ダンジョンに出会いを求めたら黒の剣士に会いました?   作:アーズベント・ウィッカ

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今回の話はキャラが崩壊してる可能性があります。…いや、元からか。




【ロキ・ファミリア】

最強の一角と言われている探索系ファミリアだ。

 

昨日出逢った、アイズ・ヴァレンシュタイン氏が所属しているファミリアで構成団員は女性がやや多めで、幹部達の二つ名が【勇者】・【九魔姫】・【重傑】と、大層なものだった気がする。

 

【ロキ・ファミリア】について、冒険者登録の時にエイナさんが教えてくれた情報を思い出しながら整理する。

 

「よっしゃあ! 遠征ご苦労さん! 今日は無礼講や! 飲めやぁ!」

 

赤髪の女性が乾杯の音頭を取る。…多分、あの人がロキ様何だろう。日頃ヘスティア様が怨嗟を唱えている人物の特徴と一致している。どこがとは言わない…。

 

「んなぁ! 誰かうちの事ぺちゃぱい言うたか?! あぁ!」

 

俺の失礼な心の内を察したのかロキ様が怒鳴る。

…何で、そこそこ距離が離れているのに人の心を読めるのだろう。神様達は本当にこう言った事には鋭い。それ以外は割りと天然なのに。

 

気付かれない様に、俺は目線を下げる。

そんな俺とは対照的にベルはあちらに興味津々だ。

目当てはアイズ・ヴァレンシュタイン氏だろう。遠目から見てるだけなのにベルの表情は真っ赤に染まっていた。

 

「そうだ、アイズ! あの駆け出し達の話してやれよ!」

 

あちらの宴もそれなりの時間がたち、半分ぐらいの団員が酔っ払いへと成り果てていた。そんななか、銀髪の髪から出てる犬耳が特徴的な獣人の男がヴァレンシュタイン氏に話を振る。

 

「駆け出し達…?」

 

「あれだよ、帰る途中で何匹か逃げ出したミノタウロス! それに襲われてる二人の駆け出し居ただろ! あの半分トマト達!」

 

…これはひょっとしなくても俺達の話をだよな。半分トマトって酷いな、確かに俺もベルも返り血で半身が真っ赤だったけど。

さっきまで、ぼーとヴァレンシュタイン氏を見ていたベルもその事に気付いた様で何とも微妙な顔をしていた。

 

「ミノタウロスって、襲って来たのを返り討ちにしたら、纏めて逃げ出して行った?」

 

「それだそれ! そいつら馬鹿みたいに上層に上ってい来やがったんだ、ったくいい迷惑だったぜ」

 

逃げ出したミノタウロスはアレ一匹だけじゃ無かったのか。

 

「それでよ、いたんだよ、駆け出しって感じのひょろくせえ冒険者二人が!」

 

うん、間違い無く俺達だ。駆け出しってのは否定出来ないが、ひょろくせえは勘弁して欲しい。

 

「ミノタウロスに駆け出しが襲われてたの?」

 

「あぁ、そうなんだけどな面白えのはそこじゃねぇ! なんと、そいつら立ち向かってたんだってよ! ミノタウロスに! 馬鹿じゃねぇの!」

 

だろ、アイズと犬耳の男はヴァレンシュタイン氏に確認を取る。

 

「…うん、少なくとも私が行くまであの子達は戦ってた」

 

「うへぇー何でまた蛮勇?」

 

「俺が見た時は、逃げ道塞がれてたからなぁヤケクソになったんだろ。まぁそれでも、腰抜けよりかは全然マシだと思うぜ」

 

…アレ? てっきり俺達を馬鹿にするんだと思ったから意外な評価だな。

 

「まぁ、そんなんより最後だ! アイズが助けに行ってミノタウロスを瞬殺したんだがよぉー! そのミノタウロスの返り血おもっくそ浴びてんだよソイツら! いやぁー傑作だったぜ! そしてアイズが近付いたら片方逃げ出したんだぜ! アレはミノタウロスよりアイズが怖いってこったなぁ!」

 

ガハハ、と腹を抑えながら爆笑してる犬耳男。やっぱり馬鹿にはしてんるんだな。

何気にヴァレンシュタイン氏にも失礼じゃ無いか? その発言。

いや、逃げ出したベルの所為でもあるが。

しかし、ミノタウロスより怖いアイズ・ヴァレンシュタインってな感じで周りは意外に盛り上がっている。

 

その原因のベルはというと、非常に変な顔をしていたに。これはアレだ、よくわからん。

 

「ーーーあの子達は強くなる」

 

唐突に発せられたヴァレンシュタイ氏の発言でガヤガヤと騒がしかった室内が一瞬で静かになる。

疑問をぶつけたのは犬耳男だった。

 

「あぁ、何言ってんだアイズ? あのひょろくせえ奴等が強くなるって? そりゃミノタウロスに挑んでんだ、そこらの雑魚よりかはマシだろうがよぉ。 どれくらい強くなるってんだよ?」

 

犬耳男の問に少ししてヴァレンシュタイン氏は答えた。

 

「…私達と同じかそれ以上」

 

放たれた言葉はさっきとは違い、そんな馬鹿なと言う喧騒が返えされる。

 

「んなことある訳ーーー」

 

「もしかしたら、あの子達は私が居なかったら、ミノタウロスを倒していたかも知れない…。」

 

再び、静寂が辺りを支配する。それ程迄にアイズ・ヴァレンシュタインがいったことは衝撃的だった。ここで、そんな訳無いと嘘だと言うのは簡単だ。だが、誰も何も話さない。身近なファミリアの仲間はアイズが嘘をつくはずが無いことを知っている。身近では無い者も、アイズから放たれた言葉に嘘が込められて無いと

感じていた。

 

そんな色々とカオスな空気を一変させる者が居た。いや、神が居た。

 

「あぁーアイズたん膝枕してぇなぁ、何なら胸枕でぇもー」

 

…いや、ただの酔っ払いが居た。

 

酔っ払いのお陰で何処となく緊張していた空気を緩和する。

なお、その所為で幾人かがずっこけるというギャグが起こったが些細な事だ。

 

こうして、【ロキ・ファミリア】の宴は変な収束を迎えたのだった。

 


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