあの方のことを考えるだけでアルベドの高度な頭脳は融けて流れ、腹の底がうずき心が潤ったものだ。きっと酒だろうが麻薬だろうが、愛の快楽を凌ぐことは不可能だろう。
もっとも今のアルベドは、そんな酔い方をすっかり忘れてしまっていたのだが。
マタタビの事、たっち・みー様の事、タブラ・スマラグディナのこと、ルべドの事、ニグレドの事、アインズ様の事、アルベド自身の事。
様々な憂慮がアルベドの精神を苛んできて、もはやアインズ様の肋骨数えでお気楽にトリップ出来ることは無くなった。
ならばいっそ本物の酒を飲みでもすれば少しは気が晴れるかと思いついて、9階層のバーに足を運んでみたのだが、やっぱりどうにもうまくいかない。アルコールが回る感覚はしっかりと憶えたが、理性も思考もさほど剥がれ落ちることは無く、リフレッシュも現実逃避もままならなかった。
「もう一杯、頂けるかしら」
バーテンを務めるマイニコドのピッキーに何度目かの頼んだ。しかし彼には冷や汗と共に引かれてしまったようだ。
「……どうぞ。これで5杯目ですね。これほど飲んでこうも平然と為されるとは。流石にこの量ならデミウルゴス様でも酔いつぶれますよ」
「潰れられるものならそうしたいのだけどね」
もちろん毒耐性は外してある。けれどまさか自分がこうも酒に強いとは思いもしなかった。
ピッキーからすれば強い酒をがぶがぶ飲んでつまらなそうに仏頂面をされるのだから、バーテンとしてたまったものでは無いのかもしれない。
そろそろ席を立つべきか悩み始めたところで、丁度入口から二人組の気配が現れた。
「いらっしゃいませコキュートス様、デミウルゴス様」
「やぁピッキー、それにアルベド。隣の席に失礼させてもらうよ」
「お構いなく」
そういえば二人は常連だったのだっけ。とはいえ、アインズ様から与えられた暇の時間が重なるのも、そしてここに3人の守護者が居合わせるのも不思議な偶然だ。
いや偶然というほどでもないかもしれない。
心情の表れなのか、デミウルゴスの鋭利なオールバックは、今日だけ心なしか濡れそぼって萎えているように見えた。
デミウルゴスは頼みなれたカクテルを、コキュートスはお湯割りの日本酒(そんなものがあるとは知らなかった)を頼んで席についた。
ピッキーがいそいそと準備する合間にデミウルゴスはアルベドはと向き直り頭を下げた。
「世界征服の件、本当に済まなかった。私の早とちりのせいで、アインズ様とナザリックの皆に大きな混乱をもたらしてしまった。くどいようだが、改めてこの場で君に詫びを申し上げたい」
デミルウルゴスがこうして頭を下げるのはもう何度目になるだろうか。アインズ様が世界征服の至上命題をシモベ側の勘違いであると断じて以来、彼はずっとこのような調子だ。アルベドもコキュートスも、繰り返しの様にデミウルゴスを労わった。
「仕方がないわ。あんなに綺麗な夜空の下であんなことを言われたのだもの。勘違いをしてしまったのは私達も同じなのだし」
「ソウダゾ デミウルゴス。私モ同ジコトヲ言ワレテシマエバ、同ジヨウニ勘違イシテシマッタニ違イナイ」*1
発端はこの世界に転移した直後にさかのぼる。
この世界に広がる満天の夜空を見上げながらアインズ様は「宝石箱のようだ」と、そして「世界征服なんて面白いかもしれない」と発言なされた。御方は軽い冗談だったつもりなのに、それを傍で聞き届けたデミウルゴスは世界征服を至上命題と受け止めてしまい、アインズ様の改名式の後にそれをナザリック全体に周知。
その勘違いがつい先日、アインズ様の発言により解かれたことにより大混乱が舞い起こったという話である。
そもそもこれはシモベ全体の問題であるのだし、またゲヘナやスクロール事情で多大な功績を残した彼が凹む姿は悲しく痛々しい。慈悲深いアインズ様も気にし過ぎないように言い含めているが、デミウルゴスの人一倍強い責任感がかえって裏目に出てしまっていた。
「重ね重ね本当に……いや、ありがとう二人とも」
「こういうことは、私が誰より気にしなくてはいけないわね」
