異世界から呼び寄せてしまったイッセーが実は邪神でした。その事実を聞かされた原作組の脳裏にある疑問が過った。
彼はどれ程に強いのか。一旦考えてしまうと確かめたくなるのが脳筋グレモリー眷属の性である。
欠伸を隠さないメルヴァゾアと鎧を装着したイッセーが対峙しているのも当然の結果だろう。
「模擬戦に付き合って頂き、ありがとうございます」
「気にすんな。良い暇潰しになる」
向き合う二人は鏡写しのようにそっくりで、だが根本的に中身が違う。転生悪魔と最強の邪神。力の差は比べるまでもない。
それでも邪神の実力を見たくて、こうして模擬戦を頼み込んだ訳だ。意外にもメルヴァゾアもすんなり了承して今に至る。
「イッセーさん、がんばれっスー!」
チアリーダー姿で応援するミッテルトに笑顔で手を振るメルヴァゾア。その様子を見ていたリアスは何だかモヤモヤしていた。異世界の邪神がロリコンだろうと知った事では無いが……。
どうにも愛する人と同じ顔をした男が、違う女と連れ添っている点に落ち着かないようだ。他の女性陣も複雑な表情をしている。
微妙な空気の中でメルヴァゾアは宣言した。
「五分間、俺はこの場所から一歩も動かないでやろう。退かせたらお前の勝利で構わない」
「……後悔しても知りませんよ?」
流石にカチンときたのか冷たく言い返した。嘗められるにも限度がある。
『最初から全力でいくぞ、相棒! ドラゴンの力を見せてやれ!!』
「おう!!」
結論から言うと彼は一ミリも動かせなかった。倍加しまくっての打撃ラッシュを避けられ、蹴りは平然と受け止められた。挙げ句に至近距離から放った特大の魔力砲は素手で握り潰される始末。
戦いにもならなかった。肩で息をしながら言う。
「……参りました。完敗です」
続けて頭を下げて終わろうとするも、そうはさせねぇとばかりに腕を掴まれた。振り返ればニコニコしているメルヴァゾアが立っていた。滝汗が流れるイッセー。
「おいおーい、どこに行くんだぁ?」
「き、木場と一緒に訓練する準備を……」
「巻き込まないでよ、イッセーくん!?」
「すごいパーンチ」
「あべし!?」
物凄い勢いでイッセーは壁に叩きつけられた。ついでに木場きゅんも投げ飛ばされたとさ。
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なんやかんやで機械の修理も終わり、帰還の日がやって来た。
「世話になった。元はと言えばアザゼルのせいだが」
「あっという間っスね!」
「いえ、私達も貴重な体験が出来ました。ありがとうございました」
かくして邪神達の異世界旅行は終わった。見送ったリアス達は姿が消え去った途端に安堵の息を吐いたとか。
またすぐに会えるよ。