聖剣使いの二人組を学園に案内した次の日。
俺は家にいても暇なので久しぶりに駒王町を散歩していた。
そして見つけた。いや、見つけてしまった。
「えー、迷える子羊にお恵みをー」
「どうか、天の父に変わってお慈悲をー」
とそんなことを言っている白いローブを羽織った女性二人組を……。
正直に言って関わりたくない。
だってそうだろ?誰が路上でお慈悲をとか言っている仲間に思われたいと思うのか。
俺だったら嫌だね。関わらないね。
しかし、昨日知り合ったのも事実……。
さてどうするか…。
「困った。これでは飢え死んでしまう。どうすればいいんだ?」
「ウーン、お寺ってところを襲ってみて金をもらうってのは?」
「おお、それは名案だ。早速…」
………しゃーねぇ、助けてやるか。
「おい」
「あ!あの時の親切な方!」
「おお、昨日ぶりだな確か名前は…」
「その事も含めて、今から飯食いに行くがお前らはどうする。付いてくるか」
「「行きます!」」
そうして俺は二人と一緒にファミレスへ向かった。
「上限二人で三万までだからな。計算して食えよ」
ファミレスについた俺は二人がヤバイ量を食べそうだったので先に上限を付けておく。
「ああ、それだけあれば足りる。感謝する。ところで君の名前は?」
「乾 蓮だ。よろしくな」
「ああ、私はゼノヴィアだ。そしてこっちが―――」
「紫藤 イリナです!ああ、この優しい方にご慈悲を!」
青髪に緑のメッシュが入ったのがゼノヴィアでツインテールがイリナだな。覚えた。
「んで、何であんなところでお恵みなんか貰おうとしてたんだ?金がねーのか?」
俺は何で路上でお恵みを貰っていたのか聞いてみた。
「うむ、こっちの馬鹿がぺトロ様に全く似ていない絵画を私達の資金で買ってしまってな。今はスッカラカンさ」
「あれは絶対ぺテロ様よ!間違えるはずないわ!」
「ちょっと待て。その絵画を見せてくれ」
そう俺が言うとイリナは快く見せてくれる。
その絵画をみたとき俺は絶句した。
まるで子供が書いたような絵で、クレヨンで書いたような、いや、クレヨンで書いてあった。
コレで騙されたのか?こいつ。
「お前一回ぺテロ様の絵画見てこいよ。んで謝ってこい」
俺がそう言うとイリナはぷるぷると震え始め、ゼノヴィアはだよなと言う顔でこちらを見ている。
「なんでよー!!」
「まぁそれはそうだろうな。こんな子供騙しの絵何て誰が買うか。十人中十人は買わないだろうな」
「とりあえず六万追加な。これは安いホテルとかの代金だ」
と言って俺は六万円を出す。今月の出費がヤバイ。
「こ、こんなにいいのか?」
「ああ、きっちり返してくれればな、六万。三万は俺も食ったしという事で入れてないから。期間は揃ったとき。つまり無期限。優しいだろ」
「ああ、さすがに此方に非がある。きっちり返そう」
こっちは物わかりがいいな。
「…………わかりました」
さっきの元気さは何処へやら。スッゲー落ち込んでいらっしゃる。まあ、返事は返してくれたしよしとしよう。
「よし、交渉成立。後はどっちかの名義でこの紙に名前を書いてくれ」
そう言うと俺はどこからともなく金銭消費貸借契約書と書いてある紙を出す。本物よりも簡単な物だが、まぁ今回は良いだろう。
「ああ、分かった」
そう言ってゼノヴィアが名義を書く。
その紙を俺は懐にしまう。
「よし、きっちり返してもらうからな。後は好きにしろ。んじゃ、俺はかえ―――「蓮先輩」ん?」
「…何してるんですか?」
そこには小猫と兵藤とうちの制服を着た男子が立っていた。
「ああ、今あいつらに奢っていたところでな」
そう言って後ろの二人を指す。
「あ!お前ら!」
そう言って兵藤は二人に向かっていく。
小猫はと言うと、
「…ずるいです」
と言っていた。
「また今度奢ってやるよ。取り合えず今はやめてくれ大分出費しちまったから」
「…わかりました」
「で、そっちの男子は?」
「俺は匙 元士郎っていうんだ。因みに生徒会に所属している。よろしくな」
なんか今日新しく名前覚えるやつ多いな。
「ああ、よろしく匙。俺は乾 蓮だ気安く呼ぶなよ」
「ああ、よくわかってる。あいつがいつも殺られてるからな」
