思った以上に文章がかかり、これで後半もこれと同じくらいになると思います
10月14日のを見た人は★印から読んでください
焦って未完で投稿した挙句継ぎはぎして読みづらくしたこと、深くお詫び申し上げます
わずか1週間という異例の速さでアダマンタイト級にまで上り詰めた冒険者チーム『漆黒』だが、早急すぎる成果は何かと軋轢を生みがちだ。
今は亡きミスリル級チーム『クラルグラ』との衝突が最たるもので、都市の英雄たるモモンを称賛する声が多くあれど、妬み嫉み訝しむ者たちも一定数存在する。
だからここ数日モモンとナーベは二手に分かれて冒険者組合内のボードから依頼書を片っ端から千切ってはこなしていくこととなった。圧倒的能力差を宣伝していくことで手っ取り早く不満の声を黙らせるためだ。
とはいえやり過ぎれば下級冒険者の稼ぎ口が減りかえって逆効果となる。
その点を考えれば討伐金目当ての魔獣狩りは良い。基本的にやり過ぎることはないし、狩り過ぎて組合側が料金を出せそうもないなら提出しなければいいからだ。
というわけでモモン、もといアインズはいつものように漆黒の鎧で擬態しながらカッツエ平野を彷徨い歩いていた。
漂う薄霧はただの水蒸気ではなく常にアンデッド反応を放ち続けている。基本的には体に無害だが、他のアンデッドの気配を丸ごと包み込んで隠してしまうので急に不意を突かれる可能性があった。
この地では敵に囲まれることも想定し常に気を張っていなければならない。エ・ランテルの冒険者の間で「カッツェ平野を生きて帰れりゃ1人前」と言われるのはこのためだ。
とはいえ出てくるアンデッドのレベルは基本的に一桁程度。たまにエルダーリッチやスケリトルドラゴンなども出てくるが無論アインズの相手ではないし、加えて先日の一件があってからNPCやアインズが外出する際には80レベル以上のシモベを複数体同行させることにしていて、今も隠形状態のハンゾウを周囲に忍ばせている。最悪格上のプレイヤーと遭遇することとなってもどうにかなるのだ。
未踏地に足を運ぶ感覚は嫌いではなかったが、如何せん緊張感がない。
退屈に任せ最近扱いなれてきた気がするグレートソードを振り回し、同族意識のわかない同属種たちを屠っていく。
始めこそ悪くない無双感だったが飽きるのに時間はかからなかった。剣を操る片手間で最近癖になりつつある一人語をつぶやいた。
「そういえばアウラが設計したあの仕掛けにはたまげたなぁ!」
先日アインズのもとに提出された偽ナザリックの建設計画書の事を思い出す。
プレイヤーなどの脅威対象が明確でない現状では、下手に防衛力を高くしても無駄な骨折りになりかねない。だからとりあえず『平均80レベルのパーティ1つを壊滅させられる程度』という要求水準に留めたのだが、予算を決めるときにそのことを失念してしまい大きく割り振り過ぎてしまった。
当然アウラも困惑したに違いない。
結局彼女はそのノルマを最低限の予算で完遂させ、余った資金は全てとある仕掛けに注ぎ込むことで対処した。
「絶対アレはマタタビさんのアイデアだろうなぁ……」
その仕掛けとは、偽ナザリックの1~4階層をすべて爆破する大規模な自爆装置である。
避難拠点として使う予定を考慮すると少々難のあるギミックだが、上手くいけば侵入してきたプレイヤーたちを一網打尽できるという、如何にもアインズ・ウール・ゴウンらしい悪辣さが気に入ったので採用することにした。
恐らく没にされることも織り込み済みで、その場合余った予算は返上する予定だったのだろう。アウラのそういう気遣いを含めて非常に好感の持てる計画だった。
マタタビはマタタビでアウラとも上手くやれてるようで何よりである。アインズからすればむしろ妬ましい立ち位置だが。
「……チッ! 剣を振りながら彼女のことを考えるのは良くないな」
そこである嫌なことを思い出し、抑制されるギリギリ程度のイライラが浮かび上がった。
