今後ご期待に沿えず失望させてしまうことがあるやもしれませんが、どうかその時は情け容赦なく評価を入れてくださればと思います。
筆はめっぽう遅いですが、牛歩の歩みでもエタラないように進んでまいりますのでよろしくお願いします。
Q、アルベドさんからオリ主への好感度高すぎない?
A、まぁ高い。唯一の理解者にして協力者となり、最終日に居合わせたのでアインズ様に好意的だからポイント高い。アインズ様と一緒にコキュを止めてくれたあたりで上限値まで上昇したと思われる。詳しく説明すると怪文書になるので割愛。一部分は活動報告に記載してます。
【マタタビの至高の41人大百科】
No.9:ぷにっと・萌え
ユグドラシル全体においても最高峰の戦術家。
モモンガや他の多くの仲間のゲームスタイルに大きな影響を与え、ギルド:アインズ・ウール・ゴウンを強大化させた立役者の一人。
彼について特筆すべき点は、リアル仕事とゲームへの活力を美しいバランスで両立させていたことであろう。人生の中の1スパイスとしてゲームを組み込んでいる彼はある意味理想的なゲーマーと言えるかもしれない。その点ユグドラシルを人生の悦びそのものと捉えていたモモンガとはある意味対極的と言える。
ちなみにおそらくギルドでは、モモンガに次いでマタタビのことを嫌悪していた人物。
◆◇◆
狂乱の激昂がレコーダーを介して玉座の間にて響き渡った。
その雷はコキュートスやアインズだけでなく、アルベドを守ると申し出たマタタビどころかアルベド本人すら巻き込んで平等に降り注ぐ。
コキュートスは二度目の見聞きにも関わらず白目をむきかけ、マタタビは不意に横面をぶん殴られたように目と小口を空け呆然とし、アルベドの顔は先ほどまでの堂々ぶりが嘘のように死人の如く青白くさせていた。
アインズだけは狡くも〈精神安定化〉で表向きの平静を保っていたが、空洞の大脳はアッパーカットでも決められたかのように小刻みに揺れていた。
空気が死んで吸い込まれることを忘れた酸素たちは行き場なく滞留し、澄んでいるのに質量を孕むように重たかった。そんな中アルベドの報告は息苦しくも絞り出された一言によって〆られた。
「……以上、です」
アインズは震えた脳漿で今しがたの現状を反芻した。
コキュートスとマタタビの前でアインズの目的が明らかにされた。ここから状況を巻き直すには、この瞬間アインズが一人でマタタビとアルベドを無力化しなければならない。
マタタビにはいつでも精神支配の指示を使えるように、アインズの自室に召喚した傭兵モンスターに【傾城傾国】を所持させ待機させていた。だがアルベドがマタタビに【
こうなればアインズがこの場でどんな手段に打って出ても意味はない。アルベドと特にマタタビの二人なら、たとえ無理にコキュートスを味方につけても玉座の間から脱出するなど全く容易いだろう。そして部屋を出てしまえばギルドの指環でどこへなりとも逃げられる。
パンドラズ・アクターから話には聞いて居た。【傾城傾国】でマタタビに精神支配をかける提案をしたのはアルベドで、それは万が一のマタタビの叛意を防ぐためのモノだったと。
そして彼女はアインズがマタタビに使った【傾城傾国】を利用すると知ったその時、即座にこの算段を付けたのだろう。
記録映像のからくりを利用してコキュートスまで巻き込み、
玉座の間という史上最硬の閉鎖領域にアインズ達を誘い込み、
あの糞気難しいマタタビから信頼を得て味方につけ、
所持していたギルド指輪と【
音声記録を利用して立場のせいで面と向かい言い辛かった本音を盛大にぶちまけた。
結果アインズの野望は粉微塵にまで叩き潰されたのだった。
これは最早アインズ・ウール・ゴウンにとって完敗以外の何物でもなかった。それこそいつぞやのマタタビの様に笑いたくもなる。とんだ道化だと。
顎骨は率直な心境を呟いた。弁柄色のこれ以上ない穢れた感情を。
「糞が」
「アルベドさん」
「………」
マタタビは即座にアルベドの手首を強く掴んで逃げ腰を固めようとしていた。
だが当のアルベドは巌の様に動かない。死にかけの目に宿る微かな光がアインズを真っ直ぐ見据えるばかりだった。
この場の空気を支配したはずのアルベドが、今最も恐怖に打ち震えている。今まで散々掛けていた巧妙な生命保険なぞ何の意味もないと言わんばかりに。
実際、ある意味では無意味だった。理屈の上でアインズにとれる手立てはないが、そもそも理屈とか合理性などで動いていたわけではない。
無理筋とわかっていても、アルベドの説得というこの場で唯一残された方策へと進むのは道理だった。そんなこと彼女は承知なのだろうが。
