《第三者視点》
旧校舎が襲われる数十分前。
エウリュアレ、ギャスパー、レイナーレは楽しく会話していた。
「え?そんなことがあったんですか?」
「ええ。あの時は本当に面白かったわ」
「あの、エウリュアレ様?それは話していいのでしょうか?」
「いいんじゃない?そこまで重要なことではないし」
「ですがそれを聞いたら恐らく蓮様は……」
レイナーレがそう言うとエウリュアレは身震いをしだす。
「…そ、そう、ね。ギャスパー今のは忘れてちょうだい」(ブルブル
「は、はい…」
(相当やばいんだろうなぁ)
エウリュアレのその姿を見たギャスパーはそんな事を考えていた。
「それにしても蓮先輩って強いですよね。蓮先輩は僕の事を強いっていっていましたけど」
「そりゃ当然よ、って言いたいけど蓮自身はその事を認めないのよね。今も鍛練怠ってないし…」
「ここだけの話蓮様はこのままじゃ守りきれないと言っていたほどですからね。自分の納得行くまでやるんじゃないんでしょうか」
エウリュアレとレイナーレはそう言う。
蓮は予定の入っていない休日はほとんどの時間は地下の訓練所で訓練しており、午前中は訓練、午後は開発、夜は勉強と言うサイクルで過ごしている。
「はへ~、やっぱり僕なんかじゃ敵いませんね……」
「僕なんかじゃ何て言わないの。蓮が名前で呼ばせてるの許可しているのはあなたを気に入ったからよ。蓮の気に入ったは、強い奴って言う証拠。現に貴方、能力の操作性とか急成長してるしね」
「まあ、気持ちはわかります。私も前は私なんかとか口癖でしたし」
レイナーレは少し前の事を思い出しながら言う。
ギャスパーはそれを聞いて驚いた。
「え?レイナーレさんもそんなこと思っていたんですか?」
「ええ。蓮の家族になったら回りがヤバイ人達ばっかりで、訓練で何回も殺られかけたわ…」
そう言うレイナーレは遠い目をしていた。
「レイナーレ、誰がヤバイって?」
「あ、す、すみません。言い過ぎました…」
「明日ちょっと訓練しましょうか」
そうエウリュアレがニッコリと笑いながら言う。
しかし、笑っているにも関わらず回りには黒いオーラが漂っていた。
それを見たレイナーレは「ひぃっ!」と小さく悲鳴を上げる。直接言われていないギャスパーもガタガタ震え始める。
「と、もうお喋りはおしまいね」
そうエウリュアレが言うと、レイナーレは一気に気を引き締める。
ギャスパーはなんの事かわからず首をかしげている。
「
その瞬間部室の扉を蹴破って数人の魔術師が入ってきて、一人がそう言った。
その瞬間レイナーレは三十本いや、その倍の六十本もの光の剣を展開させ包囲し、エウリュアレは金色の弓とハート形の矢尻をした矢、クピド神の弓を展開させ、弓を引き絞った。
『!?』
魔術師達は突然の事に全員が動きを止める。
「あら、失礼なお客様が大勢来たわね。ノックも無しなんて常識がないのかしら」
「とりあえず外に出てくれませんか?掃除ができません。あ、ゴミに言っても仕方ありませんね」
二人がそう挑発する。
するとキレた魔術師達が一気に魔法を放ってくる。
その魔力弾をレイナーレが展開した剣で防御する。
ドォォォォォォォォン!!
