ダンガンロンパカレイド   作:じゃん@論破

62 / 66
Twitterのネタから派生して、気が付くと番外編を書いていました。本編も並行してじわじわ書いているんですが、編集作業がめちゃくちゃ大変で・・・。それまでの繋ぎでもあり、第六章前に平和なメンバーたちも見せる意味もあり、的なことです。
なーんの事件も起きません。ロンカレメンバー+αがただただハワイを楽しむだけの話です。テンションで読みましょう。


番外編『超高校級のハワイ旅行!』
旅立ち編


 

 シーン1『ハワイ旅行が当たった』

 研前です。希望ヶ峰学園に入学してしばらく経って、クラスのみんなは順調に自分の“才能”に磨きをかけているけれど、私は特に何も変化はなく、普通だけど普通じゃない(非)日常な高校生活を送ってます。と言っても、私の“才能”は“超高校級の幸運”だから、自分から何かをしようと思ってもよく分からないんだけどね。とにかく楽しくやってます。

 そんなある日、学園の購買でおやつを買ったらレシートと一緒に福引き券を貰いました。せっかくだからと思ってやってみると、なんと特賞大当たり!クラス全員をご招待で、“超高校級のツアーコンダクター”がプロデュースするハワイ旅行が当たっちゃったの!急いでみんなにこのことを報告したら、みんな諸手を挙げての大賛成。そんな感じで私たちは、2泊3日のハワイ旅行に行くことになりました。授業とか公欠扱いになる、よね?

 


 

 シーン2『“超高校級のツアーコンダクター” 紺田添(こんだ てん)登場』

 空のてっぺんで元気に輝いていた太陽が、そろそろあくびをしだす17時ごろ。私たちはそれぞれが大きな荷物を抱えて、教室にいた。いつもならこの時間、生徒は部活に勤しんでるか、自分の“才能”を磨くためにそれぞれが好きなことをしてる時間だ。私の場合は、食堂で友達と他愛ないお喋りをしてるか、部屋で本を読んだりしている。きっと他のみんなも普段は違う場所で違うことをしてるんだろうけど、今日だけはみんな同じ場所にいる。そう考えると、これからのことへの期待も相まって、なんだかわくわくしてくる。

 

 「ねえねえ、研前ちゃん。これ良くない?良いよね!」

 

 頭の中だけ一足先に旅立っていたら、隣の席の茅ヶ崎真波さんに声をかけられた。このクラスで、私の一番の友達だ。付箋だらけのハワイのガイドブックを開いて、私によく見えるようにずいっと寄せてくる。あふれ出るわくわく感が抑えきれずに、いつもより少しだけ高い声になってる。

 

 「わあ、きれいなビーチだね。茅ヶ崎さん、泳ぐの?」

 「泳ぐのもいいけど、やっぱりあたしはサーフィンかな。ちゃんとサーフボードも持って行くつもりだし!ほら!」

 

 茅ヶ崎さんは普段、この時間は学園の本館から少し離れた海洋研究所にいる。こんな都会の真ん中でサーフィンをしようと思ったら、専用の装置がある施設に行かないといけないから、“超高校級のサーファー”である茅ヶ崎さんは、いつも授業が終わった後は慌ただしく教室を出て行っちゃう。だから、みんなと一緒に海に行けることがきっとすごく嬉しいんだと思う。

 

 「いいねえビーチ!ハワイっつったらビーチだからな!世界中から観光客が来るぜ!ってことは逆に目のやり場に困るくらい水着のオンナがいるんだろ!?」

 「城之内君はやっぱりそれ目当てなんだね」

 「ったりめえよ!じゃあ茅ヶ崎、ビーチ行くときはぜってえオレに声かけろよ!?通訳もしてやっからよ!」

 「あんた誘うくらいだったらサーフィン行かない」

 「楽しみ一個削ってまで関わりたくねえのかよ!?」

 「残念だが当然だな。座っていろ。もうじき引率の人が来る」

 「ぎゃーっ!?こら離せ!シャツが伸びんだろうが!」

 「あははっ」

 

 いきなり私たちの会話に入ってきた城之内君は、相変わらずエッチなことを考えて一人で盛り上がってた。そりゃまあハワイだから私も水着は持ってきてるけど、なるべく城之内君と一緒にビーチに行かないようにしよう。というかビーチに近付かせないようにしなくちゃ。困った私たちを見かねて、鉄君が城之内君を軽々と持ち上げて席まで連行した。うん、やっぱりこういうときに頼りになる鉄君こそ誘いたいよね。

 浮き足立っていた教室の空気も、なんとなく落ち着いてきた。そのとき、入口のドアを誰かがノックした。

 

 「失礼します」

 

 担任の先生とは違う、私たちと同い年くらいの女の人の声。ドア越しにでもはっきり聞き取れるほどのボリュームで、だけど自然で聞き取りやすかった。静かにドアを開けて入ってくると、その人はゆっくり丁寧にお辞儀した。ハイヒールがコツコツと気持ちいい音を立てて教壇の前で止まる。薄く化粧をした顔はどことなく親しみやすい可愛さがあって、お団子に結んだ髪や首に巻いたスカーフ、指先からまつげの一本まで、徹底的に洗練された気品を感じさせた。

 

 「ハイッ。みなさん、はじめまして──、雷堂様は幾度目まして。わたくし、この度みなさんと共に常夏の楽園、ハワイへと参ります、“超高校級のツアーコンダクター”こと、紺田添(こんだ てん)と申します。紺色の紺に田んぼの田、添えると書いて“てん”と読みます。この旅行を通してみなさんとは、良きお友達になりたいと存じております。お気軽に、“てんちゃん”とお呼びください」

 「てんちゃーん♡」

 「ハイッ。なんでしょう、虚戈様」

 「呼んだだけ☆」

 

 紺田さんのステキな笑顔に、私達の視線は釘付けになった。希望ヶ峰学園のシンボルマークが描かれた小さな旗をふりふりして、虚戈さんに応えている。それよりも、挨拶するときに雷堂君だけは別だったような気がするけど、知り合いなのかな?

 

 「なんだなんだ雷堂。お前あんな美人さんと知り合いなのかよ。隅に置けないヤツだな。で、どこまで進展(はこ)んでんだ?」

 「航空訓練場で何回か会ったことあるだけだよ」

 「なんだよ、つまんね」

 「ハイッ、その節はお世話になりました」

 

 雷堂君が須磨倉君に冷やかされて、恥ずかしがりながら否定する。確かに紺田さんは美人だ。それに気品がある。なんだか急に自分の今の格好が気になりだした。制服のままじゃいけないと思ってお出かけ用の服を着てきたけど、変じゃないかな。ハワイでも目立ったりしちゃわないかな。

 

 「研前」

 「あっ、ごめんなさい、極さん」

 

 キャリーケースに詰め込んだ服のコーディネートで頭をいっぱいにしてたら、前の席の極さんに声をかけられた。前から回ってきたものを受け取って、後ろの下越君に回した。

 

 「旅のしおり?」

 「ハイッ。皆様がこの旅行を快適に楽しめるよう、幾つかのプランをご提案させていただきます。僭越ながら、わたくしと現地スタッフがオススメするスペシャルプランでございます。2泊3日の中で、皆様には2日目の班別行動のプランをそれぞれお選びいただきます」

