生死を賭ける戦いから麻雀の世界に転生しました。   作:銅英雄

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令和一発目はやっぱり作者お気に入りのこの作品!では今回もよろしくです。


総武の巻⑧

綾香side

 

春……それは出会いと別れの季節。それは恋愛にも関係があり、告白の成就や失恋もその出会いや別れにもなることだろう。

 

今回御送りするのは人が恋人を作るために告白する……。そんな状況を偶然見てしまったお話です。

 

綾香(今週が終わったらいよいよGWかぁ……。長期連休は学生にとってラッキーだよね!)

 

私、綾瀬綾香は早くGWにならないかなとスキップしていると体育館裏に誰かがいることがわかった。

 

綾香(咄嗟に隠れちゃった……。あのまま通り過ぎればよかったのになんで隠れたんだろう……)

 

そう思いながら目をやると男女が2人という状況に私は1つの仮説を立てた。

 

綾香(まさか告白!?現場を生で見れるなんて……っていうか女子の方って鈴音先輩じゃん!)

 

鈴音先輩はおっとりしていて優しい感じがするし、男女問わず人気があることは聞いてたけど、告白する場面を見ることになるとは……。

 

綾香(相手の男子もかなりイケメンの部類に入るし、これはもしかしたらカップル成立とかあるんじゃないの!?うわ……。だとするとすごい現場見ちゃったかも!)

 

私は興奮気味になりつつも、鈴音先輩と男女A(仮名)のやり取りをこっそりと見ていた。

 

鈴音「この下駄箱に入ってた手紙の差出人は君でいいのかな?」

 

男子A「はっ、はい!」

 

綾香(鈴音先輩に敬語ってことはあのイケメンは1年生か2年生ってことなのかな……)

 

まぁ告白する側ってどうしても敬語になったりするから、そのケースの可能性もあると思うけど……。それにしても鈴音先輩も下駄箱にラブレターなんてすごい経験してるなぁ……。

 

男子A「すっ、好きです!一目見た時から大宮先輩に心を奪われました!!」

 

鈴音「…………」

 

綾香(いったーっ!しかもかなり大胆な告白!)

 

鈴音先輩も目を見開いて驚いてるし……。まさかこんなド直球に告白なんて予想できないよね。

 

男子A「へっ、返事を聞かせてもらってもいいですか……?」

 

綾香(返事……。鈴音先輩はどう出る!?)

 

鈴音「……気持ちは嬉しいよ」

 

男子A「あ、ありがとうございます!」

 

綾香(いや、気持ちはってことは断られる流れだよ男子!それわかってる!?)

 

大体『気持ちは嬉しい』なんて肯定のように見せかけた否定の言葉なんだからね?

 

鈴音「でもごめん。私は部活が忙しいし、3年生だから引退したら受験も控えてる……。だから君に時間を作ることは出来ないかな」

 

綾香(案の定振られてるし……。まぁ鈴音先輩って高嶺の花ってイメージだし、もしも鈴音先輩と恋人になれたら周りに自慢できそうだよね)

 

男子A「そう……ですか……」

 

鈴音「本当にごめんね……」スタスタ

 

申し訳なさそうに鈴音先輩はその場を去った。私も教室に戻ろっと。

 

 

~そして~

 

昨日はすごい場面を見ちゃったなぁ……。体育館裏は告白場所として有名スポットだし告白する人もいるとは思ってたけど、その現場を見ることになるとは思ってなかったよ。

 

綾香(確か昨日のこの時間帯に……ってまたもや男女の組み合わせ!?しかも女子の方は未来先輩ときた!)

 

未来先輩も鈴音先輩と同じく男女間でかなりの人気があってクールな印象がある。この男子B(仮名)はこういったクール系女子が好きなのかな?そう思い昨日と同じく咄嗟に隠れて様子を見た。

 

未来「手紙の差出人は貴方でいいのかしら?」

 

男子B「はい、手紙を読んでくれてありがとうございます!」

 

綾香(今度は爽やかな感じの印象持つ感じ。スポーツとか得意そう……)

 

男子B「響先輩が好きです!付き合ってください!!」

 

未来「ごめんなさい」

 

綾香(いった!そして速っ!まさかの秒殺!?)

