俺が開けた扉は全てダンジョンになる件   作:っぴ

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#13「ぴょんな事から」

『ぎゅーん ぱぱらぱっぱ、っぱっぱー! ぱぱらぱっぱすぽぽーん てれーん!』

 

「よし、レベルアップだ!」

「おめでとうございます、マサト様!」

 

 

 5回目の復活でベッドの上から起き上がる俺。

 恥じらい詠唱作戦は全くの無駄ではなかったな。

 

「きちんと確認しておくかー。ステータス画面全部読み上げてくれる?」

「はい、お任せくださいませ」

 

 

「マサト・オコノギ 20歳 身長161cm 体重80kg」

「む、1kg痩せたな。苦労してるからなー」

 

 

「特性【ニート】引き篭もりは卒業したけど表ははまだビクビク」

「うっせー」

「ひんっ、すみません」

「いや、ファルフナーズに言ったんじゃない」

 

 

「レベル3、ダンジョン童貞卒業」

「じゃかましい。 だが生還した試しが無いのも確かだ……」

 

 

「命中点4+4(凄い金属バット):大人並み」

「む、ステータスが変わった!? しかもバットさんがまた俺より強く……」

 

 

「打撃点3+4(凄い金属バット):大人並み)」

「技術点が命中と打撃に分かれたのかー」

 

 

「防御点3+3(素敵なプロテクター)+2(良いマスクとレガース):大人並み」

「防具も強くなってるな。 よしよし」

 

 

「体力点6:サンドバッグ並み」

「それはタフなのか!?」

 

 

「持ち物:<魔法の回復薬>1個」

「貴重なフレンズと引き換えの品だ。大事に使おう」

 

 

「あとは毛根ガチャのマークだけです。 ……あら?」

「どうした?」

 

「マークがピカピカ光って――」

「よし、閉じなさい」

 

「え、でも」

「悪い予感しかしない」

 

「でも私、気になります! えいっ」

「ああっ!」

 

「……! ――~~ッ!」

 

 聞こえない聞こえない。

 俺は耳を塞いだからな!

 

「あーあー聞こえなーい!」

 

 

 諦めたファルフナーズは肩で大きく溜息をつき、口を動かさなくなった。

 ホッと一息だ。

 

 何かある度に回してたらあっという間に禿げ上がるからな。

 許せファルフナーズ。

 

 ファルフナーズは正座してそっぽを向いてむくれ顔だ。

 俺は両耳を塞いでいた手を離す。

 あんまりキツく抑えてたせいで、耳がキーンとしてきた。

 

 ファルフナーズが目を開けてチラッとこちらを向く。

 

「……レベルアップ特典、レア以上確定」

 

 ボソッと呟いた。

 

 くっ、コイツ!

 聞かないようにしてたのに。

 この姫メイドは!

 

 どうやらセクハラが少々足りんようだな。

 

 次のチャンスがあったら、ねちっこくしてやるからな!

 

 ………

 

 ……

 

 …

 

「い、一回くらいなら良いかな」

「流石マサト様ですわ! 太っ腹!」

 

 

 ああ、流されやすい俺を許して。

 意気揚々とファルフナーズが虚空のボタンを押す!

 

 

「きっと良いものが出ますわ」

「だと良いなー」

 

 後頭部をさすりながら毛根フレンズ達との別れを惜しむ。

 生まれ変わってもきっと一緒になろう。

 

 

 ドゥルルル!

 パパーン!

 

「来た! 天使リーチアクション来た! 高レア確定ッ!」

「期待度アップですわね!」

 

 

 ドンッ!

 

 

『スーパーレア』

 

 

「イヤッホゥ! アイブ ゴンナ ドゥ イット!」

「おめでとうございます!」

 

 空中からふわりと降りてきたのは……

 

 モール?

 

「幸運のうさぎヘアバンド、だそうですわ」

 

「……」

「……?」

 

 

「またお前用じゃねーーかッ!」

「ひいいんっ! そ、そうなんですかー?」

 

 何? 釣りなの?

 俺用の装備は見せ球の無限ソードだけなの?

 

 実は当たりくじが無いって夜店のあれと同じ奴か!?

 

 

「ええと、装備すると魔法の使用回数が増える、だそうですわ」

「完全にファルフナーズ用だなー」

 

「で、でも私にこんな浮ついた装備はちょっと……」

「まあ流石にそれを無理に付けろ、とは言わないよ」

 

「マサト様にしては消極的ですわね?」

「だって……」

 

「……?」

「1日に2回死ぬ事になるし」 

 

「か、必ず死ぬと決まったわけでは――」

「いやいや、俺の後ろから範囲攻撃してたら必ず巻き添えでオーバーキルだから」

 

「気をつけて使うようにしますわ」

「そーね」

 

 

 ややブルーになった俺の気分を晴らそうとしたのか、ファルフナーズが陽気な声を出す。

 

「ほ、ほらっ、マサト様! 似合いますか?」

 

 もっふもふのウサ耳をつけたファルフナーズ。

 確かにとても似合う……特に白いミニスカのプリンセス・ドレスとの相性が良い。

 

「語尾に……」

「はい?」

 

「語尾にぴょん、と付けるんだ。それが正しい作法だ」

 

「絶対ウソですわ……ぴょん」

 

 

 聞こえてるぞ。

 

 

 ぴょん


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