というのは世界級アイテムの事件以降、アインズが習得した剣術をマタタビに見てもらう機会があったのだがそこで酷い酷評を受けたのだ。
『技術面は基本を押さえたって程度で、まだまだ体力頼りなところがあって粗削り。辛うじて及第点ですかね。
だけどロングソードの二刀は論外。アンデットだから膂力の疲労はないだろうけど、両刀長くて可動範囲被るしもう本当に色々と論外。
見た目派手だし冒険者としての宣伝効果を考えるなら悪くないですけど、私や弐式炎雷みたいな機動性重視の前衛相手じゃ格下相手でも簡単に見切られる
素直に片手外して盾を装備した方がいいですよ』
(何もそこまで言わなくてもいいじゃないか。そんなんだから温厚なギルドメンバーですら不評を買ったっていうのに)
意見そのものは正論だし、今のアインズにとって容赦なく評価してくれる相手は貴重だったが、それでも辛辣な物言いや上から目線っぷりがどうしようもなく腹立たしかった。
やはりまだマタタビとは距離を取った方がいいだろう。とはいえこのままというわけにもいかない。
マタタビのことが嫌いなのは昔から変わっていない。
だが皮肉なことに、アインズは彼女の『アインズ・ウール・ゴウンへの愛着』をかつての仲間の誰よりも信用していた。
本人はそれを絶対に認めようとはしないだろう。
しかしそれならどうして、メイドになってナザリックに居座り続けたり、世界級アイテムからシャルティアを庇ったり、何より自身を救出しようとしたアインズを非難したというのか。
無理に仲直りなんてしなくてもいい。ただアインズは、マタタビの本当の想いを知りたいのだ。
そしてもし、今でもギルドの加入に未練があるならば……
そこまで考えてアインズは思考を打ち切った。
(……いや無いな。メンバーだってもう俺だけだし、俺の事もどうせ嫌いだろうし、今更いろんな意味で面目が立たない)
なんににしても、とにかく今はマタタビの本音を知らなければならない。どうするべきかを考えるのはその後でいいのだ。
アインズは少しクールダウンしようと剣を置いた。
思えばずいぶん時間がたったような気がする。もしやと思い背後を振り返ると、アンデッドの残骸が二対の山脈のように一本道を切り開いていた。
「おっと、これは少々やり過ぎてしまったなぁ。全部を組合に持って帰るのはやめた方が無難だな。というかここはどこなんだ?」
周囲を眺めると、何もなかったはずの平地にいつの間にやら朽ちかけの廃墟やらがいくつも並んでいる。
カッツェ平野の深部には数百年前の建造物が立ち並ぶ区画があるという話を冒険者組合で思い出した。どうやら切り進んでいくうちに迷い込んでしまったらしい。
迷ったといっても転移魔法で帰還できるので遭難の心配はないが。
「こういう雰囲気、タブラさんが好きだったよな。俺はアンデッドになってしまったから怖いとは思えなくなってしまったけど、見せてあげたかったな……」
ホラー好きの仲間を思い出してわずかに切ない逡巡をするが、考えても仕方ないと切り替え真新しい光景に心躍らせた。
文明の痕跡がみられるが、一体どういう歴史背景があってここにあった集落―― 都市は無くなってしまったのだろう。ここのアンデッドにもユグドラシルにいた種族があったが、ひょっとしたら過去に転移してきたプレイヤーが関係しているかもしれない。
あれやこれやと取り留めもない想像が掻き立てられ、心地よい好奇心が胸の中に広がっていく。
案の定振り切れた喜びは沈静化されていくが、それでも感情の波が完全に途切れることはなくじわじわとした喜びが滞留する。
「これこそまさに冒険だな! あぁけどあと2.3時間後には別の依頼予定があるし、準備もしてないしなぁ!」
しかし何もしないでこのまま帰るのはあまりにも惜しい。本格的な調査は後日にまわすとしても、軽い下見くらいはしておきたい。
というわけでモモンとしての活動は一時OFF。いつもの神器級のローブを羽織りなおし、関節をウキウキと鳴らしながら散策を開始した。
★(追加分)
◇◆◇