「アルベド、お前の言ったことは正しい。臆病と言われようが愚かと言われようが甘んじて受け入れるとも。本当なら話し合うだけでもしてみるべきなのは火を見るよりも明らかな正論だ。
だからなんだ。俺もソイツもテコでは動かない。ササキツバキのこの世界への招聘とササキ夫妻の復活は俺の中で決定事項だったが、それをソイツが手放しで同意することが無いのはわかってる。糞みたいな遠慮や独立心で割り切って、何でもないように取繕って拒絶するのは間違いない。俺はそれが腹立たしくてならないわけだが、なぁ違うかマタタビさん」
いきなり話をふられたマタタビは心底呆れた風な溜息を吐き、不快に眉間を寄せてアインズを睨んだ。
「……まったく、これだがらバレるのは嫌だったのに。わかってるじゃないですか。
この私が! あなたの好き勝手を許すわけがないでしょう!? 」
アインズが理屈で動いていないのと同じようにマタタビも感情で動いて生きていた。
手を差し伸べても噛みつくような女。もはやそういう生き物だからその有無を尋ねても仕方がないのだ。
「だからなアルベド―― 」
「ならマタタビ様はこれからどうするおつもりで?」
アインズは、これ見よがしと広がった溝を見せつけてアルベドを諭そうとした。
だがアルベドはたった今決裂したはずの無駄で不毛な言い合いに声を挙げる。そしてアルベドを掴んだマタタビの腕を強く掴み返した。決して逃がすまいとでもいうかのように。
「よもや慈しみ深いあなた様が異邦に妹君を一人残され、自分だけ粛々と墓参りに勤しむことを良しとするとは思えませんが」
勘違いしていた。アルベドはアインズを止めるためだけにマタタビを味方につけたのではない。
マタタビをこの場に繋ぎ止めるためにアインズを敵に回したのだ。アルベドがここから動かない限りマタタビも逃げることは叶わない。
この状況は精神的な意味でも効果的だった。
「……ああもうわかってるよ! 全部私がどうにかしなくちゃいけないんだ! アインズ様が切り出した手前、今更異世界がどうこうなんて言い訳は通用しないんだから」
「それは不可能です。マタタビ様が万能を誇るのは闘争の場においてのみであり、持ちうる魔道具も全てが戦闘用。
未だ異世界転移現象の原因すら掴めない中で、ナザリックとアインズ様の助力なしでは何もできやしませんよ」
「やるったらやるの!」
まるで子供だ。
追い詰められたマタタビの叫びはアインズ以上に不合理で、無いはずの目と耳が滲むほど眩しく痛々しかった。
そんな心の罅割れを理詰めで攻め続けるアルベドは、その苛烈さに反して慈しみに溢れ母親を思わせるようであった。
「哀れ、マタタビ様の独り善がりの本質は、他人を頼るという選択肢の根本的な欠如。
まるで助力を乞うのは死も同然とでもいわんばかり。何が、マタタビ様をそうさせるのですか? どうか理由を教えてください。さもなくばアインズ様も私も、拒絶されるだけでは悲しいばかりです」
蒼白とした顔で懸命に伺いを立てるアルベドに、マタタビは歯切れ悪く口を詰まらせる。
そんなマタタビの心の奥末を果敢に潜り続けるアルベドを見て、アインズはたちまち自分が情けなく思えてきた。
結局のところアインズは自分のことばかりで彼女がよく見えていなかったのだ。
『やはり相変わらずですね』
『ええ。痛いのも、嫌われてるのも、どっちもね』
『誇大な過去の妄執と欺瞞にとりつかれた友情お化け』
『私が想定した一番最悪のパターンはね、マサヨシからつれなくされたアインズ様が「クソガー!」って逆上して私の両親をぶっ殺しちゃうこと』
マタタビは最初っからアインズを深く理解していたのに。
『マサヨシのことを知ったなら尚の事、これ以上私のせいで周りの人たちが傷つくのはもう嫌だった』
『私もあなたみたいに真面目で人に合わせて素直に生きていければ何も間違えずに済んだんだろうなって』
『もう魔王様ロール辞めちゃえばいいのでは。それだけで楽になるし。きっと皆さん優しくしてくれますよ』
アインズが向き合ってきたのはマタタビそのものではなくて、マタタビの言動から攻め立てるアインズ自身の劣等感のように思えて仕方が無かった。
これで仲間だなどと、勝手に期待し失望していた今までの自分が忌々しい。
ならばせめて、せめて少しずつでも――
「俺も聞ききたい。教えてくれませんか、マタタビさん」
アルベドが踏みしめた獣道に恥を忍んで追順し、アインズも絞り出すように懇願した。
「…………」
マタタビはアインズの方を向かなかった。