口頭の確認すらしていなかったのに、今まで暗黙の了解としてまかり通っていたのは末恐ろしい奇跡だ。
もちろん、今後はこのようなことは絶対に起こしてはいけない。組織図の欠陥の改善は内政官たるアルベドの使命である。
「……シカシ、何故アインズ様ハ今ニナッテ誤解ヲ解カレタノダロウカ」
コキュートスの疑問に歯切れ悪くもデミウルゴスが答えた。
「一応あの時、世界征服そのものを取り下げた理由はわかるんだよ。
「ただわからないのは、どうしてアインズ様は
アインズ様がシモベの動向を把握していなかったという可能性も無いことは無い。酷い話だがこれまで一切口頭確認をしていなかったのだし。
ただそれも内通できる立場にあるマタタビがいたのだから万が一もあり得ないだろう。
「それこそマタタビ……彼女なら何か知っているのでしょうけどね……」
「仲ガ良イノダロウ? アルベドカラ理由ヲ聞クコトハ出来ナイノカ?」*3
コキュートスのもっともな疑問にアルベドは苦笑いした。
デミウルゴスが深みの籠った声で答える。
「無理だろうね。彼女が自分からワケを語らないということは、つまりそうするだけの理由があるということだ。
やること為すこと空回りで無駄ばかりだが、決して無意味なことをする人物ではないんだよ。
法国については擁護不能だが……白金の竜王のことも、アルベドの叛意のことも、これまでの彼女の隠し立てを鑑みれば理由はわかる」
マタタビの黙秘には往々にしてややこしい事情が付随している。
先日彼女が自白したスレイン法国との密通は……彼女自身のどうしようもないプライドが災いしたものだったが、それはともかく……
白金の全身鎧の真相を黙秘したのは、どうしようもないたっち・みー様の悲劇をナザリックに知られないためだった。
至高の存在の死という事実は、シモベによからぬ妄想と思想を与えることだろう。少なくとも一人、セバス・チャンは確実に生きる意味を見失い生きた屍になるに違いない。
死んだ目のセバスがマタタビにかしずく姿を思い浮かべる。それはマタタビもセバスもアインズ様も誰も報われない結果に違いない。
「……私もそれで命拾いしたものね」
マタタビがアルベドの抱くギルドメンバーへの憎悪をアインズ様に黙っていたのは、アインズ様の隠された御心、そしておそらくアルベド自身の命を慮ってのことだった。
もっというなら彼女がアルベドを見逃したのは、アルベドに流れ出たアインズ様自身の憎悪の感情を、アインズ様に否定させないためだったのだろう。だってそれは、自殺のようなものだから。そのためにアルベドはマタタビに生かされたのだ。
結局のところ、アインズ様は自分でそのことにお気づきになられ、アルベドの処断は無くなったのだが。
「ムウ、カノ御仁ニ無礼ナ言葉ダッタカ。撤回シヨウ」*4
「気にすることないわよ、彼女が大馬鹿者なのは事実だから」
「全くです。彼女の立場であれほどまでに状況を把握できていたなら、もっと根回しややりようはあったはずだ。
早くにアインズ様に腹を割っていればスマートに全てを終えられたことでしょう」 *5
ただ少なくとも、愚かに口軽く吹聴してしまえば目を覆う混乱と悲劇が巻き起こっていたことは想像に難くない。それだけの分別があったというだけのことなのだ。
ふと、デミウルゴス、コキュートスとこのような話題を自然に語らっていることを鑑みて、ずいぶん遠くに来たとアルベドは思った。
アルベドが至高の存在を憎んでいたことは、もう守護者全員、アウラにもマーレにもシャルティアにもヴィクティムにも知れ渡っている。
守護者たちはアルベドの隠す全てを知っているわけではないが、それにしたって、今のアルベドの在り方がマタタビ以外に受け入れられるとはこれっぱかしも思っていなかった。
それこそアルベドは、彼女に大馬鹿などとは言えない気がする。
「私が他の至高の存在を殺そうと謀っていたことについて
アインズ様もそうだけど、あなた達に許されることは無いと思っていたわ」
「一切ハアインズ様ノ思シ召シ。私ノ心ハ玉座ノ間デ語ッタコトガ全テダ*6 」