 「いよーっ!折角の異国文化に触れる機会!『文化体験・見学こおす』以外有り得ませんですよ!」

 「落ち着きなって相模氏。相模氏は特に英語が壊滅的なんだからあ、きちんと説明聞かないとどえらいことになるよお」

 「フンッ、たかが言語ごとき俺様ならば行きの飛行機で完全にマスターしてくれる!どのコースであろうと貴様の想定以上に楽しんでやるから覚悟しておけよ紺田(ガイド)!」

 「ハイッ。皆様楽しみにされているようで、わたくしも今からわくわくしております。それでは早速、コースのご説明に移ります。是非ご自分の最高の思い出を作るため、それぞれのコースを吟味なさってください」

 「(あの面倒臭い二人を上手い感じにいなしたな)」

 

 回ってきたのは、カラフルペンで彩られた旅のしおりだった。見るからにお手製って感じがするけれど、ボリュームは普通のガイドブックぐらいある開いてみると、今日のこの後の予定から最終日に希望ヶ峰学園に戻ってくるまでの行程が全部書いてあった。ところどころに可愛いイラストやハワイの写真がちりばめてあって、なんだかよく分かんないけど、楽しそうだっていうことだけは分かった。その中で、2日目は4つのコースに分かれてて、会わせて16ページにも亘って書かれていた。

 

 「ハワイと一口に申しましても、その楽しみに肩は旅の数だけございます。ですので今回は、その中でも鉄板の4コースをご用意いたしました。全てご説明した後に、ご希望のコースを伺います。ではまず第1のコース!」

 

 いつの間にか教室の電子黒板を起動させて、プレゼン用のソフトを起動させてた紺田さんが、長い指示棒で説明しだした。思わず私たちはみんな黒板に注目した。たぶん、授業中よりもずっと真剣に。そんなことを言ったら担任の先生に怒られちゃうんだけど。

 

 「ハワイと言えばやはり海!ビーチ!でございますね。定番のワイキキビーチはもちろん、途中で貸し切りの無人ビーチへ参りまして、浜辺で豪快にBBQです。もちろん、マリンスポーツの準備も各種ご要望にあわせてご用意いたしますので、ご希望がありましたらお申し付けください」

 「アタシこれ行く!」

 「オレも!」

 「ダイスケさんもマナミさんも、Be quiet(しーっ)です。まだてんちゃんさんがExplain(説明)してるとちゅうでしょーが!」

 「ありがとうございます、スニフ様。ハイッ。では次のコースです」

 

 テンションが上がりきってる茅ヶ崎さんと城之内君がもう挙手した。スニフ君に注意されるなんて、どっちが子供だか分からないね。スニフ君のアシストを受けて、紺田さんは次の説明に移った。

 

 「皆様ご存知ですか?ハワイは海だけでなく山も豊かなのです!キラウエア火山をはじめとする、今もなお地球の核から響く大地の胎動を感じさせる活火山に登ります。その地に生息する動植物研究やスバル天文台などを見学する、身体にも頭脳にも刺激的なコースとなっております」

 「おおおっ!足腰が鍛えられそうっすね!自分、興味あるっすよ!」

 「ハワイは固有種の宝庫だからな、フフフ…絶海の孤島における生命活動には興味がある。たまには身体を動かすのも悪くない」

 

 山登りは似合いそうだけど研究や見学なんてものとは縁遠そうな皆桐君と、見た目通り研究好きで興味を惹かれるのは分かるけれど体力が持つのか心配な荒川さん。体育の組み分けも実験教室の班分けも一緒にならない二人なのに、一緒にしちゃって大丈夫かな?

 

 「続いて3つめです。MorningからDinnerまで、皆様にはこの旅行の間、ハワイが誇る素晴らしい食文化を楽しんでいただきます。しかし3日間ではせいぜい9食が限度…本当はもっとオススメしたいものがたくさんございます!そこで、舌と胃袋に自信がある方には是非この美食ツアーをオススメ致します!ハワイで美食の限りを尽くしましょう!」

 「美食!?美食っつったか!?だったらオレが行かねえわけにはいかねえな!ハワイを骨まで食べ尽くしてやるぜ!」

 「ハワイを何だと思ってんのアンタ」

 「美食ツアー…」

 

 気付かないうちによだれが垂れてて、慌てて袖で口元を拭いた。うん、私はこれにしよう。ハワイの美味しい食べ物を全部食べられるなんて、こんな夢みたいなツアーないよ。茅ヶ崎さんと海でサーフィンもいいけど…背に腹は、背反に空腹は代えられないよ。茅ヶ崎さん、ごめん。

 

 「そしてラストは、観光大島ハワイのエンターテインメントの、さらに奥深い部分まで潜り込む、少々コアなツアーです。ハワイ文化研究コースとなっておりますが、具体的に内容を申し上げますと、ハワイアンマッサージやタトゥーショップ、射撃練習場、フラダンスなどの伝統芸能など様々な場所を巡ります。基本的にはオープントップバスで市内を巡り、コースの中でさらに自由行動の時間を取る予定ですので、最も自由度が高いコースとなっております」

 「マッサージ…!たまには自分で受けたら、良い勉強になりそうだわ。極さんも、タトゥーショップに興味あるんじゃない?」

 「まあ…それ()いいな」

 「フラダンスだって♡ふらふら〜ダ〜ンス♬」

 

 つまるところ、ハワイでしかできないことができるコースってことだ。う〜んそっちも捨てがたいけどやっぱり私は…でもなぁ。悩ましい!他のみんなもおんなじみたいで、4つのプランを見比べてはうんうん唸っている。紺田さんはそんな私たちを満足げに眺めて、ひときわ高い声で言った。

 

 「ハイッ。それではコース選択に参りましょう!ご希望のコースの番号を、1〜4で挙げてください。どうぞ!」

 

 紺田さんの掛け声に合わせて、みんなが指で番号を示す。私は直前までどれにしようか迷ったけど、やっぱり食べ物の誘惑には勝てなかったよ…。自分でも呆れるくらいに、自然に手が3を示してた。茅ヶ崎さんはやっぱり1だった。

 

 「虚戈様、恐れ入りますが袖を捲ってくださいませ」

 「あちゃー×うっかり♨」

 

 ひとりひとりの番号を確認しながら、紺田さんがメモを取る。私は3番を出してるのがなんとなく恥ずかしくて、ちょっと他の人より低めに手を挙げていた。それでも紺田さんは難なく数えて、感心したように名簿を見て頷いた。

 

 「ハイッ。ありがとうございます。17名の皆様が上手い具合に均等に分かれました。当日、わたくしは1つのコースをご案内し、現地スタッフ3名がそれぞれ引率をいたします」

 「ねえねえ、もう今日の飛行機に乗るんでしょ?いつまでも教室でうだうだやってていいの?」

 「ご安心くださいませ野干玉様」

 「その名前で呼ぶんじゃねーよ!!」

 「これよりいよいよ、希望ヶ峰学園を出発し、空港へ向かいます。学園の前にリムジンバスをご用意しておりますので、皆様わたくしのこの旗を目印に、ついてきてくださいませ。団体行動を乱さず、男子女子男子女子の交互にどうぞ」