アインズ様直々の依頼書が私の自室に配送されたのはつい昨日のこと。
封筒には90レベル以上の盗賊職、つまりナザリックでは私にしか解除できない厳重な封印がかけられていました。
むろん私は特殊技能でこじ開けて読みました。
それは私が、精神支配をくらって待機状態にあった時のことです。
エ・ランテルにてアンデッドの大群が暴走するという大事件があったのだが、その首謀者は運悪く、イライラ気味のアインズ様とナーベラルさんにバッティングしアッサリ殺されしまったそうな。
しかしその後、事件関係者の死体は冒険者組合に引き取られたものの、翌日行方不明になってしまったんだと。
うち一人はアインズ様の正体がバレた(というか舐めプでばらした)らしく、もしその死体が蘇生されて情報が抜き出されれば一大事。
アインズ様は後になって失態に気付いたが、今更部下に相談なんてしづらいし(馬鹿じゃねぇの?)、そもそもNPCには調査任務に向いてる人材が居なかった。
ここまで言えばおわかりでしょうが、結局、部下でもなく見栄を張る意味もない、加えてこういった水面下での捜索が得意である私の方にお鉢が回ってきたというわけです。
ようは尻拭いだが、このあいだ自分がやらかしたことに比べれば大したことではありません。
互いに最近ますます悪態が増えてきたものの、クラン騒動やら先日のことやら、今まで彼から受けてきた恩は計り知れない。
無論引き受けることにした……のだけど。
依頼書類には二枚の写真が同封されていた。
一枚は金髪ボブカットにスケイルアーマーの獣然とした女戦士の姿。
そして……二枚目は、怪しく濁ったオーブを握りしめ小汚くぼろいローブを羽織ったぬらりひょんのような禿げジジイの姿。
パット見どちらも見覚えのある顔立ちと姿だ。
特に二枚目。何故かジジイの方は妙に身近な雰囲気を感じる。
寂しい色をした、今を写さず過去を遡るような眼光から連想するものと言えば
(多分この写真って、アインズ様が幻術で再現した姿をアイテムで撮影したんだよね?
だとしたらコイツの目は……なら尚更、まさか、そんな?)
その時荒唐無稽な閃きが頭の中に電撃を走らせた。
それは『ほぼ』ありえない可能性だが、もしあり得たとしても事実として非常にしっくりきてしまう。
途端、本能と理性が大音量で警鐘を鳴らし始めた。これは、関わってはいけないタイプの案件だ。
下手すれば全力をもってナザリックから離れないと、さもなくば近い将来地獄を見る羽目になるかもしれない。
しかし『アインズ様を一人で残してはならない』。そんな声がどこからか聞こえる。
恐怖と反比例して、逃亡という意思は瞬く間に消失した。
それが『自分の意志』によるものなのかは怪しかったが、賛同はできる
心の底から。
何故なら彼は今も昔もどうしようもないくらい、私の恩人だったからだ。
仕方ない。
まずはジジイの身辺調査から始めよう。幸いアテはいくつかある。
「最近会っていないけど多分まだ生きてるよね? あいつら」
見ないうちに数人は死んだだろうが全滅はあるまい。
忘れた名前の代わりに間抜けたレモン面を脳裏に浮かべる。
信じない神に彼らの無事を、そして私の徒労と杞憂を祈った。
◇◆◇
約小一時間廃墟群を散策したアインズ。最初こそたかが廃墟探索なのにはしゃぎ過ぎたかと内省したが、これが思った以上に楽しかった。
朽ちていく建物の在りし日の姿を思い描き、そして今に至るまでの経緯に哀愁を味わう。
リアルに存在した廃墟マニアという人種は、廃墟の持つ独特の崩壊の美に魅了されてるのかもしれない。
いわゆるファンタジー的なものではないにしろ、なるほどこれも冒険である。
まだ若干時間があったのでもう少しだけ見てみようかなと思ったところで、水を差すように大地を削る重低音が薄霧の中で響いた。
「なんだ? あれは」
音のする方向から延びるのは巨大な霧のシルエット。
それが建物の陰ではないことは、不気味に移動していることから一目瞭然だ。
なら巨大モンスターの類だろうか?
