ハイスクールD×555   作:白尾芯

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今回からエクスカリバー編に突入します。
正直この回が一番書きたかった。


月光校庭のエクスカリバー
癒されたことと嫌な予兆


小猫を慰めて数日がたった。

あれ以来小猫は俺になついたようで最近では、昼休みに入って、昼飯にしようと教室を出たら、

 

「…蓮先輩、お昼にしましょう」

 

てな感じでこっちに来てそう言うのだ。

それはいいのだが、なにぶん小猫は『学園のマスコット』と、呼ばれるほどの人気だ。

そんなやつが特定の誰かを名前で呼び、しかも一緒にご飯を食べようといってくると周囲の反応はどうなるか。

 

「な、あの学園のマスコットの小猫ちゃんが乾を名前呼び…だと…!?」

 

「嘘だ、こんなの絶対に嘘だぁぁ!」

 

「ウソダドンドコドーン!!」

 

「そんな、乾くんは小猫ちゃんと付き合っているの!?」

 

「私狙ってたのに!」

 

「木場×乾君の式はどうなるの!?」

 

答え、こうなる。

つーかうっせーよ。ただ、一緒に飯を食うだけだろ。

何でこんな騒がしくなるんだよ。

それと最後のやつ、俺はホモじゃねーよ。何回言わせんだ。

 

「別に、一緒に飯を食いに行くだけだろ。なあ小猫」

 

「…はい、ご飯を食べに行くだけです」

 

そういうやり取りを小猫とした瞬間、クラスの中から声が出る。

 

「俺たちにはその行くだけってのが難しいんだよ!!」

 

「どうやって小猫ちゃんを攻略したぁぁぁぁ!教えて下さい!乾様!」

 

「攻略ってなんだ攻略って。俺は別に普通に接していただけだ」

 

「くそぉぉぉぉ!イケメンめぇぇぇぇぇ!」

 

「こうなったら当たって砕けてやる!小猫ちゃん!僕と一緒にご飯食べませんか!?」

 

「…嫌です」

 

「ゴハァ!!」

 

あ、一人死んだ。

 

「大丈夫かぁぁぁぁ!」

 

「誰か衛生兵呼んでこぉぉぉい!」

 

「お前、勇者だよ」

 

男子はこんな感じで騒いでいるし、女子はこっちを見ているだけで叫んだりしては、

 

「嘘よ、こんなの嘘よ!」

 

「乾君×木場くんが鉄板だと思っていたのに!」

 

「いやぁぁぁ!」

 

訂正、女子も一部叫んでいた。

俺は小猫の方を見る。小猫も同じ事を思ったのかこっちを見る。

そして同じタイミングで頷きあうと、

このカオスな空間のまま俺達は屋上に向かった。

 

 

 

 

「俺たちって一緒に行動していたらそんなに騒がれるかね?」

 

「…さぁ?」

 

屋上に来た俺らはそんな会話を始める。

 

「俺たち付き合ってもないのに」

 

そう言うと小猫はむすっとした顔になり近づいて来た。

 

「…なんだよ」

 

「…別に何でもないです。それとも蓮先輩は嫌ですか?」

 

「…甘えたいなら甘えればいいだろ。俺はそれに対応するだけだ」

 

「…では、甘えさせてもらいます」

 

そう言って小猫は俺の足に頭をのせてくる。

所詮膝枕と言う形だ。

小猫はちょいちょいと俺の手を引っ張ってくる。

どうやら撫でて欲しいようなので、そのまま撫でてあげる。

すると小猫は嬉しそうな顔をする。猫みたいだった。

と言うか、俺の感覚が猫を撫でている感覚だった。

 

そんな感じで今日の昼休みは過ごした。

 

 

 

 

昼休みが終わり、教室に戻ろうと廊下を歩いていると、もう噂が出回っているのかあの三人組が突撃してくる。

 

「「「乾ィィィィィィィ!貴様いつの間に小猫ちゃんと

仲良くなりやがったァァァァァ!」」」

 

「うるさい。静かにしろ、この馬鹿共」

 

「「「グハァ!」」」

 

そう言って俺は変態三人衆を殴り飛ばす。

 

「お前らも飽きないな。俺に勝てないことぐらい、いい加減分かれよ」

 

「諦めきれるか!学園のマスコットの小猫ちゃんとどうやって仲良くなった!」

 

「普通に話しただけだ」

 

「嘘をつくなァァァァァ!」

 

「いや、嘘じゃないんだが」

 

「ちくしょぉぉぉ!これがイケメンの余裕かぁぁぁぁ!」

 

「余裕ぶっこいてねぇけど」

 

こいつらはいつも同じ感じで攻撃してくる。

いい加減飽きてきたところだし、正直うざすぎて今にもぶっ殺しそうになるけどなんとか押さえる。

 

「もう何もないな。じゃあな」

 

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

そんな風に叫ぶ三人を無視し俺は教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になり俺は下校中だった。

そのとき目の前から白いローブを羽織った二人組が何か話している。

その二人はこっちを見ると、俺に近づいて来た。

 

「すまないが、駒王学園に行く道はどっちだろうか」

 

「え?ああ、それなら案内するぞ。今は急ぎの用事もないしな」

 

「有難うございます!あーよかった、場所全然わかんなくて困ってたのよ」

 

ふむ、声の感じから二人とも女性だな。

 

「イリナ、お前大丈夫だと言っていたではないか」

 

「さすがに学校までは知らないわよ、ゼノヴィア。私が住んでたのは幼少期までだったし」

 

ふーん二人の名前はゼノヴィアとイリナか。

感じからすると教会の連中か?

 

「大体お前はいつも…」

 

「何よ。ゼノヴィアだってそうじゃない…」

 

「はいストップ。まずは学園に行く方が大事じゃないのか?」

 

そんな事を考えていると二人は口論を始めようとする。

俺はそれを止める。

 

「…それもそうね。言い合っていても仕方ないし」

 

「うむ、では行こうか」

 

「じゃあ案内するぞ。ついてこい」

 

 

 

数分後俺達は何事もなく駒王学園についた。

正門には、生徒会長の支取 蒼那がいた。

因みにこの人も悪魔だ。

 

「あら、乾さんですか。どうしたんですか?」

 

「駒王学園に来たいって言っている二人を連れて来ました」

 

すると支取会長は二人の方を向く。

 

「貴方方が今日のお客様ですね。初めまして。私はこの学園の生徒会長、支取 蒼那といいます。よろしくお願いします」

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む」

 

そう言って三人は頭を下げる。

 

「乾さん、このお二方をここまで連れてきてくれて感謝します」

 

「いえ、何か困っていたようだったので連れてきただけです」

 

「こちらからも感謝する。君がいなかったらどうなっていたか…」

 

「大袈裟すぎる。俺は普通のことをしたまでだ」

 

「ああ、何て優しい人なの!どうかこの人に幸運が訪れますように。アーメン」

 

その言葉を最後に俺は二人と別れる。

帰る道中、あの二人の背負っていたものを思い出す。

 

あれは恐らく聖剣だ。少し劣化していたが悪魔には大ダメージだろう。

そんな武器を持ったやつが来るとは…。

また厄介なことが起きそうだ。

何か準備しておいてもいいだろう。

 

それにあのゼノヴィアってやつは背中に背負っていた聖剣以外にもう一つ、聖なるオーラを持った何かを隠していた。

 

この事から過去最大のめんどくさい事が起きる可能性があるのは気のせいだと思いたい。


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