これは私がチーム虎姫の部室に……というより菫に用事があっているときにあった出来事である。
淡「女子会しよう!!」
菫「しない」
淡「えっ……」
……何?この流れるようなやりとりは?
淡「……余りにも素早い判断で理解が遅れた」
菫「すまん、唐突な誘いを唐突に断っただけだ」
何気に酷いね……。
淡「じゃあ改めて女子会しよう!!」
菫「しない」
淡「えっ……」
数秒前と同じやりとりなんだけど……。あっ、淡が落ち込んだ。
菫「すまんすまん、断る流れだと思ったから」
鈴音「どうするの?淡落ち込んじゃったよ?」
菫「するか」
鈴音「女子会を?」
菫「ああ」
案外菫もノリがいいなぁ……。まぁ今日は2軍の練習ないからいいけど。
淡「じゃあ照達呼んでくるね!!」
女子会をするということになった瞬間に淡は照達を呼びにいった。……というかここ女子校だから余り意味を持たないような……。
~そして~
菫「とは言ってもここには女子しかいないぞ」
淡「だったらより女子度を上げるために男子っぽいものを取り除こう!」
とは言っても男子っぽいもの……ねぇ……?
照「男子っぽいものって……?」
淡「……黒い鞄は男子っぽいからアウト!!」
鈴音「小学生みたい……」
逆に女子っぽい鞄ってどんなの?ピンクいやつとか?
~そして~
淡「きっと女の子同士で好きなことをしたらそれが女子会なんだよ!」
それはなんか違うような……。
菫「好きなことか……」
好きなことが何かということでまずは誠子から意見が出た。
誠子「釣り」
淡「アウトドア!」
鈴音「それが女子会といえるかと聞かれると微妙なラインだね……」
そもそも女子って釣りが苦手な人が多いって何かで聞いたことがあるけど……。などと考えていると今度は尭深から意見が出る。
尭深「収穫……」
淡「漠然としすぎてる!」
鈴音「具体的に何を収穫するんだろう……」
収穫と聞くと私は畑仕事を真っ先に思い浮かべる。……なんか女子会とは遠くなってるような。すると照が意見を出す。
照「麻雀」
淡「いつもの!!」
鈴音「最早普通に部活だよね……」
それだと女子会が終わっちゃうよ……。
淡「鈴音は何か意見ないの?」
おっと……こっちに振ってきたか……。
鈴音「私も詳しくはわからないけどガールズトーク……女子ならではの話とかすればいいんじゃないかな?」
淡「いいじゃん!みんなでお菓子でも食べながらガールズトークしよう!!」
思いの外淡には好評だった……。気に入ってくれたのなら何より。
照「何か話すことある……?」
誠子「話題ならたくさんあると思いますよ」
淡「そうそう!この機会に話したいこととかあるでしょ?」
菫「この機会にか……この間の練習試合の反省とか」
淡「それミーティングじゃん……」
鈴音「部活になっちゃうね……」
淡「もう!麻雀の話はいつでもできるでしょ!?」
菫「そうか……なら来週は模試があるが……」
もうそんな時期か……。今回の模試はそれなりに自信があるよ。
淡「はっ!勉強会の流れを察知!みんな私の後ろに隠れて!!」
勉強会が嫌なのか淡がその話題が出た瞬間に私と菫以外を淡の後ろに隠れさせた。
菫「何故」
照「つい」
よく見ると尭深と誠子まで隠れてるし……。
照「とにかくお菓子がないと始まらない……」
淡「ジャンケンで負けた人が行くことにしよう!」
菫「嘘でも自分が行くとは言わないんだな……」
鈴音「私が行くよ」
菫「鈴音が行こうとしてるぞ淡。汚名返上のチャンスじゃないか?」
淡「ダッシュでな!!」
躊躇いねぇなこの1年生……。
鈴音「それで……何を買ってくればいい?」
照「あの新発売のやつの……」
淡「1つ先のコンビニにしか売ってなくて……」
鈴音「ふんふむ」
照「すごく伸びる……外からではわからないけど……」
淡「丸いやつで緑色じゃなくて……」
鈴音「うん……?ごめん、よくわからない」
淡「もう自分達で行く!行こう照!!」
照「うん」
伝わらなかった私に淡と照は痺れをきらして自分達で行くことにしたようだ。
鈴音「……これって理解しきれなかった私が悪いのかな?」
菫「安心しろ。私も全くわからなかった」
だよねぇ……。
~そして~
淡「ただいま」
菫「お帰り」
鈴音「結構買ってきたね。何を買ったの?」
照「キャラメルとチョコレートと……」
淡「電池!」
照「飴と……」
淡「電池!!」
照「お煎餅とクッキーと……」
淡「電池!!!」
……なんでちょいちょい電池なの?