 

男子B「り、理由を聞いてもいいですか……?」

 

未来「私には好きな人がいるの。だからその告白には答えられないわ」

 

男子B「そうですか……」

 

綾香(未来先輩って好きな人がいたんだ!?そっちの方が驚きだよ!)

 

まぁ告白を断る手段としてのブラフの可能性もあるけど、もし本当にいたらその人ってどんな人だろ……。

 

未来「このことは他言無用よ。覚えておきなさい」

 

男子B「はい、今日は来ていただいてありがとうございました!」

 

そう言って2人は去っていった。というか未来先輩あんなにキツく言ってるのに、相手もメンタル強いなぁ……。

 

 

~そして~

 

綾香(昨日と一昨日で体育館裏で見ちゃったからかなり彼処が通りにくくなっちゃったな……)

 

そんな訳で今日は屋上で昼食タイム!いつもは杏子とクラスの子と食べてるけど、趣向を変えて1人飯だぜ!

 

そう思っていたら男女が屋上に入ってきた。このパターンってもしかして……。

 

美咲「まさか君が屋上で話があるって呼び出されるとは思わなかったな。それで話って何かな?」

 

綾香(やっぱり。しかも今度は美咲先輩という……)

 

まぁ美咲先輩も鈴音先輩と未来先輩と並ぶ美人だし、美咲先輩の場合はその明るくて優しい性格で堕ちてしまった男子生徒も多数いると思う。

 

見たところ美咲先輩の知り合いっぽいし、あの男子C(仮名)さんはクラスメイトなのかな?

 

男子C「その、さ……」

 

美咲「?」

 

男子C先輩は高身長で筋肉質な感じ。運動部でブイブイ言わせてそうだね。

 

男子C「俺、佐野のことが好きなんだ!」

 

美咲「えっ……?」

 

綾香(この人も直球!?この学校の男子って皆直球しか投げないのかな……?)

 

まぁ変化球で攻められるよりは個人的にいいけどさ。

 

男子C「そ、それで返事を聞かせてくれないか……?」

 

美咲「…………」

 

告白されるとは思ってなかったといった感じの美咲先輩は少し考えて答えを出した。

 

美咲「……ごめん。その返事はNOかな」

 

男子C「……理由を頼む」

 

美咲「私、今は生徒会や麻雀部のことで忙しいんだ。君も運動部の部長だからわかるよね?」

 

男子C「……ああ」

 

美咲「それに私達は部活を引退したら受験も待っているし、そんな状態で付き合っても上手くいかないと思うんだ……」

 

男子C「そうか……。話を聞いてくれてありがとな。麻雀部、頑張れよ!」

 

美咲「……うん、君もサッカー部で頑張ってね!ファイトだよっ!」

 

男子C先輩に激励を送って美咲先輩は屋上から出ていった。昼休みが終わるまで男子C先輩は男泣きをしていた。出ていき辛かった。

 

 

 

~そして~

 

今日も屋上なう!杏子が昼休みに用事があるって言ってたから、またもやぼっち飯……。べ、別に悲しくないし!

 

綾香(はぁ……。さっさと食べて教室に戻ろ。……うん?)

 

やはりというか男女が入ってきた。このパターン綾香知ってるよ?またまた告白シーンでしょ?

 

綾香(そういえば屋上も告白のスポットだってことを忘れてたよ……。そして杏子の用事ってこれのことだったの?)

 

女子の方は恒例といってもいいくらいの麻雀部の部員。しかも私の親友の杏子だった。

 

杏子「あ、あの……。話ってなんでしょうか……?」

 

綾香(杏子は人見知りなんだよね。特に男性に対しては酷いものだから、あの人を男子D(仮名)さんの告白(決め付け)に上手く答えられるかな……?)

