第1話 逃げたdateはラスボス!?
【仮面ライダークロニクル】。今ではほぼ廃止同然の“ゲームオーバー時に消滅する”ゲーム。現代の地形に合わせてゲームエリアが展開されバグスターを倒すゲーム。
しかしそれは『仮面ライダー』と呼ばれる者たちが命懸けで止めることが出来た。この騒動を引き起こした幻夢コーポレーション“元”社長の『檀 正宗』は人間としての自分を消した。
そんな事態を前に、さらに悲劇が襲う。人類が“仮想世界”に閉じ込められるという事件も起きた。此方も対処され漸く平穏を取り戻した。
そう、思われていた。
その事件から2週間後、場所はCR。正式には【電脳救命センター】と呼ばれる場所に忙しい中集まっている医者たちが居る。しかし何故集められたのかは未だ理解出来ていない様である。
「それで……何の話があるんだ?檀黎斗」
「檀黎斗ではぬぁい!何度言えば分かる!?私は檀 黎斗s「はいはいさっさと話進めよーぜー」邪魔をするなあぁぁぁ!」
『花家 大我』過去に医師免許を剥奪されるも現在はゲーム病専門医として活躍、仮面ライダー『スナイプ』と呼ばれるドクターライダーの1人。
『九条 貴利矢』元人間であり、人間のデータが存在するバグスター。現在は人間だった頃と同じ様に監察医として活躍。仮面ライダー『レーザー』と呼ばれるドクターライダーの1人。
『檀 黎斗』元に「檀 黎斗神だぁゥ!」Take2に続く。
Take2
『檀 黎斗神』元人間のバグスターであり、貴利矢と同じ様に人間のデータが存在するバグスター。何故神なのかというと過去に【ドクターマイティXX】というガシャットを文字通り命を削って作製した事から自らを神と改名。正直言って何言ってんだコイツ?という感想しか思い浮かばない。
「作者ああああアアアア!」
黎斗神が何処かに向けて何かを発言したが、調度のタイミングで何かに吸い込まれる。
「黎斗うるさい!大体何処に向かって話してんのよ?」
「此処から出せぇ!
『仮野 明日那』バグスターとして存在しており、この状態は人間として活動する為の姿。本当はポッピーピポパポというバグスターである。「私を無視するなあぁぁぁ!」
「…………あれは無視して良いだろう。話を続けろ監察医」
「いやずっと叫んでて喧しい」
「パラド、ああいうのは無視するのが良いんだよ」
「そうなのか?」
「そういうものなんだよ」
『鏡 飛彩』CR所属の血管外科医、その他の医療資格を取得している。仮面ライダー『ブレイブ』というドクターライダーの1人。大の甘い物好き。
『宝生 永夢』現在は小児科医の資格やその他の資格を取得。仮面ライダー『エグゼイド』というドクターライダーの1人。ゲーマー界では天才ゲーマー『M』として知られている。
『パラド』現在はMと同等のゲーマーとして知られているが、正体は永夢の天才ゲーマーとしての人格のバグスター。一時は敵であったが和解し協力している。仮面ライダー『パラドクス』に変身する。
「そうだな、んじゃあさっさと始めますか」
貴利矢はCR内にあるTVタイプのモニターに“ある情報”を映し出す。まるで複雑な迷路の様に入り組まれた“それ”を説明していく。
「今回の話は先ずこれを見なきゃ話にならないからな」
「……貴利矢さん、これは…………?」
「言うなりゃクラウド込みのネットワークだな」
騒がしかったCR内も貴利矢の一言で静まった。静まった空間の中、今度は黎斗神が口を開く。
『そのデータを見せたのは事情がある。どうやら幻夢コーポレーションから“あるデータ”が“逃走”したのだよ』
「……逃走?自我があるんですか?そのデータ」
逃走の意味を永夢が言うと貴利矢と黎斗神は感心した様子を見せる。飛彩、大我、明日那、パラドはあまり意味は理解出来ていなかった。
『流石私が見込んだ男だ。その通り、そのデータには自我が存在する』
「ちょっと待てよ。俺たちバグスターならまだしも、普通のデータなら自我なんて存在しないだろ」
「ということは……逃げ出したデータというのはバグスターのことか?」
「せーかい。…………それも最悪なデータだ」
