ハイスクールD×555   作:白尾芯

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停止教室のヴァンパイア
ゆっくりした一日(静かとは言っていない)


小猫が家に来てから一週間程が経った。

最初俺と小猫が登校したときは騒がれた。

いや、正直疲れた。だって、女子からは黄色い声が上がるわ、男子からは叫び声が上がった上に罵声と恨めしい目で見られるわ、はっきり言ってうざかった。

特に兵藤含めたあの三変態(さんばか)共には殴られそうになった。まぁ、避けたけど。ついでにやり返したけど。

それからその後回りから何でと言われたから正直に家で暮らしてるって言ったらまた騒がしくなるわで、もう朝の時点で帰りたかった。小猫もうんざりしていたし。

 

 

 

 

で、今はというと

 

「キャァァァ!」

 

「見て!また一緒に登校しているわ!」

 

「それに手も繋いでいるわよ!」

 

「美男美女カップルね!」

 

「クソがァァァ!見せつけやがってぇぇぇ!」

 

「小猫ちゃんは俺が狙っていたのにぃぃ!」

 

こうなってます。

何で一週間経ったのに冷めてないの?おかしくね?

あ、ついでに手を握ってきたのは小猫からです。

 

「でもまぁ、殺すとか、あのカップルを別れさせようとは思わねーな」

 

「だな。と言うか手を出すとこっちが殺られる…」

 

「手を出しに行くのはあいつらしかいねーだろうよ」

 

よく分かってるじゃねーか。

ん?何か後ろから気配…何だまたか。

俺は迎撃体制にはいる。

 

「「「死にさらせ!乾!」」」

 

「名前を気安く呼ぶな!」

 

「「「ぐぺぇ!」」」

 

この三変態共は一週間前からこんな風にやってくる。

いやいい加減学習しろよお前ら。

 

「何だバカ共」

 

「何だじゃねえこの野郎!毎日毎日一緒に登校しやがって!」

 

「俺たちの身にもなれ!」

 

「俺たちの天使、小猫ちゃんを独り占めしやがって!小猫ちゃんを下さい!」

 

上から兵藤、松田、元浜である。

はっきり言ってこいつらだけは非常に疲れるから関わりたくない。

そこで、元浜を指しながら、

 

「小猫、こいつこう言ってるけど…」

 

「…生理的に受け付けませんし、身の危険を感じます。はっきり言って嫌です」

 

「グハァッッ!」

 

「元浜ぁぁぁぁ!」

 

「大丈夫かぁぁぁ!」

 

「ああ、星が見えるぜ…」

 

「「しっかりしろぉぉぉぉ!」」

 

最近になって元浜(こいつ)がロリコンだと知ったためこいつを使う。そうすると友達思いの二人が救護にはいる。その間に俺はどっかに行く。簡単な撃退法だ。

こいつら、友達思いは美点なんだけどなぁ、他がなぁ。

 

「小猫、行くぞ」

 

「…はい」

 

俺達はそこを離れ、昇降口で昼に会うことを約束し別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから飛んで昼休み。

俺は小猫に詰め寄る。

小猫は顔が赤くなるがそんなロマンチックな場面ではない。

 

「おい小猫、ゼノヴィアがくるとか聞いてないぞ」

 

そうなのだ。朝ゼノヴィアが転校生としてこの学園に転入してきたのだ。

これはさすがに理解不能だ。

小猫の顔の色が元に戻り、小猫は口を開く。

 

「…ええ、言ってませんし」

 

「お前なぁ、最近髪の色と違って黒くなってきてないか?」

 

「…なってません」

 

「で、来た理由は?」

 

俺がそう言うと快く話してくれた。

 

「…先輩は聖書の神が死んだことは知っていますか?」

 

聖書の神?えーと確か、二天龍を封印するときだったかに死んだって母さんから聞いたな。※二話参照

 

「ああ、知っている。それで?」

 

「…その事を知ったゼノヴィア先輩が教会を追放されたためこの町にきて学園に通うことになったんです」

 

「そう言う事か。難儀なもんだ」

 

「…ですね」

 

そこで一旦会話は途切れたが小猫は話題を変えて話してきた。

 

「…あの…先輩」

 

「ん?何だ」

 

「…蓮先輩って泳げます?」

 

いきなり何を言っているんだこの子は。

でももう七月に入り暑い日が続き始めている。

もうそろそろプールか。質問事態は可笑しくはないか。

 

「ああ、人並みには泳げるぞ」

 

「…その、今度の日曜日にオカルト研究部でプール掃除があって、えっと終わったら泳いでいいって言われているんです」

 

「そうか」

 

「…ですから、その、お、泳ぎ方を教えてくれないでしょうか」

 

「なぜだ」

 

なぜ俺があいつらとプールに行かなくてはならないのか。ただでさえ休み時間に兵藤に睨まれると言うのに。

 

「…だめ、ですか?」

 

「…一応聞いておくが他の連中は?」

 

「…何か各々で楽しみそうなので…それと一誠先輩は論外です」

 

「だよなー…」

 

まあ、あいつは何をするか分からんしな。一応見に行った方がいいか?

 

「んーとな、まぁ、心配だし見には行ってやる」

 

「…それと、もうひとつ」

 

何だ、まだあるのか。

 

「…姉様も一緒に行けないでしょうか?」

 

お、黒歌の事か。そうだな…。それも考えておこうか。

最近のあいつは何かやる気が出てるし。それの褒美としては十分か?

 

「じゃあ、それも考えておくか」

 

「…ありがとうございます」

 

う~ん、最近なーんか

 

「お前、最近ありがとう多くなったな」

 

「…えっ?そうですか?」

 

自分では気づいていないようだったが俺がコカビエルの時に助けた前と後からでは明らかに多くなっている。

 

「ああ、多い多い。悪いとは言わんが、多すぎると感謝している感じがなくなるぞ。それとお前はもう家に住んで、家族といるんだから迷惑かけて当たり前なんだぞ。肩の力抜いて、敬語をなくして、ありがとうの回数も減らすぞ」

 

「…で、でも先輩は先輩ですし、私の家族は姉様だけで…」

 

「それでも、黒歌が俺らの家族ならお前も家族だろ。だから俺にはいいんだよ」

 

「…分かりまし…分かった。今度から減らしてみ…る」

 

どうもしゃべり辛そうだ。

 

「………あーすまん、小猫。元に戻していい。と言うか戻して」

 

「…分かりました。やっぱりこっちの方が落ち着きます」

 

うん。俺も落ち着く。もう小猫はこのしゃべり方が一番なんだろうな。

時間を見てみるともうそろそろ昼休みが終わる時間だった。

 

「よっしゃ、もう昼も終わるし解散するぞ」

 

「…はい、また家…と言うか放課後に」

 

「ああ、放課後な」

 

そうして俺達は別れた。

教室に戻るとゼノヴィアはもうクラスと打ち解けていた。

さて、俺も黒歌をどうやって兵藤から守り抜くアイテムを作るか…と考え始めたが、兵藤レベルなら黒歌なら簡単にぶっ飛ばせるのに気がつき、途中から兵藤から守り抜くアイテムではなく認識阻害のようなアイテムを作ることに変更した。

 

後は水着も買っておくか。

黒歌にも買わせてやろう。と言うか全員分買ってやろうかね。確か家の地下にまだ空いてる空間があったはずだしそこにプールも建設しよう。

本当、俺の家ってどうなってんだろ。

 

そんなことを考えながら午後の授業を受けた。


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