邪神イッセーの非日常   作:ミスター超合金

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最終回。十年後の話となります




第拾五話 嘘と沈黙

 少年は昼頃に漸く眼を覚ました。両親は出掛けてしまったのか、とても静かだ。

 着替えていると玄関のチャイムが響く。出迎えれば見慣れた二人の女性が立っていた。

 

 

「こんにちは、黒歌お姉さん。それに白音お姉さんも」

 

 

「やっはろー! 元気してたかにゃー?」

 

 

「姉様ったら……。こんにちは、セイマくん」

 

 

 黒髪で変なしゃべり方の黒歌と、白髪でしっかり者の白音だ。なんでも父親に助けられた事があるらしく、今でもこうして遊びに来る仲らしい。

 

 

「イッセーに様子を見るよう頼まれたにゃ。今日はお姉さん達と遊ぼう! ほら、酒も持ってきたし!」

 

 

「……未成年に飲ませないで下さい」

 

 

 言うなり懐から酒瓶を取り出す姉に呆れながら、棚に飾ってある写真に視線を移した。純白の衣装に身を包んだ二人が幸せそうに笑っている。あれからもう十年。早いものだと白音は苦笑した。

 ……そしてハッと気付いた。姉から眼を離した事に。慌てて振り返るも既に遅く。

 

 

 

 

「僕はお姉ちゃん達と結婚するー!」

 

 

「あははは、私もお嫁さんになるにゃー!」

 

 

 セイマは黒歌と一緒に酔っぱらっていた。テーブルを空瓶の山で埋もれさせ、それでも足りないとばかりに新しい酒をがぶ飲みしている。挙げ句に何を狂ったのやら、結婚すると言い出す始末。

 取り敢えずは二人を引き離さなければ。行き遅れを押し付ける訳にもいかない。

 

 

「姉様、いい加減にして下さい。セイマくんも、お酒はまだ早いですよ」

 

 

「やー! 黒歌お姉ちゃんが好きだもん!!」

 

 

「かっこいいー! 惚れ直したから、おっぱいサンドしてあげるにゃ!!」

 

 

「光源氏でも目指すつもりですか!?」

 

 

 必死に止めようとするも彼女の言動は更にエスカレートして、顔を自分の胸に埋もれさせて興奮する有り様だ。いや、今はまだ酒の席での戯れで言い訳出来るが、ニャンニャンした日には確実に殺される。

 顔を真っ青に染めて白音は兎に角離そうとした。だが黒歌も負けじと腕に力を込めた。

 

 

「大酒呑みの姉様を貰ってもセイマくんが苦労するだけです! お嫁さんには私がなります!!」

 

 

「ちょ、喧嘩売ってんの!?」

 

 

「セイマくんは、お姉ちゃん達と言ってくれましたから!」

 

 

 自分達より二回りも下の少年をおっぱいに挟んだまま、言い争う猫姉妹。似た者同士な彼女達の舌戦はヒートアップするばかり。

 そして結局……。

 

 

 

 

「こうなったらセイマくんに決めて貰おうか」

 

 

「上等です。どちらが魅力的か、白黒ハッキリさせましょう」

 

 

「待って、それはズボン──」

 

 

 このあと滅茶苦茶ニャンニャンした。因みに帰ってきたイッセーとミッテルトにぶん殴られたのは言うまでもない。

 

 




Those women longed for the touch of others' lips, and thus invited their kisses.


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