~某月某日~
穏乃「合宿だ!地獄の鬼特訓だ!!」
鈴音「穏乃は相変わらず元気いいなぁ……。何かいいことでもあったの?」
高鴨穏乃(たかかもしずの)。いつも元気いっぱいの女の子でいつもジャージを着ている。そんな彼女は今日はいつもに増して元気である。
憧「テンション高いわね……。もう少し抑えたら?」
穏乃「動きなら抑えてるよ。」
鈴音「……動き?」
穏乃「はい!見てみますか?」
そう言って穏乃はジャージを少し捲って手首を見せてきた。するとリストバンド?が巻いてあった。
鈴音「1㎏って……何のために?」
穏乃「これすごいんですよ!手を振る度に数がカウントされるんです!!」
憧「……それがどうしたの?」
穏乃「合宿中にどれだけ麻雀打ったかわかる!!」
ビシッ!と腕を振りながら穏乃は言う。っていうか…。
鈴音「今ので1回カウントされてるんじゃ……」
穏乃「ああっ!しまった!!」
憧「何やってんのよ……」
灼「私物の持参は最低限って言ったのに……重い……」
呆れながら灼が穏乃のリストバンドを取り上げていた。他にも穏乃の私物はプロテインやダンベルなどがあった。……これ、麻雀の合宿だよね?
ふと宥の方を見ると炬燵のセットを持ってきていた。
灼「まさか私物では……?」
宥「コンセントどこに挿そうかな……?」
相変わらず宥は宥だった。どうやって炬燵持ってきたんだよ……。
灼「鈴音さん、このままじゃ駄目です。ここで生活していくための当番を決めましょう」
自由奔放なみんな……というより穏乃と宥を見て灼が私に提案してくる。
鈴音「少し大袈裟な気もするけど、確かにそうした方がいいかもね」
穏乃「おおっ!なんか合宿っぽいですね!!」
灼「役割は全部で……7つだから……」
今しれっと赤土先生を含めたね……。
晴絵「私も含まれるんだ……」
鈴音「大人として何か見本になるような意見がほしいです」
晴絵「まぁいいけど」
穏乃「7つもあったら1つくらい意味がない役割が出てきそうだね」
憧「あー……なんかありそう」
穏乃「まずはおやつを管理する係からね」
玄「1つ目から意味ないね……」
こんな調子だとまともな意見なんて出るのかなぁ……。
憧「でもどうやって決める?」
玄「ちょっとした会議だね!」
というわけで役割分担のための会議が始まった。
鈴音「じゃあどんな役割がある?」
進行は部長である私が勤める。
穏乃「はい!!」
鈴音「穏乃、言ってみて」
穏乃「チーしますか?って言って回る係!!」
憧「大喜利!?」
あーでもない、こーでもないと意見を言い合いながら会議は進んで?いった。
~そして~
穏乃「色々片付いたところで!麻雀だーっ!!」
灼(片付いたんですか……?)
鈴音(穏乃はそう思ってるしそういうことにしておこう。なんだか疲れたし……)
灼(すみません……)
鈴音(謝ることじゃないよ)
穏乃「これから始まる地獄の……」
憧「まだ言ってるし……」
晴絵「どのへんが地獄なの?」
穏乃「え~と……氷の雀卓とか?」
晴絵「それじゃあ涼しいだけでしょ……」
赤土先生はそう言うけど約1名にとっては地獄なんだよね……。
宥「こ、氷の……!?さ、寒い……」ブルブル
鈴音「宥が死ぬかもしれないからそれは駄目」
晴絵「あー……おっ、もうこんな時間か。そろそろお昼にしよう。特別に私が作るから楽しみにしててね!」
憧「何作ってくれるの?バーニャカウダ?カポナータ?ラタトゥイユ?」
晴絵「何故最初に思い付いたのがそれらなのか……」
鈴音「しかも全部イタリア料理だし……」
晴絵「しょうがないからヒントをあげよう!ヒントは……」
玄「だから荷物の中にカレールーがあったんですね!」
晴絵「玄……なんで言っちゃうの?」
玄「えっ、えっ?」
赤土先生が玄を責めているけど玄は悪くないんだよね。
~そして~
赤土先生が作ったカレーを食べたんだけど……。
憧「このカレー……」
穏乃「うん……」
晴絵「カレーが美味しくなかったってことが私の頃の合宿で1番の思い出だからね!」
赤土先生がそう言うけどカレーを不味く作る方が難しいでしょ……。何を入れたらこんな味になるんだろ……。
晴絵「だからみんなにもそんな思い出を作ってほしいんだ」
憧「もしかしてわざとこんな味に……?」
鈴音「寧ろわざとじゃないとこの味は出せないよ」
晴絵「う~ん……麻雀部代々に伝わるレシピで作ったんだけどなぁ……」
鈴音「100%それが原因ですね……」
呆れているとシャカシャカと音が聞こえるので音の方を見ると穏乃がプロテインを作っていた。
穏乃「あっ……」スポッ
鈴音「え?」
プロテインを作っている最中にすっぽぬけてカレーが入っている鍋にぶちこまれた。
憧「あっ……」
晴絵「ああ……」
穏乃「あちゃ~……どうしますこれ?」
鈴音「……捨てるわけにもいかないしね。とりあえず食べてみよう」
私はそう言いながらプロテインカレーを食べてみた。こ、これは……!?
