ナザリック最後の侵入者   作:三次たま

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 話の都合でオリ主の察し力がエスパー並みになってしまってやや強引な展開です。




嫌な予感

 昔から、嫌な予感ほどよく当たるほうだった。

 これの逆のパターンで、嫌な予感が尽く外れまくり取り越し苦労連発なのが愛すべき支配者、我らがアインズ様だ。

 あれはあれで大変そうだが、やっぱり嫌な予感は外れてくれるに越したことはない。うらやましい限りである。

 

 

 本題に戻りましょう。それで今回の嫌な予感というのが、カジットのことである。

 写真で一目見た時からただ事ならぬ感じを受けたのだけれど、なにせそれはただの直観であり妄想に過ぎないから、誰かに具体的に説明するにはまだ情報が足りない。

強いて言語化するならば、ただなんとなく、何者かのすさまじい邪悪と冒涜の思惑を感じた、となってしまう。

 だからまず裏取りが必要なのだが幸か不幸かアテはあった。

 

「ごきげんようスカッシュレモン。久々の娑婆の空気はいかがですか?」

「うっ、ここは」

 

 木造建築、六畳間ほどの素朴な一室。薄汚れた白塗りの壁につけられた小さな窓辺。差し込む陽光は長らく地下幽閉されていた彼にはやはり眩いようで、目覚めと共にうめくようにシーツを被る。

 やがて瞼越しからゆっくりと目を慣らし起き上がって、ベッドの傍に腰掛ける私の方へと視線を合わせた。

 

「ここはお前らが襲って滅ぼした旧村の空き家の一つです。喜べよ、私がわざわざおまえを釈放してやったんですから。

 怖い怖いニューロニストはここに居ない。尿道結石ごっこも聖歌隊ともこれでおさらばですよ?」

「…………」

 

 一方的に喋りかけるこちらに対し、眉間にしわを寄せ硬い表情で押し黙るスカッシュレモンさん。まぁ無理もないでしょう。

 

 陽光聖典にかけられている呪術ペナルティを私が看破してしまったがばかりに、カルネ村での騒動以来ずっとこいつは6階層の捕虜施設に収容されていたのだ。

 それで時々、ニューロニストの実験台にされたり幾ばくかの尋問によって呪殺したりと散々だったご様子で。

 こいつらのやったことを思えば同情には値しないけれど、解放されたことに少しは気を緩めてくれてもらわないとこちらが困る。

 わざわざアインズ様に釈放手続きを取り、希少アイテムである超位魔法版の魔封じの水晶で〈星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)〉を行使し呪術ペナルティまで解いてやったのだから。

 

 あぁしかし最近実に馴染み深いような、こちらを見定める彼の懐疑な眼差し。

 どうしたもんか。アウラさんならもっと気楽に対話が見込めるだろうがそうはいかない。

 今のこいつをナザリックに引き渡すと〈傾城傾国〉の件がバレて、スレイン法国がアインズ様に潰されかねないから。

 そう考えると私って案外、彼らの祖国の救世主になるのかも。仇を恩で返す慈愛っぷりが我ながら半端ない。

 

 現実逃避的な思考を巡らせていると、向こうから会話の口火を切り始めた。

 

「聞きたいこと、知りたいことは山ほどある。だがまず一つだけ確認しておきたい。

 お前はあの恐るべき魔法詠唱者、アインズ・ウール・ゴウンの何だ?」

 

 それは非常に深い問いだ。

 敵か、味方か、あるいはどちらでもないのか、どちらでもあるのか。

 質題者にとっては我が身の運命に直結するから言わずもがな真剣で、回答者にとっても己がアイデンティティの定義に他ならない。

 これまでの不安定でふわふわとした立場が許されていたのは、私の甘さとアインズ様の優しさのせいだ。

 けれどここから先に踏み出すならばそうはいかない。

 

「アインズ・ウール・ゴウンは恩人だ。基本的には味方だけれど、アイツと相反する思惑が無いわけじゃない。

 この尋問自体アインズ様も実は知らないからね。これで満足です?」

 

