ダンガンロンパカレイド   作:じゃん@論破

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(非)日常編5

 

 このエリアは薄暗くて不気味だねえ。新しく開放されてからろくに人が入ってないっていうのもお、強ち無い話じゃなさそうだあ。だってここにあるものはどれも持ち出し禁止でえ、来たって得るものが何もないからねえ。

 

 「やっぱり今日はやめておいた方がいいかなあ」

 「お前から言いだしたことだろう」

 「そうだけどねえ」

 

 そんな意味のないところになんでおれが来ているかって言うとお、それはちょっとした興味のためなんだよねえ。要は見物するのが用。この倉庫エリアの奥にあるっていう武器庫にあるものをねえ。

 武器庫っていうのはまあ名前の通りだろうねえ。モノクマがホテルのフロントに鍵を置いていったくらいだから、コロシアイに活用しろってことなんだろうけどお、おれはそんな滅多なことは考えてないよお。その証拠に、鍵を持ってるのはおれじゃあない。それに隣であくびをしてる荒川氏でもない。

 

 「しかし誰なんだろうねえ。武器庫に用事があるなんて物好きな人はさあ」

 「お前が言うな。わざわざ私の時間までとりおって」

 「『弱み』を打ち明けあった仲じゃあないかあ。おっと、でもそれ以上の深い仲になるつもりはないよお。行っても1000円以下の貸し借りまでねえ」

 「どの辺にあるのか分からないな・・・。まあお前に隠しても仕方ないが、私は今まで友人らしい友人がいたことがない!故にそれが深い仲なのかすらも判断しかねる!」

 「誇らしげに言うこっちゃないよお。まあ親友を10としたら、3くらいかねえ?」

 「低いな」

 「状況が状況だからねえ。おれはこう見えてシビアな質なのさあ」

 「そうか。いやしかし、友好関係の数値化というのは興味深い。明確に、たとえば5以上ならば友達、8以上は親友などという一定のルールを作ってしまえば、もうあんな切ない想いをすることも・・・スニフ少年と一つ話し合いの場を設けようか」

 「深くは突っ込まないけど一つだけ突っ込ませてもらうよお」

 「なんだ」

 「荒川氏は人に恵まれないねえ」

 「ンガッ・・・!?くうぅ・・・やはり私にコミュニケーションは向いていない。理論と数値によって合理化された科学と、深淵なる神秘に包まれた不可解な魔術の世界だけが私の居場所なんだ・・・」

 「こんな暗い場所で暗くならないでおくれよお。そもそも、もしものときのために連れてきたっていうのにい」

 「もしものときは私はお前を捨てて一目散に逃げる。それはもう逃げるぞ」

 

 早速見捨てる宣言をされちゃったよお。やっぱりおれと荒川氏の間に友情なんてものはないんだねえ。あくまで『弱み』を打ち明け合っただけの関係、まあ気楽でいいけどねえ。

 なんでおれと荒川氏が倉庫エリアにいるかと言うとお、おれが荒川氏を誘ったからだあ。倉庫エリアの意味深な武器庫、そもそもなんでそんな場所が用意されているのかも疑問だけどお、つい先日のモノクマの言葉と星砂氏の発言で気が付いた。そこはおれたちの中にいる、“アイツ”のために用意されたんだ。

 

 「しかし、“超高校級の死の商人”の作品が見たいなど、お前も冷静に状況を弁えているとは言い難いぞ」

 「それを分かった上で付き合ってくれる荒川氏は優しいねえ。極氏もちょっと葛藤してたけどお、やっぱりおれは我慢できなかったよお。死の商人ってのは元々武器商人のことだろお?その“超高校級”ってことはあ、武器として以上の価値がその品物にはあるはずなんだよお」

 

 そう言えば鉄氏の家は刀匠だったねえ。鉄氏も前に言ってたけど、日本刀に代表されるように今や武器は美術品の一つとされている。まさか実用なんてできないしねえ。“超高校級の造形家”として見ておかないとねえ。そう思ってカウンターに鍵を取りに行こうと思ったらあ、もう無くなってた。誰かが先に武器庫に行った。それはつまり、これから武器庫に行くおれと鉢合わせて一事件起きるかもしれないってことだあ。それを防ぐために、荒川氏を頼ったんだけどねえ。

 

 「芸術というのは私の埒外だが、その“超高校級の死の商人”が芸術的センスを持っているということか?」

 「さあね。その“才能”がどこにあるのかが分からないからねえ。『造り手』としてなのか、『売り手』としてなのか・・・それとも死の商人っていう言葉自体の意味を勘違いしているのかもねえ。不吉を届けに来たぜ的なことかもよお?」

 「最後のだけは勘弁願いたいな・・・。いずれにせよ、こうして危険を冒してまで赴くのだ。ただの興味本位だけということもあるまい」

 「さすがにバレるかい?そうだねえ。おれの“才能”がみんなのために役立つって言ったら、これくらいのことしか思い浮かばないからさあ」

 

 ぺたぺたというおれのサンダルの音と、コツコツという荒川氏のハイヒールの音が混ざって妙な音になってる。武器庫が近付いてくると、さすがに心臓の鼓動が強くなって胸が痛くなってくる。今更になってどうしようって思い出したけど、もう遅いよねえ。

 誰がいるか分からないけれど、おれたちには武器庫を訪れる大義名分がある。同じ考えを持って極氏か鉄氏が訪れてないとも限らない。大丈夫・・・だと思うんだけどねえ。

 

 「そこを曲がると・・・武器庫だな」

 「そうだねえ」

 「お前が先に行け。行きたいのだろう?」

 「いやここはスニフ氏リスペクトでレディーファースト」

 「都合のいいときだけ女扱いするな!男なら甲斐性を見せろ!」

 「そっちこそ都合のいいときだけ男扱いしてるじゃあないかあ!言っとくけどおれの運動神経は0だぞお!」

 

 角からこっそり様子をうかがうけど、薄暗くて全然見えない。へっぴり腰を後ろから荒川氏にせっつかれて、何も起きないように祈りながら少しずつ武器庫の方へ足を進める。ゆっくりゆっくり足音を立てないように歩いて・・・角を、曲が──。

 

 「ぅあっ!」「おわああっ!!?」「ぬあああっ!!?」

 

 曲がろうとした矢先、向かいから誰かがぶつかってきた。向こうが走ってたせいでおれは後ろに仰け反って、荒川氏を巻き込んで一緒に倒れた。もみくちゃになったせいで眼鏡が飛んで、起き上がってもどっちが何やら全然分からない。

 

 「いたた・・・!荒川氏!大丈夫かい!?」

 「うぅ・・・メガネメガネ・・・」

 「ダメだこりゃあ・・・」

 

 輪郭のぼやけた景色の中で、白い塊の上に黒い塊が乗った何かがもぞもぞ動いてる。その奥から、コツコツという固い音とシャラシャラいうキレイな音が聞こえてきたけれど、今ぶつかってきたのが誰かは分からないままだ。

 

 「あ、あったメガネ・・・うぉっ!?キッツ・・・!これ荒川氏のじゃあないか!」

 「ん〜・・・視界がぼやけると思ったらお前のメガネではないか。互いにメガネを取り違えるとはなんと間抜けな」

 

