【ドラゴナイトハンター!Z!】
デウスの起動させた【ドラゴナイトハンターZ】のガシャット。そのゲーム画面から【ハンターゲーマ】が出現しアランブラに攻撃を与える。デウスはガシャットを空きスロットに差し込み、右手を左肩の近くに移動させ手を開くと同時に手の平をアランブラに向けた。
【ガッシャット!】
「Mark 5!変身ッ!」
【ガッチャーン!レベルアーップ!】
【タドルメグル!タドルメグル!タドルクエストー!】
【アガッチャ!ド・ド・ドラゴ!ナ・ナ・ナ・ナーイト!ドラ!ドラ!ドラゴナイトハンター!Z!】
デウスがレバーを開くと、ハンターゲーマがブレイブに装着される。ファング、ブレード、ガン、クローの4つの部位が両腕両足、さらに顔などにも装着されフルドラゴンが完成した。しかしこのフルドラゴン、本来は4人プレイ用の為か1人が装着してしまえば暴走を引き起こすハメに……
「ちょっとビリビリするなぁ……!」
『ゲムデウスウィルス程では無いな。暴走の危険性は万が一でも無い限り大丈夫だろう』
なりませんでした。膨大な負荷が掛かるのは既に他のガシャットで経験済みなデウスにとって、レベル5のガシャットの暴走など気にもならない。というよりレベル5の前にレベルXやレベル99を体験している時点で可笑しいのだが。
デウスは体中に
「うぉっ!先生何それ!?着ぐるみ!?」
「そういや、あれのデフォルメVer.人気だったな……ホビーショップにも無かったし」
「成程……ゆるキャラか」
「いや皆こっちじゃなくてアッチ見て!ほら、アランブラ待ってる!ちゃんと待ってくれてる!」
「えぇい!仮面ライダーのフォローなんぞ要らんわ!」
『こうなる運命なのか?我々は』
やはり待ってたギャグ調の雰囲気。一気に真剣なものから下降していったことでシュールさが醸し出されている。さらにシュールさはフルドラゴン状態のデウスが追加されている分、上乗せされている。
「ほら皆!早く終わらせるよ!(ゲムデウス!)」
『ふむ……やるか』
「“パーフェクトパズル”!」
デウスがそう叫ぶと、ガンとブレードを操りエナジーアイテムを集める。集めたエナジーアイテムはそこまで良いものが無かったのだが、それでもデウスは適切だと思うエナジーアイテムを与えた。
「キリト君!受け取って!」
「え、えぇ!?」
【分身!】
デウスがキリトに与えたのは分身のエナジーアイテム。このエナジーアイテムはランダムで2〜8人にまで増やすことのできる能力を持つ。リアルラックというよりバグで無理やり良い方向に持っていくようなデウスであるが、流石に無粋な真似はしない。
のにも関わらずキリトは8人に増えた。
「「「「「「「「 ふ、増えたァ!? 」」」」」」」」
「うっわぁ……キリトがいっぱい居る……」
「「「「「「「「 引くなユウキ!俺だって増えたくて増えた訳じゃねぇ! 」」」」」」」」
「ステレオ音声か」
「先輩どうぞ!」
「ひょっ?」
【ジャンプ強化!】
続いてデウスがヒースクリフに与えたのはジャンプ強化。その効果は名が示す通りジャンプ力を大幅に上昇させるエナジーアイテムだ。なぜこれをヒースクリフに与えたのかはデウスのみぞ知る。
「ユウキちゃん!これ!」
「やっほーい!ボクにも来たー!」
【高速化!】
ユウキに与えたのはお馴染みの高速化。汎用性の高いエナジーアイテムで、ドクターライダー全員がお世話になっているスゲーイ!ヤツ。
「最後にッ!」
【暗黒!】
「ぬぉっ!?ま、前が見えん!」
自分にエナジーアイテムの効果を付与させるのではない。エナジーアイテムは時にキャラクターに致命的な弱点を晒してしまうことにも繋がる。
その典型例が暗黒のエナジーアイテム。対象の周囲を暗闇で覆い視界を奪うエナジーアイテムである。あまりデバフ系のエナジーアイテムを使う機会は殆ど無いが、ここは命を賭けたもう1つの現実。ならばここでデバフ系エナジーアイテムを使おうが卑怯ではない。
「デウス君の考えは……大体わかった!」
「よくわかったね先生!ボクのビルド!」
「医者だからね!キリト君先手お願い!」
「「「「「「「「 !成程……わかりました先生! 」」」」」」」」
「凄く頭に響く……」
『我慢をしろ、お前の選択だろ』
暗黒によって視界が暗闇に包まれているアランブラの背後から、8人に増えたキリトがそれぞれ片手剣突進系SS【レイジスパイク】と垂直単発SS【バーチカル】を放つ。
「ぬぉぉおおお!?」【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】
「ユウキちゃん!」
「オッケー!先生!」
ユウキが【レイジスパイク】を放つ。だがその速さは高速化によって異常なまでのスピードになっている。そのスピードがアランブラに襲いかかる。
「ぐぉっ!」【GREAT!】
「やった!キリトより上ー!」
「数は俺が多かっただろ!」
「あ、元に戻ってる」
「ぐぬぅ……!【ヒエール】!」
「「 ッ!? 」」
暗黒が解けたアランブラが2人に向けて氷の魔法を放つが、キリトとユウキの2人は突然のことだったので魔法を避けるのに間に合わない。
