生死を賭ける戦いから麻雀の世界に転生しました。   作:銅英雄

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今回は綾香の過去編になります!では今回もよろしくです。


過去の巻④

綾香side

 

綾瀬綾香です!今日は先輩達が生徒会の仕事があるために部活が休みなのですが、昨日部室に忘れ物をしてしまったのでそれを取りに足を運びます!

 

部室に向かう途中にふとあることが私の頭に過った。

 

綾香(そういえばあの日からあと2ヶ月程でもう1年経つことになるんだよね。時が進むのは早いや……)

 

私が総武高校に行こうと、一時期は麻雀を辞めそうになるくらいに無気力だった私が辞めることなく麻雀を続けようと決意したあの日から……!

 

 

~回想~

 

アナウンサー『インターミドル個人戦決勝決着!戦いを制したのは高遠原中学の原村和選手です!!海浜総合中学の綾瀬選手は惜しくも2位でした』

 

綾香(中)《負けた……。全力を出したのに、完敗……》

 

小学校の頃からずっと麻雀一筋で頑張ってきて、中学になって1年生から部内トップを取って、去年の全中でも団体戦は惜しくも全国を逃したけど、個人戦は優勝できた……。

 

今年も個人戦は優勝できると……そう思っていたのに私と対面した原村和さんを相手に完敗だった。

 

和(中)『ありがとうございました』ペコッ

 

綾香(中)『あ、ありがとうございました……』

 

それから家に帰るまでの間は何も頭に入らなかった。

 

 

 

~そして~

 

杏子(中)『あ、綾香ちゃん……』

 

綾香(中)『ごめん……。暫く1人にして』

 

折角杏子が私の落ち込みようを見て心配していたけど私はそれを無下にしてしまった。

 

それほど私は悔しくて哀しかった。

 

 

それから数日が過ぎても私は何をするにも無気力でお姉ちゃんにも心配され、気を遣われてしまっている。

 

気分が晴れない私はテレビをつけて何か面白い番組がないかを探していると1つのチャンネルに目がいった。

 

インタビュアー『インターハイ個人戦も無事に終了しました!』

 

綾香(中)《そういえばインターハイも今日が最終日だったっけ……》

 

すっかり忘れてた。自分のことでいっぱいいっぱいだったから……。

 

インタビュアー『私がインタビューしますのは個人戦で惜しくも2位で終わった総武高校の佐野美咲選手です!今の気持ちをどうぞ!!』

 

美咲『えっ?わ、私!?』

 

佐野美咲さん。千葉の個人戦では圧倒的な点差で全国への切符を手にした高火力の選手だ……。私もこの人みたいに高火力で上がれたらいいなと思ったこともあったっけ。

 

そんなすごい人でも2位止まりで1位の人は確か宮永照さん。去年のインハイ個人戦でも全国優勝してたね。

 

美咲『そうですね……。1位に届かなかったのはとても悔しく思います』

 

綾香(中)《佐野さんでも1位に届かないのに……。私なんて井の中の蛙だったんだね。自惚れてたよ。去年……いや、今年の全中まで優勝すると確信してたし、その自信あったけどそれは全て私の勘違いだった。同じ2位でも佐野さんと私じゃ月と鼈で大違い……》

 

美咲『ですが来年は優勝を目指して頑張ります!個人戦でも、団体戦でも!!』

 

綾香(中)《すごいなぁこの人……。私なら心が折れてるよ。……というか現在進行形で折れてるんだっけ》

 

高校でもこんな思いするのかな?ならいっそのこと麻雀なんて辞めようかな……?

 

インタビュアー『ありがとうございます!では最後に貴方の強さの秘訣はズバリなんでしょうか!?』

 

美咲『強さ……。私自身はまだまだです。ですが私がここまで来れたのは互いを成長させてくれるライバルに同じ部活の仲間……。そして麻雀を心から楽しむ気持ちです!!』

 

綾香(中)《麻雀を……心から楽しむ気持ち……?》

 

もしかして私に足りなかったのはそれなのかな?

 

綾香(中)《そうだ……。そうだよ!落ち込んでる暇はない!前を向いて進むんだ!そして……佐野さんが言っていたように私も麻雀を楽しむんだ!!》

 

そう思った私はテレビを切って炎天下にも関わらず外へと走っていった。

 

 

~そして~

 

杏子(中)『そ、総武高校に受験するの?』

 

綾香(中)『うん、でも今の私じゃ合格できない。だから勉強教えて!』

 

杏子(中)『う、うん……』

 

総武高校の偏差値は70以上……。本来なら近場で私でも合格できそうな海浜総合に受験する予定だったけど、私は佐野さんと同じ総武高校で麻雀をしたい!楽しみたい!!