 目がεになった荒川氏と目が3になったおれとでメガネを交換して、周囲を確認した。やっぱりぶつかった誰かはすぐにいなくなってて、おれと荒川氏しかいなかった。武器庫はまだ開いてるみたいで、鍵を置きっぱなしにしてた。おれたちの足音か話し声を聞いて、焦って逃げたってことだねえ。

 

 「よくないなあ」

 「良くないな。後ろめたいことをしているという自覚があるということだ」

 「さすがにここからまた持ち出すのは、シャレにならないよねえ」

 「無論だ。それでも持ち出すと言うのであれば、私はお前のことを学級裁判で糾弾せねばならなくなる」

 

 仕方がないから、当初の目的通り武器を見て“超高校級の死の商人”の正体に迫ることにした。だけど既に一人がなんらかの武器を持ちだしたことが確定してしまった以上、新しく武器を増やして不穏にすることはできない。だからひとまず荒川氏の監視付きで、武器を調べることにした。

 

 

 

 

 

 ギスギスしたお昼ご飯の後で、私は食器の片付けと下越くんの晩ご飯の仕込みを手伝った。スニフくんと雷堂くんも一緒に残って手伝ってくれて、今日の晩ご飯はなんだか豪華になりそう。

 

 「嫌いなもんがあったら言えよ。今日の晩飯は身体の芯から温まるポトフだ。メインはたっぷりのチーズでコクを出したミートグラタンにして、サラダはトマトとアボカド入りだぜ!」

 「ゴクリ・・・Sounds good(おいしそう)・・・!たべたばっかりなのにおなかへりそうです」

 「運動したらお腹も空くわよ。アクティブエリアでバドミントンでもする?」

 「そんなテンションじゃねえけどな」

 「ボク、バドミントンよりゴルフしたいです」

 「ゴルフなんかしたことあるの?」

 「ないです。でもゴルフはGentleman(紳士)のSportsなんです。だからやっておかないとです。ヒッシューです」

 「さすがにゴルフできるような広さはないわね。練習場はあったけれど」

 「十分すげえぞ」

 

 晩ご飯への期待が高まる中、私は洗い物担当でどんどん洗ったお皿をスニフくんにパスする。スニフくんはそれをキレイに拭いて磨いて、雷堂くんにパスする。雷堂くんはまとまった食器を食器棚にしまう。ご飯の準備は全部下越くんが一人でやってるけれど、私たちに負けないくらい素早く手際よく下拵えをして、なんだか早回しのビデオを見てるみたい。

 

 「下越くんは普段運動してるの?」

 「いんにゃ。厨房駆け回ってっからそれで運動できてんのかねえ。まあ体育の成績は別に悪かなかったぜ。それにこういうデケえ鍋振るのに体力結構使うからな。おかげで腹筋もホレ」

 「ん゛ん゛〜〜ッ♡」

 「どしました?セーラさん?」

 「なんでもないわ」

 

 不意打ちで下越くんの腹筋なんか見せられて、危うくお皿落として割っちゃうところだった。本人が言ってるように実用的だから無駄がなくてスマートなシルエットになってる。それでも離れたところから見て分かる薄く盛り上がったシックスパックがなんだか逆にいやらしい。鉄くんのガッチリ固くてマンゴーみたいにくっきり分かれてるのもうっとりしちゃうけど、こういうのもなんか逆にアリよね。

 

 「なあ。さっきの極のことだけどさ」

 

 ふと、雷堂くんの真剣な声色で我に返った。すっかり食器を洗う手が止まって、スニフくんが次に拭く食器を待ってエプロンの裾を引っ張ってるのにも気付かなかったなんて。

 それよりも、雷堂くんの言葉で下越くんとスニフくんに少し緊張が走ってるのが分かった。さっきの極さんと星砂くんのやり取りは、たとえ私たちのことを思ってくれてたのだとしても、やっぱり怖かったから。

 

 「わざわざ俺が言うこっちゃないかも知れないけど・・・あれはあいつなりにみんなのことを思ってのことだったんだよ。確かにあいつは力技なところもあるけど、不器用なだけで良いヤツなんだ」

 「んなことわかってらあ。そういうお前こそどうなんだよ」

 「え?俺?」

 「極がああ言ってるときも座って止めるだけだったろ。俺はお前にできることだけやりゃあいいって言ったけどな、女ァ前に立たせて自分は後ろにいるだけなんて男らしくねえぞ!」

 「いや、だからあれは極が勝手にやりだしたことで、俺はもっと他のやり方を・・・」

 「ワタルさんもみなさんに言いたいことありますか?」

 「う〜ん、というより、まあ極が言ったように全員が確実に動機をクリアする状況を作りたくはあるけど、今の状況じゃ誰がクリアしてて誰がクリアしてないか分からないからどうにもな。だけど、まだクリアしてないヤツがいるんなら、助けてやらないといけない」

 「ボクはClearしましたよ!モノモノウォッチ見せてもいいです!」

 「オレもいつの間にかクリアだったな」

 「下越くんはいい加減気付こうよ」

 

 もしかして下越くん、まだ自分が『弱み』を言っちゃったこと気付いてないの?別にいいけど、ちょっと本気で心配になるレベルで状況が分かってないわね。

 

 「動機が配られたときに星砂が言ってたように、“超高校級の死の商人”だっているんだ。そいつの『弱み』は十中八九、自分が“超高校級の死の商人”である事実だ。だからそれを打ち明ける相手が必要なんだ。そいつが無事でいられるかも分からない・・・だから、俺たち全員が協力してそいつを助けてやらなきゃいけないんだ」

 「た、助ける?どうしてそうなるの?」

 「もし本当に“超高校級の死の商人”なんてヤツがいても、そいつだって24時間以内に『弱み』を打ち明けなきゃモノクマに処刑されるんだろ。だったら、見殺しになんてできない。きっと誰にも言い出せずに困ってるだろうし・・・ま、間違いが起きたら困るしな!」

 「・・・」

 「でもボク、ダイスケさんからききました!“Death Merchant”ってとってもGuilty(罪深い)です!」

 「そりゃそうだ、よくわかんねーけど。けどなスニフ、そいつだって生きてんだぜ?そいつだって毎日腹空かして飯も食うし、そいつが守りたいもんだってあるんだ。やったことも大事だけど、何をしたって変わらねえ根っこの部分ってもんがあらあな。そこを想像してやんなきゃいけねえぞ」

 「・・・?そうなんですか?」

 「そうよ。いくら悪いことをした人でも、スニフくんくらい小さいときから悪かったわけじゃないもの」

 「ボクは小さくないです!High school studentですよ!」

 「まあとにかく、根っからの悪人なんていねえってこった」

 「悪人かどうかはさておいて、たとえ悪人だろうと善人だろうと、処刑なんてもうたくさんだ。“超高校級の死の商人”も必ずそのことを打ち明ける必要があるから、この24時間はなんとか乗り切らなきゃいけないんだ」

