高山の手当ても終わり患者の玄太郎もCRに移して、明日那や大我は一段落しようとしていた。が、勿論。
「ゲーマドライバーとガシャットを奪われた!?」
「はい……」
ゲーマドライバーとガシャットを何故かバグスターが奪っていってしまったことだ。しかも奪われたガシャットはゲムデウスワクチンであるドクターマイティ、それを奪われたのなると高山に存在するウィルスの危険性が高まる。
そして接触感染によるパンデミック。接触感染については最初に藍原が高山に触れたことで発症した事から結論付けられた。
『高山明ァァア!何故君は負けたぁ!?君の身体能力はゲムデウスウィルスによって向上されていた筈だぁ!』
「えーっとですね……ちょっとドジっちゃって」
『ドジで済む問題では無いのだぞんッ!君は生きる為に戦わなければならないのだろぅ!?』
「うぐっ……すいませんでした」
黎斗の『何度も同じことを言わせる気かぁ!?』黎斗神の変顔と共に高山は色々と説教されている。ぎゃあぎゃあと喧しいが、そこに大我が話を割り込ませる。
「おい檀黎斗」
『檀黎斗神だ…………私の名前を覚e「新型バグスターの件だ」……ほぉ』
何故か急に黎斗神のテンションが真面目に戻っていった。やはりゲームクリエイターとしては聞きたいというのもあるのだろうか?
『ゲームマスターである私の知らない所でぇ!勝手に新型バグスターを作られるのが腹立たしいだけどぅあ!』
「誰に話してるのよ?黎斗」
『ここの作sy「はいアウト」
アーケードタイプのゲーム機の電源を切られ、強制的にシャットダウンさせられたが直ぐに電源を着けた。
『ポッピーピポp「話を続けるぞ」……チッ、さっさと話せ』
かなりご機嫌斜めである黎斗神。しかし新型バグスターの説明を聞かされるとなると話は別だ、真剣に取り合ってくれる。要は使い方に注意してもらいたい塩素系漂白剤である。
「俺とゲムデウスが戦ったバグスターだが、俺の場合はユニオンだった状態を第2フェイズに移行させたが……そのバグスターは何故か姿を消した。んで、ゲムデウスが戦ったのが」
「先程の司令官の様なバグスター……しかも戦艦武装を施したバグスターを呼び寄せる能力を持っていました」
『そして負けてガシャットとゲーマドライバーを奪われたと』
「……すいません」
かなりしょんぼりと項垂れて表情を曇らせた高山。同じ様に後ろで玄太郎は表情を曇らせていた。
「兎に角、あのバグスターは俺がやる。ゲムデウス、お前は待ってろ」
「……はい」
大我はCRをあとにした。バグスターを倒し患者を救うために。
『良いのか?』
「(何がだ?)」
『このままで本当に、本当に良いのか?宿主』
「……良い訳がないだろ」
「高山さん?」
高山は立ち上がり、今すぐにでも外に行こうとしていた。しかし危険性を考慮とした考えとしては可笑しいとしか言いようがない。
『高山明、何処へ行く?』
「……倒しに行きます」
「!?でもガシャットが無いのに!そ、それにゲムデウスウィルスのことも!」
「……それでも、行かなきゃならないんです」
何時もの斜め掛けバッグを背負いCRを出ようとしていた高山。だが患者の玄太郎によって声を掛けられ、動きを止めた。
「……なぁ、高山さんよぉ」
「……何でしょうか?」
「お前さんは、何故そこまでして……さっきのと戦おうとしておるんじゃ?」
「…………何故、ですか」
高山は1度振り返り、玄太郎に目線を合わせて話した。
「……強いて言うなら、贖罪のため。ですかね」
「贖罪……何故かの?」
「…………本来、僕は今居てはいけない存在なんです。でも、こんな僕でもまだ生きていきたいんです。例えそれが他の誰かを苦しめることになったとしても、僕は生きていきたいんです。だからこそ……僕は戦い続けなければならないんです」
「ほうか……ほうか」
年の功と言うべきなのか、これ以上何を言われても驚かないというものは楽な部分がある。しかし、勿論そこで痛いところを突かれる訳で。
