ナザリック最後の侵入者   作:三次たま

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 毎度誤字報告してくださる方、どうもありがとうございます

 今回は言い訳と言う名の説明回です。内容がちょっと重そうなので前後編にわけます。
 とある原作キャラの性格をかなり残念な方向に捏造しました。
 糞だなと思ったら迷わず1or0評価へGO!



言い訳と言う名のエッセイ

◆◇◆

 

 私とデミウルゴスさんとルプスレギナさんにエントマさん。4人同時で転移スキルで仮拠点の御屋敷に戻ると、まず案の定3人からの訝しむ視線がグサグサと突き刺さります。

 

「なんすかアルデバラン・シータって。新妹が出来たなんて聞いてないっす」

「そもそもぉ、あんたが前に出てくる予定も無かったじゃないのぉ。 あのへんな鎧のこともしってるんでしょぉ?」

「……これには訳がありまして」

「私が聞きましょう。エントマとルプスレギナは下がってなさい」

 

 デミウルゴスさんが険しい表情でそう言うと、煮え切らない気分を残しながらも二人は下がって行きました。

 座るように促された私はソファーに腰かけて、デミウルゴスさんも向かい側に座りました。その空気はさながら教師と職員室に呼ばれた問題児でした。

 

「口にするのも馬鹿々々しいが、君が鎧のことを忘れたと言ったのが嘘だったのは始めからわかっていたよ」

 

「バレバレでしたか」

 

 今更ながら筋の通らない嘘をついてしまったものだ。

 シャルティアさんやアウラさんとの交戦記憶は残ってるのに、ツアーだけピンポイントで忘れるのは明らかにおかしい。

 もっと言うなら、それが今まで誰からも言及されなかった事態はさらに不自然だった。

 

「アインズ様が君の明らかな嘘を追求しなかったなら、我々にもそこに手出しは出来ないんだよ。

 いい加減に認めたまえ、アインズ様はキミに甘いんだ」

 

 おっしゃる通りだ。私はどうしようもなくアインズ様から厚意を受けている。

 私がそれに甘えてしまえば、案の定こうなってしまうのだからいっそ嫌われてた方が楽なのに。 

 だがもはやその厚意を認めないということは、目の前の自身の失敗を見逃すのと等しいので逃げ場はない。

 

「……ずっと、わかっておりました。そのせいで私はデミウルゴスさんを殺しかけてしまったんだからね」

 

 そうだ。悪いのは全部私だ。先は運よく防げただけ。

 私がちゃんとツアーのことを周知してれば、万が一ということもまず無かった。だから全部が全部私のせいなのである。

 

「勝手に自分のせいにする前に、まずは先ほどの状況に至るまでの経緯を話してくれないかい? 責任問題はそれからだ」

 

「ああそうでしたね。まず謝らなきゃいけないのが、あの鎧を王都に招いてしまったのは私だと言うことです」

 

 デミウルゴスさん頭を抱えます。本当にごめんなさいだ。

 

「厳密に言えば、私がゲヘナ作戦に誘われる前に発動していた影分身ですね。

 その分身の私が、本来は中立に位置していたはずの白金の竜王(プラチナムドラゴンロード)に接触したとこころ、不用意に刺激してこの地に呼び寄せてしまったのですよ」

 

 自分で言ってはアレですけど、これではデミウルゴスさんやアクターさんには止めようもありません。

 やっぱり九分九厘の責任は私なのでした。

 むしろ私のウソを見抜きつつ、鎧の奴に備えて対応経験があるはずの私を遊軍に設置していたデミウルゴスさんはMVPと言えるでしょう。

 ……いやそれ無くても今回の仕事では十二分にMVPだったけどさ。

 

「……あらすじは結構だ。私が聞きたいのはそこの更なる詳しい事情だよ。

 そもそもキミがあの鎧のことを秘密にしたことも含めて、どういったやり取りがあったのかをつぶさに聞かせてくれたまえ」

 

 あぁやっぱり怒っていらっしゃる。そりゃそうだよね。最悪デミウルゴスさんやアインズ様に危害が及ぶこともありえたんだし。

 

 でもま、私も悪いと自覚しつつ全て織り込んでの行動であり秘密だった。

 もはやツアーが表舞台に出てしまった以上、秘密も行動も全て無駄になってしまったけれど。

 だから、今の彼に対する最も誠実な態度は素直に叱られてることじゃない。やらかしたなりに責任もって、自分の意志を貫くことだろう。

 あまりしたくは無いのだが、開き直りと言う奴だ。

 

