5位決定戦の進行も気になるところだけど、そろそろ会場入りの時間である。
伊吹「鈴音、そろそろ行くよ」
鈴音「…………はい」
伊吹先生から伝えられた衝撃の真実が未だに動揺して忘れられないが、瞑想することである程度は落ち着いた。
でもまさかまだ衝撃の真実が待っていることを今の私は知るよしもなかった。
~そして~
恒子『さあ、泣いても笑ってもこれが最後の決勝戦!間もなく勝ち残った4校の入場ですが、小鍛治プロはどこが優勝すると思われますか?』
健夜『そうですね……。歴史だけを見れば白糸台が順当ですが、それを追う3校の執念は半端なものではありません』
恒子『ほほう、と言いますと?』
健夜『越えるべき準決勝の壁を越えた阿知賀女子、初出場ながら決勝まで残るという快挙を成し得た清澄高校、そして同じく初出場ながらもインターハイ史上の伝説になろうとしている総武高校とそれぞれがすごい気迫でこの決勝戦に挑むわけになります。どこが優勝なんてこの時点では、ましてや決勝戦が始まってすらない段階で優勝予想なんてできません』
恒子『つまり予想が外れるのが怖いということです!』
健夜『そんなこと言ってないよ!』
恒子『おっと、そうこうしている間に各高校選手達の入場です!まずは準決勝Aブロック2位!準決勝ではまさかの2位抜け!この決勝戦で優勝して王者の威厳を保ち続けることができるか?西東京代表白糸台高校!!』
恒子『続けて準決勝Bブロック2位!初出場で決勝戦まで来ました!このまま優勝まで進みたい!そんな思いを胸に秘めます!長野代表清澄高校!!』
恒子『そして後の2校は準決勝を1位で抜けた実力者達です!準決勝Aブロック1位!準決勝では王者を破るというダークホースを見せました!この決勝戦でもそのダークホースっぷりを発揮できるか?奈良代表阿知賀女子学院!!』
恒子『最後に準決勝Bブロック1位!2回戦ではあの臨海女子に大差をつけて、そして準決勝ではこれまた大差をつけております!更に地方大会から大量に点差をつけて最早留まることを知らないまさに負け知らず!決勝戦でも圧倒的な実力差を見せつけるのか?千葉代表総武高校!!』
やばいな。プレッシャーがやばい。なんせ……。
照「………」
菫「………」
尭深「………」
誠子「………」
淡「………」
白糸台高校を始めとする他の3校が対面にいるんだよ?
5位決定戦でもこれをやったらしいけど、決勝と5決だと雰囲気全然違うと思うの。
玄「………」
憧「………」
ん……?なんだか松実玄さんと新子さんから視線を感じるな。何故だろう?
……まぁいいや。みんな整列しているし、私も並んで挨拶しよう。
『よろしくお願いします!!』
恒子『間もなく先鋒戦が始まります!選手以外は控え室へとお戻りください!』
鈴音(これが団体戦最後の試合……。先頭は任せたよ杏子!)
そう思い私は控え室へと戻っていった。
~そして~
未来「そう、伊吹先生がね……」
控え室に戻る前に私は未来に朝の出来事を話した。そして阿知賀の2人から感じる視線についても。
伊吹先生が私達の正体を知っていたことについて未来はなんとなく予想していたそうだ。この子恐ろしいわ本当に……。
未来「視線の理由は貴女ならすぐにわかるのではないかしら?」
鈴音「どういうこと?」
マジでわけわかめ。
未来「……ヒントをあげるわ。ヒントその1、その2人の声よ」
鈴音「声?」
ヒントもらっても全然わからん。というか余計にわからなくなった。
未来「ヒントその2、あの御方から連絡があったのだけれど、私達がこの世界に転生した少し後に私達が前いた世界から2人がある人物に憑依したわ。所謂憑依転生というやつね。その人物に憑依する条件は声質が一致することよ」
鈴音「ちょっ、ちょっと待って!その憑依転生した2人ってもしかして……」
もしかしなくてもあの子達だよね?私がドラゴンボールの世界にいたときに仲良くしてた妹分とその子供だよね?確かにあの2人と声そっくりだけど!
あの時の熱い視線はそういうことだったの!?
未来「流石に答えがわかったようね。私は先に控え室へと戻るわ。鈴音も頭を整理させてから戻ることね」
そう言って未来は控え室へと歩いていった。
鈴音(まさかあの2人がこの世界に来てるっていうの?私達が転生してきたと同時にってことはあの夜に会ったときは既に2人は『あの2人』に入れ替わっていたということ?だとすると松実玄さんはあの子で、新子さんは私の親友の……)
恒子『決勝戦スタートです!!』
いや、考えるのは後にしてとりあえず今は決勝戦に集中しよう!
今回はここまでです。
玄と憧に憑依転生した2人とは?ヒントは私が書いていた『気が付いたら女サイヤ人に転生していた件』にあります。気になる方はそちらの方も読んでねという作者のアピールです。
こんなことしてドラゴンボールに興味のない人がこの作品を読まなくなったらどうしようとか後悔しかけていますが、元々この展開は始めから頭に入れていたのでここから先の一部の話は私が書いていた『気が付いたら女サイヤ人に転生していた件』を読んでおくと名前を聞いてこいつ誰だ?とはならないはず……。まぁ読まなくても大した影響はありませんがね。
では次回に続きます。