Dr.ゲムデウス   作:(´鋼`)

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はい、遅くなってすいません。

一応生きてます。遅れた理由に関しては……色々と重なって疲れたんです。大学受験のこととか、合宿のこととか。そして意欲が薄れてきたということとか……。

取り敢えず今後については後書きで話そうかと思っています。

それでは、どうぞ。


rejectと覚醒 ラン

 22層は殆ど敵対モンスターが出ないことが判明している層である。自然が盛り込まれ、プレイヤーと憩いの場としても知られている。その1角に少し広めの家屋があるのだが……その家屋には現在、デウスとランが居た。

 

 

「ぅぁ…………!ユウキぃ……!」

 

 

「大丈夫……大丈夫だよ……」

 

 

 

 デウスに慰められている様子になっている理由、事の始まりは約1週間以上前に遡る。

 

 

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 26層への到達をした攻略組やその他のプレイヤー達は、上にある層というものに興味を持つ故に上る。攻略組はそれぞれ武器や防具、新たなクエストを探しに26層を探索する日々にあった中で、25層のカイデンを倒した功績を持つランは妹のユウキ、保護者としてリーゼ・ロッテと一緒に22層へと赴いていた。

 

 

 なぜ22層に居るのか。家を買うためである。といってもギルドホームと呼ばれるものであるが。

 

 

 始まりはデウスとMの1言からであった。

 

 

 

「「施設が欲しい」」

 

 

 

 それだけである。まぁそれだけしか言ってない訳では無い。このゲームに閉じ込められている中で、26層もの数を2人で巡って行き続けるのは困難になってきている。ならば病院とまではいかないものの、患者を一つの場所に集める場所が欲しいと思うのは自明の理。

 

 

 そして出来れば、環境的にも患者の精神状態が安らぐ場所で診察したいというのが2人の我儘であった。

 

 

 

「できれば22層の中が良いですよね。あそこ病院建てるのに良い条件だと思いません?」

 

 

「確かにあの場所は良いよね、娯楽を楽しむならあんな場所が良いし。患者の精神面にも安定性を与えてくれるし」

 

 

「……で、私の前でそう言うのには理由が?」

 

 

「先輩、逆に無いとでも?」

 

 

「……できる限り内密に頼む。22層の北東エリアに普通と比べて大きいハウスがあった筈だ」

 

 

「「ありがとうございます!」」

 

 

 

 という会話があったとか。しかしホームを買うとなれば色々とメンバーに都合良く“病院代わりの施設が欲しい”といっても渋るだろう。故にギルドホームを兼任した病院代わりの施設という名目でメンバーに言った。勿論少しだけ嘘を混じえて。

 

 

 取り敢えずメンバーの許可は貰えたので、ヒースクリフから目的のハウスの値段を聞いて全員に伝えると資金を一部貰って、誰が買うかを決め……今に至る。

 

 

 ランが行く理由となったのはデウスの提案でもあった。先に攻略組の連中に気付かれないように転移門まで連れて行くことが必須であったが、出かける前にデウスがフードを買い、ランに与えることで杞憂には終わった。

 

 

 さて3人の方なのだが、デウスが(開発者の助言で)言っていたハウスを目指している。そのハウスは暫く北東エリアを探索していると見つかった。まだ誰も買取手は居なかったので、即購入。

 

 

 そして買ってから1週間経過、この日の昼に事件が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!待ちなさい!」

 

 

「俺のテクニカルな動きを見やがれ!」

 

 

 

 ランは22層で発見したチャーリーバグスターを追っていた。AGIは低いものの、DEXの高さを生かして足さばきを上手く使用し何とかチャーリーに追いついている。一方のチャーリーはスポーツバイクで悪路の多い道を難なく突破して距離を取っている。

 

 

 ランは鞘を取り出して刀身を7割ほど入れつつ、チャーリーを追いかけ続ける。

 

 

 

「変身!」

 

 

 

【変身シークエンス、起動します】

 

 

 

 白い鎧が一瞬で纏われ姿を変えたランは、そのまま能力を発動させる。

 

 

 

「フッ!」

 

 

 

 居合の型を取りながらチャーリーとの距離を徐々に詰めていくラン。その様子に後ろを1度振り向いたチャーリーは、2度見した。

 

