前回の出来事から早1ヶ月。あれからの進歩というのは特に目ぼしいものというのは無かった。
分かった事といえば、最近出没したバグスターとガシャットの関連性が色濃くなっていること。例えるなら『バイラスバグスター』は【ドクターマイティXX】、『4兄弟バグスター』なら【マイティブラザースXX】、最近命名された司令官の様なバグスター『アドミラルバグスター』は【バンバンシミュレーションズ】、そして命名『パーティーバグスターズ』は恐らく【タドルファンタジー】という風に繋がっていると思われる。
だがそれでもガシャットとの関連性が分からないバグスターも居る。『アルフバグスター』である。分かることは、感染者が『須郷伸之』という結城財閥とコネクションを持つ人物のみ。
そして冷え込みが加速した11月の中頃、ドクターたちは何時も通り患者の対応に追われている。特に宝生永夢は不安定な環境による影響で風を引いた子どもの対処に追われている。
そんな中、高山はというと……
「ウラァ!」
『□□□───ッ!』【【【【【HIT!】】】】】
現在とある広場でレベルXXの状態となって低級バグスターを相手している。使用しているガシャコン・アックスによって範囲攻撃が可能な為、圧倒的に不利な人数のアドバンテージを覆している。
「コイツで決める!」
『ほぉ……成る程』
高山は黎斗神によって製作された“3つ目”のギアデュアルβをガシャコン・アックスに差し込み、構える。
【デュアルガッシャット!キメワザ!】
【FANTASY SIMULATIONS CRITICAL FINISH!】
ガシャコン・アックスの刃と頂点にそれぞれ紫と青のエネルギーが蓄積され、その状態のガシャコン・アックスを低級バグスターに振るった。
「セアアアアァ!」
『□□□───ッ!』【【【【【PERFECT!】】】】】
刃から紫の斬擊エネルギーが放出され、頂点からは青いエネルギー弾が幾つも発射されて低級バグスターを倒した。
一息ついた後、高山はゲーマドライバーのレバーを閉じ、ガシャットを引き抜き変身を解除する。
【ガッチョーン】【ガッシューン】
「ああ"ぁ~……疲れた」
『ちょうど良い運動になったのでは?』
「あのねぇ……」
そう、今は冷え込みが激しい日。体を動かした影響で体内から微弱ながら熱が発生し体を暖める結果となったが、高山本人は疲れから体温上昇のことはどうでも良かった。
「いやー!お疲れお疲れ!スゲーもん見せてもらったぜ!」
「同感だ。そしてバッチリ録れている」
「明!カッコ良かったよ!」
離れていた場所からひょっこりと現れてきたのは、ちょうどダブルデートをしていた神代と茅場、そして藍原であった。しかし茅場の手にはスマホがあり、先程の発言からして動画として撮っていた様子であった。
「あのですねぇ……見世物という訳じゃないんですよ?」
「だが残念、アタシらはこういう人間なんで」
「言い方はあれだが、事実そうだな。私の場合はゲーム関係で参考となる動きをだな」
この2人は最近こんな感じである。仲が良くなっていっている様に感じられるが、少なくとも1週間前に喧嘩して茅場が高山に相談に来たことに関してはどうなのだろうか。と内心思う高山であったが、呆れた様な表情で一息する。
「はい明」
「ん、ありがとう」
「いえいえ」
高山にマフラーと手袋を渡してきた藍原。実を言うとこの2つは藍原の手編みである。その2つを手に取り手袋をした後マフラーを掛ける。ちゃっかりと藍原の手を握る辺り、高山の優しさというものが垣まみえる。
そして少しタメ語で喋っている辺り、今は先輩呼びというのを無くしている。藍原と高山のルールだそう。
「さてと……再開と行きますか」
「おー!」
「……しまったメモリがヤバイ」
「SD買うか?」
「お二方ァ?」
茅場の方は完全とまではいかないが、かなり俗っぽくなっていた。何処かで既視感を覚えたのは気のせいではない。
『……何だ私か』
「(早々思い付いた俺ェ……)」
◆◆◆◆◆◆
時は進み午後7時頃。衛生省から支給されたウィルス隔離用の家へと帰宅した。
「ただいまーおかえりー」