 我ながら凄まじい胡散臭さだ。

 せっかくの初対面なのだから、馬鹿正直に白状せずに堂々と敵対声明でもあげて信用させる方が賢いのに。

 

「お前についてはひとまず、いい。そもそもこちらは多くを求められない立場だ」

「なら早速質問に~」

「……待て」

「多くを求められない立場じゃあ無かったの?」

「お前については、だ。駆け引きというものをまるで理解していないようだな」

 

 すると呆れたように首を振り、多少何かをためらうようにしながらも答えてくれる。

 

「詳しいことは知らないが、私の処遇がこれほどまでに変わったということは相応の事情があったのだろうと予測がつく

 私との尋問に対しそれだけの価値を見出したのなら、それに答えた私には、或いは答えなかった場合には一体何がもたらされる?」

「考えてなかったですね」

「……おい」

 

 だってどうでもいいんだもん。

「生殺与奪を握られてるのは確かなようだ。しかし国家機密を暴露し祖国を危険に晒した挙句、用済みだからと捨てられるのは割に合わない。

 ならば沈黙を貫き殺されたほうがマシだ」

「つまり国家機密でも何でも喋るから殺さないでくださいと?」

「……解釈は自由だ」

 プライド張るのも忘れないとは面白い人。

 

「いいでしょう。答えてくれた暁には衣食住不自由の無い極楽監禁生活か、条件付きで祖国に返還してやるのもやぶさかではありません

 そして信じるか信じないかはあなた次第です」

「好きにしろ」

 

 どのみち不信の先に彼の命は無い。

 けれど祖国のことを慮るなら、不信を貫き情報を死守するほうが大事だと思いますがね。

「おまえ存外俗人だねぇ」

「真偽はともかくそこまで破格の待遇を並べるのだから、一体私から何を聞き出そうというのだ。国宝の隠し場所なら――」

 

 

「じゃあ聞くけど、カジット、もしくはクレマンティーヌの名前に聞き覚えがあったりしない?」

「そんなことで……よかったのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 カジットとクレマンティーヌ、そして目の前のレモン。

 三者を結び付けた発想の根拠は、それほど複雑なものでもない。

 

 以前カルネ村でニアミスしたレモンは〈地味子の眼鏡〉の効力により『スレイン法国陽光聖典』の所属であると看破済みだ。

 アインズ様から渡された資料によると、クレマンティーヌとカジットは所持していたマジックアイテムによってスレイン法国の出自であると既に冒険者組合が特定していた。

 そして特にクレマンティーヌに関しては、私が精神支配中に遭遇した『スレイン法国漆黒聖典』に兄妹のようによく似た顔の奴がいたから、加えて実力からしても中枢に近い人物であると予想した。

 最悪クレマンティーヌのことだけでも聞き出せれば良かったのだが、運がよくカジットとも面識があったらしいので助かった。

 

 曰く、クレマンティーヌ。

 優秀な兄に恵まれ本人も英雄の領域へとたどり着いた実力者で在りながら、その力を人類のために行使することをせず猟奇的な快楽殺人にばかりかまける人格破綻者。

 私がぶっ潰した漆黒聖典の第九次席だったらしいのだが、つい先日祖国を裏切り国宝である〈叡者の学環〉を奪い逃走していたらしい。別働隊である風花聖典が追跡中だったのだとか。

 

「まさかズーラ―ノーンに身を隠していたとはな……」

「しかし優秀な兄ねぇ。個人的には色々と思うところが無いではありませんが、まあいいでしょう」

 

 快楽殺人者、〈叡者の学環〉に亡命者。

 アインズ様の報告書と符合する箇所がいくつかあるし、彼自身〈読心感知〉でも嘘の気配はしないから情報の正確性は立証できたといってよいだろう。

 

「ちなみにズーラーノーンについてはお前の立場なら何か知ってるんじゃないの?