 

 

「は、はえぇ!?」

「ライダースラッシュ!」

 

 

 

【ライダースラッシュ】

 

 

 

 チャーリーとの距離が0になった瞬間、ランは抜刀する。空色に光る刀身がチャーリーと衝突すると、バイクから転倒した。

 

 

 

「おぐぅ!?」

 

 

「ッハっ!と、届いた……」

 

 

「ィギィヤアアァァ!」

 

 

 

 チャーリーの消滅が確認されると、ランは変身を解除し息を吐く。何故このような場所でバグスターが確認されたのか、なぜ感染者と思わしき人物が居ないのかは気になってしまったが、()()()()()()()()()と決めてギルドホームへと帰ろうとした。

 

 

 突如後ろからやってくる飛来物に、気が付けなかった。いや飛来物があるということは、その先にプレイヤーが居ることになる。ランとて探索(サーチ)スキルを上げてはいるものの、反応できなかった。

 

 

 

「くがっ!?」

 

 

 

 反応が遅れたことで右肩に何かが刺さる。顔だけ動かして見てみれば、肩にはナイフが刺さっているが、引き抜こうと手を動かしてみても筋肉が硬直したかのように動かない。自分のHPバーを見てみれば、麻痺を示すアイコンが。

 

 

 そしてランの耳に足音が聞こえてくる。その足音と同時に、ランの耳には不快極まりない声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、良いじゃーん。まだガキみてぇだけどな!」

 

 

「仮面ライダーみたいっすけどねぇ……ま、変身さえ解けりゃ問題ねぇっすけど!」

 

 

 

 目に映るのはプレイヤー2人。素顔は見える、しかしそのプレイヤー達の頭上のアイコンは、普段とは見慣れない色へと変わっていた。

 

 

 

「オレンジ…………!」

 

 

 

 カーソルの色がオレンジ色であるということ。これを意味するということは、このプレイヤー達は()()()()()()()()プレイヤーということ。 この色では主街区や町に入ると守護者(ガーディアン)の攻撃対象となってしまうので、迂闊には入れない。

 

 

 この色を元に戻すには贖罪クエストと呼ばれるクエストを受注し、クリアしなければならない。ただしそのクエスト場所が所々にしか存在していない上に、難易度も高いのでデスゲームとなったこの場所では危険性が伴う。

 

 

 そんな命の綱渡りをしている状態になるプレイヤーなんて、このデスゲームでは存在しないと思っていた。だがここは本来MMORPG、自分だけのロールプレイをするゲームである。ならば彼らは、本来のゲームをしているとも取れる。

 

 

 しかし2人のプレイヤーはランを見下ろしながら、こう口走る。

 

 

 

「しっかし……まだまだ青くせぇガキなのに、どうしてこうも…………欲情を唆られるのかねぇ!?」

 

 

「っ!」

 

 

 

 最初に言い忘れていたが、ランの何処とは言わないがある部分は妹のユウキよりも大きい。しかしまだまだ発展途上という点もあるので、成人すればそれなりの大きさとなるだろう。もっとも、今この状態ではそんなこと考えていても恐怖心が煽られるだけであるが。

 

 

 その2人のプレイヤーはステップを踏みつつ、倒れているランの元へと向かい……

 

 

 

「ごかーいちょー!」

 

 

「ヒッ!」

 

 

 

 服を縦に引き裂いた。胸元からへそまで見えるほど裂けてしまった装備であったが消滅までには至っていなかった。そしてランの中に1つの恐怖が芽生えてしまった。

 

 

 

「おぉ……こりゃ良いっすねぇ。兄貴、勿体ぶらずにさぁ」

 

 

「わーってらぁよぉ、今やるからなぁ」

 

 

「あ………………あっ…………!」

 

 

 

 ランの表情が歪む。怖いと思って涙目になる。恐怖に駆られたランは、動かない体を何とか動かそうと必死になる。だが現実は非常であった。

 

 

 1人のプレイヤーがランの上半身の一部を顕にさせた。それによって2人の欲情が益々ヒートアップし、ランは青ざめて恐怖の底へと叩き落とされていく。

 

 

 

「ぃや………っ!やめて…………っ!」

 

 

「おっ?何か命乞いしてまっせ兄貴」

 

 

「あぁん?無視しろ無視、んなもん聞く必要すらねぇだろ」

 

 

「っ…………!」

 

 

 

 ランの上半身の防具が消滅する。柔らかく白い肌が全て顕となった様子を見て舌舐めずりをしたプレイヤー2人は、今度はもう一方に代わり、下半身へと手を伸ばしていく。

 

 

 

「いやっ…………!やめてっ!