 

不安になりながら私は親友の告白シーンを隠れて見ている。

 

男子D「まずは来てくれてありがとう。妹尾さん」

 

杏子「は、はい……」

 

男子Dさんはなんだかインテリなイメージがあり、いいとこの育ちな感じ。

 

男子D「……僕は妹尾さんことが好きなんだ!」

 

杏子「えっ、えっ……?」

 

綾香(インテリさんだから変化球で攻めると思いきや御約束レベルのド直球!杏子はこれにどう答える……?というかちゃんと答えを出せるかな……?)

 

杏子「そ、その……。ご、ごめんなさい!」

 

男子D「そっか……。差し支えなければ理由が知りたいんだけど」

 

杏子「わ、私は好きな人がいます。だ、だからそのこ、告白には答えられません……!」

 

若干オドオドしながらだったけど、それでいて強い決意で杏子は断りの返事を出した。

 

男子D「……悔しいけど、妹尾さんのことは諦めるよ。好きな人に振り向いてもらえるといいね」スタスタ

 

杏子「は、はいっ!ありがとうございます!」

 

男子Dさんは少し悔しそうに、それでいてどこかスッキリしたような表情で屋上を出た。杏子も応援してくれて安堵の表情で返事をした。

 

綾香(杏子……。成長したね。中学時代は何時も私にくっついているだけだったのに。これも先輩達の影響なんだね……)

 

私は染々しながらお弁当を食べて屋上を後にした。

 

 

 

~そして~

 

後日談……というか今回のオチ。

 

翌日、流れからして次に告白されるのは私なんじゃないかと警戒していたけど、特にそんな事はなかった。

 

綾香(誰かに告白してほしいとは思わないけど、私だけ仲間外れになった感じがするから複雑……)

 

またここ数日の告白騒動で麻雀部内にて約3名によって修羅場が起こる訳だけど、どうなったのかは読者の皆様で想像してください。

 

春……。それは最も恋愛イベントが多い季節。青春という言葉は青い春と書く。

 

もしも青春=恋愛という方程式が成り立つのならやはり恋愛関係のイベントは春が1番多いのだろう。

 

そう思った私が4月下旬に見たのは告白した男子生徒だけじゃなくて、同じ麻雀部の人々の青春の1ページだったのかもしれない。




今回はここまでです。

キャラ紹介

綾瀬綾香……総武高校の1年生で麻雀部部員。今回の語り部で、麻雀部員内で唯一告白されなかった子。告白願望があるわけではないが、仲間外れになった気分で気持ちは複雑。

大宮鈴音……ある世界から転生してきた主人公。総武高校の3年生で麻雀部部長。今回彼女に告白したのはイケメンな1年生の男子生徒。校庭を歩いているところを見かけて一目惚れしたらしい。受験を控えてるという理由で告白を断ったが、少しもったいなかったかなと思っていたり。

響未来……鈴音と一緒にある世界から転生してきた。総武高校の3年生で麻雀部副部長。今回彼女に告白したのは爽やかな感じの2年生の男子生徒。以前に助けてもらったことがあるらしく、そこから恋に繋がった。好きな人がいるという理由で断ったが実は……。鈴音、美咲と比べて彼女は女子からもよく告白されている。

佐野美咲……総武高校の3年生で麻雀部部員。今回彼女に告白したのは3年生の男子生徒。実は3年間同じクラスであり、席もずっと隣という運命的な感じだけど、美咲本人は大して気にしていない様子。告白の後でも雑談くらいならする仲にはなっている。

妹尾杏子……総武高校の1年生で麻雀部部員。今回彼女に告白したのは2年生の男子生徒。学年2位の成績で尚且つスポーツも万能という隙のないインテリ。告白した理由としては『守りたい』の一言だけど、杏子にとっては鈴音以外にそういった関係になることを望んでいない。そんな事を知らない男子生徒は杏子の恋が成就するように応援しており、後に杏子のファンクラブの副会長に上り詰める。



春って恋愛の季節だよね!今回の番外編は作者の実体験をちょっと脚色したお話でした。

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