 死霊系魔法詠唱者が集った国際的カルト集団っていう私の認識が正しければ、当然スレイン法国とも対立関係にあるんじゃないかな」

「確かに思想上対立こそしているものの、宗教国家として完成している我が国とでは実際のところ相容れないのが現実だ。

 生憎、私や最高神官たちの認識もおそらくお前のソレと大差はない。王国や帝国のほうがまだ事情に通じているくらいだろう」

「そりゃ残念」

 

 とはいえ問題はない。期待してない訳ではなかったが、今一番欲しい情報(・・・・・・・・)は別にある。

 そもそも何のために希少アイテムである超位魔封じの水晶を使い捨てたのかといえば全てはあいつのためなのだ。

 

「じゃ次。これが本命なんだけど、カジットについて教えて。生い立ちや、闇落ちした経緯何かが分かれば出来るだけ詳しく」

 

 レモンにしてみればわけがわからないだろう。とるに足らないような奴の情報を、どうしてそこまで聞きたがるのかと。

 心を読み取るまでもなく顔に描かれる疑念の様相。しかしそれらを飲み込んで、「わかった」と、二つ返事で語り始める

 

 

「カジット・バダンテール、洗礼名を含めてカジット・デイル・バダンテール。辺境の村落出身で、かつては神官を目指していた実に信心深い男だった。

 信仰系魔法における深い造形を持ち、以前陽光聖典に勧誘したこともあったのだが断られた経緯があって、以降短い期間だが付き合いがあったのだ

 なんでも彼は、生命力を喪失しない新たな復活魔法を生み出すことが長年の夢であったらしい」

「復活魔法の研究? それって……」

 

 たしかこの世界で一般的に知られている主な復活魔法は第5位階の〈死者復活(レイス・デッド)〉だけだったはずだ。

 ユグドラシル基準で言えば低位な部類に入るこの魔法は、復活の際に大量の経験値を喪失する。精々1~2レベルしかない一般人では復活させることが出来ないだろう。

 

 前々より感じていた嫌な予感。あいまいだった予想図が徐々に輪郭帯びていく。

 

「確か母親だったか。幼少期に亡くして以来、故人を復活させるために研究を続けている。

 しかし本人の魔法の才の問題もあって行き詰まっていたらしいのだが、ある日突然その方針が大きく変わることとなった

 とあるアイテムを譲り受けたと言って、当時自慢げに見せてくれたのだが――」

「まさか死の宝珠?」

 

「なぜそれを……いやいい。

 ともかくあの男はそのアイテムで自らをアンデッド化させ、研究に必要な悠久の時間を手に入れると言っていた。

 馬鹿なことだと私や周囲が言い聞かせたが聞く耳を持たず、奴は洗礼名であるデイルを捨ててスレイン法国から姿を消してしまった。

 以上、これが私が知りうるカジット・バダンテールとクレマンティーヌの全てだ」

 

「ねぇ、その死の宝珠をカジットに渡したヤツってわかる?」

 

「知らないが、奴がズーラ―ノーンに加入したという話が本当ならば大方の予想はつく。

 自らをアンデッド化させる魔法と言えば第7位階の〈死の螺旋〉。その昔、ズーラ―ノーンの盟主がこれを行使して、都市を一つ滅ぼした逸話は非常に有名だ

 つまりはそういうことだろう」

 

「……よぉーくわかった、ありがとう。本当に助かりました」

「何が役に立ったのかは知らんが、約束は本当なのだろうな?」

「ただし条件付きでね。

 でも大丈夫。あなたにとっても悪い話では、というか聞いたら絶対引き受けてくれるだろうけど」

 

 

 

 

 

「実はさぁ、おまえをフルボッコしたアインズ様のことはよぉーく覚えてると思うんだけど、先日あいつの部下がカルネ村近辺に潜伏していた漆黒聖典ってーのと衝突して危うく死にかけたんですよ。

 それで激おこしたアインズ様が返り討ちにして滅ぼしたんですが、不幸中の幸い、結局どこの国の回し者なのかあの人知らないままなんです。

 ここでクエスチョン。バレたなら、スレイン法国はどうなるでしょーねぇ?」

 

「何を言っている! あんな奴に勝てるわけがない! 滅ぼされるにきまっているだろう!?」

 

 やはり相当トラウマなようで、話を聞いたレモン面はすっかり青ざめて絶望色に染まっていった。

 変に疑われると厄介だったので話が早くて非常に助かる。

 

