Dr.ゲムデウス   作:(´鋼`)

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第6話 懐かしきbattleship! 

「あ"ぁ"~ぅ"」

 

「おい高山、おっさんくさいぞ」

 

 

 4兄弟バグスターの件が終了して早2週間が経過した現在。何時もの如く大学の構内にあるカフェテラスでゆったりと過ごしていた。少し違うのは未だ茅場と藍原が来ていないということのみ。

 

 茅場はキリの良いところまで終わらせようと必死のため遅れ、藍原は公務員司法試験の為に根を詰めているので遅れるということだ。

 

 

「眠いんですよ」

 

「…………お前ら、仲良いなぁ」

 

「神代さんも、最近茅場先輩と何処かに出掛ける機会とか多くなってるじゃないですか」

 

「誰が噂を流しやがった?答えろ」

 

 

 高山の発言は誰から聞いたというより話している集団の側を通り聞いてしまったというのが正しい。なので神代が望んでいる答えは出ない。

 

 しかしここ最近茅場と神代の仲は良好とも言えるのは確かである。というより1度見かけた事がある。

 

 

「スーパーの帰り道で見かけましたよ。茅場先輩は気付いてましたけど」

 

「……嘘だろオイ」

 

「あ、何ならその時の神代さんの表情言いましょうか?かなり惚けて「スタンガン」何で持ってるんですか?」

 

「護身用だわ」

 

「護身用を僕に向けないでくださいよ」

 

 

 談話(?)をしていると高山のスマホが着信のバイブレーションをした。何事かと思い高山はスマホからの着信を出る。勿論神代に断りを入れて。

 

 

「はいもしもし高山です」

 

『高山君、私だ』

 

「あ、黎斗s『檀黎斗神である!』……えっと黎斗神さん?どうされました?」

 

 

 戻ったかというのが率直な感想だろう。前回は黎斗という風に神と付ける事は無かったのだから。

 

 

『実は君にも伝えたいことがあってね。君は大学の講義が終わり次第来てほしいんだ』

 

「……君にも?ってことは宝生さんたちもですか?」

 

『あぁ。最近出没する“新型バグスターの特徴”だ』

 

「本当ですか!?」

 

「うぉぅ!びっくした!」

 

 

 急に声量を上げて椅子から立ち上がりそうになっていた高山を見て神代は驚く。普段からは聞きもしない声量だった為、周囲の生徒も何事かと驚く。

 

 

『あぁ。しかも君たちに縁の深い物が関わっているんだ。ということで宜しく頼むよ』

 

「はい!黎斗さん!」

 

『檀黎斗神だと言っているゥ"ゥ"ゥ"!』

 

「えっ?檀黎斗死んだ?」

 

『区切るなぁぁ"ぁ"!』

 

 

 中々騒がしい様子の檀黎斗で『私ヴァ!檀黎斗神ヴァと言"っヴェい"る"ゥ!』神(自称)であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で!ポッピーピポパポからの連絡で~す!」

 

「いや黎斗さん何処ですか?というより貴女は?」

 

 

 現在午後5時半。講義も一通り終えて藍原を一旦家まで送りCRに向かった高山であったが、何故か居るのは派手な服装をした人物のみ。黎斗神は何処にも見当たらない。

 

 

「黎斗ならバグヴァイザーⅡの中に居るよ。何か名前をネタにされて少しショック受けて自分から入っちゃったよ」

 

「……いや、黎斗さん。メンタルが…………」

 

 

 脆い。木綿豆腐並みに脆い。まぁ名前をネタにされるというのは経験しなかったのかも知れないが。

 

 

「それと、私なら何度か会ったことあるよ!」

 

「……へ?」

 

『そいつ仮野明日那だぞ』

 

「はっ!?明日那さん!?」

 

「今はポッピーピポパポって呼んでね~!愛称でポッピーでもオッケー!」

 

「は、はぁ……」

 

『補足しとくが、そいつもバグスターだ』

 

「…………マジかよ」

 

 

 今日も今日とて驚きの連続である。思えば今日は驚くべきことが多すぎるのも事実だが。

 