鈴音「美味しくなってる……」
憧「嘘っ!?」
晴絵「本当に!?」
憧と赤土先生も食べてみると美味しかったようで阿知賀女子麻雀部の合宿カレーのレシピにプロテインが追加された。……来年以降がどうなるのやら。
~そして~
穏乃「う~ん……打った打った!」
晴絵「もうこんな時間か!早くしないとお風呂がしまってしまう!!」
憧「急がなきゃ!!」
穏乃「そうだね!!」
穏乃の方を見るとアヒルの玩具や水鉄砲などがあった。お風呂の時間が残り少ないのに何をする気なの?
~そして~
憧「ふぅ……無事に入れてよかった~」
鈴音「そうだね。次からはもう少し余裕を持って入りたいね」
玄「穏乃ちゃん、髪濡れてるよ」
穏乃「お、ありがとうございます」
玄「憧ちゃん、髪が絡まってる」
憧「わ、ありがと~」
玄が穏乃と憧に髪を拭いてあげたり、髪を整えたりしている。家が旅館なのかそういうことによく目がいくようだ。
玄「灼ちゃんは……」
灼にも同じように何かしようとしていたが灼自身はきっちりとしていた。
玄「えっと……」
灼「……明日何かお願いする」
……灼は優しいなぁ。
~そして~
憧「あっ、流れ星だ!」
鈴音「久しぶりに見たね」
こういったところだと案外よく見えるのかも。
玄「何かお願い事しよう!」
憧「星をあてにするっていうのも……」
玄「叶わなくても別に問題ないお願いならいいかも」
鈴音「ささやかなお願いってやつだね」
憧「よーし……!」
玄「……でも今言ったことが流れ星に聞こえてたら心象悪いかも……」
鈴音「考えすぎだよ……」
穏乃「願い事は自力で叶えればいいんですよ!だから流れ星に願うのは今後の夢を叶えるっていう宣言です!」
鈴音「おっ、良いこと言うね」
玄「穏乃ちゃん格好いい!!」
鈴音「じゃあ言ってみて」
穏乃「ピザを切らずに食べてみたい!!」
憧「かっこわる……」
さっきまで格好よかったのに急にみみっちくなった。しかも行儀悪いという……。
晴絵「そろそろ寝なよー!」
玄「まだ話し足りないかも……」
憧「まだ明日もあるよ」
鈴音「そうだね。早く寝よう」
玄「はーい」
穏乃「あっ、でも今日のうちに話したいことがあるんですよ!」
鈴音「なにかな……?」
穏乃「実はですね…寝る前に天井の四隅を見ると……」
玄「何?」
憧「うん」
穏乃「怖い夢を見るんだって」
憧「ちょっ!?」
まさかの怪談だった……。
今回はここまでです。
キャラ紹介
大宮鈴音……ある世界から転生してきた主人公。阿知賀女子学院の3年生で麻雀部部長。今回は奈良県民で部長として阿知賀の個性派集団を纏める。『鷺森レーン』でアルバイトをしている。
高鴨穏乃……原作阿知賀編の主人公。阿知賀女子学院の1年生で麻雀部部員。ジャージ大好きで麻雀の合宿なのにダンベルやらプロテインやらを持ってきて目的を履き違える。
新子憧……阿知賀女子学院の1年生で麻雀部部員。基本的に部の突っ込み役で家では巫女さんをやっている。
松実玄……阿知賀女子学院の2年生で麻雀部部員。おもち大好きで『松実旅館』という旅館の娘。姉である宥も含めてみんなのお世話が好き。でもたまに宥や鈴音に甘えている。
松実宥……阿知賀女子学院の3年生で麻雀部部員。暖かいのが大好きで夏でも厚着をしてマフラーを手放せない『松実旅館』という旅館の娘。そろそろ体質をなんとかしたいと思い同じ学年で同じクラスの鈴音に話そうかと悩んでいる。
鷺森灼……阿知賀女子学院の2年生で麻雀部部員。3年生の鈴音がいることによって部長ではない。実家が『鷺森レーン』というボーリング場で祖母と2人で切り盛りしている。たまに鈴音がアルバイトに来ていてそこから鈴音と仲良くなった。
赤土晴絵……阿知賀女子学院の麻雀部顧問。阿知賀のレジェンドと呼ばれており生徒からは尊敬?されている。学生時代の合宿で不味かったカレーを教え子に食べさせる。合宿後は合宿カレーのレシピに新しくプロテインを追加して試作をしているらしい。
次回はどこにしようかな……?