「コキュートスと同じだ。君の抱いていた真意について、もはや何も言わないよ。
もし君がウルベルト様や他の創造主を手に掛けていたなら、私は君を許さなかっただろう。
けれどアインズ様の寂寥と嘆きを一身に受け止めた存在が君なのだとしたら、それはとても尊いことだと私は思う」
「……そう、それはどうも」
未だにアルベドは、己の想いを周囲が受け入れ始めたことへの違和感に悩んでいた。
アルベドはかつて間違いなく至高の存在への憎しみを抱いていたし、その感情を度外視しても合理的な理由から彼らへの殺意は変わらなかった。
でもその感情は自分一人だけのもので、パンドラズ・アクターや部外者のマタタビはともかく、他のシモベやアインズ様は絶対に許さないことだとも理解していた。
けれど、必要に迫られ全部打ち明けて見ればこの結果。とんだ喜劇、わけがわからない。わけがわからない。
堂々巡りしてループしはじめる思考を自認して、ようやく酒の酔いが回ってきたことを実感した。溜息を零す。
閑話休題。僅かにアルベドを一瞥して、コキュートスが「オオ、ソウダ」とわざとらしく切り替える。
世界征服におけるアインズ様の真意について、何か思いついたらしい。
「ワタシヲリザードマン集落ニ侵攻サセタ際ノヨウニ、失敗例ヲ体験サセ成長ヲ促ソウトシタノデハナイカ?」*7
先日の湿地帯侵攻の情勢を思い出しながら、アルベドとデミウルゴスは顔を見合わせる。
コキュートスによるリザードマン侵攻計画。慈悲深く聡明なアインズ様は、個の武力を誇るコキュートスにあえて弱い軍勢を率いさせ失態を演じさせることにより、コキュートス自身に将としての成長を促させた。
「我々の思い込み癖を憂慮されていたということですか。ふむ」
それと同じような要領で、ナザリックの組織欠陥を察し絶妙なタイミングで指摘することによって、ナザリックに啓発を促そうとしたのだろうか。仮にそうだったら結果的には上手くいっていると言えるだろう。
「……一応筋は通るのかしら?」
「それなら実に身に染みた。もう二度と、確認の取れないことを知った被る発言はしないように務めるよ」
「それがいいわね、ちょっと寂しいけれど」
アインズ様の御心を瞬時に見抜いて他の守護者に説明してあげるいつものアレ*8 は金輪際厳禁だ。
アルベドとしてもあの流れはカッコよくて凄い好きだったが、九分九厘イケそうな感じでも確証がなければちゃんとアインズ様から説明を願わなければなるまい。アインズ様にもそう言おう。1厘の誤差がとんでもない混乱を巻き起こすこともあるとわかったのだから。
「ヤハリスベテ、アインズ様ノ掌ナノダロウカ?」*9
「少し腑に落ちない気もするけど」
全て掌の上、果たして本当にそうだろうか。
コキュートスの考えはアルベドにはしっくりこなかった。
結果的に世界征服は中止されナザリックは組織として一歩改善に向かったが、それは偶々そうなっただけなのではないだろうか。
しかしそうなるとアインズ様は本当は何を考えておられるのか、対抗案が思い浮かばないのでアルベドは閉口した。
デミウルゴスはカクテルを半分グイと飲み込んで、わざとらしく酔い癖を気取りながら万感を込めて声を挙げた。
「ああしかし、かの夜空で「世界征服」の文言を耳にした時! そしてそれを神託気取りで玉座の間で延べ伝えた時の高揚ときたら!
いくら過ちであったとのだと振り返れども、悪として己が意義を満たせる期待感は昨日のことのように忘れられない!」
「私モアノ時ハ、コノ世界ニ潜ムデアロウ未知ノ敵トノ戦イニ心躍ラセテイタナ」*10
「そうね、本当に」
デミウルゴス、コキュートスとは趣向が違うが、アルベドも同じ気持ちだ。
アインズ様の願いの下で、個性様々なシモベが一同に世界征服という目標に向かっていく一体感。あれがアルベドにはとても甘美なものだった。アルベドの記憶の中で最も輝かしい思い出の一つでもある。
ただの勘違いでしかなかったのが、正直とても残念だ。
「……少し、話が変わるんだがいいかい?