 高山が少し上の空である時、ポッピーピポパポがタブレットを渡してきた。肩を軽く叩かれた高山は意識を戻し手渡されたタブレットを持ち、電源を着ける。

 

 すると画面が表示された。だが表示された画面には『新型バグスターとガシャットの関連性』という題名が表示されていた。

 

 さらに下へとスクロールしていくと、最初に高山が戦ったバグスター『バイラス』(黎斗神命名)、そして高山自身が使う【ドクターマイティXX】のガシャット。その関連性を纏めていた。

 

 

「…………このバグスターは、僕の持つドクターマイティのガシャットに保存されたゲームの敵キャラ。簡単な解釈ですが、これで合ってますか?」

 

「合ってる合ってる!でも黎斗も戦ったバグスターについては、まだ調べているんだよね」

 

「須郷伸之……ん~、何処かで聞いた様な?」

 

「あ、それなら簡単に纏めたのがスクロールすればあるから見ても良いよ!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 改めて下へとスクロールしていくと、妖精型バグスターの下に須郷伸之についての簡単なプロフィールが表示されていた。年齢、性別、誕生日、学歴、概要などが書かれていたが高山は概要の一覧に目を止める。

 

 

「……結城財閥とも関わりあり。現レクト社CEOの結城彰三とは腹心の息子、ねぇ」

 

『つまりは?』

 

「金持ちと知り合い」

 

『成る程』

 

 

 再度下へとスクロールすると、今度は4兄弟バグスターの画像。そしてドクターマイティと酷似した青とオレンジのガシャット。

 

 

「このガシャット……似てるな」

 

「それは永夢の使う【マイティブラザーズXX】っていうガシャットだよ。多分4兄弟バグスターは、そのガシャットに保存されてるゲームの敵キャラって予想はついてる」

 

「って事は……また新たに現れる可能性も」

 

 

 そんなことを呟いていると、机に置かれた機器から音が鳴る。

 

 

「うぉぅ!」

 

「おぉ!……ビックリしたぁ」

 

「す、すいません」

 

 

 急なことだった為、高山は驚くがポッピーピポパポは高山の発した声で驚いていた。ポッピーピポパポは慣れているのか、その机の上に置かれている機器を押した。

 

 するとTVから花家大我が映る。しかし表情から読み取るに、何処か疲弊している様子であった。

 

 

「あれ?大我、どうしたの?何か(やつ)れてるよ?」

 

『あぁ……対応してる患者が頑固な奴『儂は帰るぞ!何故こんな場所に居らねばならんのだ!?』『お願いですから落ち着いて下さい!』……ハァ』

 

「お、お疲れ……」

 

「かなり御高齢の方の声でしたね」

 

『……ん、あぁ。お前はゲムデウスウィルスの』

 

「高山明です。宜しくお願いします」

 

『花家大我だ。宜しくたのmゴンッ『あー!大我ー!』』

 

 

 話していると急に画面外から何かが投げつけられ、それが大我の側頭部に直撃する。それを見た2名は驚き慌てた。

 

 

「ちょ!大我大丈夫なの!?」

 

「何か色々不安なんですけど!?あ、俺花家さんの所行ってきます!」

 

「えぇ!?……あぁもう!ピプペポパニックだよ~!ゲーム病 花家医院の場所は知ってる!?」

 

「調べるんで大丈夫です!」

 

 

 CRから走り去っていく高山を見送り、映像に目を移す。まだ大我が起き上がってくる様子も無いのでかなり不安になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スマホの地図アプリのルート案内によって着いた高山はバイクを降りて医院の中に入っていく。少し古めかしい感じではあるが病院としての機能はある様子。

 

 

「えぇい!さっさと此処から出せ!何度言えば分かる!?このヤブ医者!」

 

「ですから、今の貴方は病気なんです。今は安静にしなければ」

 

「しなければ?ふん!どうせ老い先短い命、こんなものくれてやるわ!日本男子たるもの潔く死ぬのが一番じゃわ!」

 

 

 

 

 

「……あのー、お邪魔しまーす」

 

 

 高山は恐る恐るといった感じで大我や患者の前に姿を現した。

 

 

「ってこんな時に……何だゲムデウスか」

 

『私がゲムデウスなのだが』

 

