Dr.ゲムデウス   作:(´鋼`)

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デウスの話すsecret! パート1

 翌日のことであった。始まりの広場内にある宿屋は全室埋まっており、結果的に始まり広場から先へと進んだ【ホルンカの村】にまで1行は到着した。そこの宿屋も広いとは言い難いが、あまりプレイヤーが訪れていないということもあって空き部屋は多かった。

 

 だが如何せん人数が人数だ。計13名という大所帯の様な人数での移動というのは骨が折れることもある。まだVRMMOに馴染めていない者も居れば、逆にステータス差に気付かれないように動くデウスも居る。

 

 

 そんな危険性を孕んだまま、ホルンカの村まで到着したのだ。それに疲れたデウスはヒースクリフとMと一緒の部屋に居た。

 

 

 

「……レベルが……上がらない……です」

 

 

「ステータスだけは異常なんだがな」

 

 

「移動中でも僕らが3か2レベまで上がったのに、デウス君だけギリギリレベル1だしね……」

 

 

「漸く4……そしてお腹が……」

 

 

 

 そう言った直後、デウスの腹の虫が鳴った。2人が少しだけ苦笑いを浮かべるが、当の本人は生死を分ける様なこと。流石に1食抜いて死ぬことは無いが、腹が減って力も出ない。

 

 

 

〔心配するなぁ……君にはとっておきを用意しているぅ〕

 

 

「とっておき……?」

「というか通信しててカーディナルに邪魔されたら不味いんじゃ?」

 

 

〔通信のことは心配なぁい!デウスとM!そこのヒースクリフにのみ聞こえる様に制限を掛けた!これであればカーディナルの監視も抜けたぞぉ!〕

 

 

「何故だか負けた気が……」

「先輩、今は気にしてる場合じゃないです。それより、とっておきって……?」

 

 

〔ゲムデウスウィルスに、新たなガシャットデータを読み込ませた。その名は……〕

 

 

「「「 その名は? 」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔【ジュージューバーガー】だぁ!〕

「ジュージューバーガー!?何で黎斗さんがそのガシャットを!?」

 

 

 

 Mだけが驚く中、やはりというべきかヒースクリフとデウスだけは疑問符を浮かべている。しかし1度ジュージューバーガーをクリアしたMは、このガシャットを檀黎斗が選んだ理由は即座に理解した。

 

 

 

〔小星作からはデスゲームクリアという名目で気前よく借りることが出来た。あとはデウスの中にあるゲムデウスウィルスにデータをコピーすればOKだぁ〕

 

 

「じゃあ……バガモンも!?」

〔居るに決まっているだろう!バーガー製作の為にゲームしていてはキリが無いのでなぁ!〕

 

 

「あの、ジュージューバーガーって……?」

 

 

「あ、あぁごめん。ジュージューバーガーは()()()()()()()()()ゲームでね、黎斗さんはデウス君の為に用意したんだ」

 

 

「「 ハンバーガー!? 」」

『腹減ってるのならさっさとしろ宿主。体力が持たんぞ』

 

 

「そ、それじゃあ……フッ!」

 

 

 

 ゲムデウスウィルスからガシャットデータを取り出す感覚で、先程言われたジュージューバーガーのガシャットデータを取り出したデウス。

 

 

 表は黄色で裏は赤という色となっており、ガシャット読み込み部分にはハンバーガーの絵が薄らとある。迷わずデウスはジュージューバーガーのスイッチを押した。

 

 

 

【ジュージューバーガー!】

 

 

 

 すると手持ちのガシャットからバグスターウィルスが外に出現した。そのバグスターウィルスは形を成していき、遂にバガモンの姿が登場した。

 

 

 

「バガモン!」

 

 

「永夢〜!久しぶりだガー!」

 

 

「バガm」

「バガモン!」

「へぶっ!」

 

 

 

 永夢がバガモンに向かおうとしたが、それより先にパラドが永夢から出現し永夢は倒れる始末となった。

 

 

 

「ええ永夢さん!ちょ、大丈夫ですか!?」

 

 

「だ、大丈夫……」

 

 

「あ……永夢ごめん!」

 

 

