ビースト・ザ・ワンも出た()
じゃあビースト・ザ・ワンを出したのは誰だ?
それが少しだけ分かる回でもある閑話。
ウルトラマンとなったゼロであったが、未だに力の使い方を素早くスキル欄を見て何となく理解し何となく発動させてきた。しかしゼロにも力の使い方で不安はあるため、先にスキル欄を見て技の発動モーションを理解しようとするのだが……
「バダン助けて」
「いきなりなんだ?またシノンでも怒らせたか?」
「そんなんじゃねぇよ」
料理店のカウンターで前にぐでっと倒れているゼロ。バダンはゼロに無理やり連れてこられたようなものだが、ここ最近で悩み事といえば……となるとバダンも理解できる。というより理解している故にジョークを混じえたと言える。
「怒るな、どうせあの関係の話だろう。確かに昔のお前は先日みたいなことはなかったからな」
「そりゃあなぁ……つか、あんなモンいきなり使えたことに驚きだわ。んでもってスキル欄に技の使用法あったけどさぁ、これが変でよ」
「変?」
「これ」
ゼロがバダンを手招きしバダンがゼロに近付くと、ゼロはステータス欄からultimate humanを選択する。ウルトラマンとなった影響なのか、全ステータス上昇の他に使用可能な技の名前が幾つかあった。
だがそこにある技名の下の説明欄は全て、最後に“本来の力を発揮できていない”と書いてある。これを見たバダンは何か心当たりがあるようで、小さく“成程……”と言いつつ数回ほど小さく頷いた。
「何か分かるのか?」
「この最後の1文、恐らくだがゼロ自身が光……ウルトラマンに馴染めてないのが原因かもしれん」
「???」
「先日の件、あの時お前は急に戦う羽目になっただろう?その時の心境を今どう思う?」
バダンの言葉にゼロが悩む。といってもそこまで時間はかからなかったらしく、不意に“あぁ”とゼロが言うと答えを出した。
「ビックリして訳分からなかったな……しかも鍛えてる筈なのに精神的にも、変な話し肉体的にも疲れたな。疲れるまでの時間も早かったし」
「ビンゴだ」
「何がだよ?」
「ゼロ、お前はウルトラマンとしての身体とキチンと馴染めていないのだ。接触が悪ければ充電速度が遅くなる充電器と携帯の関係みたくな」
「分かりやすいのか分かりにくいのか判別つかねぇな、その例え」
「まぁその様な関係と思っておけ。だが馴染むにしても……こればかりは訓練どうこうで出来るものでは無いんだがな」
「はい?」
「……少しフィールドに出るか。ご馳走様、行くぞゼロ」
「お、おう……ご馳走さんっした!」
ゼロとバダンが店から出ていき、素早くフィールドに向かう。ゼロもultimate humanのスキルによってステータスが向上されている故に、現段階のデウスには劣るものの負けず劣らずといった素早さを出していた。
一方バダンはゼロの腕を掴み、ドロップ品の盾を使ってボードの様に滑っていた。ある意味楽といえば楽な移動方法だろう。あとでメンバー全員にでも伝えておこうかと考えたバダンであった。
暫くして殆ど人通りの無い場所にまで辿り着くと、ゼロはそこで止まりバダンはブレーキを掛けてゼロより前に出るものの止まった。盾から降りて足で盾を持ち上げて回収するとストレージにしまった。
「なんか気持ちよさそうだな、それ」
「お前もデウスかバイクに乗った大人に頼むといい。気持ち良かったぞ」
「マジか、あとでデウスに頼も」
「さて、保留していた話しになるが……ゼロ、ウルトラマンの身体を馴染ませる方法だが」
「おう」
「こればかりは本人の
「心の成長……ってか?」
「例えるなら、ウルトラマンとして戦うことを決意したり、“運命を受け入れる”ことと“運命に抗う”ことを身を持って弁えなければならんからな」
「……何だかよく分かんねぇけど、戦うことを決意すれば良いんだよな。だとすりゃ簡単じゃねぇのか?」
「言うは易く行うは難し。単に決意だけしても……というヤツだ、恐らくはゼロの性格面の問題もあるだろうがな」
「そうか……って俺の性格がなんだって?」
