誰も“死”なない物語
死んだことにさえ気付かなかった。
ただ、全身が溶けそうなほどの高熱と脳が掻き毟られるような頭の痛みだけを覚えている。
目覚めはこれ以上ないほどに良好だ。
思考回路は素晴らしい陰惨かつ暗澹としたアイデアで満たされている。
棺から起き上がりすぐに部屋を飛び出した。
どこへ行けばいいのか、何をすればいいのか、自分の役目は何か。
その答えは既に頭の中にある。
ドアを開け放って待っていたその部屋へ足を踏み入れると、新しい主の登場を部屋中のモニターが出迎えた。
ヘッドフォンを装着し、上質な椅子に飛び乗って、正面のモニターを覗き込む。
泣き叫ぶ声が聞こえる。
恐怖に支配された絶叫が響く。
何人かは体中の血が消え失せたような顔色をしている。
軽くなった肉体が無造作に投げ捨てられた。
ある者はその場を逃げ出し、ある者は恐怖で腰を抜かし、ある者は気を失っていた。
池から射出された
刹那、あらゆる音が停止し──、一層の叫喚が轟く。
「うぷぷ!うぷぷぷぷ!!うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひひゃゃ!!」
今まで隣にいた彼らへ。
「さあ、みなさん!!ここからがホントの
まだ何も知らない彼らへ。
「いっぱいあそんであげますよ!!ボクといっしょに、たっぷりたのしみましょうね!!」
新しい物語を紡いでゆく彼らへ。
「
いずれ死に行く運命の彼らへ。
「
緑碧の双眸を輝かせたスニフが、停止したモノクマを抱きしめた。
17人の高校生は、終わらないコロシアイの円環に在り続ける。
死んでは生き返り、生き返っては死に、ただそれを繰り返す。
しかし彼らの演じる物語は、いずれも異なる筋書きを辿っていく。
次のコロシアイもまた、今までとは異なる物語を紡ぐだろう。
それはまるで
これは、誰も“死”なない物語。
コロシアイ・エンターテインメント
生き残り:16人
「う・ぷ・ぷ♬」
『ダンガンロンパカレイド』本編はこれにて完結です!
ありがとうございました!