「だ、大丈夫ガ?」

 

 

「あはは、平気平気……それよりバガモン、皆にハンバーガーを作ってくれないかな?」

 

 

「それならおまかせだガー!」

 

 

 

 バガモンの右腕に設置されているベルトコンベアにパティ、レタス、ミート、トマトなどを置いていくと、そのベルトコンベアが流れていく。そして材料が集まっていき、1つのハンバーガーが出来上がった。

 

 

 

「「 おぉ! 」」

 

 

「ハンバーガー出来たガー!誰から食べるガ?」

 

 

「あの金髪の人に渡してあげて。お腹空いてるから」

 

 

「わかったガー!」

 

 

 

 バガモンは出来上がったハンバーガーをデウスに渡すと、デウスは“いただきます”と言ったあとハンバーガーを頬張る。すると表情が目に見えて喜びに変わり、ハンバーガーを完食していった。

 

 

 

「ご馳走様でした!ありがとうバガモン!美味しかったよ!」

 

 

「それは良かったガー!」

 

 

「先輩も食べて下さいよ!本っ当に美味しいですから!」

 

 

「ほぉ……それなら私も1つ良いかな?バガモン」

 

 

「喜んで作るガー!」

 

 

 

 結果、ハンバーガーを食べて上手いと感じたヒースクリフもバガモンの作るハンバーガーの虜となってしまったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてハンバーガーを食べ終えて、何故かは知らないが本日デウス、『リーゼ・ロッテ(藍原 優美)』、アスナの泊まる部屋に全員集まっている。なぜこの場に招集されたのかは未だに理解できない者は、集めたMとヒースクリフとデウスに疑問を抱いていた。

 

 

 そんな疑問をズバズバと言い切るゼロは、正しく豪胆不適とも言うべきなのだろうか。

 

 

 

「お医者さんよ。俺達をここに集めた理由は一体何よ?」

 

 

「それは今から……僕、デウスが話すよ。君達には知ってもらいたいと思っている事だから」

 

 

「知ってもらいたいこと……ですか?」

 

 

 

 シリカがそう尋ねる。それにデウスは頷いて応えると、両瞼を閉じて息を少し吐いた後で全員に伝える決心をした。迷いはまだあるが、それでも言わないよりかはマシだ。

 

 

 

「100層のラスボスであるゲムデウス……その事についてなんだ」

 

 

「……ゲムデウスが、どうかしたか?」

 

 

 

 

 

 

 

「僕の中に、ゲムデウスが居るんだ」

 

 

「……悪いが、冗談は無しにしてくれよ」

 

 

「今から証拠を見せるよ。待ってて」

 

 

 

 そう言ってデウスは右腕からゲムデウスウィルスを出すと、そのゲムデウスウィルスが形を成していく。作り上げていくのはゲムデウスが使用する剣、デウスラッシャーであった。

 

 

 急に取り出された剣に殆どが目を丸くする中、やはりと言うべきかMとヒースクリフは驚かなかったものの、1度デウスのライダーとしての活動を見ていたリーゼ・ロッテだけは目を丸くした後、デウスに向かって微笑んだ。

 

 

 

「これはゲムデウスが使う剣。名前を【デウスラッシャー】っていうんだけどね……僕もこれを召喚できるんだ。4年前に適合して以来」

 

 

「じ、じゃあ!先生が変身できるのは……」

 

 

「ゲムデウスが中に居るからさ。ドクターライダーはバグスターウィルスを弱毒化させたものを投与して、変身できているからね。……無論、バグスターウィルスそのものが居ても変身は出来るんだ」

 

 

「それがドクターライダーのシステム……成程、変身できれば適合者か感染者か。そしてデウスはゲムデウスとの適合を果たしたと……」

 

 

 

 纏めて伝えたのはバダン1人であった。デウスは頷きデウスラッシャーを消すと、真剣な表情のまま話す。

 

 

 

「皆にこれを伝えたのは、僕の違和感を後から感じる可能性が出てきた事と……君達なら信じられると思ったからだ。

 

 

 ゼロ、バダン。君達はあの始まりの広場の騒動を沈静化させた。そのリーダーシップを信じて、僕の秘密を話した。

 