「お前はどちらかといえば楽観的だろう?今はウルトラマンとなったのだ、戦う覚悟と守る覚悟ぐらいは覚えておいてほしい」
バダンの言葉を聞いたゼロだが、今ひとつ理解していないみたいだ。まぁウルトラマンとなったからとはいえ、元は人間として暮らしてきたのだ。失礼だとは思うが、厨二病患者や正義のヒーローに憧れている者ならば覚悟の意味が分かるだろうが、生憎とゼロはそのカテゴリーに入っていない。
力を扱う際の注意事項は元軍人である父親から嫌という程教えられたが、“覚悟”となると話しは別だ。覚悟とは、何かに対して吹っ切れる状態になることと考えているからこそであろうか。
ある日を境にゼロが付き合い悪くなってしまった様に思える、逆にバダンとは未だに付き合いは保ったまま。やはり旧知の仲というだけあって、隠し事でさえも気軽に話せる方が良いのだろうか。
「という訳で、ゼロとの関係を進行させるには何をすれば良いと思いますか?」
「いや……僕に聞かれても。というより話しが飛躍してない?」
今私はリアルで精神科医をしているデウスに話しをしに来た。なんでもリーゼと恋人同士の関係らしく、リーゼ・ロッテ自身の話しからデウスは告白された側であったものの今でも良好な関係が築けているみたいだ。流石にアスナに聞かせるのはアウトだろうけど。
「けどゼロのこと好きなんだねシノン。良いねぇ、若いってさ」
「っ……はい」
改めて誰かに言葉として言われると、どうやら私でも恥ずかしいみたいだ。というより精神科医だからという理由だけで、何故女性であるリーゼ・ロッテじゃなくてデウスに話したのだろうか。少しだけ後悔した。
微笑んでいるデウスであったが、息を1つだけ吐くと質問に答えてくれた。
「んまぁ、さっきの答え……という訳でもないかな。まぁアドバイスみたいなものさ」
「それは…………?」
「ゼロを支えてあげること。どんな時でも、どんな事があったとしても……ね。こればっかりはリーゼに感謝してるから言えてるんだけどね」
「というと?」
「ドクターライダーになってからというものの、幾つもの無茶をして心配されることが多くなったんだよね。でもそんな僕を心配して、ずっと支えてくれたのがリーゼなんだ。懐かしいなぁ……前にパンデミックの件で無茶し過ぎて血反吐吐いちゃったこととか」
いやドクターライダーの活動って、そんなものだったかしら?そんなことを思いつつ、デウスの言ったアドバイスを実行することを決めたのであった。
場所は変わって現実世界、株式会社【レクト】の1角。そこには多くのPCや様々な計器などが設置されている。だがそんなものよりも、もっと奇妙奇天烈で摩訶不思議すぎる
「あのウルトラマンは地球人の科学ではどうしようもない存在だ。ここでは“神”という立ち位置が当てはまっていると考えても良い」
「……そのウルトラマンという存在を、お前がどうにか出来るから僕が採用した。特例でな」
「えぇ、それは勿論感謝していますよ……こうして実験を行うことも出来るんですから」
目の前のPCのエンターキーを押すと、画面にインストールを表すパーセンテージが表示されているバーが出現すると、その者は何も言わずに
隣に居た須卿伸之は、先程の
「(見た目通りの頭でっかちみたいな奴だったが……あの頭脳は本物だ。あの化け物をデータとはいえSAOというゲームに組み込ませた。あれほどの大きさ、普通はラグや容量の関係で正常には機能しない筈なのにだ……)」
須卿伸之が本心から恐ろしいと感じ、尚且つ敵対したくない相手と認識している存在。それ程の存在だと言うのが何となくだが分かる。
先程までその存在が弄っていたPCがインストール終了の合図を出した。
“プレイヤー『PoH』の人格消去、ならびに【ヤプール】のデータをインストール完了しました”
活動報告にてアンケートを実施しています。
お願いします。1人でも多く、意見をくださいまし……えっ、本編進めろと( 'ω')?
あぁ分かったよ!(本編に)連れてってやるよ!連れて行きゃ良いんだろ!?どうせ後戻りは(ry