 「なんで交互?」

 「古いネタだねえ」

 

 教室から我先にと飛び出して、先導する紺田さんに続く。おっきい荷物を抱えたり転がしたりして、クラスみんなで夕方の校舎を行進する。

 

 「わっ、わっ、まってくださいよぅ」

 「あ、スニフ君が」

 「俺が運ぶ。みんな先に行ってくれ」

 「わあ、ありがとうございます!サイクローさん!」

 

 ずるずる大荷物を引きずってたスニフ君に鉄君が近付いて、スニフ君事荷物をひょいっと持ち上げた。こんなに大人数で、2mを越える鉄君の肩に明らかに子供のスニフ君が乗ってるもんだから、傍から見たらサーカスの一座みたいだ。ちょっと恥ずかしい。

 正面玄関で靴を履き替えて校門までのまっすぐな並木道を歩く。校門のすぐ外に、おっきなバスが停まってるのが見えた。目的地は空港。いよいよ、私たちハワイに行くんだって実感が湧いてきて、早足になりそうなのをぐっと堪える。さっきよりちょっとだけ紺田さんの背中が近くなってた。

 


 

 シーン3『いざハワイへ 空港編』

 わくわくが止まらない。空港に来るのだってはじめてなのに、一緒にいるクラスのみんなももれなく浮き足立ってるから、お互いがお互いのワクワク感をさらに盛り上げて、相乗効果ですごいことになってる。少しでも離れた迷子になりそうなほど広くて人が多い空港内、目を惹くあちこちのモニュメントや看板に飛び出したくなるけれど、ぐっと堪えて紺田さんについて行く。

 

 「ハイッ。皆様いらっしゃいますでしょうか?これより手荷物預かりの手続きを済ませました後、出発待ちのラウンジへ向かいます。搭乗開始は(ひと)(きゅう):(まる)(まる)ですので、しばしラウンジで待機となります。時刻になりましたら、わたくしからお声かけさせていただきますので、なるべく搭乗口に近いところにて待機をお願い致します」

 「っしゃあ!いよいよハワイだぜ!アガってきたあ!」

 「まだ空港着いただけなのにテンション上がりすぎだろ」

 「雷堂くんはいつも飛行機乗ってるから分からないのよ。飛行機に乗るっていうだけでワクワクしちゃうものなのよ。ね、鉄くん」

 「ん…お、おう。そうだな。飛ぶ原理は分かるんだが…心配だ」

 「原理が分かれば心配など不要だ。いざというときにも俺様たちには立派なパイロット様がいるのだから心配あるまい。なあ、雷堂(勲章)?」

 「それただのプレッシャーにしかなってないから。っていうかアンタ、旅行なんだから角立たせんのやめなよね」

 「ケンカしちゃダーメ♡みんなスマイルだよ♬にこっ♡」

 「みなさん、いいですからはやくいきましょうよ」

 「あんたずっと鉄お兄ちゃんに肩車してもらってんだからえらそーに言うな!誰もたまちゃんの荷物持ってくれないとか、ほんと信じられない!アタシたまちゃんだよ!?」

 「だったら俺が運んでやってもいいぞ。現金はこの際いらねーよ」

 「それは現物支給を匂わせてるよねえ。そういえば換金もしとかなきゃいけなかったねえ」

 「それは直前でいいだろう。空港内でもレストランやカフェがある」

 「フフフ…タイミングには気を付けなければな。円高の今の内になるべく多くドルに替えておき、機を見て円安のときに再度換金。これぞまさに現代の錬金術と言えよう」

 「何言ってっか分かんねえけど怖えぞ荒川。んなことより、機内食は何が出るんだ?調味料は持ち込みできたっけか」

 「ハワイまで飛行機でどれくらいっすかね!?何時間も座りっぱなしなんて自分の性に合ってないんすよ!もしアレだったら日本での走り納めってことで、1つ走ってきてもいいっすか!?」

 「空港なんだから走っちゃだめだよ皆桐君…あれ?相模さんは?」

 「いよーっ!すみません!遅くなりました!1つ言い訳をばさせて頂きます!先程からいよは唯普通に歩いているだけなのですが、何度も異邦の方々に握手と御写真を求められるのです!ああ復です!城之内さん通訳を!」

 「皆様楽しみにされているのがよく分かりました。なので早いところお荷物を預けましょうね。こちらです。ハイッ」

 

 紺田さんの旗について行って、カウンターでそれぞれの荷物を預けていく。はじめてだからよく分からないけど、ここで荷物を預けたらあっちの空港で出てくるわけだ。自分の体重を量ってるわけじゃないけど、みんなより重たい荷物だとちょっと恥ずかしいな。ともかく、特にトラブルもなく無事に終わった。

 

 「下越、何してんだ」

 「ん?何って体重量ってんだよ。飛行機がちゃんと飛べるように体重量っとくんだろ?」

 「受付のお姉さんの困り顔が見えてねえのかよお前。荷物の重さを量るんだよ」

 「荷物だけでいいのかよ!?ぜってえオレの方が重てえぞ!?」

 「飛行機のパワーなめんな!お前ひとりぐらい余裕で積載(はこ)べるわ!」

 

 なんかやってるけど無事終わった。

 


 

 シーン4『いざハワイへ 飛行機編』

 手荷物を預けた後は金属チェックとかパスポートの提示とか色々な手続きをした。飛行機に乗って外国に行くのってこんなに大変なんだね。城之内君とたまちゃんが金属チェックゲートでアクセサリーを没収されてたり、パスポートの検査で荒川さんが髪の毛で片目隠れてるのと虚戈さんの袖が余ってるのと裸足なのを怒られてたりしたけど、ひとまず全員パスしてロビーまで辿り着いた。搭乗開始まであと30分以上あったけど、紺田さんは思ったより時間がかかったって言ってた。

 

 「さすがは希望ヶ峰学園に通う“超高校級”の皆様です。個性的な方ばかりで出発ロビーに辿り着くだけで一苦労でした。ハイッ」

 「ごめんなさーい♣」

 「私の髪の毛は不審なのか…なぜ今まで誰も言ってくれなかったのだ」

 「いやどう見ても不審だろそれは。不審さの塊だろ」

 「ちくしょー、チェーン取られるんだったら付けてこなけりゃよかったぜ。なんとか学園に送ってもらうってことでケリ付けたけどよ」

 「たまちゃんのおかげでしょ。っていうかマジ信じられない!あの指輪はイカサマ用だっての!誰があんなもんでハイジャックなんかするか!できるか!」

 「没収されて然るべきものだねえそりゃあ」

 「凡俗のくせに俺様を待たせるとは…まあいい。話している時間が無駄だ。俺様は用を足してくる」

 「星砂様、お一人で行くのはご遠慮くださいませ。搭乗開始まで残り30分でございますので、皆様5分前にはこちらに集合していただき、それまでは各自ご自由にお過ごしください」

 「ボクもRestroom(トイレ)いきます!」

 「いよーっ!お土産物も沢山御座いますね!何れも此も目を惹く物ばかりで目移りしてしまいます!」

 「日本のお土産だから、相模ちゃんは買わなくていいんじゃないの?」

 「成る程!」

 