 「そうね。だけど、もしその人がみんなに自分が“超高校級の死の商人”だって言って・・・その後はみんな、その人のことを信用してあげられるの?」

 「正直に言ったんだろ?信じるっきゃねえだろ!」

 「みんなテルジさんくらいSimpleだったらよかったです」

 「ほめんない!」

 「あんまりほめてないです」

 

 スニフくんの皮肉にも気付かないで下越くんはにっかと笑う。本当に単純ね。それにしても、“超高校級の死の商人”の存在がみんなにとって不安の種になってるっていうのは間違いないみたい。きっとこのままじゃ、それが原因でまたコロシアイが起きてしまう。それだけは止めないと。

 

 「信じられるかどうかは分からないな・・・でも、今まで俺たちにそのことを黙ってたんだろ?モノクマの動機があって初めて言い出すんじゃああんまりな・・・」

 「言いたくない理由だってあるはずよ。だって、私たちが“超高校級の死の商人”の存在を知ったのは、最初の裁判の後じゃない。その後、城之内くんが相模さんに殺されたけれど、その間その人は何もしてないわ」

 「ホントだ!じゃあ“Ultimate Death Merchant”はわるい人じゃないですか!?」

 「そうとも限らない。機を伺ってるだけかも知れないだろ」

 「だから雷堂は慎重過ぎんだって!もっとざっくりでいいだろ!」

 「ここは慎重になるところだろ」

 

 私だって“超高校級の死の商人”の実態を知ってるわけじゃないけれど、ここまで何もしてないのに、“才能”とモノクマの言い方だけでここまで疑われちゃうなんて。疑いがあるとみんなが殺伐としてしまう。どうにかできないかしら。私にできることは・・・。

 

 「おっしゃ、だいたい片付いたかな。ありがとなお前ら!助かった!」

 「どろいためまして!」

 「泥?泥料理は食ったことあるけど、炒めたもんは知らねえな」

 「どういたしまして、ね」

 「それでした!」

 「泥料理って・・・美味いのかそれ?」

 「一口でミネラルにぶん殴られたって感じだったぜ」

 「分からん」

 「他に何か手伝うことはない?晩ご飯の準備も大変でしょ?」

 「ありがとよ。けど大丈夫だ。良い料理人ってのはテーブルに皿出すまで料理は人に見せねえもんだぜ。こっからは一人でやるから出てった出てった」

 

 食器を洗い終わって、私たちは下越くんに厨房から追い出された。追い出された私たちは、特にやることもなくて、かと言ってみんなの『弱み』を聞いて回るなんてこともできなくて、ひとまずお部屋に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 「お前もうここ出禁!それ丸ごとやるから帰れよ!うわーーーん!!」

 「そんなのないよ。わざとじゃないんだから」

 「わざとでたまるかコノヤロー!出て行けったら出て行けよ!」

 「うひゃっ!」

 

 抱えきれないくらいのモノクマメダルを全部モノクマネーに換金してモノモノウォッチに転送したら、モノクマが半べそかきながら私を摘まみ出した。カジノの前の地面で尻餅うっちゃって、ぷんすか湯気を立てるモノクマを睨み付けたら、向こうの方がよっぽど恨めしそうに私を見てて、思わず目を逸らしちゃった。

 

 「もう、乱暴しないでよ!」

 「ふんだ!これだから幸運持ちにろくなヤツはいないんだ!」

 

 怒りながらモノクマはカジノのドアをばたんと乱暴に閉めた。目が痛くなるくらいのカジノの建物の電飾が消えて、ドリルだかなんだかの駆動音が漏れてきた。うーん、本当にあれを手作業でなんとかするつもりなんだ。そう考えたらちょっと悪いことしちゃったかな。

 

 「研前?こんなところで何をしている?」

 「ぅ?あ、鉄君。ううん、別になんでもないよ。ちょっとモノクマに乱暴されちゃっただけ」

 「ら、乱暴!?大丈夫か!?ケガとか・・・!」

 「心配しなくてもなんでもないってば。尻餅ついただけだから」

 「そ、そうか?取りあえず、立てるか?ほら」

 「ありがと。よいしょっと」

 

 鉄君の太い腕に捕まると、軽々と持ち上げられた。大きいし力持ちだし、なんだかいつもスニフ君と一緒にいたせいか、鉄君の大きさとか力強さが一層際立って感じる。座ったまんまお喋りもよかったんだけど、こんなうるさいところじゃ落ち着かないよね。

 

 「ギャンブルエリアに何の用だったんだ?」

 「うーんと、ショッピングセンターにバームクーヘン売ってたの知ってる?こーんな大きくて、シロップでコーティングされてて、生クリームとかフルーツとか乗ってて、生地にも色々練り込んであるの。見てるだけで口の中が甘くなってきて、幸せな気分になるの・・・」

 「そんなものあったかな・・・?それがどうした?」

 「おやつに3つくらい買おうと思ったんだけどちょっぴり高くて手が出なかったの。だからカジノでお金増やせばいいやと思ったんだ」

 「摘まみ出されていたようだったが」

 「そうなんだ。あのね、スロットマシーン回したらすぐにリールが引っかかってモノクマメダルがいっぱい出てくるの。マンガみたいに!」

 「はあ・・・」

 「で、仕方ないから隣の台に移るでしょ?そしたらそれも同じで、そのまた次も同じで、次の次も同じで・・・結局並んでるスロットマシーン全部壊れちゃったんだ!」

 「俺なら2台目が壊れたら止めると思うが」

 「だってせっかくカジノに来たのにスロット一回も止めずに帰れないよ。だけどやる度やる度壊れちゃうからさ。そのせいでモノクマを怒らせちゃうし」

 「モノクマも災難だな」

 

 また私の“超高校級の幸運”が、勝手に力を発揮したみたい。でもこの場合はモノクマとスロットマシーンが犠牲になってるわけだから、別にいいのかも?なんて思ったり。これだけたくさんのモノクマネーがあれば、あのバームクーヘンケーキを3つと言わず5つ6つも買える。でもさすがにそんなに食べたら、晩ご飯があんまり入らなくなっちゃうかな。

 

 「そうだ。せっかくただ同然でもらえたんだから、鉄君にも何かご馳走してあげる」

 「え・・・いや、それは悪い。俺はただ通りかかっただけだ」

 「いいのいいの。私の“幸運”のお裾分けだよ」

 「いいのか?それじゃあ好意に甘えるとしようか」

 「何か食べたいものとか、欲しいものとかある?」

 「・・・なら、大福が食べたい」

 「じゃあ買いに行こうか」

 

 私と鉄君は、ショッピングセンターに足を向けた。そういえば、どうして鉄君はギャンブルエリアになんていたんだろう。私もあんまりここには来たことないけれど、普段いる人っていったらたまちゃんと虚戈さんくらいだ。鉄君にこのエリアはあんまりにも似合わない。

 

 「ねえ鉄君。一緒に来てくれるのは嬉しいんだけど、ギャンブルエリアに何か用事があったんじゃないの?」

 「ん、ああ・・・いや、大したことじゃないんだ。来たことがなかったから、ここに来れば何か変わるかも知れないと思っただけだ」

 「変わりたいの?鉄君は」

 