さすが生徒会。よく分かっていらっしゃる。
「そう言やお前は何であの二人と?」
「昨日帰りに学園まで案内してよ。んで今日散歩していたら偶然会ったからここに来たってだけ」
そう言うと匙は思い出したように言う。
「昨日会長が言っていたのはお前の事だったのか。凄いな、見ず知らずの人を助けるって」
「普通の事だ。それよりお前らは?」
「え、ああ、ええっと、すまん俺はなにも聞かされていない」
「…いつも通りです」
匙は本当になにも知らないらしい。
小猫からはまた秘密の話だそうだ。まぁ裏の事情だろう。
「そっか、いつも通りか。じゃあな。あ、それと机に置いてある諭吉はあいつらのメシ代と宿泊代だから取るなよ」
そう言ってそとに出ようとするが兵藤が絡んでくる。
「ちょっと待てよ!何で一緒にいたんだよ!」
そんなことを言っているので俺はキレ気味にこう言った。
「さっきの話聞いてなかったのか?俺はもう言わねえぞ。知りたいなら二人に聞け。じゃあな」
そう言って俺はファミレスを出た。
《小猫side》
「お願いだ。聖剣の破壊に協力させて欲しい」
一誠先輩がそう言って二人に頭を下げる。
教会側の二人は少し悩んだ末、許可してくれた。
「良いだろう」
「ちょっと、いいの!?イッセー君は悪魔なのよ!?」
「別にいいだろ。教会からはドラゴンの力を借りるなと言われていない」
「それは…そうだけど…」
ツインテールの人、たしかイリナさんは言いよどんでいる。当然だろうゼノヴィアさんが言っているのは屁理屈だ。
「あーもう!仕方ない、私もそれでOKよ」
「よっしゃ、これで成立だな。今から助っ人呼ぶから待っててくれ」
なんとか許可をしてくれた。その後一誠先輩は木場先輩を呼んだ。
こう言うところでは頼りになります。けど昨日の服を消し飛ばした事は絶対に許せません。
《小猫side out》
《一誠side》
数分して木場が来た。
「…なるほど、共同戦線ね…」
「ああ、お前は復讐できる。教会は聖剣を取り返せる。これでいいだろ?」
俺はそう言うと木場は戸惑った様子だったがすぐに冷静になった。
「分かった。教会に協力するって言う形は癪だけど承諾しよう」
何とか分かってくれたようだ。
「それと共同戦線という事で思い出したのだが、灰色の聖獣様と赤の戦士様にも取りたいのだが、何か知っているか?」
灰色の聖獣ってあいつの事か、あの亀みたいな奴か。
俺は絶対に協力しねぇ!!
「…確かに会いましたが一回だけですし、会ったのも結構前です。赤の戦士も会ったことはありません」
「ちょ、小猫ちゃん!?」
何で言っちゃうの!?
確かに言ってもなにも問題ないけど!!
「む、そうか。灰色の聖獣と一緒なら心強かったのだがな」
「いや、でもやめた方が…俺らに攻撃してきたし」
「…それは一誠先輩が余計なことを言ったからです」
「え、どう言うこと?」
イリナが聞いてくる。
小猫ちゃんは二人に一部始終を話した。
「…灰色の聖獣が私達を試したときに、一誠先輩がはぐれ悪魔を先に倒せよ的な事を言って突っ込んでいったからです。それであの聖獣も怒ったんです」
いや確かに言ったし、後先考えず突っ込んじゃったけど俺は悪くないはず…だ。
「イッセー君、もうちょっと灰色の聖獣、英雄の強さを知った方がいいわよ」
「ああ。あのお方なら、君たちにそう言っても仕方ないだろう。何せ次元が違うからな」
「お、俺もあの後始めて知ったんだよ…」
ちょっと反省しています。
「そ、それより協力するって感じでいいんだな!」
「ああ」
「じゃあ、連絡先を交換…」
「あ、イッセー君のは事前にお母様に聞いているからいいわよ」
はぁぁぁぁ!?勝手になにやってんだよ家の母親は!?
その後情報を交換し蓮が置いていったお金で代金を払いそとに出た俺達。
木場の事情も話して、もうやることがなくなったため解散する事になった。
別れ際ゼノヴィアはこう言ってきた。
「そうそう、赤龍帝一つ言っておく。白い龍は目覚めているぞ。ではな」
白い…龍?
ドライグの片割れか?
俺はその事を考えながら解散した。
すいません遅れました。