 

 他の皆は……今まで出来た繋がりから信じたいって思ったんだ。キリト君、アスナちゃん、ユウキちゃん、ランちゃんは僕を知っている……でも他の3人は全く知らない。でも誰かが助けた人も、僕は信じたいって思っている。

 

 

 君達全員を、信用して……僕は秘密を話した。本来なら裏切られても良い位のことをね」

 

 

 

 そう。ゲムデウスがここに居るということは、隙を見てデウスを殺せばこのゲームはクリアとも言える。ラスボスであるゲムデウスを倒した……ということに当てはまるのだから。

 

 

 この世界でデウスが死んで、残りのプレイヤー全てを救うのか。100層にまで到達し、デウスが死ぬか……結局のところ死ぬことには代わりないが、早いか遅いかの問題である。人命救助とするならば、デウスを殺せば済む話であった。

 

 

 

「そして君達に、判断してもらいたかった。今ここで僕を殺すのか、100層まで到達して殺すのか……今すぐに帰りたいのなら僕の命を」

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだよ」

 

 

 

 しかしデウスの言葉を遮る、優しい声が部屋に響いた。その声の主は、デウスの恋人。

 

 

 

「リーゼ……」

 

 

 

 ゆっくりと座っていたベッドから立ち上がり、デウスの元に歩み寄るとデウスに寄りかかった。デウスだけは成すがまま。

 

 

 

「ダメ、君はまだ生きてかなきゃ。

 

 

 君に救われた人達に、そんなことを言っちゃダメ。

 君が死んだら、悲しむ人が居るからダメ。

 

 

 それに……私が居るのに、それはいけないよ。

 君は人の為に……私達の為に()()()

 

 

「リーゼ……」

 

 

「まぁそれにだ」

 

 

 

 そのやり取りにヒースクリフが割り込んだ。

 

 

 

「このゲームを乗っ取ったのが仮面ライダークロノスだとわかった以上、我々が倒すべきはクロノスの筈だ。デウス、君が死ぬ理由はこれっぽっちもない」

 

 

「そ、そうですよ!私だって……先生に救われて……お母さんとも仲直りできて……!先生が助けてくれたのに、先生を殺すなんて……!」

 

 

「アスナちゃん……先輩……」

 

 

 

 

 

あーったくメンドクセェなぁオイ!

 

 

 

 突然声を張り上げたゼロ。一気に全員の視線がゼロに向くが、そのゼロに対しバダンとシノンは無言の腹パンを与えていたので腹を押さえていた。

 

 

 

「と、とにかくよォ……要はゲムデウスじゃなくて、あの仮面ライダークロノスを倒せばOKって事だろ!?簡単じゃねぇか!」

 

 

「ま、それ()()なら苦労はせんがな」

 

 

「けどそっちの方が良いのよね?だったらゼロの意見に賛同するわ。無茶苦茶だけど」

 

 

「ちょ、ちょっと待って!クロノスには時を止める厄介な能力が!」

 

 

「それでは聞くが……クロノスに対抗できるのは?」

 

 

「今の所は……ゲムデウスウィルスを持つデウス君だけ」

 

 

「ならば簡単だ。ゲムデウスと仮面ライダークロノスとの一騎打ちをさせれば良いわけだ」

 

 

「無茶苦茶な……でもまぁ、僕もデウス君を殺そうなんて微塵も思ってないけど。そうでしょ?皆」

 

 

 

 Mの問いに全員が頷いた。この中に救われた者が居るのに、仇で返すのは如何だろうか?そんなもの自分の心が苦しくなるだけだ。

 

 

 だから()()。デウスというプレイヤーを守る。全ての元凶が倒されるまで守り続ける。それが彼らの思いであった。

 

 

 

「そっか……そっか…………

 

 

 なら、お人好しの皆に……守られようかな。

 こんな僕を、守ってもらおうかな」

 

 

「お人好しは先生の方じゃないの?」

 

 

「こらユウキ」

 

 

「いや、あながち間違ってない」

 

 

「ははは、こりゃ1本取られた」

 

 

 

 

 

 

 

 


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