Dr.ゲムデウス   作:(´鋼`)

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デウスの話すsecret! パート2

 デウスが秘密を話してから少し時間が経った頃、1行は二手に分かれて行動を開始していた。このホルンカの村近くに“片手剣専用クエスト”が存在する情報から、メンバーを決めて決められた人数だけで行動する。

 

 

 そのクエストを受けるのはキリト、ユウキ、ヒースクリフ、デウスの4名。他はクエストで手に入る片手剣の強化素材を集める役割を担う。片手剣持ちは全部で5名だが、流石に大人が1人居なければ安全性にも問題が出るのでMとリーゼ・ロッテを残した。その代わりと言ってはなんだが、デウスがMの分の剣を手に入れる約束をした。

 

 

 そして道中でもモンスターは面倒な程出てくる。そして倒していくのだが、やはりデウス以外のレベルが1だけ上がったのに対し、デウスだけはレベルは上がらず。やるせない気持ちの中漸くクエストエリアまで辿り着いた。

 

 

 そのクエストエリアには小さな民家が1つだけポツンとあった。そしてその中に住む1組の親子、その中の母親からのクエストだ。子どもが病気にかかったが、どんな薬を試しても治らなかった。しかしその中で、付近の()()()()()植物系モンスターから手に入るアイテムを手に入れて来て欲しいという内容であった。

 

 

 そして漸くモンスターと遭遇して、花付きの【リトルペネント】と呼ばれるモンスターを倒している最中であった。

 

 

 

「あーもう!うざったい!」

 

 

「先生、そっち行ったよ!」

 

 

「はいっと!」

 

 

 

 ポリゴン片に変わるリトルペネント。デウスの苛立ちをぶつけられる憐れなキャラと成り果ててしまった。

 

 

 

「何で先生はあんなにイライラしてるんだ?」

 

 

「ゲムデウスウィルスのせいでステータスが可笑しくなってから、レベルの上がり具合が著しく低いのさ。しかもレベルが低ければガシャットにも制限が掛かるから死活問題なのだよ」

 

 

「よっしゃー!やっと5ー!」

 

 

「先生あっちに花付き居た!」

 

 

「「「 今すぐ向かうぞ! 」」」

『何だ、このギャグ?』

 

 

 

 そこで先ずは1体目の花付きを狩り終えて、目的のアイテムを1つ手に入れた。残り4つ手に入れれば片手剣持ちは揃う。

 

 

 因みにだが、片手剣使用者は5名に短剣使用者は3名。アスナがレイピア、ランが曲刀、バダンが大剣、リズベットは片手棍、デウスはメインが両手斧である。片手剣と盾はサブ。

 

 

 デウスの振るう一撃は素早く、本当に両手斧を振るっているのか理解し難い程。デウス自身はいつも使っていたガシャコン・シールドのアックスモードを振るっている感覚と似たような感覚に陥っている為、違和感は無い。

 

 

 レイピアには劣るが、片手剣並の素早さで振るわれる両手斧なぞ誰も想像したくないだろう。そんな感覚で振るえるデウスがある意味末恐ろしい。

 

 

 

「今度はボクの番ー!」

 

 

「ちょ!危ないから出すぎんなよ!」

 

 

「へーきへーき!」

 

 

「デウス君、こうしてゲームをプレイしてくれると……やはり製作者冥利に尽きるんだよ」

 

 

「オラオラオラァ!」

「ねぇ聞いてくれないか?」

『ここでも我々は変わらんなぁ……』

 

 

 

 ヒースクリフが感慨深くなっていても、プレイヤーはそんなこと気にしてない。それはデウスにも当てはまったらしい。

 

 

 そんな中、ゲムデウスが違和感を感じた。たった少しの違和感なのだが、どうにもこうにもゲムデウスは違和感を拭い切れずにいた。

 

 

 

『……むぅ?』

 

 

「ゲムデウス?」

 

 

『いや……何やら違和感をな』

 

 

