ダンジョンに出会いを求めたら黒の剣士に会いました? 作:アーズベント・ウィッカ
「ここがホーム…」
ベルに案内されて辿り着いたのは、ボロボロの教会だった。とても神様の居住には見えない。そもそも住居かどうかも怪しい。
「あはは、取り敢えず中にどうぞ」
促されるまま、教会に入る。中も外と同じボロボロではあるが所々に修復や補修の跡があり、掃除もしっかりしている様で大事にしているのが伝わってくる。少しして神様とやらが居る部屋の扉の前まで着いた。
「キリト、神様に君の事伝えて来るからちょっと待ってて」
「あぁ、よろしくな」
任せてといってベルが扉を開けて部屋の中に入っていく。
「神様ー、今帰りました」
「うぉい、ベル君! どうして君がこの時間に?! 何か良からぬ事でもあったのかい?」
部屋の中から女性の声が聞こえてくる。何やら焦っている感じが声から見受けられる。
「その事何ですか神様! 実はカクカクしかしかでして」
「何だって! 記憶喪失してる人を連れてきた⁉」
「はい、神様なら何か分かるかもしれないと思って…。」
「神と言ったってここじゃ色々と制約とかで大した事は出来ないよ? 現にうちのファミリアは貧乏だしね。そのキリト君だっけ? に会うのは構わないけどあまり期待しないでおくれよ?」
「はい、ありがとうございます!」
どうやら面会の許可は下りたようでベルがその事を伝えに来た。会話とか割りと聞こえていたけど、一応聞こえてない振りをしておく。
そして部屋に入ったら、一人の少女が立っていた。艶のある髪をツインテールにしている少女だ。童顔でもあり、ツインテールと合わせることで、より一層幼さが際立つ外見をしている。部屋の中には他に人は居ないので、この少女が件の神様…なのか?
「君がキリト君とやらだね、ようこそうちのファミリアへ。僕がこのファミリアの神様をしてるヘスティアだよ」
どうやら、そうらしい。
「キリトです。この度はあって頂きありがとうございます。」
「あー、そういう堅苦しいのはいいって。神様といっても、別に偉いわけでも無いんだし。気軽に話しかけてよ」
「そうなんですか?」
「うん、私なんてついこの前までは友達の家でニートしてたし」
神様がニート…。この神様いろいろとフランクだな。いや、ベルに聞いた感じ大抵の神様はこういう感じかも知れないが。
「それじゃ、お言葉に甘えて。幾つか聞きたい事があるんだけど質問してもいいか?」
「ドンと来いだよ。でも、神だって知らない事があるからね、そこんとこよろしく頼むぜ」
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あの後、幾つかの質問してみたが結局何も分からないままだった。自分の境遇とかは多少ボカして見たものの、結局ここがゲームなのかどうかもわからなかった。
ただ、迷宮に行けば何か分かるかもしれないと神様は言っていた。…勘らしいが。俺もそんな気がするんだが、迷宮にはもっと別の気配も感じる。何かこう、嫌な感じというか何というか。
でも、言ってみない事には分かりっこない。迷宮に有るかもしれないと手掛かりを探す為、俺は迷宮に挑む事にした。
「そうと決まれば、うちのファミリアに入らないかい? 君は何処にも入っていないんだろう?」
「いいのか」
「勿論だよ! 最もこんな貧乏ファミリアは嫌だ! とか言われたら何にも言えないけどね」
「いや、むしろこっちからお願いします。俺をファミリアにいれて下さい。」
「あぁ、これからよろしく。歓迎するぜキリト君!」
神様が歓迎の言葉を口にすると、俺と神様の話の時なるべく静かにしてたベルも同様に歓迎してくれた。
「これからよろしくねキリト」
「あぁ、よろしくなベル」
そんな言葉を交わしながら俺はベルと握手をした。
「やいやい、男同士の友情を確かめるのもいいけどさ、先ずはキリト君に恩恵をあげないとね」
「あ、そうですね。キリト恩恵の話はさっきしたよね」
「レベルとかステイタスの事だよな」
如何にもゲーム見たいなシステムだなと思って聞いてたからよく覚えてる。迷宮に挑戦するにはそれが大事らしい。
「そうそれ、今からヘスティア様が刻んでくれるよ」
「という訳で横になってね、すぐ終わるから」
「お願いします。」
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『キリト
Lv.1
力:I 50 耐久:I 50器用:I 50 敏捷:I 50 魔力:I 50
《魔法》
【アイテムボックス】
・武器限定で異空間に収納できる
《スキル》
【黒の剣士】
・早熟する
・剣技に補正がつく
【ーーーーー】
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・ーーーーーーー
』
これが俺のステイタス。…流石にsaoの時と同じとはいかなかったか。だが、魔法もスキルも一つ以外身に覚えがある。アイテムボックスに愛剣が入っていれば有り難いんだけどな。そして、この読めないの何なんだ。
「うーん、このステイタスは…」
俺が自分のステイタスで考えごとをしていたら、神様も唸りながら俺のステイタスを見ていた。
「…何か悪かったりするのか?」
「いや、そういう訳じゃないよ。寧ろ凄くいいステイタスだよ。魔法とスキル二つ同時に手に入れるなんてね」
「え、キリト魔法とスキル持ってるの?!」
「あぁ、有るぞ」
「いいなぁ。僕も欲しいなぁ。」
どうやらベルは魔法やスキルを持ってないらしい。でも、ステイタスを更新していくと、偶に手に入るそうなので楽しみにしているみたいだ。
「所で、君達は二人で迷宮に潜るのかい?」
「俺は、そうして貰えると有り難いんだが、どうだベル一緒に行ってくれるか?」
「勿論! 冒険者としては僕が先輩だしね。先ずは冒険者ギルドに行かないと。」
「おっと、流石にこの時間からはオススメしないよ。ていうか、今日はキリト君がうちに入った記念にパーティーをしようじゃないか。」
言われて外を見れば、夕方近くになっていた。
何気に時間が経っていたらしい、そんな訳で今日は俺の加入記念でじゃが丸パーティーが行われ一日が過ぎていった。