「おかえりーただいまー」
誰も居ない家の玄関で御互いに言い合う高山と藍原の2人。手を繋いでいる状態で帰ったが、靴を脱ぐために一旦離れる。居間と洗面所と分かれ手を洗った後、高山はソファーに座りガシャットを自分の体に刺す。
少ししてガシャット体から離し、何時もの斜め掛けバックに入れて寛ぐ。
「明ー」
「んー?」
「グェヘヘ……とうっ!」
「ガホッ!?」
ソファーに座っている高山が近付いていた藍原の問いに答えた途端、藍原が高山にダイブした。ぶつかった衝撃で肺の中の息が出され変な声が出る。
衝撃で痛めた腹部を
その当の本人は満足げの表情を浮かべながら高山の撫でを堪能している。仕舞いには高山の腹にぐりぐりと頭を擦り付けている始末。
「優美さん……?痛かったんですが……」
「ごみ~ん」
「はぁ……全く」
肩甲骨まで伸びたロングの綺麗な黒髪を撫でる高山。少しこの甘えように呆れながらも少し嬉しそうな表情をしている。
そんな中ゲムデウスは『また何時ものか』と謂わんばかりに黙りを決めている。因みにこの2人の“とある行為”にも干渉はしていない、そして何かしら感情が芽生えることも無い。
「あーくん」
「はいはい」
「んふ~」
ウィルスの侵食の影響もあるが藍原の脇を持って高山は自身の膝上に乗せる。かなりの怪力であるが、そこは大して問題でもないと言う2人。
近付けた高山は藍原と顔を合わせ、ゆっくりと顔を近付けている。藍原も受けの姿勢で高山を待つ。
「ノックしてもしも~し!」
「「!?」」
突如玄関近くから発せられた声によって現実に引き戻されるが如く意識が別の方に向かう。声は聞き覚えがある為、藍原に断りを入れて玄関の扉を開ける。
「よっ、遅くに悪いな。彼女さんとの素敵な時間邪魔して」
「そこは……別段構いませんが。貴利矢さん、玄関のチャイムありますよね?何故口頭なんですか?」
「此方の方が絶対反応が面白いから」
悪びれる様子すら無さそうな九条貴利矢と対面している高山。何故かゲムデウスが交代し、話しかける。
「で、何のようだ?態々そちらから出向くのは、何か理由があるのでは?」
「やぁやぁゲムデウス、久方ぶり。どうよ生活の方は?」
「用件を言え、用件を」
「連れないねぇ」
世間話という形で話しかけるも、ゲムデウスは少し声量を大きくさせて本題に戻していく。
「まぁ良いや。本題なんだが明日また来るぜ、ちょっと進歩があったんでな」
「……CRではないのだな」
「あぁ。フィールドワークってヤツさ」
「んじゃな」と後ろに振り返りながら手をヒラヒラと振って帰る貴利矢。ゲムデウスはゆっくりと扉を閉めた後、高山と交代する。
「……ゲムデウス、明日だよな?」
『何の進歩かは分からんがな』
「ん。了解」
高山は居間に戻りソファーに居る藍原の頭を撫でた後、御詫びとして膝枕をすることになった。藍原は不服であったのか頬を膨らませながらも横になるが、高山の撫でによって表情を緩ませて心地好くなってしまう。
その後はTVを見てゆっくり10時程まで時間を過ごし、風呂に入って寝るのだが……藍原が覚醒し寝るのは遅くなってしまったのは別の話。
『コイツらまたか』
「(断ろうとした時の上目使いと泣き顔には敵わなかったよ)」
◇◇◇◇◇◇
翌日、家のチャイムが鳴ると高山は返事をした後外へと出る。目の前には貴利矢が居る。
「よっ。準備は良いな?」
「大丈夫です」
ガレージにある大型バイクのキーを回しエンジンを掛けて準備をする。貴利矢は停めてある黄色のバイクにまたがり発進し、高山は貴利矢に付いていく形で目的の場所へと向かう。
暫くして2人は噴水広場に到着する。ヘルメットを脱ぎエンジンを止めてハンドルの片方にヘルメットを掛け、高山は降りる。一見して何も無さそうな噴水広場を見渡す高山。
「……貴利矢さん、此処に来た理由は?」
「ゲムデウスに聞いた方が早いぜ。若しくは交代して見てもらうかのどっちかだ」
『いや……交代する必要はない』
「ゲムデウス?」
『此処に来て理解した。成る程、確かに何かしらの“進歩”とは言えるな……』