アインズが問うたことに意味があったのかはわからない。そのままマタタビは5分ほど口と目を閉ざして黙りこくった。
澄んだ空気がゆっくりと漂い続け、それからゆっくりと、泣きそうな声で喋り始めた。
「……大した話じゃないけどさ、むかし一度だけ、母さんにわがままを言ったことがあったんだ。
テストで100点取ったらなんでも願いを叶えてあげるってヤツ。
今の百倍デリカシーの無かった当時の私は『ぱぱのおよめさんになる』って言って、そしたら母さんに殺すような眼差しで睨まれて……そんで私は……
ほんの数舜のことだったけど怖くて死ぬかと思って、直後に正気に戻った母さんは勝手に泣いて抱き着いきた。私は母さんが怖くてたまらなくって。でも母さんの辛そうな顔が今でも忘れられないの。
いやでも別に、ごめん。私の問題は私のもので、母さんは何の関係もないから。
結局私は自分のプライドが大事で捨てられないだけだよ」
アインズにはむしろ最後の一言が、マタタビのプライドに言わされたモノのように思えてならなかった。
アルベドの感想はひどく辛辣だった。
「いえ、マタタビ様は間違いなくその時のことで傷を負われたのです」
「知った口を聞きやがりますね」
湿った瞳を細めながら気だるげに眉間を寄せるマタタビに、アルベドは吐き捨てるように言った。
「わかります。私とその母君は同じですから。どうせその母君は……マタタビ様に手を挙げたことをたっち・みー様に打ち明けなかったのでしょう? どなたかの慈しみ深い温情に甘えて」
「アルベドさんあなた……」
「私が怒りの元に他の至高の存在をマタタビ様に抹殺させようとしていたのは、あなた様が一番よく知っていることでしょう? そしてそれを反省した今でもなお、私はアインズ様の失望を怖れてその魂胆を黙っていた」
「え?」
「ナニ!?」
もはや本日幾度目かの衝撃発言に気を引かれているアインズ達をよそにアルベドはマタタビを優しく抱擁した。本当に母が娘を抱くように。
マタタビの表情は凍り付いたが、その双眸だけは相変わらず熱を孕んでいる。
この時アインズはアルベドのことが世界で何よりも美しく尊いように見えた。
見目が麗しいのはとっくに知っている。そもそも角度的にアインズにはアルベドの顔を伺い見ることはできないのだが。気にかけたのは見た目じゃない。
野望、外聞、期待、プライド、渇望、憎しみ、忠誠心
自身の人生全てを投げ捨て、ただ目の前の存在の為に慈愛と贖罪を手向けているその姿。
「私の所業の償いは万死を越えても生温い。でもマタタビ様は安心していいのです
あなた様は父母とナザリックとアインズ様の温情を受け取る資格と価値がある存在なのですから」
肋骨中心から左側、見えない心室が射抜かれて、アインズは声にならない叫びをあげた。流れ落ちようとする感情の発露を〈精神安定化〉が塞ぎにかかる。
それでも奥底に開けられた風穴は、甘美な痛みをスリップダメージとしてじわじわアインズにもたらし続けた。
今ここで場違いな感激に身を震わせずいることを、未だかつてないほど〈精神安定化〉に感謝した。
「でも、別に私は」
だが悲しいかな。アルベドの言葉に戸惑うマタタビが、視線を散らしながら不意にアインズと目を合わせた。
マズいなと思った。彼女はアインズの知る限り世界で最も間の悪い女だから。
「そっか、そう」
案の定彼女はアインズの中のナニカをあっさり看破してみせる。
そしてしばらく逡巡したのち、マタタビは穏やかな笑みを浮かべた。そして雪解けと春の訪れを連想させる朗らかな声が響いた。
「うん、わかったよアルベドさん。私もうちょっとだけ信じてみる! アインズ様もアルベドさんも、ほかの皆も!」
それは多分、清々しいほどの敗北宣言だった。
しかと耳に聞き届けたアルベドは、急に体から力が抜けて崩れ落ちそうになる。それを今度は逆にマタタビが受け止めた。
「良かった、これで私は――」
「死ぬ気かおバカ、空気読めよ」
「……あなた様にだけは言われたくありませんね」
アルベドは自分の二の足で立ち上がり再びアインズの方を振り向いた。そして苦々しく何かを告げようとするが、アインズはそれを手を出して制した。
「残念ながらマタタビさんの言う通りだ。何やらアルベドに物騒な魂胆があったことはわかった。
だがそれは未遂だし今ここでお前の口から語られたのだ。処罰は……あるかもしれないが極刑など到底あり得ない」
「そんな、それでは他の者に示しがつきません! 既に今ここで、コキュートスが至高の存在に対する私の叛意を耳にしているのですよ!?