「そうそう。ちなみに私も個人的な事情があって奴にスレイン法国が滅ぼされると大変気分が悪いんです。

 だからお前にはこっそり祖国に帰ってもらい、国家首脳と口裏合わせて知らんぷりしてもらうと凄く助かる。もちろん私も援助もするからさ

 それで答えは?」

 

「無論是非もない。最高神官たちの説得は難航するだろうが、絶対にあの男を法国にぶつけるわけにはいかない。

 尽くせる限りの力を出すが、おまえは良いのか?」

 

「はい?」

 

「お前がアインズ・ウール・ゴウンの味方なのだとしたら、これは大きな裏切りであるはずだ。

 あのおぞましい拷問部屋から解放してくれたことと、裏切りかけた祖国へ挽回のチャンスを与えてくれたことは非常に感謝している。しかし私が祖国に戻ってお前を裏切らないとは限らないだろう。

 おまえにとってこの共謀はあまりに綱渡りが過ぎるのではないか?」

 

「優しいね。でも最初に言ったでしょう?

 基本的には味方だけれど、アイツと相反する思惑が無いわけじゃないって。

 万が一バレたら土下座するし、許してもらえなくてもあの人に殺されるならそれはそれで良い(・・・・・)

 

 味方でも譲れない一線はある。

 よりにもよって、私に対する好意なんかのためで国家を滅ぼされるなんて真っ平ごめんだ。

 かといって私が滅ぼさないよう頼みこんだとしても、結局彼の殺意を『私への好意』で押さえつけてしまうなら本質的には同じこと。

 

 だから人知れず証拠隠滅してしまうか、あるいは裏切った私のことを彼が見限ってくれたならそれでも良い。

 それで私や仲間に対する執着が薄れてくれて、アルベドさんに少しでも日の目が当たれば儲けもんだ。

 どうせ、彼に拾われてしまった2度目の生なのだから。

 

「それとお前の裏切りに関してだけど、これでも人を見る目はあるからね。

 残念ながらこれだけの恩義を吹っ掛けられて裏切ってしまう根性はお前にはなさそうだし、万一でも裏切らないように監視もつけるつもりだよ」

 

「……覚悟はよくわかりました。いいでしょう、貴方の企てに乗らせていただきます」

 

 アイテムボックスに手を突っ込み取り出したのは一冊の皮造りの重厚な魔導書だ。

 ページを開き、ユグドラシル金貨を零して落とすと見る見るうちに吸い込まれていく。

 やがて一枚のページが千切れ舞い上がったかと思うと、切れ端に描かれた魔物が飛び出すように召喚される。

 

「傭兵モンスター、レベル80のハンゾウくん。

 基本的にはお前の言うことを聞くようにしておくけど、裏切ったりナザリックの連中に見つかりそうになったらお前共々心中してもらいます。

 そのほか情報工作については追々考えましょう

 それでは改めまして自己紹介、私の名前はマタタビです。これからどうぞよろしくね?」

 

「私の名前はニグン。ニグン・グリット……いえ、ニグン・ルーインです」

 

 

 

 

 実は少し前、くだんの騒動が落ち着いた少しあとで殺人実験をしたことがあった。

 

 カルネ村でアインズ様が殺戮じみた振る舞いをしていたのは今の私の記憶には新しい。

 しかしデスナイトに襲われる甲冑の皆さんの悲鳴とかダイレクトな感情反応を感知しても、人間だった時ではありえないくらい私の心境は無感情だった。

 まるで蟻とか虫がつぶれてるだけのような感覚だ。

 

 それなら私自身が誰かを殺すことになる場合はどうなのだろうと。

 まぁ厳密には精神支配状態だった時に漆黒聖典の人間たちを結構むごく殺害してしまったのだけれど、あれは状況が状況だから除外する。

 

 今日みたいに陽光聖典の捕虜から適当に一人かいつまんでから、適当な刃物でぐさぐさしてみた。焼いたり削ったり煮たり切ったりとかもしてみた。

 結果はやはり何もない。

 罪悪感に押しつぶされて死にたくなったりもしないし、生理的嫌悪感も皆無。かといって過剰なアドレナリンが出て高揚感に浸るわけでも無い。ちょっと汚いな、ってくらいだった。