 

だから……私は麻雀を辞めない!諦めない!

 

 

 

……杏子には心配かけちゃったし、後でキチンとお詫びしないとね。

 

 

 

 

~現在~

 

綾香(やっぱりあの時麻雀を辞めなくてよかった。おかげで今は最高に楽しい!今年は個人戦で全国に行くことができなかったけど、それでも楽しかった!今もあの時の美咲先輩が言ってた『麻雀を楽しむ気持ち』を忘れずに毎日頑張ってるからね!)

 

それに団体戦では全国に行けたしね!……まぁ私地区予選では1回も出番がなかったけど。

 

部室に入ると鈴音先輩と未来先輩が生徒会の仕事に励んでいた。

 

綾香「こんにちはー!」

 

鈴音「あれ?綾香?」

 

未来「今日は部活は休みよ?」

 

綾香「ちょっと忘れ物を……。それで部室に寄ったんです」

 

鈴音「そうなんだ」

 

綾香「すいません、ちょっと失礼します……」

 

そう言って私は忘れ物を探す。え~と、何処にあったっけ……。あった!これがないと困るもんね。

 

帰る前に美咲先輩にも挨拶しよっと。確か奥にもう1つ書き物をするスペースがあったような……。

 

~そして~

 

美咲「ふへ~……」

 

奥へ行くと美咲先輩がぐったりしていた。最近暑くなってるし、熱中症とかじゃないよね?

 

私に気付くと美咲先輩は起き上がり声をかけてくる。

 

美咲「あっ、綾香ちゃん!どうしたの?今日は部活休みだよ?」

 

綾香「それはわかってるんですけど、ちょっと忘れ物しちゃって取りに来たんです」

 

美咲「そうなんだ。忘れ物は見つかった?」

 

綾香「はい!」

 

美咲先輩はぐったりしていたけど、すぐに持ち直して仕事に取りかかった。邪魔にならないようにさっさと帰ろっと。でもその前に……。

 

綾香「美咲先輩、あの時はありがとうございました!」

 

美咲「あの時……?ってどの時?」

 

綾香「気にしないでください!私がそう思っているだけですので!!」

 

そう言って私は駆け足で帰っていった。

 

綾香「ちょっと綾香ちゃん!?あの時ってどの時!?気になるよ~!!」

 

後ろで美咲先輩が何か言っていたけど、それを気にすることなく私は走った。




今回はここまでです。

キャラ紹介

綾瀬綾香……総武高校の1年生で麻雀部部員。今回の語り部で自分の過去を振り返る。中学の頃は一時期麻雀を辞めようと思ったが、美咲のインタビューに影響されて麻雀を続けることになった。この気持ちが後に彼女がプロになった時に大きく成長させる。

妹尾杏子……総武高校の1年生で麻雀部部員。綾香と同じ中学で友人。綾香が総武高校に行くために一緒に勉強する。その影響で本来近場の海浜総合に行くつもりだったが、綾香と同じ総武高校に行くことになった。総武高校で運命の出会いをすることをまだ彼女は知らない。

佐野美咲……総武高校の3年生で麻雀部部員。綾香が過去に無気力になった時にインタビューで綾香の手を差し伸べる。但し本人はその事を知らず、綾香にお礼を言われるがなんのことか分からず、気になってその日の夜は眠れない。

大宮鈴音……ある世界から転生してきた主人公。総武高校の3年生で麻雀部部長。今回は生徒会の仕事のために出てきたチョイ役。

響未来……鈴音と一緒にある世界から転生してきた。総武高校の3年生で麻雀部副部長。今回は鈴音と共にチョイ役。

原村和……清澄高校の1年生で麻雀部部員。今回は綾香の過去で1位を取っただけ。そのために出てきたチョイ役。








当作品を読んでくださりありがとうございます。この作品ですが、そう遠くない内に阿知賀編を書くことにしました。まぁそのためにはもう少しだけ本編を進める必要がありますが……。

主役は憧と玄(というよりは2人に憑依転生したあのキャラ達ですが……)になります!

それで今考えてるのは当作品で書くか別個で書くかなんですがどうしようかな……?




それでは次回もよろしくです!

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