「でも、どうやって戦うの?ゲムデウスの力は不味いし……」
「うぐっ……それなんですよねぇ」
戦う術はあるにはある。だがゲムデウスの力を無闇に使いすぎるのは危ないのだ。ウィルスの培養によって意識が元に戻らなくなる可能性もある。
『心配いらん』
「えっ?ッ…………!」
高山の体が少し前に反れたかと思いきや、直ぐに体勢を立て直した。
「使いすぎるのが不味いならば、これだけなら使っても構うまい」
「……って、ゲムデウス!?」
「うむ、ゲムデウスだ。おい黎斗とやら」
『檀黎斗神だと……!っと、今は悠長に喋っている場合ではないか。何だ?』
意外にも黎斗神はゲムデウスの話を聞くつもりであった。ゲムデウスはそんな黎斗の表情を見て話を続ける。
「では聞こう。“偵察に適したバグスターの力”はあるか?」
「ふむ……偵察…………偵察…………偵sあっ」
「あるんだな?教えろ」
「……チィ!上から目線が癪だが仕方ない!バーニアバグスターの力を使え。飛行ユニットを飛ばせる筈だ」
「ふむ……では!」
高山に憑依しているゲムデウスが集中していく。すると、ゲムデウスの頭上に5機の小さな飛行ユニットである零戦の姿をしたユニットが登場した。
ゲムデウスはその飛行ユニットに対し、こう告げた。
「私と宿主に記憶されているバグスターの行方を捜せ」
その5機のユニットはCRから出ていく。器用にエレベーターを使った様で音が響いた。
「少しだけ待とうか。さて黎斗よ、他のバグスターの能力について知りたい。資料を寄越せ」
『ゲムデウスゥ……この私に…………!この神に!何たる態度を取っているゥ!?貴様は私が居なければ生み出されなかったというのにぃ!』
「それでライダークロニクルを横取りされてパンデミックの元になったんでしょ!黎斗!」
「まぁ落ち着け。そうだ、ここは1つストレッチでもしようか。少し体を動かそうではないか」
そして端から見ていた玄太郎は少しばかり微笑んでいた。
「あぁそうだ、1つ思い出した」
「『?』」
「パラドの持っていたガシャット、使えないか?」
「やっぱ此処だったか」
大我の辿り着いた先は、現在は閉鎖されている展示場であった。黄色の立ち入り禁止テープが入り口前に張られ、そこから外側に怪我をした警官が数名。
そして『長門』の巨大模型をバックに立っているバグスター。それに対峙している大我。ゲーマドライバーを装着し、右手には1つのガシャットが握られている。
そのガシャットをバグスターに向け、起動させる。
【バンバンシューティング!】
ドラム缶が幾つも現れ、展示場一帯に広がった。大我はガシャットを指に引っかてくるくると回し、止める。
「変身」
ガシャットをゲーマドライバーに入れ、レバーを開く。
【ガッシャット!】
【ガッチャーン!レベルアーップ!】
【ババンバン!バンババン!(Yeah!)バンバンシューティング!】
大我は仮面ライダースナイプ、レベル2に変身するとウェポン選択画面から銃を選んだ。
【ガシャコン・マグナム!】
そしてキメワザスロットホルダーのボタンを押し、ゲームエリアを選択した。
【ステージセレクト!】
選んだのは工事現場で見かけそうな場所。しかし周りには何もなく、ただ広い砂と砂利を固められた地面だけ。
バグスターは低級バグスターを呼び出し、大我は予めBボタンを連打し戦闘態勢を整えて向かった。
「ミッション……開始!」
ガシャコン・マグナムを敵に向けて先ずは発砲する。Bボタンを押したことでマシンガンの様にエネルギー弾が放たれていく。
勿論相手も避けて発砲はしていくが、大我は砲撃を避け的確にエネルギー弾を発射していると3体には当たった。
「「「□□□───ッ!」」」
【HIT!】【HIT!】
【HIT!】【HIT!】【HIT!】
【HIT!】【HIT!】
