Dr.ゲムデウス   作:(´鋼`)

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rejectと覚醒 リーゼ・ロッテ 2

 仮面ライダースナイプLv1の状態へと変貌したリーゼを確認すると、クロノスはバグヴァイザーⅡのABボタンを同時に押す。時が動き出し、ボスやプレイヤーの動きが再開するものの、新たに現れたデウス以外の仮面ライダーとクロノスの姿に驚いて一瞬だけ動きを止めてしまった。

 

 

 

「っ、クロノス!?それに……デウス君ではない仮面ライダー……だと!?」

 

 

 

 リーゼの変身したスナイプは、髪の部分に当たるパーツがピンク色に変化している。故に花家大我が変身するスナイプとの区別は付けられるものの、誰が変身しているのかは未だに理解はできていない。

 

 

 

「ガシャコン・マグナムを取り出したまえ。君が望めば、その手に渡るぞ。仮面ライダースナイプ……いや、仮面ライダー『E(エボル)・スナイプ』」

 

 

 

 リーゼの体からデウスの物と同質の水流にも似たエネルギーが奔流する。スナイプレベル1の白い体に黄土色の色彩が宿され、目の色も赤色から黄土色へと変化を遂げた。

 

 

 スナイプの素体を、リーゼの持つ()()()()()()()()()が活性化された影響で通常のスナイプよりも異常なステータスにまで上昇していくスナイプ。そして装備であるガシャコン・マグナムを取り出す。

 

 

 

【ガシャコン・マグナム】

 

 

 

「っ!くそっ!」

 

 

 

 デウスが自身の非力さに嘆く。レベル50の単体変身をするには未だにレベルが足りない。ステータスが上乗せされているとはいえレベル上昇率が著しく低いデウスは、これ以上ないまでに無力なことを実感していた。

 

 

 何も言わずにE・スナイプが戦地へと飛び込む。魔女はタゲを変えて遠距離攻撃をE・スナイプへと放つが、ガシャコン・マグナムのBボタンを3回押して連射モードにさせて打ち消していく。

 

 

 安全地帯である鏡を移動して鏡を割らせようとする算段なのか、鏡を移動しながら遠距離攻撃を放っていく魔女。数発が鏡に当たりヒビを作るが、一切慌てた表情を見せないE・スナイプ。やがて全ての鏡にヒビが入ったことを確認したE・スナイプは連射を止めてAボタンを押す。

 

 

 

【ズ・キューン!】

 

 

 

 ライフルモードへと変化させると静かに銃身とグリップを持って佇む。魔女は未だに鏡の中をグルグルと移動している様子であった。

 

 

 だが一向に進行しない状況を見かねた魔女が、1つのヒビ割れの鏡で止まり攻撃を放とうと仕掛ける。

 

 

 E・スナイプが動き出した。魔女が止まったヒビ割れた鏡に来た瞬間、その魔女の方へと構えた。そしてライフルモードのスコープを覗き狙いを定めると、反動を殺しながらエネルギー弾を放った。

 

 

 エネルギー弾はそのまま鏡に……否、()()()()に向かって行き、エネルギー弾は魔女へのダメージへと変わる。しかし鏡そのものには全く変化が見られなかった。あのヒビが境界の役割を失った今、遠距離攻撃同士の対決に決着は着いた。

 

 

 怯んだ魔女であったが、間髪入れずにライフルモードの銃撃を放ち魔女を疲弊させていくE・スナイプ。文字通りハメとなっている状況だが、相手も充分にイモったのだ。ハメ技ぐらい構わないだろう。

 

 

 10数発全てを魔女に当てると、当然相手も傷付いて動きが鈍くなる。その隙を逃さないE・スナイプはガシャットをドライバーから取り出し、キメワザスロットホルダーにガシャットを差し込んでボタンを2回押す。

 

 

 

【ガッシャット!キメワザ!】

 

【BANBAN CRITICAL STRIKE!】

 

 

 

 E・スナイプはジャンプするとキックのフォームを取る。そしてその状態で魔女の居る鏡に、()()()()()()向かっていく。その速さは正しく弾丸に相応しい。

 