~そして~
淡「お菓子を買いにいくときにパーティーゲームを考えたよ!」
尭深「パーティーゲーム……?」
誠子「一体どんなゲームなんだ?」
鈴音「ちょっと気になるね」
淡「ふふん、このお菓子達をカロリーの高い順番に並べるゲームだよ!」
誠子「地味だな……」
淡「そして正解者にはカロリーの高いものから順番にプレゼント!!」
誠子「地味に嫌だな!」
鈴音「ご褒美なのか罰なのかわからないね……」
カロリー高いのだと満腹感があるだろうけど太るかもしれないって考えるとね……。まぁ私はそのあたりの計算も怠らないけど。……おや?
鈴音「このチョコレートは麻雀の牌のパッケージになってるね」
誠子「あっ、本当ですね」
照「そう思って買ってきた」ドンッ
鈴音「まさかの箱買い……」
チ○ルチョコを箱買いする人初めて見たよ……。
誠子「でもこれだけあれば麻雀ができそうですね」
鈴音「ふふ、そうだね」
でもまぁ……。
照「!?」
既に照が食べてしまってるけどね。
鈴音「気にしないで食べなよ。チョコだから冷蔵しないと溶けるし」
照「……うん」
~そして~
誠子「結構甘いものが多いな……」
鈴音「塩気があるものがほしくなるね」
誠子「そうですね」
淡「あるよ!」
私と誠子が塩分がほしいという話をしていると淡が煎餅を渡してきた。
誠子「プロ麻雀煎餅だ」
鈴音「ふむ、プロ麻雀煎餅か……」
誠子「もしかして苦手でしたか?」
鈴音「いや、そうじゃないよ。このプロ麻雀煎餅にはちょっとした言い伝えがあってね」
私はそう言いながら煎餅のパッケージを開ける。
誠子「言い伝えですか?」
菫「どんな噂なんだ?」
その噂が気になるのか菫まで食い付いてきた。
鈴音「これは長野県の方であったことなんだけど……そこに住んでいるS・Bさんが箱買いしたプロ麻雀煎餅の中のカードの内9割が藤田プロで占めていたらしいよ」
菫「なんだそれ……?」
鈴音「余りにも藤田プロが当たりすぎたからクレームの電話をかけたんだけど……」
誠子「電話をかけたんですね……」
鈴音「カードの封入率はあくまで全部一定の確立だって言われたらしいよ」
菫「それは要するに……」
鈴音「うん、そのSさんの運が悪いだけなんだって」
誠子「悲惨な話ですね……」
本当にね……。私も似たような経験あるからその気持ちはよくわかるよ。……流石に電話はしないけど。
~そして~
お菓子を食べていると菫が話題を振ってきた。
菫「そういえば模試の……」
淡「わーっ!!」
菫「勉強は……」
淡「あーっ!!」
菫「大丈夫……」
淡「ぴーっ!!」
どんだけ勉強の話が嫌なんだよ……。
尭深「勉強しなくていいんですか……?」
あっ、尭深が言った。
淡「ぎゃーっ!まさかのノーマーク!!」
照「阻止される前に勉強しろっていうゲーム?」
淡「違う違う!!」
鈴音「逆なんじゃない?」
淡「そういう問題じゃないの!!」
ふむ……ちょっと遊んでみるか。
鈴音「べんきょ……」
淡「あーっ!!」
照「べんき……」
淡「にゃーっ!!」
鈴音「べん……」
淡「のーっ!!」
照「べ……」
淡「ひーっ!!」
何これ面白い。
その後も勉強という言葉に淡は過剰に反応していたが、来週には模試があるので虎姫のみんなで勉強会をしたらしい。
今回はここまでです。
キャラ紹介
大宮鈴音……ある世界から転生してきた主人公。白糸台高校の3年生で麻雀部部員。今回は西の東京都民。訳ありで2軍にいるけど実力は照や淡にも負けていない寧ろそれ以上かもしれない。その訳については明かされることがあるのか……。菫に用事があってチーム虎姫の部室に来ていたが、流れで女子会に参加することになった。
宮永照……白糸台高校の3年生で麻雀部部員。昨年のインターハイ個人戦で優勝している。お菓子のことになると若干キャラが壊れる。長野に妹がいて、高校生麻雀の界隈では魔王姉妹と恐れられているらしい。鈴音とは本のことやお菓子のことで話が弾む。
弘世菫……白糸台高校の3年生で麻雀部部長。高校生麻雀の界隈ではシャープシューターと呼ばれている。実はプリキュアが大好きなんじゃないかという噂が一部で流れているらしい。鈴音とは同じクラス。
渋谷尭深……白糸台高校の2年生で麻雀部部員。お茶が大好きなハーベスト系女子。なんでも収穫するのが好き。鈴音のことを尊敬している。
亦野誠子……白糸台高校の2年生で麻雀部部員。釣りが趣味のボーイッシュ系女子。鈴音の代わりに自分が虎姫の一員になっていることにまだ納得していない。鈴音のことを尊敬している。
大星淡……白糸台高校の1年生で麻雀部部員。今回の女子会の発端。勉強が大嫌いで必死に話をそらそうとしたが結局勉強会に捕まりチーム虎姫の地獄の勉強会に参加することに……。それにより模試の順位が一桁になる。鈴音のことを尊敬している。
次は千里山かな……?