 紺田さんのOKが出た途端に散り散りになるのもどうかと思うけど、みんなそれぞれに残りの時間を楽しみ始めた。私もお手洗いには先に行っておこうっと。

 お手洗いから帰ってきても、まだ搭乗開始時刻までは時間があった。これからハワイという非日常へ旅立つ空気感のせいか、どことなくみんな浮き足立ってた。見た目に感情が出にくい納見君も、いつもはクールな極さんも、ハワイのパンフレットを穴が開くほど見つめていた。そんな中でひとりだけ、いつもと変わらない──それは別に落ち着いてるってわけじゃないけど──雰囲気でいる人がいた。

 

 「雷堂君」

 「ん?なんだ研前?」

 「なんだか雷堂君だけ、いつもと雰囲気変わらないなって思って。スニフ君とか虚戈さんとか、すごくテンション上がってるから。やっぱり飛行機慣れてると空港の雰囲気にも慣れてるんだ?」

 「まあ…慣れてるっちゃ慣れてるな」

 「ふーん。前の学校では、こういう本物の空港で授業したりしたの?」

 「課外授業で来ることはあるけど、見学だけだな」

 「じゃあハワイは?はじめて?」

 「ああ。はじめてだ」

 「そうなんだ。じゃあ、前の高校の修学旅行はどこ行ったの?」

 「いや…その修学旅行の途中で、例のほら、事件に巻き込まれて…」

 「ああ、『コナミ川の奇跡』!じゃあ、修学旅行は中学校ぶりなのかな?」

 「これって修学旅行なのか?」

 「クラスみんなで行くんだから、修学旅行でいいんじゃない?」

 「んまあ、研前がそう思うんならいいけど…」

 

 雷堂君とお話しようと思っても、基本こっちの質問に答えるだけでちっとも話が広がっていかない。そういうところだよ、雷堂君。確かにこの旅行って私が福引きで当てたから、修学旅行って言っていいかは微妙だけど、そんな細かいところどうでもいいじゃない。みんないるからきっと楽しいよ。

 半端に余っちゃった時間を、その辺りをふらふらしたりお土産物を眺めたりして過ごした。時間の流れが早くなったような気がして、いつの間にか搭乗開始時刻がすぐそこまで来ていた。

 

 「ハイッ!それでは希望ヶ峰学園ご一行様!搭乗開始時刻になりましたので、集合ください!」

 「おいてんちゃん!相模が外人客に捕まってまだトイレ行けてねえぞ!」

 「いよーっ!何方かお助けをォーーー!!」

 「なんとかして参りますので、みなさまお先にご搭乗くださいませ。ハイッ」

 

 写真をたくさん撮られて目を回してる相模さんのもとに、紺田さんと城之内君が駆けていった。日本にいてこの有様なのに、現地に着いたらもっと大変なことになっちゃいそう。大丈夫かな、相模さん。

 

 搭乗は案外スムーズで、四角い通路を歩いて行くといつの間にか飛行機が目の前に来ていた。さすがに他のお客さんと一緒だったからあんまりはしゃげなかったけど、はじめて乗る飛行機に興奮していつもより目が開いてた気がする。と思ってたら、後ろで虚戈さんが子供みたいにはしゃいでいた。

 

 「すごいすごーい♡マイム飛行機のこっち側ははじめて乗るよ♬広いねー大きいねー♬」

 「もう、マイムさんってばChildish(子供っぽい)ですね。あたりまえですよ」

 「おいお前ら。もういい加減静かにしろよ。楽器ケースに詰めて密輸(はこ)ばれてえか?」

 「「びくっ!!」」

 

 須磨倉君が一発で大人しくさせてた。すごいな。後ろにいた雷堂君はものすごく苦い顔をしてたけど、どうしたんだろう。

 手荷物は上の棚に入れておいて、自分の席に座った。窓際だけど真っ暗だから飛行機のライトや空港の灯りしか見えない。隣は茅ヶ崎さんで、席に着くなりフットレストを降ろして座席を後ろに倒した。注意事項のところに、離陸のときに全部元に戻すって書いてあるのに。

 

 「今はまだ搭乗中だからいーの」

 「えー、たまちゃん3人席の真ん中やだー!窓際がいい!」

 「ふう…!大丈夫だ、堕ちるはずがない。雷堂もいる。大丈夫…!」

 「いよーっ!寄席が聴けるのですか!素晴らしいですね!大変素晴らしい!」

 「わくわくするっすね!そろそろ飛ぶっすか!?もう行くっすか!?」

 「皆様、大変賑やかでよろしいですが、一般のお客様もいらっしゃいますので、お静かにお願いしますよ!」

 「こいつらの同行者だと思われることが恥ずかしい…」

 「全くだな。たかが飛行機ごときに浮つきおって」

 「お前は素で格好が恥ずかしい」

 

 どたばたするみんなを、紺田さんがなんとか席に着かせて、CAさんと一緒に荷物を棚に上げるお手伝いをしたり、席を元に戻させたりして回った。茅ヶ崎さんもしっかり席とフットレストを戻させられてた。全員の搭乗が終わるとすぐに飛行機は動き出して、その間にCAさんが緊急時の脱出方法の説明なんかしてる。

 

 「あんなの聞かなくても、“超高校級の幸運”の研前ちゃんがいるんだから大丈夫だよね」

 「あはは…」

 

 茅ヶ崎さんは冗談めかして言うけれど、自分の幸運の性質を知ってる私は愛想笑いも乾ききってしまった。それが精一杯だった。

 説明が終わって飛行機も滑走路にスタンバイできたらしく、いよいよ離陸の段階になった。ゆっくり動いていた飛行機がぴたりと止まった。なんだか緊張してくる。妙に時間が長く感じた。いつ飛ぶんだろうと思った矢先、エンジンが一機に回転しだした。

 

 「キャーッ!?」

 「うるせえな!エンジンだろただの!」

 「びっくりしました…!」

 「真横でガキんちょの悲鳴なんか聞かされ続けたら耳がイカレちまうだろ。お前離陸のときに騒ぐなよ」

 「I'll do good(善処します)

 

 スニフ君と城之内君がなんか言ってた。でも、スニフ君が驚くのも無理ないくらいのすごい音だった。そのあと飛行機が動き出したかと思うと、一気に加速する。座席に押しつけられるような感覚があった。そして、今まで体を支えていたものが消えたような…地面から車輪が離れたのを確かに感じた。

 

 「あっ、飛んだ」

 

 隣で茅ヶ崎さんがそう呟いたのが聞こえた。ふわっとした浮遊感。そのあとすぐに落ちる感覚。でも地面に着く前にまた下向きに押さえつけられる上昇感。そのまま一気に飛行機は暗い夜空に飛んでいった。

 