ゲムデウスが高山を媒介として外の景色を見ているが、ゲムデウスのバグスターとしての能力によって見えている世界は高山には見えていないので何の事やら理解できていない。
ゲムデウスはそんな高山の疑問に答えた。
『“バグスターウィルスの密集”……何故か此処だけバグスターウィルスが異様に密集されているのだよ』
「ウィルスの密集?……此処に?」
『あぁ。だが……おかしいのは変わりない』
「それは俺も思ったさ。何でウィルスが密集しているのに“人に感染しなかった”んだ?」
『この広場といえど人は必ず通る筈だ。だがそれらを無視して、この場に留まり続ける意味が分からん』
「どーやら分かったみたいだな」
頃合いを見ていた貴利矢が高山に近付く。ある程度まで近付くと足を止めて話していく。
「最近分かったんだよ。何故かバグスターウィルスが異様に密集している場所が発見されたってのは。勿論おかしいって思って檀黎斗に調べさせた……そしたら大当たり」
「……それは?」
「新型バグスターの出現場所が“全てこの様な状態”で起きていたんだよ」
「つまり……新型バグスターがこの異様にウイルスが密集している場所で誕生した。そうですね?」
「あぁ。だが勿論新たな疑問も生まれた……だが」
貴利矢は少し呼吸の動作をした後、再度口を開く。
「何れにせよ今までのバグスター、何か裏がありそうだ」
それだけを聞いた後、高山は目の前の噴水を中心に周囲を見回していた。少しの落ち着きというのが欲しいのか、3分ほど続いていた。
「……ですが、害の無い所を見ると手出しのしようがありませんね」
「そりゃな」
尤もな正論を述べた後、高山は停めてあるバイクの方に足を進めた。
着いた直後、バイクが消え別の景色が見えたことに関しては2度目の驚愕の表情を表した。
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「……あーらら、ゲームエリアじゃん」
「また……ですか。2度目ですが」
またも強制的にゲームエリアに入場させられる事となった高山とゲムデウス。話には聞いていたが入るのは初となる貴利矢。今度はゲムデウスからの忠告無しでゲーマドライバーを腰に着けガシャットを起動させようとしていた。
突如鳴り響くエンジン音、それも聞きなれたエンジン音であった。そして今居るエリアは“レース場”、これらから予測できるのは……レースゲームだということ。
そしてエンジン音の正体が、やって来る。
「ブルゥン!ブルブルゥン!」
『開始早々ネタではないか』
「言うな」
何故か低級バグスターの頭部がバイクのライト部分に装着されている黒いバイクに、それに乗っているエンジンのマフラー等を付けた黄色が主のバグスターが高山と貴利矢の周囲を回っていた。
かなりうざったいと心中思う高山とは別に、達観した様子でそのバグスターを見ている貴利矢。腹立たしくなった高山はガシャットを起動させる。
のだが、今度は貴利矢が高山の腕を掴み制止させる。何故この様な行動に移ったのか疑問を持った高山は口を開く。
「貴利矢さん?どうしましたか?」
「……おかしい」
「……はい?」
頭にさらにクエスチョンマークが浮かんでいるのが容易く想像できる様な高山の表情、しかし高山の表情を見ていない貴利矢は続けて言う。
「“モータス”がエンジン音以外の言葉を言わねぇ……おかしいだろ」
「モータス?」
『黎斗から見せてもらった資料にあったぞ。確か【爆走バイク】というゲームの敵キャラだな。普通に言語を口にする他、特徴としてエンジン音を口で言うなどの変わったバグスターだ』
「ブルゥン!ブルゥン!ブルブルブルゥン!」
未だにモータスは2人の周囲を回り続けている。高山はかなり御立腹な様子であるが、平静を保ちつつ貴利矢に話しかける。
「貴利矢さん……さっさと終わらせた方が……」
「あぁ、そうだな。だが明、お前はガシャットを使うな」
「…………はっ?」
高山はさらに疑問と苛立ちを覚えつつあったが、貴利矢は知ってか知らずかゲーマドライバーを腰に装着したあと黄色のガシャットを持ち起動させる。
【爆走バイク!】
現れた画面から優勝トロフィーが幾つも出現する。貴利矢は前に突き出した腕をその場で左回転しながら引っ込める動作をする。