一旦射撃を止め、前方右斜めから来る砲撃を避け後ろからの砲撃も避けていく。そしてまたエネルギー弾をマシンガンの様に放っていく。
相手は集団での戦闘、大我1人だけであるが相手は数の多さによって的を増やしている様なもの。つまり撃っていたとしても必ず最低1体バグスターに当たるのだ。
周囲全体への連続エネルギー弾を放つ。避けられるのも居たが、その内7体は当たったことを確認する。
「「「「「「「□□□───ッ!」」」」」」」
【【【【【【【HIT!】】】】】】】
中々善戦している様子の大我。だが慢心はしていない。大我の過去のこともあるが、それ以上に突き動かしていたのは高山のことであった。
「……ったく、学生の癖して」
砲撃を避けながらも、発砲しながらも呟き続ける大我。
「医者でもねぇのに、患者に寄り添って……エグゼイドかっつーの」
マシンガンの如く放たれるエネルギー弾を低級バグスターに当てて消滅させている。
「だがなぁ……アイツが必死になって守った患者を、俺が守らないでどうする!?」
ガシャコン・マグナムのAボタンを押し、ハンドガンからライフルへと変形させ後ろに居る低級バグスターに当て消滅させる。
「俺たちドクターが!ゲムデウスに負担を掛けさせてどうする!?」
大我の思いは戦闘に表れていたのかもしれない。高山が身を呈して守ったからこそ、自分たちがやらなければならない義務を果たす為に。
しかし、大我の後ろで発砲音がした。
「なっ!?がッ!」
その攻撃を受けてしまった直後、周囲の低級バグスターの砲撃が一斉に大我に向かわれた。このままでは不味いと咄嗟にレバーを閉じてレベル1に戻った。
【ガッチョーン】
「ぐあっ!」
しかし攻撃の威力が大我の変身を解かせた。その際、用意していたガシャットとギアの付いたガシャットが外に出てしまった。
本命のバグスターが大我のゲーマドライバーとガシャットに近付く。必死の抵抗をしようと腕を伸ばそうとするが、近くの地面に小さく穴が開き手を引っ込めてしまった。
そのバグスターはガシャットとゲーマドライバーに手を近付けた。そうした途端であった。プロペラ音が聞こえてきたのは。
「ッ!?あれは……!」
そのプロペラ音の正体を大我は知っている。手を近付けていたバグスターに攻撃し意識を逸らした。
「あれは……バーニアバグスターの飛行ユニット!」
「ふむ、どうやら上手くいったか」
「「!?」」
突如近くから声が聞こえた。その声の正体はバグスターを殴り付けて吹き飛ばし大我から離れさせる。
「お前、ゲムデウス!」
「うむ、私がゲムデウスだ。……と自己紹介はこれまでにしておくか」
高山に憑依しているゲムデウスは大我が落としたギアの付いたガシャットを手に取った。
「お前……ゲーマドライバーも無いのに」
「まぁ待て。実はこの前面白い変身を見てな、ちょうど試したくなったのだ」
そのギアの付いたガシャット─【ガシャットギアデュアルβ】─のギアを回した。
【BANG BANG SIMULATION!】
するとガシャットギアデュアルβに白い電流の様なものが走り、画面から“シミュレーションゲーマ”を呼び出す。
【I'm ready for Battleship! I'm ready for Battleship!】
ゲムデウスはガシャットのボタンを押した。
「変身」
【DUAL UP!】
───────Loading……──────
【DUAL UP!】
画面から出現したシミュレーションゲーマが高山に憑依しているゲムデウスに装着される。両腕の外側には砲身が半分ずつあり、その砲身の先端にはオレンジ色のクローが存在してる。肩には小さな砲台を両肩に装備し膝にも同じ様に装備されている。外装は灰色をベースに足は赤く、水兵帽を被り顔は緑色の円形の板によって覆われている。
極めつけは胸に取り付けられた大きく胸に穴が空いた装甲。灰色に加え通気孔らしき場所は赤く染められている。