少し間を置いて話したので、その指摘を大我はする。
「言い換えれば最悪のバグスターってことか。だが、最悪のバグスターなんて俺たちが戦ったゲムデウスしか居ねぇし、何よりソイツも倒した筈だ」
「…………!貴利矢さん、まさかだとは思いますが」
「察しが良いな永夢。そうだ」
またもパソコンを操作していく。今度は別の情報となるが、それを見た貴利矢と黎斗神以外が驚愕の表情を見せる。
「逃げ出したデータってのは【ゲムデウスのデータ】なんだよ」
「「「「「ッ!」」」」」
そう、逃げ出したデータというのは【ゲムデウスのデータ】であった。そして先程見せたクラウド込みのネットワークを隣に表示させると、ある道だけ白く塗りつぶされる。
「まさかこれって……逃走経路」
「ゲムデウスが逃げた経路をウィルスの反応が異常な箇所を調べたら出てきた」
「ちょ、ちょっと待って貴利矢!ゲムデウスのデータって、永夢たちが倒したゲムデウスは!?」
「あれもゲムデウスだ。今回逃げたのは所謂“コピーデータ”って所だ」
「コピーって……それを出来たのって…………」
『私はゲームクリアも考えて作った、それだけは保証しよう。つまりコピーを取ったのは檀正宗の仕業だ』
一時の静寂。入り乱れる心には、憎悪などの感情が見受けられる。大我は机を思いっきり叩き、それを聞いた明日那が少し震えたのは仕方ない。
「檀正宗……大層な置き土産残しやがって…………!」
「癌は何処までも癌ということか……!」
飛彩の意見は的を射ている。癌細胞というのは少量残しておくだけでも他の場所に移動し、増殖を続ける。正しく切除しきれなかった癌細胞だ。
話を切り換える様に貴利矢が口を開く。
「……話を続けるぞ。ゲムデウス……ここじゃあ区別付ける為に『コピーゲムデウス』って呼ぶけど、その逃走経路を見たんだが可笑しい点があるんだわ」
「……なぁ永夢、分かるか?」
「……強いて言うなら、ひたすら真っ直ぐに進んでる所だと思うけど。流石に詳しくは」
「その謎にさらに情報を加えると……ホイッと」
パソコンを操作すると、今度はネットワーク回路の白く塗り潰された道に時間が表示される。ここで永夢が可笑しな事に気付く。
「貴利矢さん……遅くないですか?」
「どういうことだ?」
「いえ、まるで……何かを探してるみたいにゆっくりと移動している様な」
「まぁ当たりだな。その証拠にファイヤーウォールだったりとセキュリティのある箇所は全て無視を決め込んでる様だしな」
またもや情報の追加。全てのネットワーク機器にセキュリティがある場合、嗅ぎ付けられたくないということを思い付く。
「ん?」
「ん?どーした永夢」
「いえ、何か“人間染みてる”というか……」
「……というと?」
「ゲムデウスは仮面ライダークロニクルのラスボスです」
「ふん」
「僕たちが戦ったゲムデウスは少なくともラスボスの風格に相応しい態度をしていた。……この情報には、それが感じられないんです」
『……成る程、人間か。確かに檀正宗が何か思考ルーチンを変えたと見て良いだろうな』
そんな会議の中、CR内の固定電話が鳴る。それに対応したのは明日那。
「はい、此方電脳救命センター…………はい。では症状の方を………………分かりました」
電話を置くと明日那は全員に伝える。
「ゲーム病患者よ……ただ、今回のは特殊ね」
「どういうことだ?ポッピーピポパポ」
「はーい!……じゃなくて、兎も角人命救助が先。準備をして」
「了解しました」
それぞれドクターライダーたちは準備を済ませていく。ただ、この時は気付きもしなかった。
この選択が“ある1人”の人間に大きな罪を背負わせてしまうことを。
次回『Dr.ゲムデウス』は!
告げられる真実!
「僕が……ウィルス感染者……?」
「しかも適合者だ、それも特殊な」
絶対に治せない病となった主人公!そして愛する人に危害が加わる!
「僕は…………どうしたら良いんですか!?」
「その時は、俺たちが助けてやる」
そして誕生する新たなライダー!
「永遠の贖罪を……果たしてやる!」
「Mark X-2!変身!」
『第2話 New Riderはラスボス!?』