生死を賭ける戦いから麻雀の世界に転生しました。   作:銅英雄

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今回は杏子ちゃんが主役?の話ですよ。杏子が如何にして鈴音に好意を持つようになったのか……。

では今回もよろしくです。


過去の巻③

杏子side

 

今回の語り部は妹尾杏子が御送りします。

 

読者のみなさんには鈴音先輩の魅力をたっぷりと紹介したいのですが、それをしてしまうと読者のみなさんが私のライバルになりかねないので断念します。

 

でも今日の私はテンションハイです!何故なら……。

 

鈴音「今日は3人共休みか……。伊吹先生も忙しいみたいだし」

 

杏子「綾香ちゃんは歯医者が行かないといけない言ってましたし……」

 

鈴音「未来は用事、美咲は家の仕事で休みだから今日は私と杏子の2人きりってわけだ」

 

そう!今日は鈴音先輩と2人きり、2人きりなのです!大事なことなので2回言いましたよ!

 

2人きりといえば……。

 

杏子「なんだかあの時のことを思い出しますね」

 

鈴音「あれか……」

 

杏子「……?どうしました?」

 

鈴音「あの時は杏子が危険に晒されたから余りいい気分じゃないんだよねぇ……」

 

鈴音(それにうっかり超サイヤ人になっちゃったしね)

 

杏子「確かに怖かったですが、それ以上に鈴音先輩が助けてくれて嬉しかったです」

 

鈴音「そう?ならいいんだけど……。改めてごめんね。もしも私がもう少し遅かったと思うと……」

 

杏子「そんな!鈴音先輩は悪くありませんよ!!」

 

読者のみなさんには私が鈴音先輩を本当に1人の女性として好きになった出来事をお話します。

 

あれは私と綾香ちゃんの歓迎会が終わって2週間が過ぎたある日のことでした……。

 

 

 

 

 

~回想~

 

杏子『あ、あの……鈴音先輩!』

 

鈴音『ん?どうしたの杏子』

 

杏子『ちょっと相談したいことが……』

 

鈴音『……それはここでは言えないこと?』

 

杏子『……はい』

 

鈴音『そっか、わかったよ』

 

杏子『ありがとうございます……』

 

あの時の鈴音先輩は私が相談事を持ちかけた時点ですぐにデリケートな問題だと察していました。こういうところも杏子的にポイント高いですよ!

 

鈴音『……それで相談って?』

 

杏子『……実は1週間前から視線を感じるんです』

 

鈴音『……もしかしてストーカー?』

 

杏子『わかりません……。私が意識しすぎなのかもしれませんので』

 

思えばあの時はなんでわからなかったんだろう?

 

いや、私が気のせいだと無理矢理思い込んでいたからだよね……。

 

鈴音『ご両親には相談したの?』

 

杏子『いえ……。親には心配かけたくないので……』

 

鈴音『成程……。警察も証拠がなければ動くこともないしね。わかった。とりあえず私の方で杏子の家の近所で色々と聞いてみるよ。昨日から女子高生が拐われてるってニュースになってるしね』

 

杏子『ありがとうございます……!』

 

鈴音先輩に頼んだことで私は安心してしまったんだ。だからあんなに早く事件が起きるとは微塵も思わなかったんだ……。

 

 

~そして~

 

杏子《また視線を感じる……。気のせい……だよね?》

 

気のせいと思いつつ怯えながら歩いていると後ろから誰かに捕まれて布を口に当てられる。

 

杏子『!?』

 

抵抗しようとしたけど、何か薬を仕込んであるみたいで私は眠気が来て目を閉じてしまった……。

 

 

~そして~

 

杏子『う……ん……』

 

目が覚めると何処かの廃工場だった。

 

杏子『!?んーっ!んーっ!』

 

私は口をガムテープで塞がれており、手はロープで吊るされていた。

 

しかもそれだけじゃなく私と同じ状況の女性が数人いた。みんな私と同い年くらいだろうか……。そう思っていると話し声が聞こえた。

 

男A『しかしどいつもいい女だよな!特に最後に拐って来た奴』

 

最後……私のことだ。

 

男B『昨日からずっと我慢してたが、今日この女達をヤれるんだよな』

 

男C『感謝しろよ?態々俺が見繕ってきたんだから。それに最後の奴は1週間前から目をつけてたんだぞ』

 

3人の男達を始めとしてかなりの数の集団だった。まさかこれって……。それに最後の男の台詞……私を拐ったのは、そして1週間感じた視線の正体はあの人だったんだ……。

 

鈴音『昨日から女子高生が拐われてるってニュースになってるしね』

 

杏子《鈴音先輩が言ってた……。じゃあこの人達が女子高生を拐っていた人達……!》

 

男A『じゃあ早速始めようぜ!』

 

男B『ああ、外に見張りも配置したしな!』

 

男C『よーし!』

 

男達はぞろぞろと私達に近付いて身体を触ろうとしていた。

 

杏子《そんな……。誰か助けて……!鈴音先輩!》

 

 

 

ガシャーン!!