【Enemy is coming! Shoot down there! Bang Bang Simulations!】
変貌したゲムデウスの姿に、大我は呆気にとられるしか無かった。そもそも大我の持つガシャットギアデュアルβはゲーマドライバー用に作られたもので単体で使える筈が無かったのだ。
「お前……その、姿…………」
「ふむ、上手くいったか。実験は成功ということか?」
首を動かし自らの装甲や体を見ているゲムデウス。何か実験と称していたが、そんな事を考える暇を与えずにゲムデウスは大我に告げた。
「花家大我、お前もぼさっとするな」
「ッ………あ、あぁ。そう、だな」
大我は落ちているゲーマドライバーと2つのガシャットを持ち、ゲーマドライバーを装着するとガシャットを起動させる。
【バンバンシューティング!】
【ジェットコンバット!】
2つの画面が出現し、その内の1つからはコンバットゲーマが出現していた。大我は2つのガシャットをゲーマドライバーに入れレバーを開き変身する。
【【ガッシャット!】】
「第参戦術」
【【ガッチャーン!レベルアーップ!】】
【ババンバン!バンババン!(Yeah!)バンバンシューティング!】
【アガッチャ!ジェット!ジェット!イン・ザ・スカ~イ!ジェット!ジェ~ット!ジェットコ~ンバ~ット!】
レベル2のスナイプからコンバットゲーマが頭から覆い被さり、レベル3であるコンバットシューティングゲーマーへと変身すると空へと浮遊する。
「さて……このレベル
ゲムデウスは右腕を上げ、クローを相手に向ける。大我は両サイドのガトリングコンバットを低級バグスターに向けて合図を出し合う。
「Destroy mission start」
「ミッション……開始!」
ゲムデウスは低級バグスターに向かって走りだし、大我は低級バグスターに上空による射撃を行う。低級バグスターは大我の射撃によってダメージが入る。
勿論避けるバグスターも居るが、その場合は……
「花家!行くぞ!」
「ッ!」
ゲムデウスが逃げている低級バグスターに攻撃を与え上空へと飛ばし連射によって消滅させていく。
【HIT!】
【【【【【【HIT!】】】】】
「□□□───ッ!」
「まだ行けるな!?」
「当たり前だ!」
ゲムデウスは主にクローによる格闘戦で戦っている為、大我の援護射撃によるカバーが必須である。しかし大我にも撃ち洩らしというのは存在する。そこで、肩や膝にある砲身とゲムデウスの目の前にある緑の円形の板が役に立つ。
「……5時方向!」
ゲムデウスがそう言うと右肩の砲身が移動し砲撃を開始する。すると近付いていた低級バグスターに衝突しダメージを与えた。
【GREAT!】
「□□□───ッ!」
「続いて7時方向、10時方向!」
今度は左肩と左膝の砲身が移動し砲撃を開始する。砲撃を開始しようとしていた低級バグスターは、ゲムデウスの放った砲撃によってダメージを与えられ中止せざるを得なかった。
「「□□□───ッ!?」」
【HIT!】【GREAT!】
「何だありゃ……砲身が移動して全方位射撃可能かよ」
そしてゲムデウスが何故バグスターの位置と距離が理解できるのか。その仕組みはゲムデウスの目の前にある緑の円形の板であった。
ゲムデウスから見ると、これには敵の全ての位置が把握できるレーダーの役割を持っており相手が移動すると敵として認識している赤いマークが同じ様に動くのだ。
クローによる接近戦に加えレーダー感知による遠方からの砲撃。ほぼ死角は無いと言える形態であった。
「ふむ、大分馴染んできたか。…………おい花家!俺の動きに合わせろ!」
「ッな!?」
ゲムデウスは突如滑る様にして移動し始めた。まるで船が水の上を移動するが如く滑らかに移動しているのだ。低級バグスターたちも同じ様にい移動しゲムデウスの後ろを着き始めた。
「……アイツ、考えやがったな」