 

 小さいころ好きだったものが今じゃなんとも思わないなんてのは誰しも経験があるだろうけど、そんな範疇は超えている。

 異形化して精神が変質したことは火を見るよりも明らかで、その変化自体に恐怖を覚えないわけではない。けれどもしこれからもナザリックの連中と付き合い続けていくことを覚悟するなら、この変化を受け入れあまつさえ「都合がいい」と思えるくらいじゃなきゃダメだ。

 こういう擦り合わせはらしくないとわかってるけど、それほど難しいことでもないのだし。

 

 

 と、ずっとそんな風に割り切るつもりだった。ところがそこへ来て今回のニグンである。

 もともとニグンは殺すほうが都合がよいとは分かっていたし、スレイン法国への情報工作なら私がやれば良かったのだ。ところが結果はどうだろう。

 先ほど私は、高価な傭兵NPCやその他諸々を握らせて、転移魔法でスレイン法国に彼を送り届けてやってしまった。

 どうしてそこまでの厚遇を彼に与えてしまったのか。

 理由は私が最低に甘ちゃんだからだ。

 

 先ほどのやり取りの中で懐疑にかられながらも正体不明の私に対し慎重に言葉を選ぶニグン。

 しかしその心の奥底では、解放してくれたことへの感謝とさらなる救済への切望がずーっと渦巻いていた。

 ありがとう、そして頼むからどうか助けてくれと。

 

「困っている人がいたら……なんてばっかみたい、私」

 

 偽善ここに極まれり。まったくもって反吐が出る。

 

「まぁいいまぁいいそんなことより問題はアイツ!」

 

 ごちゃごちゃして収集つかなくなりそうな思考を放棄し、また別の厄介ごとについて考える。

 どのみちニグンがいなくても、現在の状況は非常に頭が痛いのに変わりはない。

 

 カジットにまつわるとある突飛な疑惑は、否定されるどころか着々と確信へと近づいてしまっている。

 それでも未だに妄想の域を出ないのだが、如何せん、未だ直観のほうは煩わしく警鐘を鳴らし続けていた。

 

「なんたって似すぎにも程があるんですよねぇ。擬人化アインズ様かよアイツ」

 

 カジットの写真を見て思った感想が正にそれだったのだ。

 単に怪しいローブの魔法詠唱者ってだけだったら気にも留めなかったのだが、あの目だ。

 

 行き場をなくした愛情と異常な執着心と寂寥をぐつぐつに煮込んだものを、そのまま眼孔に流し込んだかのような異様な眼色。

 片手に握る切り札であるらしい玉、〈死の宝珠〉を持つ死霊系魔法詠唱者。

 それでモモンガ玉とアインズ様を連想した私はバカでいい。

 

 念のため、気になって素性を洗ってみれば、アンデッド化してまで母親を復活させたがるという、どこぞの誰かとよく似たマジキチだと発覚する。

 しかも〈死の宝珠〉を渡し〈死の螺旋〉まで手引する何者かの存在がいたようだ。

 

 まるでモモンガさんみたいな人を再現しようとしてるみたいだなぁって、思った私はバカでいい。

 もしそんな悪趣味なことする奴がいるとしたら、きっとアイツくらいだろうなぁって、思った私はバカでいい。

 

 私はおもむろにアイテムボックスから連絡用のスクロールを取り出しメッセージを送った。

 

「もしもしアルベドさん。実はですね――」

 

 昔から、嫌な予感ほどよく当たるほうだった。

 これの逆のパターンで、嫌な予感が尽く外れまくり取り越し苦労連発なのが愛すべき支配者、我らがアインズ様だ。

 あれはあれで大変そうだが、やっぱり嫌な予感は外れてくれるに越したことはない。うらやましい限りである。

 

 もっとも彼には身内の悪意なんて気付きようがないだろうけど。 

 

 

 

 




 嫌な予感の正体は、4話目くらいから微妙に存在をほのめかしていたあの人です。原作で登場される前に完結させたいけどたぶん無理でしょう

 しかしまさかニグンを再登場させるとは自分でも思わなかった。死亡シーンカットしてキープしといて本当に良かった。


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