 確かにギャンブルエリアに来れば今までの鉄君のイメージからは変わると思うけど、でもそれって良い方向の変化じゃないと思うな。賭け事で人が変わるって、ろくでもなさがすごいもの。だから何の気なしに聞いただけだけど、鉄君にとってはすごく意味のある質問だったみたい。

 

 「変わりたい。いや、変わるのとは少し違うかもしれないな。俺は・・・俺に戻りたい」

 「鉄君に?」

 「ずっと誤魔化し続けてきた本音を、見て見ぬフリをしてきた本心を、俺は取り戻したい。初心を忘れていたんだ。俺はあまりにも物事が見えていなかった」

 「そうなの?鉄君は頼りになる人だけどなあ」

 

 話ながら気付いたけど、そういえば鉄君とこうしてお話するのは初めてだった気がする。だって今までは、鉄君ってあんまり人と関わろうとしなくて、隅の方でじっとしてるイメージだった。大黒柱って言えば聞こえはいいけど、それは周りに馴染めない異質さの裏返しだ。

 だけど今の鉄君は、なんだかとっても話しやすい。なんだか一皮剥けたっていうか、表情が柔らかくなったっていうか。もともと私より大きいけれど、今はなんだかもっと大きく見える。

 

 「そうだ。行ったことないとこ行くんだったら、モノクマ城でも行ってみる?私のチケット余ってるし」

 「モノクマ城?・・・そういえば気にしたことがなかった。行ったことはない」

 「一緒に行く?私、スニフ君と一緒に行ったから案内できるよ」

 「・・・いや、遠慮しておく。ありがとう。だがそれは、お前が使いたい相手に使うべきだ。俺ではなく」

 「あ・・・う、うん、そうする」

 「もうスニフと一緒に行ったというが、からかうのもほどほどにしておいた方がいい。その手の縺れは後々ややこしいことになる」

 「なに、鉄君って経験アリなの?」

 「まさか」

 「だよね〜。鉄君ってそういうの真面目そうだもん」

 「んむ・・・」

 

 そっか、私なんかと一緒に行くよりも、鉄君だって好きな人と一緒に行った方が楽しいよね。見た目通り鉄君って、恋愛とかもすごく真面目に考えてそうだし、きっと奥手だね。昭和の逞しい男の人って感じがして、正地さんみたいなお淑やかな人が似合いそう。

 ショッピングセンターに向かう途中でテーマパークエリアを通るから、モノクマ城がよく見える。尖塔がいくつも集まった洋風の形で、真っ白な城壁が西日を受けてきらきら光ってる。真ん中に聳える一番大きな時計は、ごつごつした針でものすごい迫力だ。

 

 「あれ?」

 「どうした?」

 「うーん、鉄君、今何時?」

 「時間か?モノモノウォッチで分かるだろう」

 「そうなんだけど、あそこの時計ズレてるんだよね。2〜3分かな」

 「ん?ああ、そうだな。そういうこともあるだろう。古そうな時計だからな」

 「モノクマに知らせておいた方がいいかな」

 「研前がそこまで気を回す必要はないと思うが」

 

 時間はあんな時計塔なんかなくても、モノモノウォッチがあるからいつでもどこでも確認できるから、あれがズレてたっていいんだけど、なんか気持ち悪い。あとでモノクマに言っておこう。あ、でも今スロットマシーンの修理で忙しいか。

 テーマパークエリアを抜けて、ショッピングセンターにやってきた。バームクーヘン屋さんは、相変わらずぴかぴかに磨かれたショーケースの向こうで、色んなバームクーヘンを揃えてた。シンプルなものから砂糖でコーティングされたもの、チョコが練り込んであるものや、バームクーヘンのサンドイッチみたいな変わり種もある。その中で一層輝きを放ってるのが、フルーツに生クリームにチョコになんでもありのケーキバームだった。

 

 「はわあ・・・!美味しそう・・・!」

 「想像していたよりずっと大きいんだが、これを3つも4つも食べるのか?」

 「うん。これにほろ苦のミルクティーでもあれば、おやつにちょうどいいよね」

 「丁度良くはない」

 

 さっそくモノクマネーでショーケースに並んでるヤツをまとめ買いした。鉄君は見ただけで胸焼けがしたらしくて、水を買いに水屋さんを探しに行った。私は、紅茶屋さんでほろ苦ミルクティーを買って、センター内の広場でおやつにした。

 卵多めで味の濃い生地は照明を受けて黄金色にも見えて、塗りたくられた生クリームは雲みたいに柔らかそう。その上では瑞々しいフルーツが宝石みたいにきらめいて、散りばめられたビターなチョコチップが見た目にも味わいにもアクセントになってる。一口だけで幸せな気持ちになれる、魔法みたいなバームクーヘンだ。

 

 「う〜ん♡幸せ♡」

 

 一口食べたらもう一口、口いっぱいに甘みが広がるのに飽きが来なくて、ついつい次の一切れに手が伸びる。ときどき紅茶を挟んで甘みをリセットすると、より一層甘い幸せを強く感じる。気が付けば、ありったけのモノクマネーを注ぎ込んで買ったのに、もう最後の一切れになっちゃってた。

 

 「鉄君どこまで水探しに行ったんだろう?」

 「そろーり♣」

 「虚戈さん、何やってるの?」

 「うひゃっ♠バレた♠えへへ〜♡甘い匂いに誘われて食いしんぼのクラウンがやって来たよ☆それちょうだい♬」

 「ダメだよ。私が買ったんだもん」

 「でもマイムずっと見てたよ♢こなたばっかりそんな美味しそうなの食べてズルいんだ!」

 

 広場のテーブルの下にいつの間にか潜り込んでた虚戈さんが、箱の中のバームクーヘンを盗もうとした手をぺしんと叩いた。人の物を盗るのもそうだし、手づかみなんて行儀の悪いことしちゃいけません。

 

 「最後の一切れは一番美味しいんだから、これは虚戈さんにはあげられないよ。欲しかったら自分で買うの。虚戈さんあんまりモノクマネー使ってないんじゃないの?」

 「ちっちっち♡マイムだって色々と入り用なんだよこれでも☆毎朝のダンスに必要なカセットとか、1日1本ジュースのボトルとか、あとはメイク道具とかね☆この前いよがダイスケを殺した日の衣装も、実はサーカスで使ってたヤツのリメイクなのだ♬」

 「そうなんだ。じゃあ我慢しなくちゃだね」

 「こなたのケチ!ケチんぼ!」

 「ケチじゃありません。大概のお願いは聞いてあげるけど、甘い物に関しては私は譲らないよ。あーん」

 「ふあー〇」

 

 羨ましそうに口をあんぐり開けながら見る虚戈さんを尻目に、私は最後の一切れを思いっきり頬張った。砂糖と卵が香る生地の味わいと、生クリームの柔らかい甘さ、フルーツの酸味と自然な甘み、チョコのほろ苦さ、奇跡のような時間はもう終わり。この感覚を思い出に閉じ込めるために、紅茶で口の中の甘みを全部洗い流した。

 