 

 正確に狙ったこともあるのか、鏡のヒビにちょうどエネルギーが流し込まれ魔女が苦痛の声を挙げる。その瞬間鏡が割れてポリゴンへと変換される。それと同時に他の鏡もポリゴンへと変わり、攻略が終了した。

 

 

 リザルト画面が攻略組の前に表示されてレベルが上がったのも束の間、やはり注目はE・スナイプに集まった。その視線の中変身を解く。現れた女性プレイヤーに驚愕する攻略組であったが、すぐにリーゼは後ろへと倒れていく。

 

 

 

「リーゼ!」

 

 

「リーゼさん!?」

 

 

「なぜ……君が…………」

 

 

 

 デウスは倒れていくリーゼを支える。痛みが走る体でリーゼのもとまで走って来たせいか、それともリーゼの中にあったゲムデウスウィルスを知ったせいか……苦しそうな表情でデウスは涙を流した。

 

 

 

「(……ゲムデウス、リーゼのことは)」

 

 

『……このような状況になることを、想定していなかった訳では無い。此奴の状況を今まで話さなかった私に非がある、だが休ませる為に連れていくぞ』

 

 

「(……分かった)先輩、皆。ギルドホームで」

 

 

「…………了解した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギルドホームに集った今居る全メンバーが診察室前の待合室に居る。といっても休んでいるリーゼと落ち着かせているラン、ゼロはこの場に居ない。それ以外が集まり、デウスの言葉を待つ。

 

 

 

「……ゲムデウスは事情を知っていたみたいだ。でもこんな風になるなんて思っても無かったみたいなんだ、その辺りは知っておいてほしい」

 

 

 

 全員頷いた。それを見たデウスは一息ついて、全てを話し始めた。

 

 

 

「……元々、ゲムデウスウィルスを持つ僕とリーゼが同棲していて、感染する筈がないって考えは持っていなかった。恐らく飛沫感染とか接触感染とかでウィルスは入り込むことだって有り得たんだ」

 

 

「同……棲…………」

 

 

 

 アスナが項垂れてしまったが、それでも構わずに話を続ける。

 

 

 

「でもリーゼの感染自体は微々たるものってのもあった。ただ、僕の力の行使とかでリーゼの中にあるゲムデウスウィルスの侵蝕率が、彼女の方でも上がっていたらしい。それでもライダーシステムに直接関わりを持たなければ平気だって考えた……それでも、このゲームで……クロノスによって仮面ライダーになれることが判明してしまった」

 

 

「それほどまでに侵蝕率があったという訳か。因みにだがデウス、その侵蝕率とやらはどのぐらいだ?」

 

 

「おおよそ25%だって言ってた。ゲムデウス調べだから間違いは無い」

 

 

 

 1つ息を付く。ただ、この場にある雰囲気は暗いままであった。

 

 

 

「変身できると知った攻略組は、恐らくリーゼの介入の意を示すと思う。そして……リーゼもそれを拒む理由も無い。僕が居る限りは」

 

 

「というのは?」

 

 

「クロノスの止まった時の中で、リーゼの真意を聞いたんです。僕を守りたいってだけで……その力を使ってしまった」

 

 

「デウスを思って、力を使った……か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰もが寝静まった夜、1人デウスは診察室の椅子に座って人工の灯りに照らされた机を思いっきり叩く。机の耐久値が異常な速度で減らされ、ギリギリ耐久値が持ったのか壊れる様子は無かったが、それでもヒビが入るぐらいには力がこもっていた。

 

 

 

「……っ!…………何やってんだ俺は……!」

 

 

 

 椅子から立ち上がり部屋中を徘徊するデウス。焦り、緊張、不安、怒りなどの心情が駆け巡っている。どうすれば良いのか、どうすれば心を元に戻せるのかと。

 

 

 ユウキの失踪によってランの精神状態も不安定になり、ゼロがウルトラマンと知る者として、バダンから聞かされたあの事でゼロにも不安が生まれている。そして極めつけに今回のリーゼの件によって、さらなる不安が襲っていた。