すると魔力弾が爆発し部室の風通しがよくなる。
「ギャスパー、敵の動きを止めてみなさい。出来なければ広範囲で止めなさい」
「え!?で、でも…」
「私たちの事は気にせず早く止めなさい」
エウリュアレがそう言うとギャスパーは狼狽えていたが、意を決して学校全体を止めた。
魔術師達は止まっている。
他の声は聞こえないためやっぱりコントロール出来てないとギャスパーが思っていると後ろから声がした。
「やるじゃないギャスパー」
「自分の意思で発動できて良かったですね」
聞こえた方を振り向くとエウリュアレとレイナーレが歩いてきた。
「この短期間でこの強力な神器を制御できれば大したもんよ。気に病まなくていいわ」
「はい。それに顔色も前よりもいいです。特訓の成果が出てますね」
「は、はい!あ、ありがとうございますぅぅぅ!」
そう言って二人が褒めるとギャスパーは泣きながらお礼を言った。
「さて、こいつらをどうしようかしら?」
エウリュアレが止まった魔術師達を指す。
「吹っ飛ばしたら早いんじゃないでしょうか?」
「良いわねそれ!採用!」
レイナーレが放った一言が処刑方法に決まった。
エウリュアレとレイナーレは力を込めて高威力の攻撃を放つ。
「エーイッ!」「ハァァッ!」
すると止まったままの魔術師達は外に吹っ飛んで行った。
それを確認したエウリュアレはギャスパーの方に振り向き、
「さ、外にいきましょう?」
そう言った。
《第三者視点 out》
《蓮side》
「あいつらは……っと…」
俺は爆発の起きた旧校舎に向かっていた。
そう思っていると旧校舎からギャスパー達が出てきていた。
「どうやら杞憂だった感じだな」
「私達があんな二、三流の奴らに負けるとでも思っていたの?」
「いや、思ってなかった」
「あ、あの…」
エウリュアレと俺で会話しているとギャスパーが話しかけてくる。
「ん?どうした」
「あ、蓮。ギャスパーの事を褒めてやりなさいよ。この子自分で時を止めたんだから。ついでにもう解除してあるらしいわ。すごいわよね」
「へー、この短期間でよくやったな。頑張ったな、ギャスパー」
「はいぃ、ありがとうございますぅ。じゃなくて蓮先輩は今回の襲撃を予想してたんですか?」
「ああ、なんたって三大勢力のトップが集まってんだからな。これを襲ってこないわけがない」
そりゃそうだろ三大勢力が集まって、和平を結ぼうとしてる。そんな情報を手に入れたら、その事をよく思わない奴らが襲ってくるに決まってんだろ。
「で、どんな奴らが襲ってきたんだ?」
そう言うとレイナーレが答える。
「禍の団と名乗っていました」
禍の団?うーんどっかで聞いたことのあるような…無いような…。
まあいいか。
「ん、分かった。とりあえずグラウンド行くぞ。向こうでも戦い始めたようだしな」
俺たちはそう言ってグラウンドに行った。
俺たちが着くと眼鏡をかけ、ボンテージを着た痴女がいた。
「なんだ?あの変態は?」
そう言うと全員がこちらを見る。
グレモリーはギャスパーを見ると安堵したようだ。
「ギャスパー!無事だったのね!」
「は、はいぃぃ!蓮先輩の家族二人に助けて貰いましたぁぁぁ!」
「んで、グレモリーは何で助けに来なかったんだ」
「そ、それはお兄さまが…」
「すまないね。私が止めさせてもらったよ」
「ふーん、分かった。取り合えず置いておこう。であいつはなんだ。白龍皇は分かるが」
そう言って指を指す。
すると痴女が名乗ってきた。
「私の名前はカテレア・レヴィアタン。真の魔王ですわ!」
いや知らねーよ。聞いてねーよ。真の魔王とか言ってるけど、テロリストだろーが。
「彼方が現代の赤の戦士ですね。白龍皇」
「ああ、そこの残念な赤龍帝よりも興味がある人だ」
「おい、さっきから残念言い過ぎだぞ!」
何か兵藤が抗議しているが実際残念だから仕方ない。
そんな事を思っているとテロリストが訳のわからないことをいってくる。
「さて、貴方の正体は下等な人間だと分かっています。なので、そのベルトを寄越しなさい」
「………あ?」
「あら、下等な人間にはわからなかったかしら?そのベルトを寄越せと言ってるんです。そのベルトで変身するのはこの真の魔王こそが相応しい」
俺はその言葉にキレかけた。いや――――
「…………そーか」
「おや、伝わりましたか。では早く……」
「そんなに死にたいんだな…!」
―――キレた。
その瞬間前にグレモリーに出した殺気よりも数十倍の殺気を放つ。
回りの空気が震える。
「おいおい、人間が発していい殺気じゃねーぞこれ」
「どうもカテレアは起こしちゃいけないものを起こしちゃったようだね」
後ろでそんな事をいっているが俺は気にしない。
「わ、私に逆らってみなさい!オーフィスが黙ってないわよ!」
オーフィス?何で今あいつの名前が出てくるんだ?