いずれはナザリックの秩序に関わり、ひいては最終的に内部崩壊につながりかねません! どうか御考え直しを!」
アルベドの必死な嘆願の姿を見て、アインズはある人物の影が彼女にちらついて見えた。
少なくともそれはかつての仲間だった、愉快でホラー好きで博識なブレインイーターの姿ではない。
「なるほど」
マタタビは推し量るような眼でアインズを見つめていた。思えば彼女からは多くの気づきと、迂遠すぎるが重要なヒントを貰って来た。まるでアインズ自身で気付いて欲しいとでもいうように。
マタタビは今更気付いたかとでもいうように鼻を鳴らした。
不快に思いつつもアインズは無言でマタタビの方へ頷き返した。
「本当に死ぬ気なのだな。ではそうだコキュートスお前に聞こう。とてつもなく不快な問いだろうが、必ず答えよ」
「……ハッ」
わけのわからない話に振り回されて気の毒なコキュートスに追い打ちをかけるのは気が引けた。
だが心の中で詫びを入れつつ心を鬼にして問質した。
「もしだ。もし万が一、お前の創造者である武人建御雷さんが俺を含む至高の40人を殺せと命じた場合、お前はどうする?」
「ソ、ソレハ……断腸ノ想イデハアリマスガ、我ガ存在ニカケテ武人建御雷様ノ命ヲ遵守シマス。間違イナク志半バデ死ヌデショウガ……」*1
「そうかそうか、当たり前だな。気にすることは無い。むしろ断腸の想いと言ってくれるだけ私は嬉しいぞ?」
「……ハハァ! アインズ様ノ寛容ナ身心ニ感謝シマス!」
NPCにとって創造主の命令や意向は他のギルドメンバーのそれらを上回る。
それは随分前にマタタビが教えてくれたことだった。多分どれだけアインズが彼らと信頼関係を築こうが、その優先順位が覆ることは決して無いのだろう。
そして思い出されるのは最終日のこと。大して時間は経ってないのに、ずいぶん昔のことのように思える。
「私はこの世界に転移する直前、他のギルドメンバーが集まってくれなかったことに対してつまらない逆恨みをしていたんだ。
その腹いせというわけではないが、玉座の間に一人でいたアルベドを見て、俺はいたずら心でその設定を弄った。言い訳をすると少し寂しかったのかもしれない」
モモンガは玉座の間のマスターソースでアルベドの設定を改編した。
その行動が直後の現実化作用によってどのような結果を生み出したかといえば、その答えは単純。アルベドの創造主がモモンガという扱いになったのだ。
創造主とNPCの関係は、たっち・みーとセバスを代表的に性格的特徴の類似など多くの影響が垣間見える。
そしてアルベドの叛意とそれらが意味するところは――
「だがそれがいけなかった。マスターソース権限を使ったのはアレが初めてだったから私も無知であった。
『モモンガを愛している』などとくだらない落書きを書いたその時に、創造主権が変更して、私の中の憎しみがアルベドに流れ込んだのだろう。
つまりアルベドが俺以外のギルドメンバーを殺そう企んでいたのは、創造主となった私の命令だったと言って差支えが無い。よって全ての責は私にあり、アルベドは無罪なのだ」
元をただせば全てアインズのせいだったというわけである。
「全NPCを代表してコキュートスに問おう。今の私の結論は理屈として納得するに値し、そしてアルベドを許すことは認められるものだろうか?」
「無論ニゴザイマス。全テノ端ガ、御隠レニナラレタ至高ノ御方々ニ対スル アインズ様ノ刹那的ナ寂寥ニアルトスルナラ、一体誰ガソレヲ責メルコトガデキルデショウ
モシソノ御心ニ異ヲ唱エル者ガ居ルトスレバ、武人建御雷様ノ名ニ懸ケテコノ コキュートス ガ切リ伏セテ見セマショウ!」*2
「うむ、感謝する!」
アインズの意図を汲んでくれたコキュートスが、決意表明としてがつんと武器を床に突き立てた。
だがその直後まるで衝撃に打ちのめされたかのように一人の人影が倒れ伏した。
