俺が開けた扉は全てダンジョンになる件   作:っぴ

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UA1000超えました! 嬉しい!
次はUSAを目指します!


#14「犬が二足歩行なら、こっちは一本足打法だ!」

「よし、使用回数が1回増えたし、本日2度目のアタックだ」

「かしこまりました。ぴょん」

 

「……」

「……ぴょん」

 

 いや、意外と可愛いな。

 しばらくそのままでいるのも良いか。

 

「よし、敵のレベルしっかり教えてくれよ!」

「かしこまりぴょん!」

 

 ちょっとおかしいが許す。

 

 どこでも扉をカチャッ! 幽霊?

「スピリット、レベル70です、ぴょん」

 

 パタン

 

 押し入れをスラリ! 巨大な灰色トカゲ

「バジリスクです、目を合わせないでぴょん! レベルは80、ぴょん」

 

 スパン

 

 自室の扉をガチャリ! 目玉のでかいの

「アイ・タイラント! レベルは120ぴょん!」

 

 バタン

 

 廊下に出て居間の引き戸をスラリ! 大きいウサギ?

「お、こいつ弱そう」

「ヴォーパル・ラビット、レベル70ぴょん」

 

 スパン!

 

 トイレの扉をカチャ! 犬人間

「コボルド、レベル3ぴょん」

 

「チャーンス! いくぜ!」

「頑張りますですわ、ぴょん!」

 

 オオーン!

 

 コボルドが2匹こちらへ走ってくる。

 あっ、犬人間のクセに2足歩行とは生意気な!

 

「【魔法の盾】を今のうちに!」

「はいぴょん!」

 

 ……ちょっとうっとおしいかも知れない。

 まあいいや。

 

 そっちが二足歩行なら、こっちは一本足打法だ!

 

 半身に構えてフルスイングの準備。

 出会い頭に一発叩き込んでやらあ。

 

「【魔法の盾】ぴょん!」

 

 これで安心だぜ。

 

 両脇からコボルドがなまくら剣で殴りかかってくる!

 一撃は覚悟、フルスイングだ!

 

 バカーン!

 ぼよんっ!

 

 左側のコボルドに脇腹から快打!

 右側のコボルドから一撃をもらうも【魔法の盾】が防ぎきった。

 

 思い切り振り抜いたので、体勢を立て直すまでにもう一撃食らう。

 だがまだ【魔法の盾】は抜けない。

 

 チャンス!

 振りかぶってコボルドの頭に面打!

 

 ギャワン!

 

 犬そのものの悲鳴をあげてよろけるコボルドをそのまま滅多打ち。

 二匹目も完全に倒した。

 

 もちろん一匹目も動かない。

 

「やった! 初勝利だ!」

「マサト様、おめでとうございます!」

 

 【魔法の盾】の力があったとは言え、純粋な近接戦での初勝利を収めた。 

 元ヒキニートの俺でもやれば出来るんだ!

 

 

 ……おや?

 

「何かコボルドの死体が光りながら消えていくぞ」

「アストラル体に戻るのです。ここのモンスターはアストラルの狭間で生み出された仮想生命ですから」

 

「ふうん……良く分からんが、本物じゃないって事か」

「そう言う事ですわ。あ、ぴょ、ぴょん」

 

 苦笑した。

 

「いや、ぴょん付けはもう良いよ」

「ほっ……意外と疲れましたぴょ……じゃない、ましたわ」

 

「お、コインと装備が残った」

「銅貨ですわ。トリピュロン王国のものです」

 

「へえ、初戦果ってわけだな。もらっておくか」

「何かに使えるのでしょうか」

 

「ひょっとしたら話の通じるモンスターが金銭交渉に応じるかも知れないからな」

「なるほどですわ」

 

「こっちのボロボロの剣と服は……やめておくか」

 

 あのバグったスポーツ用品店、何だっけ?

 

 ……ハマたん?

 

 の、店主なら買い取ってくれる可能性はあるが。

 これをアイテムバッグに入れるのを嫌がるに違いないからな、ファルフナーズは。

 

 …

 

「じゃあ初めての探索、と参りましょうか」

「こ、怖いですわ……」

 

 ジメジメとした通路は石を組み合わせたダンジョンだ。

 暗い割には意外と見える。

 明け方の太陽が昇る少し前って感じだ。

 

 警戒しながら50mほど直進すると、アーチ型の木の扉に突き当たった。

 

「一本道だったな。さて、扉の向こうは通路か部屋か」

「お気をつけ下さいませ、マサト様」

 

「もちろんだ。モンスターが出たら、またレベル教授頼むぞ」

「かしこまりました」

 

 扉に耳を当て中の音を探る。

 

 何やら弦楽器じみたピンポロパンと心地良い高い音が聞こえた。

 

「楽器の音が聞こえる。これは話が通じるタイプのモンスターかも知れない」

「お気をつけ下さい。それだけに罠を張っている可能性がありますので」

 

 無言で頷きを返す。

 確かにその通りだ。

 

 慎重にドアを開けよう。

 

 ガチャリ、ギギギ……

 

 素早く身を伏せる!

 

 巨大な蛾の巣!!

 

「ジャイアント・モス、レベル25ですぴょ…ですわ」

 

 意外と気に入ったんじゃないか、ぴょん付け。

 

 ギッ、バタンッ!

 

 

「あれ? 確か楽器の音がしたんだけどなあ」 

「マサト様、ひょっとしてですが、マサト様自身が扉を開けたからではないでしょうか?」

 

「あ、そっか。ダンジョン内でもダンジョン・オープナーの力で更に別のダンジョンに、って事か」

「ご明察の通りですわ」

 

「じゃあ悪いがファルフナーズ、開けてみてくれるか」

「かしこまりました」

 

 ファルフナーズが一生懸命に扉を開ける。

 腕力無いなー

 流石お姫様。

 

 ギッギッギッ……

 

 ポロン、ポポン

 

「下半身が鹿の男達だ。……うっ、何か力が抜ける」

 

 なぜか疲労感に似た体の重さを感じて腰が落ちた。

 

「サテュロスですわ! レベル9、楽器で魔法の音楽を操る好色な半獣半人ですわ!」

「ぐっ、じゃあこの力が抜けるのは、その音楽のせいか……だるぅ……」

 

「マサト様、しっかりしてくださいませ!」

 

 そうは言われましても。

 何かもう眠いような。

 どうせ復活できるし、楽に殺してくれるならこのままでも……

 

 5匹のサテュロス達が鹿みたいな獣の足でステップを踏みながら近づいてくる。

 

「マサト様、このままではやられてしまいますわ! 彼らはとても残忍です!」

 

 うえ、ロクな殺し方してこない可能性があるな。

 

「起きて下さいませ! このままではマサト様が残忍にグチョグチョのベロベロに! ××が○○に!」

 

 やめて、生々しい予告やめて。

 やばいぞ、何とかしなくちゃ。

 

 何とか……でも体が重い。

 こっちは力が入らない。

 相手の技を止めるか、弱点を突くしか無い。

 

 音楽を止め……

 半獣半人……

 好色……

 

 

 そうだ!


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