「2速、変身」
貴利矢はゲーマドライバーにガシャットを差し込むと直ぐ様レバーを開いてレベルアップの姿を取る。
【ガッシャット!】
【ガッチャーン!レベルアーップ!】
【爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!】
レベル1のマスコットキャラの様な見た目から変貌したのは、何と貴利矢が噴水広場に向かった際に用いたバイクへと変貌した。両手に持っていた武器がタイヤの役割を持っていたのか自動的に2輪バイクとなった。
「…………はっ?」
これには高山も驚きしか生まれなかった。何せ人がバイクへと変身した様なものだからだ。目の前の不可解な現象で頭が一時的に混乱していた。
『……お前も変身の手順ふんだだけで姿が変わるのと一緒だぞ』
「ごめん、これは受け入れられなかった」
「ちょいちょいちょい。今の聞き捨てならなかったぞ」
バイクの前輪軸を用いて高山の方に視線を向ける貴利矢。ゲムデウスは高山の中でやれやれと呟き、高山は少し放心状態。痺れを切らした貴利矢が催促をし始める。
「あぁもう良い!おい明、俺に乗れ!」
「えぇ…………」
「何で引くんだよ!大丈夫だって!」
「いや……だって……ねぇ?」
『私に聞くな』
そう人間がバイクになるということは装甲に覆われた体の一部が、その場所となること。つまり誰かの体の一部の上に乗るという方程式が成り立つのだ。勿論、高山は彼女持ちで同性愛者ではない。
「ったく……永夢の時は拒否って無かったぞ」
「…………」
『……はぁ、全く世話の焼ける』
高山の体が反れたかと思うと、人格の変更としてゲムデウスが表に出た。その証拠に抵抗無くバイクとなった貴利矢に乗る。
「……おいゲムデウス、明に変われ」
「何故だ?」
「お前の場合だとウィルスの培養が増加傾向になるの、忘れてないよな?」
「……盲点であった」
ゲムデウスは高山と交代する。先程の話の内容はゲムデウスが人格交代することによる高山の体内のウィルス培養速度に関してのデータを事前に取っておいたのだ。
結果高山の場合とゲムデウスの場合と比べると、ゲムデウスの方がウィルス培養速度が速まっていた。貴利矢はそもそもゲムデウスウィルスに掛かった影響もあって再度感染するのが嫌なのだ。
「結局か……はぁ、乗り掛かった船だしなぁ」
「俺バイクだぜ?」
「言葉の綾ですよ」
モータスは高山と貴利矢の会話中にスタート地点に居り、高山は貴利矢を操作してスタート地点に並ぶ。
「さてと……ちょーっと乗ってもらうぜ、明」
「こうなるなら、とことん付き合いますよ!」
お互いエンジンを噴かしながらスタートの合図を待つ。
1つ目の赤ランプが点灯する。高山とモータスはエンジンを短く噴かす。
2つ目の赤ランプが点灯する。今度はブレーキを掛けつつエンジンを唸らせタイヤを回転させる。
3つ目の緑ランプが点灯し、同時に低級バグスターの持つフラッフが下りた。瞬間、高山はブレーキを解除し発進する。
先に前に躍り出たのは高山であった。そしてそれを最初の右曲がりのコーナーで保たせていた。
「明!運転変わるぞ!」
「了解!」
操作が貴利矢に変更されると貴利矢は外角に避けていく。それもその筈、後ろからはモータスが何かを投げていた。それを避けると、地面に爆発が生じる。つまり爆弾を投げているのだ。
『流石、何でもありのレースだな』
「へぇ……だったら此方も!」
「ちょ明!?」
高山は一直線の場所の所で後ろを見る。減速してモータスの動きに合わせており、ヒヤヒヤさせる所で爆弾を避ける。
そして高山とモータスとの距離が近くなった所で……高山はモータスの真正面でブレーキを掛ける。
「!?」
「い"って"ぇ"!」
「うぉぅ!」
かなりの速度を出していたモータスは貴利矢の後輪にぶつかり一回転しつつ高山たちの目の前で転倒する。上空に漂っていた際には、高山は勿論の如く頭を下げて避けていた。
しかしぶつかった振動で高山に揺れが伝わり貴利矢には痛みと揺れが伝わっていたが、高山がアクセルを回してゴールへと向かっていく。