「?……ゲムデウスが感じる違和感って、結構限られてくるよね。同じバグスターウィルスとか……」

 

 

『だがナーヴギアにはバグスターウィルス対策のファイヤーウォールを組み込んだ筈だ。……考えたくは無いが、檀正宗が仕組んだ可能性を捨てきれん』

 

 

「……それもそうか。後でMさんに相談して」

 

 

 

 

 

 

『ッ!?宿主後ろだ!』

「先生後ろ!」

 

 

「!?っとォ!」

 

 

 

 ユウキとゲムデウスの1声で後ろを振り向くと火の玉が迫って来ていた。素早くデウスは両手斧を振るって火の玉を切ると、その火の玉が発射された方向を見た。

 

 

 

「ッ!?アイツは!」

 

 

『やはり当たっていたか……そしてここでは面倒だぞ。

 

 

 【アランブラ】は』

 

 

「先生!…………って、アランブラ!?タドルクエストのボスキャラが何で!?」

 

 

 

 ゲーマーであるキリトは既に知っているらしい。そう、【タドルクエスト】のゲームに登場するキャラは普通SAOに来ることも無い。ならば来た理由は1つだけ。

 

 

 

「檀正宗ェ……!私のゲームをよくも汚しおってぇ!」

 

 

「私のゲーム……?」

 

 

「あぁもう!先輩、2人を避難させて下さい!」

 

 

〔ゲーマドライバーならアイテム欄に!〕

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

 アイテム欄を即座に開きスクロールさせてゲーマドライバーを選択。実体化されたゲーマドライバーを腰に装着し、ゲムデウスが言っていたガシャット2つを取り出す。

 

 

 

「目には目を、歯には歯をってね!」

 

 

 

【タドルクエスト!】

【ギリギリチャンバラ!】

 

 

 

 2つのガシャットを起動させゲーム画面を出現させる。ギリギリチャンバラの方からは【チャンバラゲーマ】が出現し、アランブラに対し攻撃を加えている。

 

 

 デウスはその際に2つのガシャットを左手で一気に持つ。

 

 

 

「Mark 3!変身ッ!」

 

 

 

【【ガッシャット!】】

【【ガッチャーン!レベルアーップ!】】

 

 

【タドルメグル!タドルメグル!タドルクエストー!】

【アガッチャ!ギリ!ギリ!ギリ!ギリ!チャンバラ〜!】

 

 

 

 デウスはゲーマドライバーにガシャットを差し込みレバーを開くと、変身した。しかしクエストゲーマーにチャンバラゲーマという組み合わせは少し異質。ゲムデウスがこれが合っていると言っていたから変身したまで。

 

 

 デウスは右手にガシャコン・ソード逆手で持ち、左手にはガシャコン・スパローのアローモードを装備し構えた後アランブラを見据える。

 

 

 

「緊急手術、開始!」

 

 

 

 先手にアローモードのガシャコン・スパローで牽制を仕掛ける。紫の弓矢がアランブラに向かうが、アランブラは火の魔法で応戦する。

 

 

 

「【モエール】!」

 

 

 

 その弓矢は焼かれて消失し、その火の玉だけはデウスの元に向かってくる。しかしデウスが変身しているのは単なるクエストゲーマーではなく、()()()()()()()()装備のクエストゲーマーである。

 

 

 ギリギリチャンバラというゲームの特性を利用し、紙一重で火の玉を避けるデウス。そして追加で紫の弓矢を放つ。

 

 

 

「ほらよッ!」

 

 

「むっ!」【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】

 

 

「まだまだァ!」

 

 

 

【コ・チーン!】

 

 

 

 デウスはガシャコン・ソードのAボタンを押して炎剣モードから氷剣モードにチェンジ。まだまだ弓矢を放ちながら近付きアランブラに余裕を与えない。

 

 

 そしてアランブラの懐に接近しガシャコン・ソードの刃をアランブラに添えると、一気に駆けながら斬る。氷の属性を得た勇者の剣は、アランブラの1部を凍らせることが出来た。

 

 