 「ごちそうさま」

 「ぶー×いいもん、テルジに言って作ってもらうもん♣」

 「下越君に頼めば作ってくれるとは思うけど、なんだか悪い気がするんだ。下越君はいつも、与える側の人だから。たまには私たちから下越君に何かしてあげたいんだけどな」

 「マイムは踊れるしジャグリングも玉乗りもできるよ☆パントマイムもこの通り♬」

 「そういうんじゃなくて、もっと物理的なさ、ご飯作るじゃないけど、部屋の掃除してあげるとか」

 「むつかしーこと言うなあ、こなたは♠」

 

 壁とか綱引きとかオーソドックスなパントマイムから、なんなのか分かんない変な動きをしたりしながら、虚戈さんは広場を動き回る。人生楽しそうだなあ。

 下越君みたいに“才能”があったり、虚戈さんみたいに誰かを喜ばせたりできないけれど、私にだって何かできることがあるはずだ。そうだ、鉄君に大福買ってあげる約束してたんだった。どこまで行っちゃったのかな。

 

 「もあっともあっと・・・うひゃっ♠」

 「おっと。何をしてるんだ虚戈。危ないぞ」

 「あっ♡サイクローだ♬」

 「鉄君、どこまで行ってたの?大福買ってあげるから、大福屋さん行こう」

 「マイムにはなんもくれないのに、サイクローには大福あげるの?差別だ!サーカス差別だ!」

 「だって先に約束したんだもん。わがままばっかり言う子は知りません」

 「サイクロー!こなたがマイムのこといじめるよー!」

 「甘えたってダメだよ。鉄君も言ってあげてよ」

 「・・・え?え?」

 

 お腹減ってるのか、甘い物が食べたいだけなのか、虚戈さんは今度は鉄君に泣きついた。どれだけ言ったって私はそんなわがまま聞いてあげないけど、鉄君は涙目の虚戈さんに上目遣いで抱きつかれて、見るからに困ってた。

 

 「いや・・・すまない、研前。大福はもういいんだ。余った分は虚戈に何か買ってやってくれ」

 「はえ?」

 「わーい♡サイクローありがとー♬」

 「お、おい・・・」

 

 あっさりと鉄君は、私に奢ってもらう権利を虚戈さんに譲っちゃった。そんなこと言ったらもう虚戈さんに甘い物買ってあげないといけないじゃん。もう、これじゃあますます虚戈さんがわがままな子になっちゃうよ。って、そんなに年変わらないんだった。

 

 「俺は用事ができたから、ホテルに戻る。すまない」

 「あ、そうなの?それだったらいいけど・・・」

 「こなたー♡早く大福買いに行こーよ☆」

 「う〜ん」

 

 なんか釈然としないけど、虚戈さんに手を引かれて大福屋さんを探しに広場から離れる。反対側に歩いて行く鉄君の背中は、なんだかさっきよりも小さく見えた。

 

 

 

 

 

 静かに本を閉じ、思考をまとめる。この図書館に存在する本は夥しく、望めばありとあらゆる情報の手掛かりを得ることができる。しかし求めるものの形を正しく捉えられていなければ、その手掛かりすらも曖昧で迂遠なものにしかならない。

 

 「・・・」

 

 無意識に歯を食いしばっていた。考え過ぎか、あるいは苛立ちか。一体何が真実かも分からずに翻弄されているような、戯けた道化にあしらわれているような、そんな己の無力さを感じる。やはり自分一人で考えていても発展はない。他人の知恵を頼ろう。そう思って次の本に伸ばした手が、背表紙の前で触れ合う。

 

 「むっ」

 「んっ」

 「極・・・」

 「荒川・・・」

 

 触れ合った手の向こう側で、大きな硝子越しの鋭い目が私を見て丸くなっていた。細い腕で胸に抱えた大量の本から、私と同じように調べ物をしていたことが窺える。ハイヒールを履いていたのに今まで足音にも気付かなかったとは、私もずいぶんと考え事に没頭していたらしい。

 

 「ずいぶんと調べ物に精が出ているようだな」

 「そっちこそ、私なんぞと鉢合わせになるとは、いつもより気が緩んでいるのではないか?」

 「お前はあまり身体が強くなさそうだ。一度下に降りてその山積みの本を整理してきてはどうだ」

 「これでも学問研究の“才能”なのでな、これしきの分量に一冊増えたところで問題はない」

 

 どうもお互い、この一冊が譲れないようだ。風の音すら聞こえない静寂が図書館内を支配する。数刻睨み合った後、私は意味のない意地を張ることを止めた。

 

 「本を持ってやる。ちょうど私も読むところだから、一緒に読もう」

 「なぬっ・・・!?お、おう・・・そうするか。頼む・・・あ、ありがとう」

 「なぜそこで動揺する」

 「いや・・・本を誰かと一緒に読むという経験があまりないのだ。この手の本は読んでいるだけで薄気味悪がられるしな」

 「今更そんなこと気にするな」

 

 そんなに大したことは言っていないと思うのだが、荒川はあからさまに狼狽えた。荒川から山積みの本を預かり、館内の空中ラウンジで一緒に読むことにした。荒川が持っていた本は、『学術入門シリーズ 〜クマでも分かるなんでもアカデミー〜』『歴史ミステリー大全 〜近代・現代・未来編〜』『明日から名医』など、内容に統一性が見られない。しかし、何の意味もなく選んだとは思えない。

 

 「ときに荒川は何を調べようとしていたのだ?」

 「・・・話しても怒らないか?」

 「怒られるようなことなのか?しかしまあ、内容次第だが・・・」

 「はあ・・・。私なりに、今後のことを考えたのだ。既にコロシアイは二度起き、5人もの人間が死んでいる。そして新たな動機も与えられている。我々が如何なる手段を取ろうとも、モノクマはコロシアイをさせるだろう」

 「・・・」

 「二度のコロシアイで、私は何もできなかった。お前のように検死を行うことも、スニフ少年や星砂のように率先して推理をすることも。そう考えるとどうにも己が無力に感じてな・・・だからこうして、知識を付けている」

 「何の知識だ?」

 「検死だ。詳しく言えば、解剖だな」

 

 こともなげに、荒川は言った。解剖とはまた、物騒なことを考える。知識を付けるということは、今後コロシアイが起きることを前提にしている。今の荒川の行動は、コロシアイを避けようという私の意図に反している。だが、それが全くの無意味であるとは、私も否定できない。

 

 「茅ヶ崎や城之内の死因は明白だったが、今後はそれすらも分からない死体が出るとも限らないだろう。明日の身さえ保証できないのだ、できることはしておくべきだとは思わないか?」

 「それでこの本か」

 

 私と荒川が同時に手を伸ばした本、『信じるかどうかはあなた次第!世界の裏側の真実 最新版』を一瞥して荒川は言った。この本と解剖とどういう繋がりがあるのだろう。こんな、オカルトや陰謀論にまみれたような俗物的な本と。

 

 「ミュージアムエリアのコロシアイ記念館には行ったか?」

 「名前を聞くだけで気分が悪くなるな。そんなところには行かん」

 「“超高校級”の“才能”を持つ人間が、極限状態で何をしでかすかは全く予想ができない。それをまざまざと見せつけられる。過去に行われたコロシアイでは、即席爆弾による爆殺や信じがたいハイテクノロジーを利用した脳停止殺人などもあったらしい」