「おっまえなぁ!」
「失礼しました。ですが“何でもあり”というルールに乗っ取ったのは事実です、文句があるならルールを恨んでください。貴利矢さん」
「ねぇ何か悪いことした!?俺悪いことしたの!?」
『知らんがな』
そんな会話の中でも既に高山と貴利矢はゴール目前までに到着していた。しかし何を思ったのか、高山はブレーキで止めて貴利矢から降りた。そんな高山を見て貴利矢は疑問を浮かべる。
しかしそんな疑問も直ぐに解決に至った。高山がガシャットを起動させたことで、この後の予想がついたのだ。
【ドクターマイティXX!】
画面からカプセルが幾つも出現し、腰に装着されていたゲーマドライバーに差し込んだあと腕を前に交差させてレバーを開く。
【ダブルガシャット!】
「Mark X-2!変身ッ!」
【ガッチャーン!レベルアーップ!】
【ドクターマイティ!2人で作る!ドクターマイティ!2人でメイキーング!X!】
高山はXLとXRに別れて直ぐに2名はレバーを閉じる。そして2名はそれぞれ右腕と左腕を交差させてレバーを開く。
「「Mark XX!変身ッ!」」
【ガッチャーン!ダブルアーップ!】
【私が君を!自分がお前を!(We are!)何度も何度も倒して!(Hey!)XX!アイアムゴーッド! いや喧しいな神】
高山はレベルXXへと変貌を遂げ、3回目のレバーの開閉を行い必殺技を準備する。一方のモータスは最後の一直線のみに差し掛かっていた。
しかし高山はモータスをゴールさせない。苛立たせた罰であり慈悲は無い。
【ガッチョーン キメワザ】
【ガッチャーン!】
【DoCTER MIGHTY CRITICAL STRIKE!】
「ハアッ!」
高山がジャンプをすると、ちょうど先にはモータスが迫っていた。つまり足に蓄積されたエネルギーはモータスに直撃することになる。
「オラアァァァ!」
「ブルルゥゥゥゥゥン!?」【PERFECT!】
結果モータスは消滅した。それを確認した高山は変身を解除し、貴利矢に再度乗ってそのままゴールを突っ切る。
それと同時に高山と貴利矢は現実世界へと戻された。高山は貴利矢から降りてゲーマドライバーのレバーを閉じガシャットを引き抜いて貴利矢を元に戻す。
【ガッチョーン】【ガッシューン】
元に戻った貴利矢に高山はガシャットを渡す。貴利矢は受けとるが高山の左肩を背中を介して回すように掴み引き寄せて話をする。
「……おい明」
「はい?」
「さっきのメチャクチャ痛かったからな!何あれ!?あんなの俺の身が持たねぇよ!」
「そうですか」
「スンゲー興味なさそう!」
何はともあれ漸く現実世界に戻れた高山と貴利矢は、CRへと赴いて黎斗神に事の詳細を伝えた。
しかし黎斗神は慌てず騒がすといった前回とは違った対応をとっていた。それもその後……
「君たちのガシャットを監視していたのさぁ。そこでゲームエリアに緊急介入された時点で逆探知を行っていたのだよ」
「へぇー。じゃあ成果の方を聞かせて貰おうか?」
「……残念ながら滞在時間が短かったことで逆探知に失敗した」
貴利矢は高山の方に視線を向けると、高山からは苦笑いしか出てこなかった。完全に効率重視で行った結果であった。
「そ、そういえば黎斗さ「神と呼べえぇ!」あー……黎斗神さん?どうやって逆探知してたんですか?」
高山が先程の話題をはぐらかす様に話題を変えた。黎斗神はそんな疑問に答えた。悩める子羊を導く神(プギャー)として。
「君たちが強制的にゲームエリアに介入際に何者かの手が加えられていたのだ。それを追っていく形で逆探知していたさ。あとsakusy○!私の神の名を、汚すんじゃあない!」
「誰に言ってるんですかね?」
「さぁ?」
『さぁな?』
黎斗神の凄腕技術を聞いたあとのCRは、かなり喧騒としていたという。
次回!Dr.ゲムデウスは!
聖なる日に急患発生!
「かなり精神的に参ってるのか……」
急患の子どもは何処かネガティブ?
「おれ……家族じゃないのに……」
果たして急患の心を救えるのか!?
「君は立派な……家族だよ」
『第10話 聖なる日はspeciallyに!』