綾香「も、戻りましたー……」
鈴音「お疲れ」
副将戦が終わり、戻ってきた綾香はどこか足取りが重かった。まぁ役満振っちゃったしね。まぁ私が言えることは一言二言……。
鈴音「役満振り込むなんてらしくなかったね。どうしたの?」
綾香「うっ……!そうですよね……。あの局は親番だし攻めようと思ってしまって有珠山の河を意識してなかったんです……」
鈴音「幸い点数には余裕があったし、収支は+だったからそれが救いかな?」
綾香「はい……残りの局は点数を回復させようとがむしゃらに打ってました」
美咲「国士振り込んだときの綾香ちゃん、覇気が抜け落ちていくような感じだったのがテレビからでも伝わったよ」
綾香「あれは……ほら、現実逃避してたんですよ!国士無双とはいえ役満振り込んだのは初めてなんですから!」
いや、なんで現実逃避するんだよ……。気持ちはわかるけどさ。
未来「鈴音、そろそろ行った方がいいんじゃないかしら」
おっと、もうそんな時間か……。
鈴音「ありがとう。じゃあ行ってくるね」
~そして~
会場へと歩いていると咲と遭遇した。
咲「こんにちは、鈴音さん」
鈴音「こんにちは」
咲「鈴音さん、ありがとうございます。おかげでお姉ちゃんと仲直りできました」
鈴音「私は何もしてないよ。咲と照が勝手に仲直りしただけ」
実際何もしてないんだよなぁ……。余計なおせっかいをしただけで……。
鈴音「まぁでもよかったよ。これで麻雀の方に集中できるじゃん」
咲「はい……!この大将戦も鈴音には負けません。GWのリベンジを果たしてみせます!」
鈴音「ふふ、私だって負けるつもりはないよ」
咲の瞳に闘志が宿る。あのときはギリギリの勝利だったからなぁ……。
もちろん私もGWよりも強くなっているはずだけど、咲も間違いなく強くなっているしなぁ……。龍門渕の天江衣を倒すほどの実力を持ってるし勝てるかなぁ……。スロースターターなのが治ればワンチャンあるかも。
それに相手は咲だけじゃない。2回戦で一緒に打った獅子原さんに姫松の末原さんがいる。獅子原さんは能力が私に及ばないからまだいいとして、末原さんはどんな相手でも常に最悪を想定して麻雀を打っているから対策を立てるのも早いし、状況を把握して臨機応変に対応するところもすごいと思う。
前に未来が自分の理想に1番近いのが末原さんだって話を聞いたことがある。あの未来が危惧している相手だ……もしかしたら今回はトップクラスのヤバさかもしれない……!点差があってよかったよ。もし接戦だったら総武高校は姫松に負けていただろうね。
さて……いよいよ試合開始だ。点数には余裕があるし、今回はスロースターターの克服ができるように頑張りたいなぁ……。
今回はここまでです。