 「過去のコロシアイ・・・本当にそんなものが行われていたのか?」

 「私も資料を見ただけだ。いずれにせよ、我々は須磨倉と相模の犯行を予測できず、止められなかった。何が起きるか分からないというのは間違いない」

 「それとこの本とどういう関係が?」

 「不審死にまつわる記述があるものは全て見ようと思ってな。その手の話は、こういう本に多く載っていそうだろう?」

 「確かにな」

 

 こんな状況でもなければ、下らないと唾棄するようなこんな本を読もうと思ってしまうくらい、私も荒川も焦っているのだろう。いつ次のコロシアイが起きるか分からない張り詰めた状況で、藁にも縋るというのはこういうことを言うのだろう。

 荒川と肩を並べて、大判のその本を開く。無駄に好奇心を掻き立てるような配色や文字の羅列、大きく印刷されたフリーメイソンのシンボルマークとそれに纏わる妄想と大差のない記述。未確認生物の虚実入り交じった記録。下らない、実に下らない。

 そして私と荒川がこの本を開いた理由のページ。現代社会の見えないところで起きている出来事、所謂裏社会に関する記述だ。

 

 「・・・極は、あれか?こうしたことは・・・実際に経験しているのか?」

 「あまりそういう話はしたくない。私にとっては思い出したくないこともある」

 「す、すまない・・・つい興味が」

 「気にするな」

 

 ただ黙々とページをめくり、そこに書かれた情報を頭の中に押し込む。肩を並べて本を読むというより、情報を得る作業を同時に行っているだけという感じがする。見慣れた光景もあれば、見慣れない写真もある。こうした写真を載せているのになぜ出版が認められているのか、分からない世界があるものだ。

 大した情報を得られないまま、私は本を閉じた。この本から得られた情報は、今までの仮説を裏付ける証拠になるわけでもなく、別角度の視点から真実に迫る新説を生むわけでもなく、ただただ俗説的な時間を使っただけだった。荒川の方も、大した収穫はなかったようだ。

 

 「やはりもう少し選ぶ本を精査した方がいいかも知れんな」

 「全くだ。この目障りなタイトルにも腹が立ってくる。焚書してやろうか」

 「流石にそれはモノクマの逆鱗に触れそうだ」

 「この本は戻しておく。邪魔をしたな、荒川」

 

 私は本を持って席を立った。私も荒川と同じように、本を選ぶ目を厳しくしなくてはならないかも知れない。

 

 「極」

 

 後ろから、荒川に呼び止められた。

 

 「ところでお前は、何を調べていたんだ?」

 「・・・私もお前に聞いたから答えよう。“超高校級の死の商人”についてだ」

 「“超高校級の死の商人”・・・」

 

 荒川は、うんざりしたようにその名前を反復した。ここ最近、その名前を聞く機会が多くなってきた。死の商人そのものが危険なわけではないが、それが“超高校級”ともなると話は別だ。武器商人としての側面だけならまだしも、殺人教唆や死へ誘導するような“才能”だと厄介だ。その正体を突き止め、早い内から牽制しておかなければいけない。だからこうして調査をしている。

 

 「何か分かっているのか?」

 「・・・うわさ程度だが、私はここに来る前から、その名前は知っていた」

 「なに?」

 「お前たちも薄々勘付いているだろうが、私はお前たちとは違う世界の住人と繋がりを持っている。それこそ、こうした本に書かれるような人種とな」

 「そ、そういう話はしたくないのではないのか・・・?」

 「不要なときはな」

 

 鋭い目をまた丸くして、荒川は私の話を聞く。

 

 「その時のうわさで聞いたのは、“超高校級の死の商人”の正体は・・・女だということだ。幼いお転婆娘のような声をしているということは聞いたことがある」

 「女・・・!?そ、それはかなり重要な情報なのでは・・・!?」

 「ただのうわさだ。不確かな情報を敢えて流して目を逸らすというのは、正体を隠した者の常套手段だ。それが真実かどうかは分からん」

 「それで探っていたのか、“超高校級の死の商人”を・・・」

 

 この噂も、出所も分からなければ真偽も不明、曖昧で不確かで信じるに値しない程度の情報だ。人間である以上、男か女のどちらかなのだ。どちらであろうと変わらない。声などいくらでも変えられる。逆に言えばそれほどの情報しか相手に与えないほど、“超高校級の死の商人”というのは身を隠すことに長けているようだ。

 

 「死の・・・商人・・・!?」

 「!」

 

 ラウンジ側の階段から、そんな声がした。咄嗟に視線を移すと、私と荒川の様子を伺うように、紫色の髪とピンクに白い装飾のついた服が壁の縁からちらついていた。

 

 「野干玉・・・?」

 「ひっ・・・!」

 

 私が名を呼ぶと、野干玉はすぐに走り去ってしまった。転がり落ちるような勢いで行ってしまって、呼び止める暇もなかった。

 

 「なんだというのだ」

 「死の商人の話に怯えたのではないのか?我々のような日陰者たちとは違うのだ。ヤツは陽の下を歩いてきたタイプの人間だろう」

 「・・・」

 

 さり気なく私も日陰者にまとめられたことが少し気に入らないが、そんなものだろうか。野干玉が走り去った階段を見て、私は胸のざわめきを抑えられなかった。何かが私の知らないところで動いているような、そんな気持ち悪さに囚われていた。

 図書館に差す陽の明かりはいつしか真っ赤に変わり、今日という日の終焉を告げていた。

 

 

 

 

 

 ふわあ、とおっきくYawn(あくび)をして、ボクはHotelの外に出た。Everymorning、マイムさんがそこでDanceしてるから、いつのまにかボクもいっしょにやるようになってた。

 

 「あっ、スニフくんおはよ♬またダンスしに来たんだね♡」

 「Yeah!きょうなんですか?」

 「今日はマイムの創作ダンスだよ☆えっとね、足をこうやって蹴り出して、一緒に手はサムズアップして肩の後ろにブンブンするの♡」

 「う〜ん、Balanceむずかしそうです」

 「音楽に合わせてやるからもっと難しいよ♡そんじゃいくよ☆せーのっ、カーマンベールパプリカー♬カーマンベールパプリカー♬食う・寝る・ぜー♬食う・寝る・ぜー♬」

 「Ouches(あいたっ)!」

 

 Leg()と手をいっしょにブンブンするDanceなんてToo dificultで、すぐにおしりをついちゃった。Lyrics(歌詞)もなんだかよくわかんないし。マイムさんはたのしそうだけど。

 

 「きゃはは♡スニフくんへたっぴー♬」

 「むっ、ボクだってもっとSmartなDanceだったらできますよ!」

 「ワルツのときは足踏まれたし、サルサのときはすぐバテちゃったし、バトントワリングのときはおでこ真っ赤にしてたよね♡」

 「うぅ・・・なんでそんなにおぼえてますか・・・」

 「マイムの朝ダンスに付き合ってくれるの、スニフくんくらいなんだもん♬明日も踊ろうね♡明日はベリーダンスだよ☆」

 「I can't(できるか)!」

 