「失望してくれて大変結構です。あなたはただ、本人の意思を汲み切らず勝手に期待して勝手に失望しただけ

 あなたたち奴隷と一緒にされちゃあ困りますし、奴隷の奴隷にだってなってやるほど親切でもない。どっかの誰かさん(・・・・・・・・)と違ってね」

 

「……ではあなたは状況次第では、ナザリックやアインズ様に対して反旗を翻すことがあるということですか?」

 

「場合によってはそうですね。生憎と、恩を仇で返すのは昔から得意ですし

 まぁその話は置いときましょう。ともかく私は私の価値観と考えで嘘をついた。それを知りたいと言うのなら、精々覚悟しておくことです

 これはお前たち(・・・・)の悲劇でもあるのですから」

 

「いいでしょう。どうぞ話してください」

 

「ややこしい事情なので長い話になりますよ。

 手始めに私の生い立ちと、私の父がたっちー・みーであることから話さなければいけません」

 

「は?」

 

 わかる。わかるよその反応。

 私の生い立ちから話さなければいけない理由もそうだけど、どうしてアレから私が生まれたのか私自身でも不思議なくらいなのですから。

 

 

※以下回想

 

 自分語りは好きじゃない。私は底の浅くて薄っぺらいただの親不孝でしかなく、そんな奴の話を聞いても面白くもなんともあるまい。

 それでも話さなくてはいけないなら腹をくくるしかありません。でははじめましょう

 

 佐々木(ささき)(さくら)は父正義(まさよし)と母燈子(とうこ)の間に生まれた一人娘。

 父は公安所属のエリート警察で母はどこぞの財閥の幹部の一族。社畜と言う名の奴隷制度が復興し大気や海洋はことごとく汚染されてディストピア極まった時代において、極めて恵まれた一握りの富裕層として私は生まれた。ところが非常に悲しいことに、父と母は娘には恵まれなかった。

 

 小学校の入学前から両親にも不安はあったでしょう。

 幼少期から急カーブを描いて螺旋くれた性根に育ってしまった奴が、同年代の少年少女と共に箱詰めされればどうなるか。

 案の定、私は金持ち私立学校の閉鎖的な雰囲気に耐えかねて盛大にやらかした。ある時は小学生のガキ臭い恋人ごっこを嘲笑して怒った男子と殴り合った。女子グループから靴隠しなどの陰気ないじめを受けた時は、仕返しにそいつら全員の靴もごみに捨てた。教師にチクられた時には学長の電子端末を盗み見て横領の弱み握って封殺した。などなど他にも色んな黒歴史があり、結果問題児中の問題児となったわけ。

 

 ん? どうしてそんな風に育っちゃったのかって? さてどうしてなんででょうね。

 責任転嫁するつもりなんて毛頭ないけど、ひょっとしたら父と母にも多少なりの落ち度はあったのかもしれません。

 

 まず第一に、父は警察仕事が忙しのであまり家族と接する時間を作れません。

 くわえて父は一級フラグ建築士並みにモテモテで、同僚や上司や後輩や幼馴染や実母や義母や姉や義妹や果てや捜査中の犯罪者など多くの女性から色目を使われておりました。

 父自身に自覚は無く極めて母に一途なのですが、それでも母は不安でしょう。父が留守の家にて母と他の女性が昼ドラよろしいキャッツファイトを繰り広げいたのを、私は物心つく前から眺めておりました。私に対し「ウチの子にならない?」とまで言ってきた女性もいましたね。

 神経過敏をこじらせた母が、童心に「ぱぱのおよめさんになるぅ~」などとほざいた私に殺意の眼差しを向けてきたことは今でもトラウマです。あとで泣いて抱き着き謝ってきたのも含めて。

 

 私の性根が歪んだ原因が家庭にあるなら、おおよそその辺りではないでしょうか。確かなことは言えませんし、自分自身の性格の責任を環境に求めるのは私の主義ではありませんが。

 ちなみに問題児扱いを知った母が父に個人指導のVR教室への転校を勧めたこともありましたが、「ここで逃げても将来同じことで苦労することになる」と身内に厳しい父は差し止めたそうです。結果その通りでしたしいかにも父らしいと思います。

 

 閑話休題。問題児の烙印を押されて孤立し母親の心労を側で労う私でしたが、そんな中で一つ楽しみがありました。

 父が仕事の時間の合間を縫って、剣道のオンラインVRゲームにて剣術指南をしてくれたことです。

 正直剣道自体はあまり好きじゃなかったのですが、父と真正面に向き合える機会がこれくらいだったので当時はかなり真剣に取り組みました。おかげで父に「神童」とお世辞を言われるくらいには習得できたのです。

 ところがそれで調子に乗って、リアル剣道小学生の部大会に出場してしまったのが全ての間違いでした。

 