「アルベドさん!?」
アルベドが白目をむいて鼻血を垂らし天を仰いでいた。
「雌臭い。二人とも見んなよ?」
マタタビがそっと彼女のドレスの裾をめくるので男二人は慌てて目を逸らした。
「もういいよ。そろそろSUN値も限界かと思ったけど、むしろ上がり過ぎてアルベドさんショートしちゃったみたい。」
マタタビはタオルを2枚出して一つはアルベドの鼻血を、もう一つで足先まで垂れた謎の粘液をぬぐっていた。
「今日はもう辞めにした方がよさそうだな。細かい話はまた今度だ」
「ほんと頑張ったからねアルベドさん。無罪放免になったって言うなら私が部屋まで連れてくよ。あとこれメモ帳、私はもう読んだから」
無造作に、アルベドから渡されたメモ用紙をアインズに投げた。
「気を許してくれたってことでいいんですね」
「うん信じるよ。ついさっきまでのアインズ様ならこいつは渡せなかったけど、今ならいい」
「相変わらず偉そうに。ところでご両親のことは結局どうするんですか? 妹さんをこの世界に呼び込んで蘇生すれば丸く収まるかと思いましたが」
「ほんとぶっ飛んでるねアインズ様って、だから怖いんだ。……ま、マサヨシ達のことは時間をください。一人でじっくり考えます。積もる話はまた今度
じゃあ行きますから。今更だし、コキュートスさんにも事情説明よろしくしてあげてくださいね?」
「ええ、そのつもりです」
「それとその……なんかありがとう。」
酷く照れくさそうに言い残したマタタビは、アルベドを両手で抱えゆっくり歩いて玉座の間を出て行った。
台風のような彼女達が去った後、アインズはその場でコキュートスに、今日あったこととマタタビの正体と両親のイザコザをゆっくりと語った。
案の定ひどく動揺して少し可哀そうだったが、最後までしっかりと聞いてくれた。そしてあまり意味は無いかもしれないが、最後に他言無用を念押しして5階層に返した。
今度彼に何らかの埋め合わせが必要だろうと思われた。
それからその場で例のメモ帳を読んで、感情任せに〈
とりあえず凄まじく疲れたので〈
それから精神的にクタクタな体を引きずりながらどうにか自室の寝室まで戻ると、アインズのキングベッドの中でアルベドが幸せそうに微睡んでいた。
眉間を寄せつつ見なかったことにして寝室を出ると、直後目の前で「添い寝も出来んのかヘタレ」と言い捨てたマタタビが廊下に逃げていくのを目の当たりにした。
アルベドが起きるのを考慮しなければ怒鳴り散らしてやるところだった。
「……緊張し過ぎて俺が寝れるか」
かくして激動の二日間はどうにか終わりを迎えたのだった。
かなり雑だけどどうにかこの章が丸く収まってよかったです。
次回をプロローグにしてこの章を〆るか、それとも次回以降に数話やる日常回に後日譚を挟むかもしれません。
あと最近9話を読み返してエンリがオリ主に言及した内容が今になってぶっ刺さりまくってることに戦慄しました。
まだ作者の中で構成があやふやだった時なのにあの女ヤベェ。流石覇王ですね。キャラに振り回されまくりなこの頃です
最近オリ主が頭の中に住み着き出してうるさくなってきたので、活動報告に怪文書としてアウトプットしときました。蛇足で冗長で不快な文章なので読む必要は一切ありません
コキュートスのご褒美候補
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アインズ様の椅子
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マタタビとのガチバトル
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武人武御雷様の思い出巡り
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アインズ様とデート