 なんでマイムさんはそんなにいろんなDanceができるんだろう、とおもってこのまえきいたら、Clownだからだって言われた。なんだかバカにされてる気がする。それでもEarlymorning(早朝)にDanceしてからテルジさんのBreakfastをたべると、すごくおいしい。

 マイムさんといっしょにDiningに行くと、やっぱりテルジさんがみんなのBreakfastをCookingしてた。

 

 「おうお前ら!今日も踊ってきたのか?」

 「はい。マイムさんのStrange danceでおしりでおもちつきました」

 「はっはっは!そりゃ災難だったなスニフ!よし、じゃあオレからケツの見舞いにフルーツマフィンおまけしてやるよ!」

 「Woohoo(やったぜ)!」

 「なに喜んでんだスニフ?」

 「あ、ワタルさん。Good morningです!」

 「おっはよー♡」

 「ああ、おはよう。また下越から甘やかされてたのか?」

 「甘いもんやるとは言ったぜ」

 

 ボクとマイムさんとテルジさん、ワタルさんがDiningに来て、そのあとこなたさんが来て、さらにレイカさんが来た。いつもの早く来るMemberだ。テルジさんのBreakfastができるのをみんなでまつ。テルジさんのおいしいDishがたべられる、とおもってまってた。フルーツマフィンもOptionであるし!

 だけど、ボクはそのマフィンは食べられなかった。

 

 「うぷぷぷぷ!!おーーーめでとーーーごっざいまーーーす!!」

 「うおあっ!?モ、モノクマ!?」

 「うきゃーっ☆出たー♡」

 「朝なのにテンション高いなあもう・・・」

 「いやあ、イイ感じになったんじゃないですかね?これってまさにイイ感じなんじゃないですかね?作為的な何かすら感じるほどに丁度良いんじゃないですかね?」

 「なんだ。朝から貴様の顔など見たくない。用件だけ済ませてさっさと消えろ」

 「極さん冷たいなあ。でもま、ボクの顔なんかよりもっと見るべきものがあるんだよ。特にこの“セカイ”にはね!」

 「?」

 

 DiningのFloor tile(床板)の下から、モノクマがニンジャみたいに出てきた。なんでそんなGimmick(カラクリ)があるのかもよく分かんないけど、なんだかHighだ。モノクマがHighなときに、いいときなんてなかった。

 

 「オマエラは今日この日に最初に食堂に集まった、幸運な6人です!おっと、一人はそうでなくても幸運だったね。うぷぷ♬」

 「だからなんだってんだよ!お前がいたら飯がマズくなんだろ!」

 「ひどいこと言うなあ。そんな幸運なオマエラに、ボクはスペシャルツアーを用意してあげたっていうのに」

 「ス、スペシャルツアー?」

 「その名も、『モノクマ城探検ツアー』!普段はデートチケットを使わないと入れないモノクマ城に、特別に団体様ごしょうたーーい!!オマエラは3人一組のチームになって、モノクマ城を別々に探検できるのです!出発は今すぐ!さ、早いとこチーム分けして行くよ!」

 「断る。そんな怪しげなツアーになど参加するか」

 「あ、そう。興味ないんだ、極さん」

 

 モノクマCastleのTourって、Ticketがないと入れないようにしたのはモノクマだ。なのにそれを、こんなムリヤリみたいなやり方でみんなで行くなんて、ぜったい何かあるに決まってる。レイカさんだけじゃなくて、ボクだってそんなのイヤだ。だけど、モノクマはそれをPredict(予測)してたみたいで、にんまり笑って言った。

 

 「それじゃあここで待ってるといいよ。()()()()()()()・・・ね」

 「・・・!?」

 

 そのモノクマのことばで、ボクたちはTourに行かないといけないと思った。だってその言い方は、すごくMeaningful(意味深)だったから。そして、ボクたちはきっと、同じことを思ってた。考えたくもない、The worst(最悪)を。

 

 

 

 

 

 ボクたちはモノクマにつれられて、モノクマCastleに来た。こなたさんと来たときとおんなじで、BridgeがおりてきてEntranceがひらいた。たしか、CastleにはCoupleじゃないと入れないはずだった。モノクマはどうやってこのMemberでTourをするつもりなんだろう。

 

 「今回は特別ルールにつき、男女一組の縛りはないからね。安心して入りなよ。ただし、お城の中に行けるのは3人だけ!」

 「3人?さっき言ってた、別々のチームってヤツか?」

 「そ!残りの3人はボクと一緒に他の場所を探検するからね!さ、早いとこ城に入る3人を決めた決めた」

 「いきなりそんなこと言われても・・・」

 「俺が行くよ。城に入る方は、モノクマの先導はないんだろ?だったら危険なのはこっちだろ」

 「なるほどな!だったらオレもそっち行くぜ!女子供は安全な方行きな!」

 「テルジとワタル以外はみんな女子供だよ〜☆」

 「ボクはChildじゃないです!High school studentです!」

 「あ、私一回お城の中入ったことあるから案内できるよ。私も行こうか?」

 「なら、城の方は雷堂と下越と研前で行け。モノクマと一緒だからと言って安全とも限らん。スニフと虚戈くらいなら、もしものときでも私が守れる」

 「スニフくんはマイムが守ってあげるからね♬頼っていいんだよ☆」

 「決まったみたいだね。じゃあ城チームはそっちの入口から行きなよ。モノクマチームはこっちこっち」

 「ヤなチーム名です」

 

 モノクマについていって、ボクとマイムさんとレイカさんは、CastleのまわりのMoat(お堀)Step(階段)をおりていった。おりてくと、Entranceの方からは見えないところにBrick(レンガ)でできたSewer(下水)のEntranceがあった。こんなところにこんなのがあったんだ。Iron fence(鉄柵)で入れないようになってるけど、モノクマがそのうちの一本をぺきっと外した。そんなあっさりとれちゃっていいのかな。

 

 「さ、行くよ」行くよ」行くよ」

 「え〜!?こんなとこ行くの!?マイムやっぱお城の方行く〜♠」の方行く〜♠」の方行く〜♠」

 「今更遅い。我慢しろ」慢しろ」慢しろ」

 「臭いよ〜♠暗いよ〜♠怖いよ〜♠」いよ〜♠」いよ〜♠」

 「You're unreliable at all(全然頼りにならない)at all」at all」

 「うぷぷぷ♬」ぷぷ♬」ぷぷ♬」

 

 どんなところかと思ったら、マイムさんが言うのもしかたないくらい、くさくてくらくてこわかった。Sewer(下水)だから空気がDirty(汚い)で、ときどきちっちゃいLampがあるくらいだから、つぎの一歩がしんぱいになるくらいまえが見えない。そんなボクたちを見て、モノクマはにやにや笑う。

 

**********

 お城の中は、スニフ君と来たときと同じだった。入ってすぐ、「自由に探検してね」って立て看板がある以外は。はじめてお城に来た雷堂君と下越君は、階段の上に飾ってある女の子の肖像画を見て、あんぐり口を開けてた。うんうん、最初はびっくりするよね。分かるよ。

 