 実戦での逆手持ちというのは、案外馬鹿にならないものだ。刃のある物を逆手に持つことで瞬時に攻防の転換が可能になる故である。隙というのが意外に少ない代わりに、その使い方は()()()でもある。

 

 

 

「ぬぅ!」【HIT!】

 

 

「まだまだ食らってくれよな!」

 

 

「【モエール】!」

「おっと!」

 

 

 

 アランブラが火の玉を発射するが、デウスはそれをバック宙で回避。着地する寸前にまたも紫の弓矢を放ちアランブラにダメージを与える。

 

 

 そこでアランブラが膝を着いた。勝機だと踏んだデウスは接近を仕掛ける。

 

 

 だがそれは、デウスに隙を生み出させる為の演技であった。

 

 

 

「【トマーレ】!」

 

 

「なni………………」

 

 

 

 デウスの動きが止まる。トマーレという魔法は相手の時間を止める魔法、即ち今のデウスの時間は止まっているに等しい。

 

 

 

「デウス君!」

「「先生!」」

 

 

「フハハハハッ!実に愉快だ!私の演技にまんまとハマってくれたからなぁ!今の私のレベルが幾つか知っているか?

 

 

 

 

 

99だ」

 

 

「なにっ!?」

「レベル99って……!そんなの無茶苦茶だよ!勝てっこないじゃん!」

「完全にクロノスの思うがままって訳か……!」

 

 

「この機を逃す私ではない!我が伝説の魔法をくらい、ここで命を落とすが良い!仮面ライダー!」

 

 

 

 アランブラが杖に力を込め始めた。収束されていくのは炎や雷、そしてその2つが纏わりついていく氷塊。それらが魔法の中で形成され始めていた。ここでデウスを失うのは……この3人にとっては、とても許し難いことであった。

 

 

「ッ!ヒースクリフ、ユウキ!耳貸してくれ!

何か策はあるの!?早くしないと!

簡単に伝える!作戦は…………

 

 

 

 そして3人が相談している中、アランブラの魔法陣がもう少しで完成する所まで来てしまった。このままではデウスの命が危うい。

 

 

 そしてちょうどその時、3人の作戦会議も終わった。するとユウキとキリトだけは左右それぞれに向かった。残ったのはヒースクリフのみ。しかしヒースクリフはその剣に光を宿させた。

 

 

 片手剣突進SS【レイジスパイク】。ヒースクリフは先手として、デウスを助ける為に突進技を仕掛けた。案の定、ヒースクリフの体は剣に連れられるがままアランブラに向かっていた。

 

 

 

「むっ!?おのれ、猪口才な!」

 

 

 

 アランブラは急に魔法を解き、ヒースクリフの攻撃を魔法の盾で防いだ。

 

 

 

「残念だったな!私には届かなかったぞ?」

 

 

 

 

 

 しかしヒースクリフは、そのままニヤリと口角を上げた。

 

 

 

「むっ……?」

 

 

「確かに私の攻撃は届かなかった…………だが、私以外はどうかなッ!?」

 

 

「なにっ!?」

 

 

「シィッ!」「デリャア!」

 

 

 

 片手剣垂直単発SS【バーチカル】、その2連撃がアランブラの背後を襲う。急なことでアランブラも魔法に掛ける集中力が途切れてしまった。つまり……

 

 

 

「ぬおぉ!?」【HIT!】【HIT!】

 

 

「ッ!?……動けたってことは……!」

 

 

「先生!大丈夫だった!?」

 

 

「俺達も手伝います!4人なら倒せる筈です!」

 

 

「少々骨が折れるが……デウス君!君の力が要となる!今使える最大の力を使ってくれ!」

 

 

「皆…………わかった!使わせてもらうよ!」

 

 

 

 デウスは体内から新たなガシャットを取り出し、ゲーマドライバーのレバーを閉めてギリギリチャンバラを外す。そしてガシャットを起動させた。

 

 

 

【ドラゴナイトハンター!Z!】

 

 

 

 

 

 

 

 


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