ダンジョンに出会いを求めたら黒の剣士に会いました?   作:アーズベント・ウィッカ

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白の冒険者と黒の剣士

『迷宮は呼ぶ、数多の生命に理不尽を課した者を。

神は呼ぶ、新たな時代の対となる英雄を。』

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

「ここは、何処だ?」

 

澄んだ風が辺りを駆け抜ける。その影響か肌寒さを感じ、朦朧としてた意識が一気に鮮明になっていく。

気付けば、全く記憶にない街路に俺は立っていた。 

まるであの時の様だと少し感傷に浸ると同時に、頭の中で何故このような事態になっているか考える。

 

あの時は、【死銃(デス・ガン)】の最後のひとりジョニー・ブラックによってサクシニルコリンを注射されたのがそもそもの始まりだった。おかげで、現実世界以上に年取ったり、貴族に絡まれたり、最高司祭と闘ったり、果ては色んな意味での世界大戦と来たもんだ。いや、考えるべきはその事じゃ無い。

 

何だかんだあったが、俺は無事現実世界に戻れた筈だ。

ここまではいい。だが、問題は別だ。俺は何故こんな見た事も無い街路に立っている? 町並みは綺麗に整えられているが建築様式は今の物じゃない。もっと昔、中世のヨーロッパとかの物だと思う…多分。最も、俺の抱いてる中世ヨーロッパのイメージはゲーム由来の物で、確かな知識とは言い難いが。

 

まず、思うのがこれがゲームの中だと言う可能性。だが、その可能性は低いと思ってる。第一にこんなにリアルなゲームはある例外を除いて存在しない。大抵のゲームはフルダイブとは言っても多少なりともの違和感が存在する。なのにそれが無い。まるで本物の現実だと五感全てが訴えている。ある例外なら、今の状況全てに説明が出来るがそれは無いと、俺の勘が言っている。状況的にはそれしか無いはずなのに。

 

 

「「うわぁ!」」

 

答えの出ない問題に頭を悩ませ、その場でぐるぐる回っていると走って来た誰かとぶつかってしい倒れてしまった。その拍子に情けない声が双方ともに漏れてしまった。

 

「ごめんなさい! 僕が前見てないせいで!」

 

「いや、こっちこそごめん。ちょっと考え事してぼーっとしてた。」

 

ぶつかった相手は少年のようで直ぐさま謝罪の言葉を口にした。

真っ白な頭と赤い目が特徴的な少年だ。顔立ちはそれなりに整っていて荒事とは縁がなさそうなのに、その少年は革鎧を纏っていた。

 

そんな少年の謝罪に大してこちらも謝罪する。

俺の方も迂闊だった。考え事に集中し過ぎてここが街路で有ることをすっかり忘れていた。頭を擦りながら起き上がろうとしたら、少年が手を差し伸べてくれたので有難くあやかる。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あぁ、問題ない。所で君、革鎧なんか来てるけどどうして?」

 

つい、目の前の少年と余りにも不釣り合いな、革鎧が気になって聞いてしまった。

 

「あ、えっと僕一応冒険者なんですよ、駆け出しですけど。」

 

冒険者? これまたゲームみたいな単語が出てきたな。やはりここはゲームなのか? 菊岡さん達の達の悪いドッキリとか? いや意味も無くそんな事しない筈だ。多分。…イマイチ信用出来ないからなあの人。まぁ、でも答えがわからない事を一人で考えるだけ無駄か。なら、今は気になる事をこの少年に聞いてみるか。

 

「その冒険者ってのは?」

 

「え! 冒険者を知らないんですか?!」

 

不味い。どうやら冒険者は知ってて当たり前のもののようだ。ここはあの時と同じ記憶喪失を装おう。

 

「あーなんて言うか。俺、記憶無いみたいなんだ。」

 

「はぁ、記憶が無いんですか。って! 君、記憶喪失なの!」

 

「その通り」

 

「…もしかして僕がぶつかった所為で?」

 

「いや、その前からだから安心してくれ。で、冒険者って何だ? ついでに一般常識も教えてくれると助かる」

 

しれっと、質問を増やす。

 

「あぁ、良かった。いや良く無いんだけどね。えっと、冒険者ってのは迷宮でモンスターを倒してその魔石を売って生活する人の事かな」

 

「…ダンジョン、モンスターまんまゲームみたいだな」

 

「そうだ、君はファミリアには入ってる?」

 

「ファミリアが何かは知らないけど多分入ってないぞ」

 

「え、でもその格好君も冒険者じゃないの?」

 

今の俺の格好は、何故かsao時代の黒マントだから冒険者とやらに見えるらしい。ファミリアとは、MMOで言うところのギルドみたいな物で神様とやらが眷属に恩恵を与えるそうだ。…神様、居るんだ。一度あってみたいな。

 

「その神様に合うことは出来ないのか?」

 

「なら今からうちのホームに来てみる? ヘスティア様今日バイト無い筈だし、君について何かわかるかも」

 

神様がバイトしてるのか…。  

 

「そうしてくれたら有り難い、頼めるか?」

 

「勿論だよ。あっそうだ、まだ名前を言ってなかったね。僕の名前はベル・クラネル。君は?」

 

「俺の名前は桐ヶ谷 和人。キリトってよんでくれ」

 

 

こうして後の英雄達は出会うのだった。


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