 「で、どこをどう見てきゃいいんだ?」

 「あっちに礼拝堂があるんだ。ステンドグラスとか、今の時間はすっごくキレイだと思うよ。あとは噴水広場だね。テーマパークエリアが一望できるよ。前にスニフ君と来たときは、下越君が急に出てきたからびっくりしたよ」

 「ああ、あそこか」

 「それから名画回廊って名前で、色んな絵がモノクマ風アレンジされた絵が飾ってある廊下があるよ。あとダンスホールとか食堂とかお庭とか・・・色々あるけど、どれも敢えて見るほどじゃないかな」

 「一番の目玉は、天辺の『姫の部屋』って書いてあるぞ。そこはどうなんだ?」

 「う〜ん、まあお姫様っぽいベッドはあったけど、あんまり面白くなかったかな。あと何故か王座もあった」

 「ヒメの部屋じゃねえのか!?」

 「私もよく分かんないんだよね。行ってみる?」

 「・・・ああ」

 

 スニフ君とか雷堂君と二人っきりで来るんならまだしも、探検なんて名目で来てまで見るところなんか、ぶっちゃけないもんね。せめて一応の目玉だけは見ていこうっていう話になって、みんなで『姫の部屋』に行くことにした。下越君は物珍しそうに廊下中を見回してたけど、雷堂君は難しい顔で少しだけ顔を青くしてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 ちょっとだけ歩いてくと、ボクたちのまえに、ひろいLakeがあらわれた。それは、Opposite(反対側)がどこにあるのか分からないくらいひろい、まんまるなPond()だった。

 

 「ここはモノクマ城地下にある、貯水タンクだよ。オマエラは下水って言うけど、テーマパークエリアの水は全部ここから供給されてるんだからね!水を使ったエンタメは今時のテーマパークには標準装備だから、これくらいしないとね!あ、口に入る水にはならないからね!こんなじめじめしたとこの水なんか口に入れたくないもんね!」ないもんね!」ないもんね!」

 「こんなの見たってマイム面白くないよ!時間返してよ♠」返してよ♠」返してよ♠」

 「まあまあそう言わないで、静かな水面でも見て落ち着きなよ・・・うっぷっぷっぷっぷ♬」っぷっぷ♬」っぷっぷ♬」

 「・・・おい、灯りはないのか」ないのか」ないのか」

 「懐中電灯ならあるけど?要る?」要る?」要る?」

 「寄越せ」寄越せ」寄越せ」

 「どしたんですか?レイカさん」カさん」カさん」

 「・・・スニフ。虚戈。先に謝っておく。すまない」ない」ない」

 「?」

 

 レイカさんが、モノクマからFlashlight(懐中電灯)をうばってつけた。それをPondにむけるまえに、こわいかおをしてボクとマイムさんに一言だけ言った。そのReason(理由)を、ボクはすぐに知ることになる。

 

 

 

**********

 寄り道をしないで真っ直ぐ向かえば、『姫の部屋』にはすぐに着いちゃう。ここに来るまで雷堂君は一言も話さず、下越君は何回も置いてけぼりをくらいそうになるくらい周りの絵とか甲冑とかに興味津々だった。料理以外のことにも興味持てるんだね。

 

 「すげーなここ。モノクマってマジでなにもんだ?絵とかシャンデレラ・・・あ?シャングリラ?とか、一個で0がいくつ並ぶんだろうな。こんだけ豪華なもん用意できんだったら、あの食材の種類も量も納得だな」

 「シャンデリアでしょ?」

 「ああ、そうだそうだ。それだそれだ」

 

 やっぱり食べ物に繋がるんだね。食料庫とか厨房で食材に注目したことはないけど、確かに今までの下越君の料理を考えてみても、高級食材や珍味も幾つかあったはずだ。マグロが一本丸々出てきたこともあったし、モノクマはどこからそんなものを調達してるんだろう。

 ぼんやりと考えてたそんな疑問は、『姫の部屋』の入口を見て消し飛んだ。前にスニフ君と来たときは、部屋の自動ドアは閉まってたはずだ。だってお姫様の部屋なんだから、入口が開けっ放しなんてことじゃセキュリティに問題ありだもんね。なのに、いま私たちの目の前で、『姫の部屋』の自動ドアは開いて、中が少しだけ見えていた。

 

 「あれ?」

 「おい待て、研前」

 「うっ!?えっ?あ・・・ら、雷堂・・・君?」

 「あっ、す、すまん。つい・・・」

 「あん?どした?」

 

 中の様子を見ようと思った私を、雷堂君が引き留めた。いきなり雷堂君に腕を掴まれて、その手の感触がすごく力強くって、男の子なんだなっていうのが腕を通して感じられて、ドキッとした。すぐに雷堂君は手を離してくれて、私と部屋の間に割り込んだ。まるで、その先に“何か”があることを確信してるような、そんな風に、部屋の様子を伺った。

 

 「・・・ッ!!?くっ・・・!!」

 「雷堂?どうした・・・?」

 「やっぱり・・・そういうことなのか・・・!!だから・・・3人で・・・!!」

 「ね、ねえ・・・雷堂君。どうしたの・・・?」

 「・・・」

 

 部屋の中を見た雷堂君は、さっきよりももっと怖い顔をして、悔しそうに歯を食いしばってた。そして部屋の入口から離れて、私と下越君に無言で応えた。それだけで、私は部屋の中にある“もの”がなんなのか、勘付いてしまってた。

 

 「ウ・・・ウソだよね・・・?そんなこと・・・だって・・・?」

 

 自分を落ち着かせるように、宥めるように、騙すように、そんな譫言を繰り返しながら、それでも私の足は、おそるおそる部屋に近付く。その壁の向こうにある“何か”を確かめるために。せめて悪い夢であってと、無意味な祈りを抱えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**********

 光がおちる。Mirror()みたいに平らなPond()に。何かをさがすみたいに、Water surface(水面)をはいずりまわる。そして、見つけた。こんなところで見るはずがない、こんなところに()()はずがない、こんなところに()()はずがない、それを。

 まっ平らなWater surface(水面)をゆらして、まるで、そこでそうしているのがNatural(当たり前のこと)みたいに、その人はPond()のいちぶになっていた。

 

 

 

**********

 視線が勝手に床に落ちる。直視してしまうことを拒んでいるかのように、瞳が重く感じる。だけどそうしていても、その“現実”は私の視界に侵食してくる。殺風景だった『姫の部屋』を悪趣味に彩る、床に弾けた鮮烈な赤色。その飛沫は散らばった点から線になり、線は撚り集まって面になって大きなシミを床に作る。

 その人はその“赤”の中に沈んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「た・・・たまちゃん・・・さん・・・?」

 

 

 『死体が発見されました!一定の自由時間の後、学級裁判を行います!』います!』います!』います!』

 

 

********************

 

 「くろがね・・・くん・・・!」

 

 

 『死体が発見されました!一定の自由時間の後、学級裁判を行います!』

 

 

 

 

 

コロシアイ・エンターテインメント

生き残り:10人

 

 

【挿絵表示】

 




今年中に三章の死体発見までいけました。
こっから先は来年かな。やっぱり応援してくれる人がいるとがんばれる。
一応がんばりますけど言っておきます。
今年も一年ありがとうございました!良いお年を!

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