 「…!くっ…!おあっ!」

 「く、鉄さん大丈夫っすか!?ひじ掛け握りつぶす勢いっすけど!?」

 「皆桐くんどいて。鉄くんの上腕二頭筋見えない」

 「〜〜〜!!」

 「お前悲鳴こらえすぎて泣きそうじゃねえかよ!日本来るときにも飛行機乗ったんだろ!?苦手だったら先にそう言えよ!」

 「離陸しただけなのにみんな大層だねえ」

 「でも──ン゛アッ!!こんな浮いたり落ちたりしてたらしんぱ──オ゛オ゛ッ!!なんなんだよ!!ちゃんと飛ばせや!!」

 「意外と悲鳴が野太いな。キャラに合わんぞ」

 「っさい!!っていうかアンタひじ掛け両方使うな!!一個はたまちゃんのでしょ!!」

 「早い者勝ちだ。ふはは」

 「あれ?エルリだいじょーぶ?」

 「私は乗り物に弱いんだ…酔い止めもしっかり飲んでおいたが、少々気分が悪い…」

 

 離陸して飛行機が体勢を整えるまでの間に、みんなもうがやがや話し出した。どうなることかと思ったけど、案外みんな平気そう。シートベルト着用サインが消えると、みんなベルトを外してなんとなくくつろぎ始めた。相模さんはお待ちかねの寄席ラジオを聞き始めて、茅ヶ崎さんもシートとフットレストをめいっぱい倒した。

 

 「ハワイまでどれくらいだっけ?」

 「フライトは7時間18分おあるって。機内食で晩ご飯食べて、ちょっと寝て、今日の朝に着くの」

 「…え?今日の朝?」

 「ここに出てるよ。時差の影響で、いま向こうは今日になったばかりの深夜なんだって。だから着くのは今日の朝」

 「なんかタイムスリップしてるみたい。じゃあ1日得するんだ!」

 

 なんか時差の計算の仕方とか勉強したような気がするけど、もう忘れちゃったみたい。とにかく、私たちは今日の夜に日本を出発して、今日の朝にハワイに着く。だから私たちは、今日という日を2回過ごすことになるんだ。なんだか不思議だな。

 

 「ハイッ!茅ヶ崎様、研前様。機内食のご案内ですよ。お魚と鶏肉どちらがお好みですか?」

 「私は魚。研前ちゃんは?」

 「お腹空いちゃったから両方ほしいな」

 「えっ」

 「えっ」

 「では交渉してみます。ハイッ」

 

 茅ヶ崎さんには驚かれたけれど、紺田さんは笑顔で応対してくれた。そうやって紺田さんはみんなのために機内食の好みまで聞いてくれてるんだ。私のところにはお盛んと鶏肉の機内食が2つやってきた。紺田さんとCAさんがいっぱい喋ってたけど、どうも下越君も二つとも頼んだらしい。

 

 「へ〜っ!機内食っつってもなかなか色んなもんがそろってんだな!空の上で食べるってのもオツなもんだ!」

 「お前、何年前の人間だよ。冷凍食品だってあんだけ種類あるんだから、機内食だって同じようなもんだぞ」

 「なぜ雷堂が得意そうにしている」

 「エルリー♬CAさん来たよ♡ごはんいる?」

 「私は遠慮しておく…。スープだけください…」

 「じゃあエルリの分はマイムがもらうね☆」

 

 CAさんが呆れ顔で何か言った。城之内君とスニフ君だけ噴き出してたから、たぶん英語なんだろうな。虚戈さんったら、CAさん困らせちゃダメなのに。

 機内食も無事に食べおわって、気が付いたら飛行機の揺れはそれほど気にならなくなってた。慣れちゃったのか、操縦が上手いからほとんど揺れてないのか、分からないけど、これなら快適に練られそう。配られたBlanketを広げて、窓は日よけを閉めた。なんだかみんなと一緒に飛行機の中で寝るなんて、すごく特別な体験をしてるみたいで、すぐには寝られそうにない。機内が消灯して、私たちは目を閉じて眠った。

 


 

 シーン5『ハワイ到着!いざホテルへ!』

 「ALOHA!!」

 「アロハー♡」

 「アローーーハーーー!!」

 「皆様、アロハでございます。こちらがハワイの玄関口、ホノルル空港です!ハイッ」

 「やって来たぜ!!ハワァイィーーー!!」

 「YEAH!!」

 「寝起きでテンション高え…」

 

 私たちは、広い空港のど真ん中に立っていた。行き交う人たちはみんな旅行者で、そのほとんどは外国人だ。電光掲示板も、案内板も、全部アルファベット。聞こえてくるアナウンスや雑談も英語ばかり。肌で感じる空気が違う。私たちはようやく、ハワイにやってきた。

 

 「っしゃあ!!とうとう着いたぜハワイ!!おうてんちゃんよ!!こっからどうすんだ?海か?ビーチか?水着の女かぁ!!?」

 「まずはホテルへ参ります。まだこちらは朝の7:00を過ぎたところですので、あまりトバしすぎないようにしてくださいね。ハイッ」

 「確かにこの荷物を持って移動はできないっすね」

 「あちらにバスをご用意しておりますので、皆様ついて来てください。特にスニフ様と相模様ははぐれませんように」

 「ボクはだいじょぶですよ!いよさんの方がたいへんです!」

 「いよーっ!聞き捨てなりませんな!いよとてもう高校生でありますれば、異国の地に一人残されたとて何とでも成りましょう!スニフさんの様な子供こそ大変です!」

 「どっちもどっちだから早く来いよ」

 

 紺田さんの先導で、私たちは空港のバスターミナルに移動し始めた。スニフ君の大荷物は相変わらず鉄君が持ってあげて、相模さんはすぐに外国人観光客に写真をせがまれるから、城之内君と極さんと雷堂君がSPみたいに周りを固めて移動した。当の相模さんはそんなことに気付きもせず、外国の飾りやアルファベットが珍しいのか、空港のあちこちを眺めて目を輝かせていた。

 私もはぐれないようにしっかりついて行った。荒川さんはまだ気持ち悪そうにしてるのを、正地さんと皆桐君が支えてあげてた。下越君はレストランガイドがちっとも読めなくて、茅ヶ崎さんに読むのを手伝ってもらってる。

 

 「それでは皆様、参りましょう!バスにご乗車ください!ハイッ」

 

 空港のロータリーに停まっていたのは、希望ヶ峰学園のシンボルマークがラッピングされた観光バスだった。私たち17人のためだけにこんな大型のバスをチャーターできるなんて、一体どこからそんなお金が出て来てるんだろう。添乗員さんは紺田さんがやってるけどドライバーは現地の人っぽくて、紺田さんは英語でドライバーさんと話して荷物を積んで貰ってた。私たちの大荷物もバスのお腹に詰め込んで貰った。

 

 「ホテルまで長くはかかりませんので、少々お待ちください」

 「わくわくしてきた!ねえねえてんちゃん!ホテルにダーツバーとかあるのかな!たまちゃん久し振りにダーツやりたい!」

 「バーだとたまちゃん様はご入場いただけないかと」

 「こっちだと何歳から酒飲んでいいんだっけ?」

 「確か21歳だったな」

 「日本より厳しいじゃねえか!ちくしょう!堂々と晩酌してやろうと思ったのによ!」

 「堂々とっていうことは、下越くんいつもしてるの?」

 「鉄氏と須磨倉氏だったら21歳でも通用するんじゃあないかい?」

 「危ない橋は渡らないに限る…。修学旅行で羽目を外した愚か者の末路は…フフフ、想像するに心良い…」

 