カクテルの残りを飲み込んだデミウルゴスは、空のグラスをそっとテーブルに置いて言った。
彼女から聞かされたという話、そしてデミウルゴスの悩ましい表情から、とんでもない話なのだろうと察してアルベドは身構えた。
「ナンダ、言ッテミロ」
「アインズ様が世界征服を否認されたことで少し悩んでね。どうしたらウルベルト様のような完璧な存在になれるのだろうかとマタタビ様に疑問を零したら……悪魔の様に盛大に大笑いされたんだ」
「酷い女ね、後で引っぱたいてやるわ」
「いやいいんだ。私が憤慨して理由を問い詰めたら、とんでもない話を聞かされてしまってね……」
そうだろうそうだろう、やっぱりとんでもない話なのだろう。
彼女の話は大概劇物で、だから常日頃から接する羽目になったアルベドの頭は痛くなる。
一体どんなことを聞かされたのかと憐れみマシマシで耳を立てると、それは想像の10割増しの劇物だった。
◇
『デミウルゴスさんは、ウルベルトの理想の姿の投影なんですよ。
強くて頭がよくて仲間想いで外には苛烈。私もあなた達のそういうところがとてもとても好きですよ』
『ウルベルトは元々、貧しい家に暮らすただの不幸な人間の子でした。両親はとてもヒトの善い方々だったそうで、最初は彼もそんな親が誇らしかったそうですよ。けれどそのせいで悪い権力者に殺されて、みなしごになって。その時彼は思ったそうです、本当に大事なモノを守るには、絶対悪として君臨しなければならないのだと』
『だから逆に、無造作にお人好しでトラブルを招くたっち・みーが嫌いだったそうですね。私も父の、警察仕事に構って母さん泣かせるあの人の、そういうところが嫌いでしたね。おかげで彼とはとても気が合いまして』
『だから彼はユグドラシルでヴァフォメットに転生して、『大災厄』としての力を悪辣に振る舞って暴れまわったそうな
そしてだからこそ己の『悪』の理想形として、デミウルゴスさんを生み出したんです。私は彼からそう聞きました』
『だからデミウルゴスさんがウルベルトを理想形として近づこうと試みるのは、彼にとっては的外れもいいところですよ』
『あいつの根っこは、悪に焦がれる心優しい小市民なんです』
『ちなみにウルベルトの一番好きな言葉はね『憧れは理解から最も遠い感情』なんだってさ』
◇
「話を聞かされた私は呆然として前後の記憶が途切れてしまい、気付いたら6階層にてコキュートスに拾われまして……」
「氷城ノ門ノ隅デ座リ込ンデイタカラ何事カト思ッテイタガ……ソンナコトガアッタノカ」*11
どうやら彼の髪が濡れているのは、6階層の吹雪に当てられたのがそのままになっているだけだったようだ。
呆然として6階層の氷雪地帯に体育座りするデミウルゴスの姿を思い浮かべ、アルベドは吊り上がりそうな頬を強張らせつつ同情した。
しかし、だ。
憧れは理解から最も遠い感情とは、なるほど含蓄のある言葉である。
どんな気分だろうか、信仰していた造物主が、己の期待と真逆の存在だったと知ることは。それが圧倒的情報量と共に語られた時の衝撃は。
結局のところ勝手に憧れていた手前、デミウルゴスには失望など許されるわけもない。
己の創造主の正体が、脆弱だろうが悪逆だろうが善良だろうが矮小だろうが愚かだろうが人間であろうが、生みの親である以上は絶対の存在なのだから。
落差に伴った激情は矛先を見失い、滑稽な妄信を繰り広げていたデミウルゴス自身に回帰する。シモベとはそういう生き物だ。
「…………」
少し飲み過ぎたのか、薄ら吐き気も憶えアルベドは口に手を添えた。嚥下することは無かった。
「世界征服のこともそうだが、どうやら私は思い込みが激しいらしい。
よく知りもせず勝手な憧れを抱くなどおこがましいにもほどがある。
ウルベルト様の忠臣を気取っておいて来歴すら知りもしないのだから、我ながら情けない」
「少し、気に病み過ぎよ。我々が至高の存在に対して無知なのは、その知識が無用であるからに他ならないわ
仮にマタタビの話が真実だったとしても、ウルベルト様にとって彼女のあなたへの入れ知恵は決して望むことでは無いでしょうよ。あなた自身が己の在り様を思い悩むくらいならね」
「君が、それを言うのかね?」
「……言葉の綾だわ。世界征服のこともそうだけど、悩み過ぎるなと言ってるの。仕方のないことなのだから。
それに、知れたならそれはそれでいいじゃない。光栄なことでしょう?