当然必ずしもデカけりゃ強いという訳でもないが、巨体には巨体の利があるので油断はできない。
だが何より姿が見えないというのが厄介だ。
「この霧がアンデッド反応を持っているとするならいけるか?〈ドミネート・アンデッド/死者支配〉」
霧そのものがアンデッドモンスターの一種ではないかと予想して、アンデッドモンスターをコントロールできる魔法を使ってみたところビンゴだった。
さすがにカッツェ平野全体までは無理だが、アインズの周囲に漂う霧を退かすことには成功する。
かくして影の塊は徐々に輪郭を露わにし、最終的には巨大なガレアス船の残骸として姿を現した。
側方にはところどころ亀裂や穴あきが見受けられた。帆はボロボロに敗れ怪風を受け流すばかりで、側方から無数に延びるオールもひたすら無意味に空を泳ぐだけ。
動くはずのない残骸が異なる理で行進する様はまるで船のアンデッドのように思えた。
そこでようやく目の前の物体と記憶していた内容が合致する。
これは噂に聞いたエルダーリッチの幽霊船という奴に違いないだろう。
一般のエルダーリッチよりも強力らしいが、それでいて目撃証言や敗戦記録が多く残り結果有名化しているという妙な個体だ。
その矛盾点が気にかかり、前々からアインズもマークはしていた。
どうやら積極的に人間を害そうとしていないので、何らかの交渉ができる程度の知性や理性を持ち合わせている可能性があったからだ。
もしそうであってくれたならナザリックの陣営に招き入れ、冒険者などから身の安全を保障するのを対価にこの世界の情報を引き出すつもりである。
まぁ無理なら無理で滅ぼすだけだが。
思ってもみなかった遭遇に僅かばかりのときめきを感じながら、しかし同時に心を引き締める。
「〈飛行・フライ〉」
定番の飛行魔法で身を浮かせ、甲板を超えマストの頂点部分まで上昇し船内を俯瞰した。
噂ではアンデッドの軍団を率いているという話だった。しかし甲板には人っ子一人、骨っコロ一つ落ちていない。
幽霊船という割にはキチンと整頓されているようで、木樽や木箱などの備品は一塊にされて隅に置かれている。
というか不要だから適当にうっちゃっているというのが正確かもしれない。
少なくとも日ごろから、この廃船を手入れしている者がいることは間違いない。
うまく交渉できるだろうか。そんな不安が肋骨あたりに溜まるが、支配者としての自覚と自負がたちまちそれを打ち消した。
やらなければいけない。やれなければいけない。
皆の支配者たり得ねば
自室で密かに励んだ練習を思い出し、喉元に残った不安の残渣を吐き出すように声を張り上げた。
「我が名はアインズ・ウール・ゴウン。噂に名高い幽霊船の船長殿、こちらに敵意がないことは我が名に誓う。
話がしたい、姿を見せてくれないだろうか」
すると奥の扉がひとりでに開き、両脇の外灯が青い灯を灯す。そして頭の中に声が響いた。
『面倒だから、勝手に入って自分で見に来てくれよ』
投げやりで遠回りな、入室許可。
これは特殊なテレパシーでも何でもない只の〈伝言/メッセージ〉だ。
しかしユグドラシルでモンスターとして登場するエルダーリッチが習得しているはずがない魔法である。
この世界のエルダーリッチだからという理由も考えられた。しかしもう一つの可能性の方が高い。
(俺と同じスケルトン系統のプレイヤーか? 迂闊だったが、しかし呼び出してしまった挙句勝手に帰るのは……)
ここで「あなたはプレイヤーですか?」などと尋ねても意味はない。こちらは既にアインズ・ウール・ゴウンとして名乗ってしまっているから、プレイヤーなら感づいているだろう
こっちは個人的なこだわりなので仕方なかったが、自身が相手の立場ならプレイヤーであると正直に自己紹介することは決してない。