 下越君の問題発言も気になるけど、荒川さんの言う通りわざわざ修学旅行でそんな危険を冒すことはないよね。お酒は確かに興味あるけど。

 

 「ところで皆様」

 

 バスが走り出して間もなく、紺田さんが神妙な声と面持ちで切り出した。急なテンションの変化に、私たちはみんな自然と耳を傾けた。

 

 「ホテルのお部屋割りの方ですが、一点皆様にご相談がありまして」

 「部屋割りとかあるんだ。てっきり大部屋で雑魚寝かと思ってた」

 「ハワイで雑魚寝したくねー」

 「今回の旅行では計4部屋とっておりまして、5人部屋が3つ、3人部屋が1つとなっております」

 「5人部屋が3つと3人部屋1つ…ん?ここには18人の人間がいるな?男も女も9人ずつ…」

 「Umm(あれ)?どうやってもわけらんないですよ」

 「はい。ホテルの方に何度も確認したのですが、お部屋はそれしかないとのことでした。私もいくつか通りの方法を試したのですが、どうしても“男女混合”のお部屋が1部屋出てしまいまして」

 「──!」

 

 後ろの方で誰かが椅子を鳴らした気配がする。たぶん城之内君だ。男女今後脳部屋が出るって…いやいやいや、そんなまさか、いくらなんでもそんなことは…。でもスニフ君がどうやっても分けられないって言うんだったら、たぶん無理なんだろう。頭の中で私もシミュレーションしてみるけど、やっぱりスニフ君の言う通りだった。

 

 「なにそれ!どうすんのよ!たまちゃん野郎と一緒の部屋なんかヤだよ!」

 「ですので、まず男女で分けてお部屋割りをお伝えします。女子の皆様は4−5に分かれて5人部屋でのご宿泊。男子の皆様は3−5−1と分かれて3人部屋5人部屋、あとのお一人は女子4人に混ざってのご宿泊となります」

 

 それを聞いた瞬間、男子たちの席がにわかに色めき立つのが分かった。

 

 「男子ひとりで女子の部屋…!?そ、そんな恐ろしいことになるのか…!?」

 「何言ってんだ鉄!うらやましいの間違いだろ!?マジかよてんちゃん!サイコーの旅行になりそうだなこりゃ!」

 「お前はぜってえ女子部屋行かせちゃダメなヤツだろ」

 「気持ちは分かるけどねえ」

 「ななな!何言ってるっすかてんちゃんさん!そういうのはまだ自分たちには早いっすから!いいいいいまからでも部屋とれたりとかないんすか!?」

 「騒ぐな凡俗共。ここは俺様が適役だろう。貴様らを女子部屋に投入して間違いが起きては困るからな」

 「そういうお前も間違いは起こしそうだけどな。もともと色々なことが間違ってるけども」

 「Nmm(うぅ)…」モジモジ

 「バカばっかだね。うちの男子」

 「あはは…」

 

 呆れ顔で茅ヶ崎さんが言う。修学旅行で男女が同じ部屋なんて、本当だったらあり得ないことなんだけどね。紺田さんが言うには部屋の変更や新しく予約するなんてこともできないらしくて、どうしてもその部屋割りになってしまうらしい。私は、男女が逆になるよりはいっか、くらいの気持ちで考えてた。

 

 「ですので、女子グループにまじる1名様を女子の皆様に決めていただこうかと。こういうのは信頼がないと成り立ちませんので」

 「さんせ〜♡」

 「まあ、変な人が来ちゃうよりはいいかもね…」

 「フフフ…選ぶ側で良かった。本当に良かった…」

 「いよっ?荒川さんは何を左様に深く胸をなで下ろしておりますので?」

 「こちらの紙にお名前を書いてお渡し下さい。角が立たないように秘密選挙制にします」

 「宣誓!オレ城之内大輔は、女子に一切手ェ出しません!だから選んでくれ!頼む!」

 「そういうこと言うから余計に選ばれなくなるんだよアンタ。黙って座っとけ」

 「ぐはっ!」

 

 スケッチブックから切り出した1枚を8つに千切って、紺田さんが女子みんなに渡す。男子が覗き見ないように見張っててもらい、紺田さんの帽子を容れ物代わりにして投票した。

 

 「それでは、票数の開示も無粋なので、結果のみ確認してお伝えしますね」

 「うおおおっ!!頼む!神よ…!オレの願いを聞き入れてくれ…!」

 「そんな下世話な願いを聞き入れる神はイヤだ。まあ…ちょっとドキドキするけど」

 「雷堂氏も好きだねえ」

 「バッ!?ちげ、バッ!?なに言っ…ちげーよ!」

 「お前ら恥ずかしくねえのかよ…。見てみろ、あそこの3人の視線。同じ男子とは思えない目してるぞ」

 

 須磨倉君が指さした先では、スニフ君と皆桐君と下越君が呆れと恥ずかしさと軽蔑の混じったじっとりとした目で城之内君たちを見ていた。城之内君の気持ちは分からないでもないけど、やっぱりあの3人の方が信頼できちゃうもんね。

 

 「ハイッ!結果が出ました。女子と一緒にお泊まりになるのは…」

 「こいっ!こいっ!」

 「満場一致でスニフ様です♬ハイッ」

 「チクショーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 「うるさい」

 「ぐほあっ!?」

 「わあああああああっ!!?城之内ィィイイイイイ!!?」

 「バックハンド・エルボーだ」

 

 当然の結果だった。下越君も皆桐君も安心だとは思ったけど、さすがにちょっとね。スニフ君ならまだ子供だから安心だし。でも私以外のみんなもそう考えてるなんてちょっと意外だったな。茅ヶ崎さんとか、雷堂君の名前書きそうだと思ったのに。

 一方で指名されたスニフ君は顔を真っ赤にして戸惑ってる。まだ小学生なのに、まったくおませさんなんだから。

 

 「ボ、ボクですかあ!?あうぅ…!」

 「わーいスニフ君とおんなじ部屋だー♬恥ずかしがっちゃってカーワイー♡」

 「はわわ…」

 「スニフくんなら安心だわ。ちゃんとお利口にしていられるわよね」

 「はあ」

 「では部屋割りですが、スニフ様と一緒のお部屋になる方はどのように決めましょう」

 「はいはいはーい♡マイムはスニフ君と一緒がいいー♬」

 「私も少年と同じ部屋にしてもらおう。女子部屋の雰囲気は…正直あまり得意ではないからな」

 「じゃあ私もスニフ君と一緒の部屋にしようかな」

 「私はスニフを出汁に男子が良からぬことを企てないよう、見張り役を兼ねてそちらの部屋に泊まろう」

 「おいおいなんだいスニフ氏。モテモテだねえ」

 「ヒューヒュー!」

 「///」

 「ではそれ以外の女子の皆様は、私と一緒ということで」

 「男子の部屋割りはどうする?3人部屋と5人部屋だったよな」

 「くじ引きでテキトーに決めっか。紺田からもらった予定(はこ)びじゃ、別に部屋にいるのなんて寝るときくらいだろ?」

 「そこが修学旅行で楽しいところだろ何言ってんだ須磨倉!正気か!?」

 「スケベに命懸けて神頼みまでしだすヤツに言われたくない」

 