「させないよっ!」
そこにデウスがファングから火焔球を放つ。氷の魔法と相殺し水蒸気がその場に発生した。つまる所視界が両者共に塞がれる。
「目眩しか?私には通用せんぞ!」
アランブラは自分の前方に火の魔法を放つ。一直線に発射された火球は
「居ないッ!?」
「残念だったな」
真上だ。ヒースクリフはジャンプ強化の効果を受けており、跳躍してアランブラの真上に位置していた。そして片手剣に光を宿している。
落下しながら発動するのは片手剣垂直系SS【バーチカル】。盾の重さも加算された落下速度から放たれるSSは、アランブラのHPを削った。
「ぬぉおッ!?」
「デウス君!」
「“ノックアウトファイター”!」
ガンとソードにマテリアライズ・スマッシャーの幻影が纏われると、デウスはアランブラに接近し殴り付ける様に扱う。防御無視の攻撃がアランブラに直接響いていくが、やはり一筋縄ではいかないのがレベル99である。
「なぁめるなァ!」
「ぐっ、がァッ!」【HIT!】【HIT!】
「「 先生! 」」
レベル99の攻撃は牽制程度でも最悪な方向に持っていかれる。故に本来攻撃を食らうのは不味いが、今の所ライダーゲージは保たれている様だ。またもアランブラが氷魔法をデウスに向けて放とうとするが、ガンで牽制しキャンセルさせた。
「大丈夫だよっ……と!(ゲムデウス、どうする?)」
『私の力を使えば……は良いか。既に使っているのにも関わらずタフな奴だな。またエナジーアイテム操作をするか』
「(そりゃキツいわ……でもまぁ
やらなきゃ、殺られるだけだ!)
“パーフェクトパズル”!」
またもエナジーアイテムを操作するデウス。発見したのは運が良かったのか、はたまた土壇場でリアルラックが発動するのか。それは誰にも分からない。デウスは2つのエナジーアイテムを自分に付与させる。
【マッスル化!】
【分身!】
効果の重複はパーフェクトパズルの利点。まずはマッスル化で攻撃力を上昇させ、分身で3人にまで増える。
「効果の重複!?そんなことまで!」
「いっけぇ!先生!」
「「「 行くぜぇ! 」」」
マッスル化で強化されたデウス3人がアランブラに迫る。アランブラは魔法を放つが、1人がガンで牽制し魔法を相殺。残り2人はソードで斬りつける。
「「 オラァ! 」」
「ぐぬぉ!?」【HIT!】【HIT!】
「コイツで……!」
3人から1人に戻ったデウスは、ソードでアランブラを斬りつけた。するとアランブラの動きが目に見えて鈍くなり、体から電気の様なものが走っている。
「こ……これは…………まさかっ……!」
「これで……終わらせる!」
デウスはドラゴナイトハンターZのガシャットを抜き取ると、キメワザスロットホルダーに差し込みボタンを2回押した。
【ガッシューン ガッシャット!キメワザ!】
【DRAGO KNIGHT CRITICAL STRIKE!】
デウスは背中からピンクの両翼が生えたかと思うと、今度は足に爪や両腕に青と黄緑のエネルギーが蓄積されていた。飛び立つとそのままアランブラに向けて急降下し、為す術もないままアランブラは食らった。
「スァアアア!」
「グオアアアアァァ……」【PERFECT!】
【GAME CLEAR!】
アランブラからゲームクリアの音声が流れると、疲れた様子を見せながらデウスはゲーマドライバーのレバーを閉じてガシャットを抜き取る。
【ガッチョーン ガッシューン】
「ふぅ…………おっと」
「先生!大丈夫ですか!?」
「平気平気……あ、何だか疲れてきた」
「大丈夫じゃなかった!」
デウスがよろめいた所、キリトが駆けつけて支える。いつもの無茶が響いたのか疲れた様子を見せていたが、デウスの目の前に画面が現れた。何かと思い見てみると、そこにはレベルアップの報告が。
「えーっと……レベル6も上がった!?」
「え、ちょえっ?……デウス君、嘘じゃないよな?」
「何でバグスターが……って、ちょっとごめん!」
「先生!?」
自分のレベルが6
「大丈夫ですか?しっかり!」
「…………ッゥ……ここ、は?」
「良かった……気が付いた」
『……宿主、恐らくはこのプレイヤー』
「(……多分ね、どうやらこの世界にも感染者が居るみたいだ。すぐにMさんにも報告しないと)」
倒れていたプレイヤー『コペル』を介抱しつつも、邪魔が入ったクエストをクリアし報酬である【アニール・ブレード】を手に入れると、デウスはMにメッセージを送りホルンカの村で集合するのであった。
※デウスの台詞にある()はゲムデウスとの会話を意味しています。流石にSAO内で無闇に言うと不味いので2人の練習として。
次回!『Dr.ゲムデウス』は!
次なる街で迷宮区でのレベリング!だが……?
「何だか……とてつもない胸騒ぎがするの」
一抹の不安はボス攻略会議と共に募らせる!
「僕には……彼の様なことすら出来なかったからね」
待ち受けていたボス!しかし思わぬ事実が!?
〔諸君、私のゲームの醍醐味だ。とくと味わえ〕
「Mさん!」「わかってる!」
「「 変身ッ! 」」
次回『最悪のfact!!』