「ライダー名はゲムデウスですけどね」

 

「成る程。んで、何で来た?」

 

 

 勿論何故来たのかは尋ねる大我。そもそも此処を訪ねてくる理由は決まってゲーム病感染者や怪我をした人々に対処する為の場所である。健康な人間、ましてやウィルス適合者の人間が来て良い場所ではない。

 

 

「いえ、先程頭に思いっきり何かがぶつかってたのを見て大丈夫かと」

 

「……態々それだけか?」

 

「えぇ」

 

 

 何の躊躇いも無く頷いた高山。この様な場合の対応は面倒なのか溜め息をついた大我であった。

 

 

「お前なぁ……「おいヤブ医者!」痛って……!」

 

「ちょ!大我さん大丈夫ですか!?」

 

 

 今度は患者の方から何かが投げられ、それが大我の背中に衝突した。その投げられた物を見ると茶色いボストンバッグであった。

 

 

「あぁ……平気だ」

 

『と言うわりには痛がってた様に見えるがな』

 

「(ゲムデウス、それはNG。言っちゃいけない)」

 

 

 その投げられたボストンバッグから中身もちらほら出ていたので片付けようとすると、ふとその中身が気になった高山。それを手に取り、患者に見せる。

 

 

「あの……これ……」

 

「んぉ?……!そ、それは返してくれ!頼む!」

 

「は、はい!ど、どうぞ」

 

 

 その物とはパンフレットであった。そのパンフレットには『甦る戦艦の歴史』という題名が書かれてあった。先程のボストンバッグの中身を片付けると、高山は未だにパンフレットを持っている患者に質問を投げ掛けた。

 

 

「……あの」

 

「……何じゃ?」

 

「戦艦……好きなんですか?」

 

「好きという枠に収まらんわ!儂は吹雪型駆逐艦朝霧の就役日に誕生したんじゃ!そこいらの者より愛着はあるわい!」

 

 

 かなりの声量だったが、これで分かった。この患者は戦艦にとてつもない愛着がある。しかもその展示が明日から開催するのだ。つまりは我先に行きたいという気持ちが強いあまり、この展示に行けないと勘違いしている。

 

 だがこの手の頑固さというのは、梃子(てこ)でも動くことを拒むという。

 

 

「……そうでしたか。先程の発言、失礼しました」

 

「ふむ、中々聞き分けが良いな」

 

 

 ここは先ず素直に謝罪する高山。そして次に大我の方に向き合い、こんなことを尋ねる。

 

 

「花家さん、1つお聞きしても構いませんか?」

 

「今度は何だ?」

 

「明日から戦艦が展示される場所に、この人を連れていきたいんです」

 

「…………一体どうしてそうなった?」

 

 

 高山はボストンバッグを降ろし、患者から見えない場所まで行くと大我をそちらへ招く様にした。大我は歩いて高山の元に着き話を続けた。

 

 

「あの人にとって戦艦というのは、とても愛着のある物が分かったんです。だったら逆に1度行かせる方がストレスの緩和になったり、後で治療に専念できると思うんです」

 

 

 これはどちらかと言えばごもっともな言い分であろう。あの患者の頑固さは戦艦による愛着の証。ならば1度スッキリさせた方が良いのでは?という考えである。

 

 この考えに大我は渋々といった感じで溜め息を吐き、答えた。

 

 

「分かった、そうする」

 

「ありがとうございます」

 

「但し、明日は俺も同行する。何かあった時にヤバイからな」

 

「分かりました!」

 

 

 高山はその患者『林田 玄太郎』の元まで近付き、外出の許可を得られたとして行きたがっていた場所に行こうと提案すると、何処か嬉しそうな表情をしていた。

 

 そして翌日、この日は午後からの授業だけだったので大我と玄太郎と共に展示場へと訪れた。

 

 そして中に入って目を注目を集めたのが……

 

 

『ほぉ……これはこれは』

 

 

 ゲムデウスが驚きのあまり呟いた。誰しもそんな反応をすると思えるが。

 

 何故なら、目の前に戦艦『長門』の巨大模型が堂々と展示されていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────Loading……──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉぉおぉぉ……」