あなたがウルベルト様にとっての対極的理想の投影として生み出されたのなら、為すべきは絶対悪に恥じない行い。それ以外ない筈よ」
アルベドはデミウルゴスに同情していたが、同時に少し妬いていた。
アルベドだってアインズ様の生涯の来歴などこれっぱかしも知らないのだから。なおタブラはどうでもいい。
「……無論だ。彼女からも言われたんだ
あえて私が目指すべき姿があるとするなら、ギルドとナザリックに全てを尽くし、その他一切を無頓着に蹂躙するアインズ様のことなのだと。あの方こそが最もウルベルト様にとって理想的な悪の姿そのものなのだと」
デミウルゴスの語るマタタビの言葉、それを聞いてアルベドは、ほんの少しだけ彼女のことを見直した。
そしてこの瞬間だけアルベドは、以前のように己が主の威光を前に恍惚として身を震わせた。
シモベどころかウルベルトの理想すら体現して、デミウルゴスの行く道を導かれるとは。
「アインズ・ウール・ゴウン様万歳、ね」
心の底から、アルベドは思った。
まさに誰にも勝る、理想的な支配者の姿そのものだ。
そう、理想。
理想?
「…………っ」
アルベドの脳裏に電撃が奔り、グラスが手から零れ落ちて、中身のワインが赤黒い水たまりをカウンターにつくった。
そしてデミウルゴスが聞いたのであろう彼女の言葉が、アルベドの中でもリフレインされる。
『『憧れは理解から最も遠い感情』なんだってさ』
なるほどやはり、含蓄のある言葉だ。
・ウルベルト様はBLEACH知ってたら絶対藍染●右介好きだろうなって思ってます。
ピッキー(さっきからアンタラ何話してんの!?)
すいませんピッキーの存在完全に忘れてました。でもまぁストーリーに影響ないし、ヨシ!
◆補足 デミウルゴスさんの情緒崩壊 内訳
『デミウルゴスさんは、ウルベルトの理想の姿の投影なんですよ。
強くて頭がよくて仲間想いで外には苛烈。私もあなた達のそういうところがとてもとても好きですよ』
→そうなの!? ウルベルト様の理想なんて畏れ多いいよぅ!
『ウルベルトは元々、貧しい家に暮らすただの不幸な人間の子でした。両親はとてもヒトの善い方々だったそうで、最初は彼もそんな親が誇らしかったそうですよ。けれどそのせいで悪い権力者に殺されて、みなしごになって。その時彼は思ったそうです、本当に大事なモノを守るには、絶対悪として君臨しなければならないのだと』
→そうなの!? てかウルベルト様ニンゲン!? ニンゲンナンデ!?
ニンゲン蔑視いかんかった!?
『だから逆に、無造作にお人好しでトラブルを招くたっち・みーが嫌いだったそうですね。私も父の、警察仕事に構って母さん泣かせるあの人の、そういうところが嫌いでしたね。おかげで彼とはとても気が合いまして』
→なるほど
『だから彼はユグドラシルでヴァフォメットに転生して、『大災厄』としての力を悪辣に振る舞って暴れまわったそうな
そしてだからこそ己の『悪』の理想形として、デミウルゴスさんを生み出したんです。私は彼からそう聞きました』
→えー!?
『なのでデミウルゴスさんがウルベルトを理想形として近づこうと試みるのは、彼にとっては的外れもいいところですよ』
『あいつの根っこは、悪に焦がれる心優しい小市民なんです』
→えー!? うそでしょー!?
『ちなみにウルベルトの一番好きな言葉はね『憧れは理解から最も遠い感情』なんだってさ』
→私がウルベルト様の何を知っていたというんだろうか……情けない。思い込み癖直そう
『あえてデミウルゴスさんが目指すべき姿があるとするなら、ギルドとナザリックに全てを尽くし、その他一切を無頓着に蹂躙するアインズ様のことです。彼こそが、ウルベルトの最も理想とする悪の姿なんですから』
→あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!(崩壊した情緒にさすアイが染み渡る音)
◆オリ主の善悪感
大体セバス並み。種族がケット・シーになった影響で、ある程度の殺傷行為に忌避感は無い。ただ困ってる奴に縋られたらセバス並みの確率で助けてしまうお人好し。一応これが甘ったれた偽善であるという自覚はあるが、育ちが良すぎて自分でも直せないのでコンプレックス。そこだけは育ての親に似た。
逆にその辺の分別をしっかりわきまえるナザリックやアインズ様のことは尊敬してる。
仮に原作√になっての大虐殺や聖王国への所業を目の当たりにしても、身内第一主義によるものなので仕方ないよねって納得する。
絶対に敵対はしないがSUN値は削れる。メンタルケアしないと一人で勝手に自殺する……と思う。
法国の件は先日白状してアインズ様に盛大に怒られた。原作で例えると、シャルティアとセバスとルプスレギナの失態を足し合わせて割らない感じのやらかし。どこに出しても恥ずかしい立派な社会不適合者。
なお法国とニグンは首皮壱枚。