 男子は男子で部屋割りを決めてた。女子チームはなんだかなんだであっさり決まったけど、スニフ君がひとりいるだけでこんな簡単に決まるなんて、もしかしてスニフ君ってモテるのかな?虚戈さんの愛情表現はなかなか危ない領域にいってる気もするけど。

 

 「ハイッ!皆様、そろそろ目的地のホテルが見えて参りましたよ!右手をご覧ください!」

 「おっ!どんなんだ!?」

 「民泊とかじゃねえの?」

 「飯が美味けりゃなんだっていいぜオレは」

 「一番高いのが中指でございます」

 「「ズコーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」」

 「お約束です。お付き合いいただきありがとうございます!ハイッ!では改めて。バスの左側をご覧くださいませ」

 

 バスがひっくり返るんじゃないかって勢いでみんながずっこけた。私もついノっちゃった。ハワイは島っていうだけあって、空港からバスを走らせると10分そこらであっという間に街中に出て、目的のホテルに着いた。目的地が近付いてくるにつれて、窓から見える景色は白い砂浜から高級そうな高層ホテルの数々に変わってきていた。期待がどんどん高まってくる。

 

 「Wow(わーお)!!ボクたちのStay(泊まる)するHotel(ホテル)ここにありますか!?GREAT(ヤッベエ)!!」

 「おいおいおいおい…マジかよ。こんなことだったらウチのチビたち連れてくりゃ良かった…。なあてんちゃんさ、ここの飯とかタッパに入れて空輸(はこ)んじゃダメか?」

 「そういったことはちょっと…ホテルレストランのレトルトなどをご購入されては?」

 「いやあ…うん、まあ正論だ」

 「…そう落ち込むな須磨倉。私が少しカンパしてやろう」

 「いーや!味覚えてオレが作ってやるよ!」

 「お前ら…!俺はいいダチ持ったなあ…!」

 

 明らかに肩を落とした須磨倉君に、極さんが優しい言葉をかける。さらに今度は下越君が元気付ける。須磨倉君は涙目になりながら二人を抱きしめようとして、極さんに関節極められてた。タッパに入れてって、タッパ持って来てるの?ハワイに?でも確かに、美味しいご飯が出てきそうなホテルだった。

 

 「ハイッ!到着でございます!みなさまロビーにてお待ちください!」

 

 ゆっくり停車したバスから降りて、ホテルの大きな自動ドアの前に立つ。青い空によく映える真っ白な壁。ところどころに走る金色の装飾はきらびやかなのに上品だ。植え込みの周りには枯れ葉一つ落ちてなくて、レンガ造りの道が公道からホテルの敷地内に延びていた。

 

 「いよおおおおおおっ!!?なんですかこれはああああああ!!」

 「はしゃぐな凡俗。これしきのホテルで」

 「そう言いながら早足になってんよアンタ」

 「ここロビーだろ!?なんで噴水があるんだよ!?」

 「エレベーターがスケスケよ…上から降りるとき怖いかも…」

 「The big chandelier(超デカいシャンデリア)!!Golden statue(黄金の像)!!ここはDream()ですか!?」

 「修学旅行で来るレベルを超えてないかい…?なんでこんなホテルに泊まれるんだい?」

 「こなたがラッキーだったからだよねー♬ありがとこなた♡ちゅっ♡」

 「サンキューな研前!」

 「い、いやあ…それほどでもないよ…」

 

 ロビーに一歩入った瞬間に、みんなのテンションが一気に上がったのを感じた。あまりの豪華さに須磨倉君は豪華酔いしたみたいでふらふらしてるし、相模さんは今までにないくらい目を丸くしてた。極さんや鉄君も口をポカンと開けて、私たちはロビーの真ん中でぽつんと立っているだけだった。すぐに後からやってきた紺田さんが、私たちの前に立ってにこっと笑った。

 

 「ハイッ、注目です。こちらがこの度、皆様がご宿泊される、『ホテル ベ・ラボータ・ケーナ』でございます。中でも皆様のお部屋は、高層フロアのファミリースイートでございます」

 「ファミリースイート…高層フロア…?なんだそれは。いつの間に私たちはセレブの仲間入りをしたんだ…?」

 「お部屋にもシャワールームはございますが、ホテル内に温泉やスパがございます。プールにトレーニングジム、ボウリング場やダーツ・ビリヤードなどができる遊技場、地下にはカジノと映画館があり、中層にはコンサートホールや図書館などのスロウアクティビティ施設もございます。また、ホテル内に飾られた絵画や彫刻はどれも各国の巨匠によるマスターピースばかり。もちろん、グランドフロアのレストランで腕を振るうのは三ツ星シェフばかりです」

 「至れり尽くされ過ぎて逆に怖えわ!!なんだよここ!?どういうテンションで泊まればいいんだよ!?」

 「こ、こここ、こんなところろろろろろろ!?泊まっていいんすかあ!?自分みたいなもんが…うおおおおおおおんっ!!研前さん!!ありがとうございます!!このご恩は一生忘れないっす!!」

 「大袈裟だってみんな…」

 「絶対お前のリアクションの薄さの方がおかしいからな」

 「それでは皆様、お部屋に参りましょう」

 


 

 シーン6.『お部屋チェーック!』

 紺田さんの案内で、私たちはホテルの奥に進んだ。フロントでは城之内君とスニフ君が紺田さんの手伝いをして、スムーズにチェックインしてくれた。やっぱり外国だとこの二人は頼りになる。雷堂君と星砂君も英語はちょっと喋れるって言ってたのに、いざ現地で話す機会がくると大人しくなっちゃう。頼りないんだから、もう。

 エレベーターの中はこれでもかってくらいゴージャスを詰め込んだような内装で、ピカピカに磨かれた金色の壁に私たち全員の姿が映ってる。音もなく、だけど一気に上昇したせいで耳の奥がツンとなるあれがやってきた。

 

 「耳が痛いよー×」

 「あーん!耳がいたいですよー!」

 「耳抜きするといいっすよ!こうやって鼻をつまんで、フンッてやるんす!」

 「フンッ♂」

 「言うんじゃなくて、鼻から息を出すのよ」

 「ン〜〜〜!あ!治った♬治ったよー♬」

 「飛行機ではならなかったのかこいつら…!?」

 「というか、これどこまで上がるんだ…?耳抜きが必要なほど高層ってことだよな?」

 「到着でございます」

 

 かすかな浮遊感。音もなくドアが開くと、一気に太陽光が入り込んできた。正面に広がるのは、まさに南の楽園の景色だった。キラキラ光る青い海がどこまでも広がっていた。白い砂浜ときらびやかなホテル群、そして山と木々が繊細な色合いで島を覆っている。小さく動いているのはきっと私たちと同じ観光客たちだ。まだこっちは朝だから、これからこの島は動き出すんだと思うと、なんだかわくわくしてくる。

 

 「すっげええええええええっ!!!これ現実か!!?夢か!!?」

 「いよっ」

 「いだだだだだだっ!!?なんだよ相模!!」

 「城之内さんが、此の南禅寺から見る春の眺めも斯くやの絶景を夢と疑われていたので、紛うことなき現実であるとお教えしようかと」

 「おいそこ、いちゃつくなよ」

 「いちゃついてねえよ!!」

 「このフロアはファミリースイートのみなので、貸し切り状態です。お部屋の配置はこのようになっております。皆様、お荷物を置いて、またこちらのエレベーターホールに集合くださいませ」