 

 

 

『…………焼け石に水だと思うが、少し落ち着け。今の宿主の精神状態では正常な判断は』

 

 

「っ……!分かってる…………!分かってるさ……!でも!」

 

 

 

 

 

 

〔ゲムデウスの言う通りだが、少し落ち着け高山君〕

 

 

「っ……黎斗さん…………」

 

 

 

 聴くのが本当に久々と感じている黎斗の声で、多少精神状態は安定し始めた。といっても一過性の物なので、暫くすればまたデウスは自己嫌悪などで悩みの渦に落ちていくだろう。

 

 

 だがここで黎斗との通信が入ることは、何かしら報告があることは事実。

 

 

 

「……黎斗さん、何かやれたんですか?」

 

 

〔良い知らせと悪い知らせの2つがあるが…………先に良い知らせから言うぞ〕

 

 

「良い知らせ……?」

 

 

〔これは私がカーディナルの包囲網を潜り抜けて、漸く貢献できたものだがね。MHCP(メンタルヘルスカウンセリングプログラム)のことは知っているな?〕

 

 

「……えぇ。ランちゃんの持つVRシステムの本来の姿と同じく、AIが組み込まれたNPCだとは」

 

 

 

 

 

 

〔そのMHCPだが、一部解放させることに成功した〕

 

 

「っ!本当ですか!?」

 

 

〔私は嘘は言わん!これで君の悩みの種の解決策が見つかる!…………方が良かったんだが、ここで悪い知らせが2つある。

 

 1つはそのMHCP、数は2体なのだがその2体がそれぞれ別の階層で出現させてしまったことだ。

 

 もう1つは、カーディナルの侵入対策プログラムの向上が見られた。通信できる時間も限られてくること、以上だ〕

 

 

「それでもです!黎斗さん、ありがとうございます!」

 

 

『……宿主、そこまで溜め込んでいたのか』

 

 

「へっ?」

 

 

 

 話しの途中なのにも関わらず、デウスの頬に幾つもの生暖かいものが伝わっていくのが分かる。鼻も詰まりに詰まって呼吸が出来ないぐらいで、少々過呼吸気味になりかけている。

 

 

 デウスは、泣いていたのだ。黎斗からの知らせを聞いたことで、1つの安心感が生まれて、心の中にあった苦痛が消えたような感覚があって枷が外れていたのだ。

 

 

 

「す、すみません……ちょっと……通信を…………切ってもらっても……?」

 

 

〔……分かった、私は暫くカーディナルの攻略に励もう〕

 

 

 

 黎斗との通信が切れる。その瞬間、顔を歪に歪ませてデウスは泣いた。声が漏れないように必死に抑え込みながら泣き始めた。漸く、救えるチャンスが生まれてきたと喜びの感情を持って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何処かの岩肌が露出し、自然に出来たと思われる洞穴で1人火を焚きながら座って、ずっと火だけを見ている少女が居た。だがそんな空間の中に、入口の方から気配がすると慌てて火を消して剣を構えた。

 

 

 

「……そこに居るのは誰?」

 

 

 

 威圧的な態度を取る少女の声に、相手の方はゆっくりと顔を覗き込んだ。覗き込む目は暗闇によって見えやしないが、敵対する意思もなさそうに感じる。だが警戒は解かない。

 

 

 ゆっくりと入口の方に姿を現す存在。火も消えているので全体像は確認できないが、その存在はただ一言だけ発した。

 

 

 

 

 

 

 

「お腹……空いちゃって…………食べる物無いかな?」

 

 

 

 これが少女との初めての邂逅の瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




?「何か最近暗いですねぇ……」

?「不機嫌そうだな」

?「そりゃそうですよ。こんなに暗いんなら、皆不機嫌になりますし。タカキだって不機嫌になるし、俺もなりますよぉ」

?「次回はちょっとだけ希望が見えるらしいぜ、まぁ気長に待っ……(♪〜)ヴッ!」


キーボウノハナー ツナイダーキズーナハー


「だからよ……(モチベ維持の為にアンケート書くの)止まるんじゃねぇぞ……」





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