 

「デッケェ……」

 

『おい宿主、変な声出すな』

 

 

 目の前の大きな『長門』の模型を見せられて感嘆せざるを得ないだろう。ただ高山の場合は少し可笑しいだけである。大我は思った感想を述べていた。

 

 

「あぁ……懐かしき長門よ」

 

 

 玄太郎は昔を懐かしむ様子を見せながら大きな模型を眺めていた。御歳87の高齢であるが中々元気がある。見たことがあるのだろうか?という単純な疑問を高山は言ってみた。

 

 

「玄太郎さんは、この戦艦を見たことがあるんですか?」

 

「あるぞ。ちょうど儂が8つの時に出航したのを見かけたわい」

 

「凄いですね。生で見れるなんて早々無いと思いますよ?」

 

「いんや、あの時は出航の日時が分かれば普通に行けたからのぉ。いやはや懐かしいものよ。当時は人々がこぞって戦艦を一目見ようと集まっておったからのぉ」

 

「そりゃ凄いですねぇ」

 

「分かるか?」

 

「えぇ。本物をこの目で見るっていうのは心が踊りますからね」

 

「心が踊るか。上手いことを言いおって!」

 

 

 高山と玄太郎の会話は展示場巡りの時でも普通に続けられており、中盤に差し掛かった所でかなり仲良くなっていた。

 

 

「(アイツ俺より医者してねぇか?)」

 

 

 大我は大我で少しばかりの危機感を覚えたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや、やはり懐かしい。もうこの目で見る機会も無いと思うていたが今日は付いているのぉ」

 

「此方こそ、良い体験になっています」

 

 

 現在は展示場の中盤。ここからは戦艦が辿った軌跡というのが音声によって説明される。やり方は展示近くのボタンを押すだけで音声が流れるという仕組み。

 

 そんな中、玄太郎はポツリと呟いた。

 

 

「これが、孫と行く感じなのかのぉ?」

 

「……御孫さん、いらっしゃるんですね」

 

「あぁ」

 

 

 ゆっくりと頷いた玄太郎。昔を思い出す様にポツリポツリと言葉を綴った。誰かに聞いてほしいという願いを込めて。

 

 

「昔は孫によく戦艦のことを教えていたものじゃ。その時の時間が1番心地良くてのぉ、孫は帰る時間を過ぎてまで聞いていたものじゃよ。その度に儂と、今は居ない婆さんとで送って行ったわい……」

 

「……素敵ですね。楽しそうで」

 

「……じゃが今は婆さんも死んで、孫も最近会わなくなった。できるならば、孫と一緒に巡りたかったわい」

 

「因みに……御孫さんは幾つですか?」

 

「そうじゃのぉ……今は確か20歳じゃったか?ここ3年は会っておらん」

 

「そうですか」

 

 

 静かに聞いている大我も何となく分かっているのかもしれない。こんな風に懐かしむ様子を見せる辺り、本当は孫と行きたかったという願い。自分の中で、整理のつかなかった時に、ゲーム病の発症が起きた。

 

 だからこそ理解できた。ゲーム病で自分の人生の時間を、治療で残り少ない時間を使いたくなかった。だからこそ抵抗をしたのかもしれないと。

 

 

「……御孫さんに連絡は取れないんですか?」

 

「……取れるには取れるが、3年前から適当にあしらわれることが多くなった」

 

「……失礼しました」

 

「いや、構わん。どうせ学業や女のことで年寄りに構う暇なぞ無いということじゃ」

 

「ッ…………」

 

 

 高山は胸の奥が締め付けられる感覚を覚えた。何処か苦しく、辛い。寂しさや諦め、でも会いたいという葛藤の気持ちが伝わっている感覚がした。

 

 

「…………いやはや、それにしても。最後に見れて良かったわい」

 

 

 寂しそうな声だ。何処か遠くを見ているが、何処を見ているのか分からない様な虚とした感覚。高山と大我も、ただ黙ってるだけであった。

 

 

「これで心置き無く、婆さんの所に行けそうじゃ」

 

「玄太郎さん…………」

 

 

 既に高山と玄太郎、大我は最後の方まで歩き続けていた。もうすぐ終わる。それだけで何処か悲しい。

 