 

 紺田さんがそう言うと、ホールのガラス窓にへばり付いていたみんながひとり、またひとりと離れて部屋に向かって行った。そっちもすごく気になる。荷物も多いから、一旦降ろしたい気分だったから私も部屋に向かった。えっと、ルームメイトは極さんと虚戈さんと荒川さんとスニフ君だ。なんだかすごく個性的な人が集まっちゃった気がするなあ。

 部屋のドアを開けると、まず現れたのはゆったりとしたリビングルームだった。ガラスのローテーブルの周りにはふかふかのソファやひじ掛け椅子が設置されていて、奥には全面ガラス張りの窓が部屋とテラスを仕切っていた。そのテラスからの景色は、エレベーターホールより一層キレイだった。きっと他の島も見える角度だからだ。

 

 「うわ…!すごっ…!」

 「マイムおトイレいくー×あれ?ここトイレ?トイレだ!ひろっ!?おふろもあるよー♡」

 「ダイニングテーブルとキッチン、食料庫まであるのか…」

 「景色を眺めながら入れるジャグジー…100インチのテレビモニター…照明つきのシーリングファン…寝室には間接照明とアロマキャンドルか…フフフ。映え殺されそうだ」

 「なんだその頭の悪そうな死因は」

 「うぅ…」

 「見てみてスニフ君!景色すっごくきれいだよ!」

 「恥ずかしがっているのか?フフフ…そんな必要はない。私たちは全員、少年と同じ部屋になることを自ら志願した者たちだ。せっかくの豪華なこの旅行、楽しまねば損というものだろう」

 「そういうことじゃないと思うんですけど…」

 「マイムはスニフ君とおんなじベッドでねるもんねー♬スニフ君子供体温で温かいから湯たんぽがわり♡」

 「うええっ!?そ、それはあ!」

 「ベッドは1人1つだ。そういうことをしないために私はこっちの部屋に来たのだ」

 「ベッドルームも二部屋あるのか。3人と2人、ふむ…」

 

 スニフ君は自分の荷物を抱えたまま部屋に入ってすぐのところでモジモジしてた。やっぱり女の子のグループに入るのは恥ずかしいのかな。取りあえず紺田さんが待ってることだし、簡単に荷下ろししておきたいけど、ベッドルームの割り振りをどうするのか相談になった。虚戈さんがスニフ君と2人部屋になりたいと言いだしたけど、さすがにそれはNGが出た。

 

 「虚戈は私と同じ部屋にしてもらうぞ。あとの3人で向こうの部屋を使うといい」

 「うえーん☂なんでそんないじわるするのさー×」

 「以前から思っていたが、お前のスニフに対する態度は愛玩の域を超えている。2人部屋など言語道断だ」

 「ゴンゴドーダンってなんですか?」

 「とにかくダメってことだよ。私も賛成かな。いくらスニフ君だからって、2人部屋に男の子と一緒にはちょっと…ね。そういうのはスニフ君には早いよ」

 「そういうのってなんですか?」

 「そういうのはそういうのだよ」

 「うむ。少年の貞操がこんな形で奪われては、教育によくない」

 「テイソーってなんですか?」

 「ダイソーだよ」

 「みんなマイムのことなんだと思ってるのさー!怒っちゃうぞー!」

 

 虚戈さんは最後までぶーぶー言ってたけど、極さんに抵抗できるはずもなくあっさり連行された。私とスニフ君と荒川さんで3人部屋のベッドルームを使って、スニフ君が真ん中、私と荒川さんで端っこを使うことにした。荷物を広げて、ケータイの充電器をコンセントに繋いで準備OKだ。これから気温が高くなるだろうから、ローファーからデザインヒールに履き替えて帽子も出す。これで取りあえずお出かけ準備完了だ。

 

 「スニフ君と荒川さんも準備できた?」

 「はい!ボクGlass(サングラス)もってきました!Aloha shirt(アロハシャツ)もあります!どうですか?」

 「うん、似合う似合う。かわいいよ」

 「やはりモンゴロイドよりアングロサクソンの方がこういう格好が似合うのだな」

 「ふふーん!」

 「ねえねえ早く行こーよ…きゃーっ♡スニフ君かわいい♡なにそれー♬」

 「むぎゅう」

 「少し目を離すとすぐこれだ。お前たちも準備できたなら行くぞ」

 「はーい」

 

 極さんはいつもの厚手の服から、ラフで軽やかな服に着替えてた。サングラスをかけると大人の女性って感じがしてかっこいい。虚戈さんはやっぱり派手な服装だけど、半袖でシルクハットの飾がハイビスカスに変わってた。荒川さんもさすがに白衣にはなってなくて、落ち着いた色のワンピースに着替えていつもと雰囲気がガラッと変わってた。あと水着を入れたバッグも持ってる。みんなせっかくの機会だからいつもと違う格好したいんだね。

 エレベーターホールでは男子みんなと紺田さんが私たちを待ってた。自分の荷物はもう運び込んで、荷ほどきも終わったらしい。服装もさっきまでより軽装になってて、手荷物も少ない。旅行慣れしてるし、手際がいいんだなあ。男子は着替えもそこそこに、適当に荷物を広げて戻って来たらしい。

 

 「ハイッ、それでは皆様揃いましたね!それではこの後のスケジュールを発表いたします!まずはパンケーキレストランで朝食を摂りまして、その後はビーチで海水浴です!みなさま水着はご準備いただいてますか?」

 「はーい!」

 「うひょー!ビーチだ!水着だ!おいスニフ!ナンパ行くぞ!」

 「Wow(わーお)Nampa(ナンパ)!」

 「スニフにヘンなこと教えるんじゃねえよ。てかガキんちょ連れてたら口説(はこ)べるもんも口説(はこ)べねえぞ!」

 「ガキんちょじゃないです!たのしそうだからボクもNampa(ナンパ)行きたいです!」

 「スニフ君。そういうのはよくないと思うよ」

 「ダイスケさん!Nampa(ナンパ)なんてサイテーです!」

 「どっちだよ!」

 「もうたまちゃんお腹空いたよー!早くご飯食べに行こうよー!」

 「自分ももうペコペコっす!」

 「ホテルからすぐですので、歩いて参りましょう。ハイッ」

 

 到着したエレベーターに乗って、私たちは地上まで下りて行った。いよいよこれから本格的にハワイ旅行が始まるんだって思ったら、なんだかわくわくしてきた。どんな旅行になるか楽しみな気持ちもあるけど、私もなんだかお腹空いてきちゃった。ハワイのパンケーキが楽しみすぎて、お腹がぐうと鳴った。誰にも聞かれてないといいな。




一応やることは決めてありますけど、ハワイはこんないいところがあるよ!って方は活動報告のコメントで教えていただけるとありがたいです。
感想欄で意見を募ったりアンケート行為をするのは規約に引っかかる場合があるとのことなので、そちらはご遠慮ください。くれぐれも。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。