大我は意図を読めたのか低級バグスターの後ろに着き同じ速度で移動していく。
低級バグスターの一部はジェットの音に気付き後方を向くも、大我の射撃によってダメージを受けた。
『□□□───ッ!』
「!?」
前方に位置しているバグスターが後ろを向いた。そして突如ゲムデウスが足を止め、全砲撃を低級バグスターに向けて放つ。これにより低級バグスターの全てに大打撃を与えた。
『□□□□───ッ!』
「花家!そのバグスターの殲滅は任せた!」
「お前はどうする!?」
「司令塔を潰すまでよ!」
ゲムデウスは本命のバグスターにある程度の距離まで縮めるとホルダーからガシャットを引き抜きギアを回す。
【KIME WAZA!】
大我はジェットコンバットのガシャットをゲーマドライバーから引き抜き、キメワザスロットホルダーに差し込みボタンを押す。
【ガッシューン】
【ガッシャット!キメワザ!】
ゲムデウスはホルダーにガシャットを差し込み、大我は再度キメワザスロットホルダーのボタンを押して必殺技を発動させる。
【DUAL GASHAT!】
【Bang Bang Critical Fire!】
【JET CRITICAL STRIKE!】
大我はガトリングコンバットと内蔵されているミサイルによる一斉射撃によって低級バグスターを殲滅させていく。
『『□□□□□────ッ!』』【PERFECT!】
ゲムデウスは全砲身をバグスターに向けて構え、両腕を合わせ砲身の形を作ると胸の穴からエネルギーが蓄積される。ある程度のエネルギーが溜まった瞬間、エネルギーの発射と共に砲撃を行った。
「ハアアァァァァァァァァ!」
「□□□───ッ!」
【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】【GREAT!】
【PERFECT!】
【会心の一発ゥ!】
【mission complete!】
バグスターを倒したことでゲームエリアから解放されるとゲムデウスと大我は変身を解く。
【ガッシューン】
【GASHU-N】
バグスターが居た場所には高山のゲーマドライバーとドクターマイティXXのガシャットが落ちており、ゲムデウスがそれらを拾いに行った。先にドクターマイティのガシャットを拾いガシャットを刺すと青い光に包まれた。
少しするとガシャットを離し高山と意識を交換した。そしてゲーマドライバーを拾い、今度は大我の元へと行きガシャットギアデュアルβを返却する。
「ありがとうございました、花家さん」
「……あぁ」
大我は手を伸ばそうとしたが、直前で止まってしまった。幾らウィルス適合者といえど、ガシャットに何か細工されては些か不安になるのも無理はない。
「あ、ゲムデウスから伝言です」
「ッ……な、何だ?」
「“ガシャットに関しては恐らく大丈夫”だそうです。流石にぶっつけ本番だったので保証はできませんが、何時も通りの変身をしても構わないって」
「……いや、1番安心できねぇよ」
少しの不安と患者を救えた安心感を入り交じらせながらCRへと戻っていったのであった。
CRに到着した2人は明日那と黎斗神に出迎えられた。明日那は兎も角、黎斗神が来たのは驚きを隠せない大我。黎斗は高山に近付き口を開いた。
「首尾よくやれた様だな」
「えぇ。でも……ゲムデウス、突拍子もないこと思い付いたんですよ?失敗したら不味いじゃないですか」
「だがゲムデウスの実験は成功した……内容は知らされて無いがなぁ!」
「すいません…………」
高山は謝罪する。確かにゲムデウスの行動は何処か抜けていることが多く、勝手に大我の元に向かい勝手にガシャットギアデュアルβを使用したのだ。
そんな時に患者であった玄太郎が高山の元に歩いてきた。
「高山さんや」
「玄太郎さん……良かったです」
お互い声を掛け合いハグをする。離れた玄太郎は高山に話しかける。
「ありがとうなぁ……こんな老体にのぉ」