 

男A『なんだ!?』

 

鈴音『どーもー、通りすがりのJKでーす』

 

大きな音がして入ってきたのは鈴音先輩だった。この時はどうしてここに!?と思ったよ。

 

男C『どうやって入ってきた!?入口には10人の見張りがいたはずだぞ!!』

 

鈴音『それなら外で伸びてるよ』

 

鈴音先輩って強いんだなってこの時知ったんだよね。

 

鈴音『……それで君達は何をしようとしていたのかな?』

 

男B『はっ、何をしようと俺達の勝手だろ?』

 

鈴音『いやいや、状況から察するに君達はニュースになってる人拐いだよね?だったら立派な犯罪じゃん』

 

男A『うるせぇ!てめぇもこいつらと同じようにヤり捨ててやるよ!!』

 

男の1人が鈴音先輩に向かってくる。

 

鈴音『はっ!』バキッ

 

男A『がっ!』

 

それに対して鈴音先輩は男の顎を殴る。

 

鈴音『首謀者は今伸びてる1人を含めて君達3人だね?』

 

男B『そ、それがどうした!?』

 

鈴音『そっかそっか。……決めたよ。君と君は生きるのを後悔するレベルで痛め付けてあげる』ゴッ

 

そう言った鈴音先輩は一瞬笑顔になったかと思えば急に冷徹な表情になり、そこからは怒気を感じられる。あの優しい鈴音先輩が彼処まで怒っているなんて……。

 

鈴音『今日の私は……怒るよ?』

 

男C『こっちは50人いるんだ!おい、やれ!!』

 

それからの鈴音先輩はまるでごくせんに出てくる女教師みたいに……いや、それ以上だろうか?相手の反撃を一切許すことなく全て一撃で相手を気絶させていた。

 

そして2人の男が残った……。

 

男C『ば、馬鹿な……50人いたんだぞ!?』

 

鈴音『さて、あとは君達だけだね?どっちが私の可愛い後輩を拐ったのかは知らないけど……覚悟してね』

 

男B『ひっ……!うわぁーっ!』

 

男の1人が逃げようとしているけど、今の鈴音先輩からは逃げられるはずもなく……。

 

鈴音『逃げられると思ってるの?そう思っているなら本当に甘いなぁ』

 

背後に回った鈴音先輩が関節を決めて男の1人が叫び声をあげながら気絶した。残った男は震えながら失禁しており、涙目。

 

男C『あ……ああ……』ガクガク

 

鈴音『何漏らしてるの?汚いなぁ……。もしかしてそうすれば見逃してもらえると思ってる?そんなわけないじゃん』

 

薬の効果がまだ残っているのかまた瞼が重くなってきて、薄れていく意識の中に見える鈴音先輩は心なしか髪が金色に見えた……。

 

 

~そして~

 

杏子『う……』

 

鈴音『杏子?よかった……。気が付いたんだ』

 

目が覚めると私は鈴音先輩の背中に乗っていた。所謂おんぶの状態。

 

杏子『先……輩……?』

 

鈴音『ごめんね。私が杏子の傍にいればこんなことにはならなかったのに……』

 

杏子『そんなことないですよ……。それにニュースになっている人拐いを退治することができたんですから……』

 

鈴音『あの人達は警察に突き出したよ。よくもまぁあんな集団で強姦なんてしようとするよね。もしも私がもう少し遅かったと思うとぞっとするよ……。杏子が酷い目に遭ってたらと……』

 

俯いた表情になる鈴音先輩。先輩は何も悪くないのにどうしてそんなに罪悪感出してるんですか?

 

鈴音《怒りのあまりに超サイヤ人になっちゃったけど、杏子に見られてないよね?あの連中には記憶消去を未来に頼んだからいいとして……。それに今後もこういったことがないとは言い切れないし、そういったことが原因で超サイヤ人の力が暴走することはないと思うけど、今のままでも誰かを守れるようになりたい。だから……》

 

俯いたまま何かを決意した表情になって鈴音先輩は顔を上げて……。

 

鈴音『だから杏子は私が守るからね』

 

杏子『!!』

 

その一言で私の心は撃ち抜かれた。例えるならそれはキューピッドが私の心に矢を放ち、私の心に刺さった感じ。

 

杏子『はい、よろしくお願いします。……私の王子様』

 

鈴音『うん?なんか言った?』

 

杏子『いえ、なんでもありません』

 

この日から私は鈴音先輩を同姓でありながらも恋愛対象として見ることになりました……。

 

 

 

 

 

~現在~

 

思うとあの日があったから私は鈴音先輩を好きになることができたから感謝……っていうのも不謹慎かな?

 

杏子「鈴音先輩、今日は先輩の個人レッスンを受けたいです!!」

 

鈴音「おっ、やる気だね?」

 

杏子「はい!私も綾香ちゃんや先輩達に追い付きたいです!!」

 

鈴音「その意気やよし!じゃあ始めようか」

 

杏子「はい!お願いします!!」

 

ともあれ今はこの時間を楽しもう。何時か来るであろう先輩達のお別れの時まで……。

 

 

それにしてもあの時鈴音先輩の髪が金色に見えたのはなんだったんだろう……?

 




今回はここまでです。

キャラ紹介

妹尾杏子……総武高校の1年生で麻雀部部員。今回の語り部で鈴音を恋愛的な意味で好きになるきっかけを語る。この過去話によって更に男性に対して警戒心がはね上がる。

大宮鈴音……ある世界から転生してきた主人公。総武高校の3年生で麻雀部部長。杏子が拐われ強姦されそうになった場面を見て穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚める戦士になってしまう。だがそれでも手加減はしており、殺生には至っていない。







そろそろ本編書きたい……。ええい!18巻の発売はまだなのか!!

というわけで18巻の発売まではこうして番外編でお茶濁し。本編を楽しみにしてくださっている皆様には申し訳なく思います。

……18巻で決勝の描写あるよね?


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