「蓮!禍の団のボスは無限の龍神のオーフィスだ!そいつがオーフィスの力を持っている可能性がある!」
あー、そうだったそうだった。オーフィスを騙そうとしてた奴らだった。思い出した。
「そう!私達禍の団の後ろにはオーフィスが「何言ってんだ?」何?」
「オーフィスなら俺の家にいるぞ」
『は!?』
俺がそう言うと全員が驚く。いや、白龍皇だけは笑っていた。
「そ、そんなはず…「それも結構前から。今呼ぶぞ」ッ!」
「オーフィス、来な」
そう言うと俺の隣で次元の隙間が開く。その中からオーフィスが出てくる。
「ん、蓮、我呼んだ?」
「本当にオーフィスが…」
カテレアが驚いているがそこでまたオーフィスが爆弾を放つ。
「ん、エウリュアレ、どうゆうこと?」
「それはねーあの変な服着た女が貴方の名前を言ったからよ」
「あ、カテレア」
そんな会話をしているが後ろではオーフィスが言った彼女の名前に驚く。
「おい今エウリュアレって言わなかったか!?あの女があの女神か!?」
「もうなんでも有りな気がしてきた…」
うん、俺んちはこんな感じだ。諦めろ。さて、殺ろうか。
「よし、もういいな。カテレア…だったか?今からお前ぶっ殺すからよ。ついでに裏切った白龍皇もな」
「気づいたのか!?」
「あの女の近くにいる時点で裏切ったってこたぁわかるだろ」
そう言っていると、カテレアは不適に笑い始めた。
「フ、フフフ、わかりました。こちらも切り札を出しましょう」
そう言ってカテレアはどこからか黒い瓶を取りだしたあと、魔法を上に放ち、爆発させた。その瞬間二体の灰色の影が出てくる。
「この瓶はオーフィスの力の一部、それとその二人は私に協力してくれた灰色の英雄です」
目の前にはカブトムシとクワガタを模したようなオルフェノクが立っていた。しかし、どこかおぼつかない、と言うか意識がないように感じる。どうやら協力と言うより洗脳みたいな感じだ。
「な、何で協力何か…!」
「あーあれは協力何かしてねーよ。恐らく洗脳か何かだ」
「やはり赤の戦士にはばれますか。ですが問題有りません。貴方はここで死ぬのですから!」
カテレアはオーフィスの力を取り込んで魔力が跳ね上がった。
が俺には何も感じなかった。もう抑える限界を突破している俺には。
「おい痴女の屑野郎。オーフィスを騙したこと、オルフェノクを洗脳したこと、ギャスパーを利用しようと考えたこと。全部ひっくるめてお前を処刑してやる。十秒以内でな」
そう言ったあと、二体のオルフェノクに目を向ける。
「すぐに解放してやる。我慢していてくれよ」
「ふん、オーフィスの力を取り込んだ私と灰色の英雄二体をどうやって十秒以内に倒すのですか?」
「こうやってだよ」
そう言って左腕につけていた【ファイズアクセル】から【アクセルメモリー】を取りだしファイズフォンのミッションメモリーと取り替える。
ミッションメモリーはファイズショットに取り付ける。
『complete』
音声が鳴り、胸の装甲のフルメタルラングが展開し、肩に移動。フォトンストリームは赤から銀色に変化し、顔の色は黄色から赤色に変わった。
「ふ、ふん!何かと思えばそんな防御力の低い姿で何ができる!私の魔力だけでも充分殺せるわ!」
「…じゃあ、当ててみろよ。雑魚が」
その挑発に痴女は簡単に乗ってくれた。
「殺れ!!」
その言葉と共に魔力の弾と二体のオルフェノクが襲いかかってくる。
『start up』
が、その三人の間に赤い線が走る。しかも悪魔でもよく見ていないと分からないほど薄い線だ。
次の瞬間俺は三人の後ろにいた。
相手からしたら俺が消えたように見えるだろう。
『time out』
「な、馬鹿な…」
そんな声と共に三人は灰となった。
『Reformation』
その音と共にもとの姿に戻る。
そして白龍皇に顔を向ける。
「いいね!いい殺気だ!今すぐに殺ろう!」
そう言って殴りかかってくる白龍皇。
白龍皇とファイズの戦闘が始まった。