「いえ、お礼なら花家先生に。僕は医者じゃありませんから」
「……………フッ」
大我は何処か顔を逸らした。玄太郎は大我に向き頭を下げた。
「すまんかった、花家先生。儂の横暴を我慢してくれて」
「いえ、医者なら必ず通る道ですから」
「ほうかい」
突如CRのドアが開かれる音がした。何かと思って見てみると見慣れない男性が現れた。その男性は誰が聞いても良かったのか口を開いた。
「す、すいません!ここに、祖父が居る……って……」
その男性は玄太郎を見ると言葉を詰まらせた様な表情をした。それは玄太郎とて同じな様で。
「こ、幸助……か?」
「じい……ちゃん?びょ、病気はどうしたんだよ!?」
「病気なら治ったわい!こ、幸助こそ……!今まで……何故……!何故今頃になって……!?」
幸助と言われた男性は答えていく。
「俺は……今日、偶々仕事が休みだったから」
「……仕事じゃと?3年前から、か?」
「あ、うん……海上自衛隊で」
「…………ほ?」
間の抜けた声であった。だが、次第にそれは喜びへと変わった。
「だ、だから海上自衛隊に所属してるんだ。俺、じいちゃんから聞かされた話が楽しくて……俺も船に関わる仕事してじいちゃんを驚かせようと……」
「そ、それで……連絡も無かったのか?」
「最初は忙しくて……でもじいちゃんにも喜んでもらいたくて!必死に頑張って、今は二等兵所属なんだ」
玄太郎は目尻に涙を浮かべていた。まさか自分が話していた事が、孫の将来を決めていたのだ。だが孫が就いたのは玄太郎が好きであった船を乗り、国を守る仕事であった。
玄太郎は幸助と呼ばれた青年を、自分の孫を力強く抱きしめた。
「ほうか……ほうかぁ……!やはり、儂の孫じゃあ……!」
「じ、じいちゃん……」
「林田幸助さん」
大我が幸助の名前を言うと、幸助は大我の方を振り向く。
「は、はい」
「玄太郎さんの担当医であった花家大我です。治療を施し玄太郎は何時も通り元気になりましたよ」
「あ、ありがとうございます!」
「あぁそれと、今回は玄太郎さんと少し訪れてもらいたい場所があるんです」
「ど、何処でしょうか?」
大我は1つのパンフレットを幸助に手渡した。
題名は『甦った古き良き歴史』と書いてあった。
【アドミラルバグスター】
戦艦の艦長をモチーフとしたバグスター。軍服に幾つもの称号、被られた白いキャップには錨のマーク。肌は灰色、ガスマスクとモノクルを掛け合わせた物を装着されている。
固有能力として戦艦武装させたバグスターを呼び寄せることが可能。戦闘は殆どそのバグスター任せであるが故に、本体の戦闘能力は皆無。
【ゲムデウス シミュレーションゲーマー】
変身者は高山明に感染したゲムデウスがガシャットギアデュアルβの『バンバンシミュレーションズ』によって変身した姿。
スキンは灰色をベースに足は赤色。水兵帽を被り顔の前には緑の円形の板が存在している。
武装には腕の外側に装着された半分ずつの砲身の先端のオレンジ色のクローと、肩と膝に装着された小さな砲台。胸の穴の空いた装甲のみ。だが肩の砲身は360度稼動でき、膝の砲身は180度稼動できる
そして眼前の板はレーダーの役割を持っており、自分を中心に360度、半径5㎞に居る敵の位置を把握できる。
必殺技として肩と膝の砲台。そして両腕を合わせ、胸の穴から発生する
※視聴者諸君!何故このSSにギアデュアルβの単体音声が流れたのかぁ!?何故私が第5話のパート2で後書きにギアデュアルβのことを書いたのかぁ!?何故今になって出てきたのかぁ!?
その答えはただ1つ!あの時の後書きが、伏線だったからだぁ!ブゥーハハハハハハ!
次回!Dr.ゲムデウスは!
ついに明かされるゲムデウスの秘密!
「やはり私は神ィ!」
今度の相手は……パーティ!?
「くっそ!キリがない!」
打ち破れるのは……魔王の力!
「貴様らは完膚無きまでに叩き潰すまでよ」
第8話『Partyに勝つ為の力!』