 その悲しさは、突如聞こえてきた悲鳴によって掻き消されたが。

 

 

「「「!?」」」

 

『宿主!バグスターの気配だ!』

 

「ッ!こんな時に!花家さん、玄太郎を頼みます!」

 

「何処に行くつもりだ!?」

 

「さっきの悲鳴の方からバグスターの気配がするんです!花家さんは医者として患者を連れて逃げてください!」

 

 

 今は得策と言えるだろう。大我には医者として患者を守る責任がある。だがその患者を守らずして医者は名乗れない。

 

 

「……分かった、だが俺も後で合流する。それまで耐えてくれよ」

 

「えぇ!」

 

 

 高山はゲムデウスが示した気配を辿って走り出した。バグスターを倒す為に。

 

 

「おぉい!君!」

 

「玄太郎さん、早く避難を!」

 

「は、離してくれ!あの子が!」

 

「てちょ!……のあっ!」

 

 

 引っ張られるが突如来た人の波に呑まれて大我は玄太郎の手を離してしまった。玄太郎は高山を追いかける様に向かって行く。大我は何とかしようともがくが、この人混みの中では一般人に怪我を負わせてしまう可能性もあったため身動きが取れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『居たぞ!』

 

「っと!」

 

 

 ブレーキを掛けて減速した高山はゲムデウスが示す方向を見た。

 

 そのバグスターの外見は一言で言うなれば戦艦の艦長の様な姿をしていた。軍服に幾つもの称号、被られた白いキャップには錨のマーク。そして肌が灰色であり、ガスマスクとモノクルを掛け合わせた物を装着している。

 

 

「コイツがバグスターか」

 

『気を付けろよ』

 

「分かってる!」

 

 

 高山は何時もの斜め掛けバッグからゲーマドライバーとガシャットを取りだし、ゲームを起動させる。

 

 

【ドクターマイティXX!】

 

 

 軽快な音楽と共に画面が後ろに出現し、その画面内からカプセルの様なものが散りばめられる。

 

 高山はガシャットをゲーマドライバーに差し込み、両腕を前に交差させてXの文字を作る。

 

 

【ダブルガシャット!】

 

 

「Mark X-2!変身ッ!」

 

 

 高山はゲーマドライバーのレバーを開き、その身に鎧を纏い姿を変える。

 

 

【ガッチャーン!レベルアーップ!】

 

【ドクターマイティ!2人で作る!ドクターマイティ!2人でメイキーング!X!】

 

 

 高山は2つのパネルを選択し、それぞれドクターマイティXL(高山明)XR(ゲムデウス)となる。高山は右足を下げて腰を少しだけ落とす構えを、ゲムデウスは右拳を前に左拳を後ろに下げて構える。

 

 相手は右から左へと手を横一閃すると“もや”が出現し、そこから小さな戦艦武装を装着した複数の低級バグスターを呼び出した。その後バグスターは後方に下がった。

 

 

「「これより、製薬実験を開始する!」」

 

 

 高山とゲムデウスは走り出す。低級バグスターの武装から放たれる砲撃を避け低級バグスターに打撃を与える。

 

 高山は1体の側まで来ると少し跳躍すると同時に思いっきり蹴る。両サイドから来る2体に対して、先に左から来る低級バグスターの懐まで近付き膝蹴りを与えたあと後ろから来る砲撃の楯にしてダメージを与える。

 

 

【HIT!】

 

【HIT!】

 

 

 砲撃が着弾した煙によって視界を遮られた低級バグスターの元に駆け付け、そのままジャンプして回転蹴りを放つ。

 

 

【GREAT!】

 

 

 ゲムデウスは砲撃を意図も容易く避けている。まるでボクサーの様にステップを踏みながら走って近付く。

 

 1体の懐まで入ると右アッパーを顎に食らわせ横から来る砲撃をアッパーを食らわせたバグスターを脚を持って移動させ楯代わりとさせた。 

 

 

【HIT!】

 

 

 先程攻撃してきた1体に向かうのかと思いきや、今度は5時の方向に振り向き避けながら接近していく。

 