 

 

 いやあああああ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「姉ちゃん……?」

 

 

 

 ふと、2人のプレイヤーの背後から聞こえてきた幼い声。振り向くと、短髪の黒髪少女がそこには居た。だがその少女の体は次第に震え始めた。

 

 

 その2人のプレイヤーは面倒だと思った。そしてどちらかが拉致、または口封じするかを決めると最初にランに手を掛けた男が近寄ってきた。

 

 

 

「お嬢ちゃん、こんな所で何をしに来たのかなぁ?」

 

 

 

 しかし少女(ユウキ)は答えない。というよりも、何かが壊れそうな、そんなぐらいにまでユウキは知らず知らずのうちに殺意が芽生えていた。

 

 

 

「おいおいおい、そんなに黙ってちゃあ……おじさん怒っちゃ」

 

 

 

 そこから男の言葉は途絶えた。ほんの一瞬の出来事であったが、男はもう言葉を発せなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 ユウキが自分の剣で、男の首と胴体を失恋させたからだ。

 

 

 ドサッという音を立てて落ちた男の頭と、動かない体はそのままポリゴンとして消えてしまった。そのポリゴンの消滅音を聞いたランともう1人の男は、咄嗟にその方向を見た。

 

 

 

「っ!?テメェ……!」

 

 

「ユ……ウキ?」

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、そこの人…………お姉ちゃんからさ……」

 

 

 

 ユウキは剣を払うともう1人の男へと歩み近付いていく。先程の相方は殺されたと理解した男は、咄嗟に自分の獲物である片手剣を引き抜きランの首筋に剣先をあてた。

 

 

 

「おぉいそこの嬢ちゃん!動くんじゃねぇぞ!お前の姉ちゃんがどうなんのか……!」

離れろ

 

 

 

 ドスの効いた声で、一気に男との距離を縮めたユウキは、そのまま勢いで男の体を斬る。クリティカルが()()出てしまったのか、レベル差も相まって男は一撃でポリゴンへと変貌した。

 

 

 この時点でユウキは、人を2人殺したことになる。だが緑色のカーソルのプレイヤーがオレンジを攻撃したとしても、攻撃側はオレンジにならない設定となる。故に、人殺しをしようが今のユウキはオレンジにならない。

 

 

 

「……お姉ちゃん、大丈夫」

 

 

「ユ、ウキ…………」

 

 

 

 ランの声は震えていた。そしてユウキを見て、ランは一抹の恐怖を覚えてしまった。

 

 

 家族が、妹が……人を殺してしまったことに対して、あの時のユウキを恐れてしまった。

 

 

 そしてユウキも気付く。姉のために、姉を助けようとして……その身を目に見えぬ血に染めてしまったことを。

 

 

 

「……あっ…………ああ………!」

 

 

 

 一気に顔を青ざめていくユウキ。恐る恐るというふうに姉を見ると、恐らく同じように怖がっていた。

 

 

 

「ごめ……んなさい…………!ごめん、なさい………!ごめんなさい……!ごめんなさい……………!」

 

 

 

 整理がつかないまま、ユウキは姉の元から走り去った。

 

 

 

 

 

 

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」

 

 

 

 自分の罪を後悔しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、後書きです。

えーとですね、このDr.ゲムデウスのことについてです。一応どこまで進めようかとは決まってはいますが、一旦75層でのイベントが終わり次第、次回作の方を書こうかと考えています。

理由としては、Dr.ゲムデウスの終わりが長くなってしまいそうだからというのがあります。このままだと来年以上に持ち越してしまいそうなので、ここでストップ掛けとかなきゃと思い立った次第です。

何ぶん自分本位でありますが、今後ともどうぞ宜しくお願いします。

次回作のアンケートは、まだまだ続いていますのでドシドシご応募ください。




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