 運よくそこそこ勝ち進めたのですが、翌日のブロックであたる相手さんが小学生とは思えないくらいデカかったので私は盛大にビビりました。ところが私の心境に反して両親の期待はすさまじく、どうにかして勝てないものかと足りない頭を悩ませます。

 悩みに悩んだ挙句、ネットの怪しいサイトからドーピング薬を購入。そして本番直前で使用したところ拒絶反応でぶっ倒れて救急搬送とつながります。原因が判明した結果ニュースでも取り上げられるくらいのちょっとしたニュースになったのですが、何故かメディアが叩くのは私ではなく両親でした。両親くらいは私のことを盛大に叱ってくれると思いきや、むしろ泣いて謝られたのです。

 その時の父の顔には誰かにぶたれた跡がありました。母がやったのに間違いありません。

 

 当時の私は二人の喧嘩の原因である自分がいなくなれば仲直りするもんだと短慮して、小学生の身で家出を決行。

 例の「ウチの子にならない?」オバサンの元に転がり込んで二人が仲直りするのを待ちましたが、後日両親が離婚したのを知りました。

 嬉々として父に再婚を申し込もうとはしゃいだオバサンを殴りつけ飛び出し、私はそこから単身で自立生活を始めました。

 その頃からですね、母親の旧姓である夏梅(なつうめ)を名乗り始めたのは。

 

 時代柄、身寄りの無い小学孤児は珍しくありません。

 それにくわえ一般校での中卒に匹敵する金持ち小学校の中退学歴のおかげで、私はどうにか働き口を得られました。

 やがて生活が安定し出したころ、久しぶりに剣を振ってみたいなと思って購入したVRゲームが【ユグドラシル】。

 よりにもよって初参加したクラン:ナインズ・オウン・ゴールのリーダーこそ、父親である たっち・みー だったのです。

 

 一応師弟だったこともあり、互いの剣筋で身バレするのは間もなくでした。

 どうやらクランメンバーづてに聞いたところ、私が自活するようになって間もなく元の奥さん=私の母と再婚できた模様。なんとか一時の喧嘩で済んだようです。

 それで たっち・みー の方からお家に帰ってきて欲しいと催促があったのですが、私が戻って元の木阿弥になったら耐えられません。最初は「まともな妹か弟でも育ててやがれ」と言っては聞かせ追い返したのですが、それでも執拗に近づいてくるので本格的に拒絶しました。(ちなみにその後妹は出来たそうです)

 

 すると反抗期と言う奴ですね。拒絶しまくってるうちに本気でウザく思えてきて、本気で嫌がらせを始めたら最終的にクラン崩壊レベルの炎上が勃発。

 まったくクランの皆様には、親子のゴタゴタに巻き込んでしまい誠に申し訳ありませんでした。orz

 

 

 

 

「というのが話の入り口になるのですが……えっと、デミウルゴスさん聞いてるの?」

 

 例のごとくリアル用語などは差し替えてお話ししたところ、デミウルゴスさん上の空で「ほへぇ~」となった。

 なんか顔白くなってるけど大丈夫かな。

 

「……正妻筆頭どころか後継者……いやしかしこんな奴にナザリックを……」

 

 こんな奴発言にはちょっとグサッとくるが、まぁ甘んじて受け止めるほかにない。

 話したくなかった理由の一つは、こうなることが目に見えてたいたからだ。

 

「悪魔がSAN値でやられてるんじゃありませんって。ほらほらキャラ崩壊したらウルベルト様が泣きますよ?」

 

「っ! これは失礼しました。ナザリックの今後についての話はまた後日として、話の続きをお願いします」

 

 創造主への言及があまりにも効き目あったようです。

 キリッという効果音が幻聴するくらい一瞬で立ち直りました。NPCとはなんとも面白い生き物ですね。

 

「要約すると私とたっち・みー……様にややこしい親子関係があったというわけですが――」

 

「端からまとめて話していただきたかったです」

 

 うるさい。

 

「ともかくそんな親子関係を鎧の奴、つまりツアーの野郎が知ってやがってですね。それが事の発端なわけです」

 

 

 




我ながら親子設定無駄に引きずり過ぎました
いっそ要らないのではとか思わなくも無かったけどまぁいいや

オリ主の桜と言うは名前はサークルクラッシャーをもじったものです


アンケートというのが出来たらしいと今更知ったので使ってみました。今後の展望に関係するかも……

オリ主の横に居てしっくりくる100Lv守護者

  • アルベド
  • アウラ
  • シャルティア
  • パンドラズ・アクター
  • デミウルゴス

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