 接近した所で右回転しながら上から肘を叩き付け、その肘を上へと上げ顔面に当てる。続いて近場に居た低級バグスターに両肘を使った連続攻撃をしていく。右肘の殴打を当て、勢いを殺したあと左肘の殴打をする行為を5回繰り返していく。

 

 

【GREAT!】【HIT!】

 

【HIT!】【HIT!】【GREAT!】【HIT!】【GREAT!】

 

 

 高山は向かってきた低級バグスターの1体をヤクザ蹴りでダメージを与えた後、後ろに向けて思いっきり蹴りを放つ。その放たれた蹴りはちょうど向かってきた1体の腹部に直撃した。

 

 

【HIT!】

 

【GREAT!】

 

 

「ゲムデウス!【高速化】行くぞ!」

 

「承知した」

 

 

 高山とゲムデウスはタッチパネルを操作し高速化を選択する。途中砲撃が襲ってくるが回避する。

 

 すると高山の方に【高速化】のエナジーアイテムが来た。高山は直ぐにゲムデウスの方に投げて付与させる。

 

 

 

【高速化!】

 

 

 素早さを強化したゲムデウスは、何故か小回りの効きやすい小型の低級バグスターから狙い仕留めていく。

 

 

『□□□□□───!』

【【【【【【【HIT!】】】】】】】

 

 

 続いてゲムデウスは他の低級バグスターに攻撃を仕掛ける。高山はゲムデウスが攻撃した先程の小型の奴等を順に蹴り倒していく。

 

 

「ふっ!」

 

「□□□───ッ!」【HIT!】

 

「ほっ!っと!」

 

「「□□□───ッ!」」【HIT!】【HIT!】

 

「はいはいはいはいッ!」

 

「「「「□□□───ッ!」」」」

【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】

 

 

 高山の攻撃によって対峙していたバグスターは消滅し、残りは数体の低級バグスターと本命のみ。

 

 

「ゲムデウス!一気に片を付けるぞ!」

 

「応ッ!」

 

 

 ゲムデウスが跳躍し高山の隣に立つ。そしてゲーマドライバーのレバーを閉じようとしていた途端……

 

 

「こ、これは何じゃ!?」

 

「「ッ!?」」

 

 

 レバーを閉じるのを辞めて後ろを振り返ると、玄太郎が居たのだ。

 

 

「玄太郎さん!?何で此処に!?」

 

「そ、その声はお前さんか!?」

 

「むっ!」

 

 

 ゲムデウスが何かを察知した様で後ろを振り向いた。すると残っている低級バグスター全てで砲撃を放とうとしていたのだ。

 

 

「来るぞ!」

 

「ッ!」

 

 

 砲撃が発射された。避ける事は容易いが、この砲撃の射線上には玄太郎も居るのだ。おいそれと避けて良い訳がない。そしてゲムデウスは高速化の効果が既に切れていた。

 

 

「「があああッ!」」

 

 

 砲撃を直撃するしか無かった。玄太郎に当たりそうな砲撃を一身に受けて高山とゲムデウスはライダーゲージを減らしながら飛ばされ、変身を強制解除してしまう。

 

 

【【ガッシューン】】

 

 

 2体から1体へと戻った高山とゲムデウス。しかし高山の左腕には傷が付いており頭から血が出ている。さらにゲーマドライバーとガシャットから離れてしまった。

 

 そのゲーマドライバーとガシャットを本命のバグスターが取り上げる。

 

 

「ッ!……ゲーマドライバーと、ガシャットを!」

 

『どういうつもりだ?』

 

 

 そしてそのバグスターは消え、戦っていた低級バグスターも消えた。

 

 玄太郎を連れ戻しに来た大我が高山を見つけると、大我は誰かに連絡していた。

 

 高山は傷を負ったまま大我に支えられ展示場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回!Dr.ゲムデウスは!

ライダーとして変身できなくなった高山!

「ガシャットとゲーマドライバーを奪われた!?」


圧倒的な数の多さに苦戦するスナイプ!

「アイツが必死になって守った患者を、俺が守らないでどうする!?」


そして新たな力を手に戦うのは!

「Destroy mission start」


 第7話『予想外のbuggle up!?』

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