幽霊船という自身の陣地から迎撃しようしている場合も考えられる。
だがいきなり交渉を持ち掛けた相手を殺しにかかるほど軽率な相手なのだろうか。
噂からして凶暴性は低いはずなのだ。
様々な可能性が考えられたが、折角の交渉のチャンス。ここを逃せば次がない可能性もある。
以後水面下でプレイヤーの可能性に怯えなければならないのは損失だ。
それに別に相手は『一人で来い』とは言っていなかった。
慎重に行くに越したことはないが、石橋でも鉄橋でも、いつかは渡らねばならない橋ならば今渡ったほうがマシだ。
「もう仕方ないよな。『わかった、少し準備してから入る』」
◇
(まさかカッツェ平野への探検がこれほど大ごとになるとは思わなかったな)
ナーベラルに依頼の破棄を伝言。
その後すぐにアルベドに連絡して、後詰とニグレドによる監視を手配してもらい、その間強化魔法を身に纏った。
共に入室するのは、元々連れていたしていた隠形状態のハンゾウ達だ。
マタタビを連れてくるのもアリだったが、彼女には別件の用事を出しているのと、個人的な心境の問題から。
そして一番大きい理由として、彼女の隠形がバレた場合取り返しがつかなくなるから呼ばなかった。
ナザリックにとって対プレイヤーの切り札である一方、数多のギルドを滅ぼしてきたユグドラシル屈指の危険人物であるマタタビを傍に潜ませていた事実が明らかになれば最悪戦争である。
(まったくマタタビさんは、使い勝手がいいんだか悪いんだか。いや多分絶対悪いよな。
能力は器用なくせに性格と悪行のせいで色々台無しなんだから)
思い出してイライラするのは毎度のことだが居ない奴のことを考えても仕方ない。
準備完了。かかった時間は5分程度。
アルベドはまるでこのような事態を事前に想定していたかの如く、手際よく戦力を整えてくれた。
「急用だというのに迅速な対応、本当に感謝するぞアルベド」
『これはその……とんでもございません。 やはりアインズ様の仰る通りプレイヤーはナザリックにとって強大な脅威ですから』
〈伝言/メッセージ〉越しにも鬼気が伝わる必死さである。
直接体感したシャルティアやアウラが顕著だが、悪くも良くもマタタビの影響が色濃かった。
「お前が深く理解してくれたこと、重ねて感謝するぞアルベド。まぁとはいっても、今回の場合プレイヤーが無関係な可能性もある。
それにシャルティアたちにも言ったが、先日のマタタビなんかは特殊な例だし気負い過ぎなくて――」
『お言葉ですがアインズ様、常に最悪の、最低の結果を想定するべきと、このアルベドは愚考します』
「アルベド?」
これまでと違う反応だ。
いつもならどんなに小さな称賛でも、受け取ったNPCはこれでもかという程大げさに反応しただろう。
だが今日のアルベドは違う。
『この世界はひたすら未知にあふれています。一歩踏み誤れば全てを失うこととなりましょう』
自主性が芽生えた。それは恐らく間違いないし、自ら意見するようになれたのも喜ばしいことだ。
『先日、恩方に牙を剥いたのが何者であるか、またそれが何によって引き起こされたか、くれぐれもお忘れなきように』
「そうだな……まったくだ」
それにとても手痛い指摘だった。
『ではこれにて失礼します。どうかご武運を』
だがそれ以上に……ひょっとして
「ありがとう、アルベド」
ひょっとして自分は失望されてしまったのだろうか?
『っう!? ……はい』
〈伝言/メッセージ〉は途切れた。
アルベドがオリ主に嫉妬してるのを、アインズが勘違いしただけ。
とは言ってもあながちアインズも的外れではなく、アルベドはアインズの執着に少し呆れてる。
大体オリ主の悪影響です