捻くれ者の最弱最強譚   作:浦谷一人

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なんと、気づけばUA2000を超えていました。めちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます!m(_ _)m
これからも頑張ります!よろしくお願いします!

ではでは……スタート!!!(*゚▽゚)ノ


第二章 闇市場
捻くれ者の最弱最強譚#11


「ハァ…ハァ…ハァ……ハァ……」

 今日も今日とて、朝早くに起きて、高校の入学式から、また日課になっているトレーニングをしている。

 しかし、また日課になったからと言って、約半年以上もトレーニングをサボってきたのだ。二週間やそこらで、元に戻るわけがない。

「ハァ……ハァ……ハァ…やっぱりキツい……いつになったらなれるんだ?やりすぎても意味がないし……朝から元素枯渇で倒れるのはもっとダメだからな。」

 

 今日は4月22日。

 水戸との試合があった日から、水戸と御子柴の二人と友達になってから、はや二週間たった。

 あれから色々あった……

 家に帰り妹の凛に泣かれ、それを宥めたのだが、凛の泣き声はご近所の人達にも聞こえていたのか、次の日から俺は近所の人達の間では妹を泣かす鬼畜野郎ということになっている。

 

 学園生活は特に変わりは……あったな………

 俺がAランクの水戸を倒した事で、同じクラスの生徒達には、なぜか怯えられている。そして、その噂を嗅ぎつけていたほかのクラスの生徒達には質問攻めにあったりもした。だが、まだ二年や三年の先輩のところまでその話が広まってないのが唯一の救いだだろう。

 そして、同じ学年の生徒には、嘘つくな!や、ずるするな!とか、卑怯者!とか言われ、挙句の果てには証明しろ!と試合を申し付けられたりした。もちろん試合はしていない。

 と言うか、俺ではなく、御子柴や水戸がそれに対して怒り、質問攻めにしてくる奴ら追い返し、罵倒して、試合を申し込んでくる奴らには、水戸や御子柴が俺の代わりに試合を受け、返り討ちにする。水戸に至っては、泣く者が現れるほどボッコボコにしている。

 まぁこれからも分かるように、俺は水戸と御子柴とは良好な関係を築けていると思う。本心を隠さないので、時々言い合いになったりもしたが、それが俺にとっての本当の友達なため逆にそれを嬉しいと思っている。

 まぁこの二週間の学園生活はそんな感じだ。

 

 

 

 

 話を戻そう。

 あの日、水戸と試合をした日、元素枯渇で倒れてからはランニングだけではなく、体内での元素コントロールや技のトレーニングをしているのだが、これが中々しんどいのだ。

「まぁゆっくりやっていくしかないな……さてと風呂はいって学校行く準備しますか。」

 毎朝やっているトレーニングメニューをすべて終え、しっかりストレッチしてから家の中へと入る。

「兄さん。トレーニングお疲れ様です!もう朝ごはん出来ていますがどうしますか?先にお風呂にします。ご飯?それとも…わ、た、し?」

 入学式の日にトレーニングしている事が凛にバレてから、凛は俺がトレーニングしている間に起きて、朝ごはんとお風呂の準備を毎朝してくれるのだ。

 正直とてもありがたい。前までは凛と俺が交互に朝ごはんを作ったりしていたのだが、今はすべて凛がやってくれている。

 

「ありがとう、汗かいてるから先お風呂にするよ。」

 俺そう言い、凛の頭を一撫でしてからお風呂場へと向かう。

「ちょっ、ちょっと兄さん!?もうちょっと撫でてくれてもいいんですよ?……じゃなくて!そこは、『凛を頂こうかな!』と言うところですよ!ねぇ、ちょっと兄さん!」

 後ろで、凛が何やら叫んでいたが、構わず風呂場へと向かい、そのままゆっくりと風呂場のドアを閉めた。

 

 

 

 

「なぁ、凛。いつまで怒ってるんだよ。無視したことは謝るからさ、早く普通のご飯くれないか?」

 風呂から上がり、制服に着替えてからリビングに戻ると、凛が拗ねながら朝ごはんを先に食べていた。

 それだけならまだ良かったのだが、凛の食べている朝ごはんと、俺の席に置いてある朝ごはんが全く別物だったのだ。

 凛が今食べているご飯のメニューは、魚と卵焼き、サラダに味噌汁だ。とても美味しそうだ。

 だが、俺の席に置いてある朝ごはんのメニューは、魚は魚でも魚の骨。卵は卵でも殻の方。サラダはキャベツの芯。味噌汁の分に至ってはただの味噌がそのまま置いてある。

 

「兄さんなんて知りません!」

 凛が一度こうなってしまうと、中々許してくれない。一つの方法を抜いては……

 ではその方法とは何なのか……

「なんでも一つ言うこと聞くからさ、頼むよ。このままじゃ朝ごはん抜きで学校に行くことになる……」

「ホントですか?」

「あぁ、ホントホント」

「分かりました。許します」

 なんでも一つ言うことを聞く。そう言えば凛は昔から機嫌がすぐに治る。そして、凛のお願いもいつも決まって、頭を撫でてほしいというものだ。だから、今回もそうだろう。

 

「では、今日の夜私と一緒に寝てください。もちろん同じベッドで、です。」

「わかったわかった。一緒に寝てやる…………………………は?」

「はい!ありがとうございます。絶対ですよ?」

「いやいや、待て凛!それはちょっと……流石に……」

「ぜったいですよ?」

「わ、分かった」

 

 ………………怖い…

 凛はここ最近、特に女の話題が出た時や、自分の思い通りにならない時があったら、目のハイライトが消え怖い笑顔を浮かべる。

 まぁすぐに元の笑顔に戻るのだが、それもそれで何故か怖いのだ。

 

「とりあえず、ご飯…………ってもうこんな時間かよ!」

 とりあえず許しをもらったので、普通の朝ごはんを食べようと思ったのだが、時間を見ると8時前になっていた。朝のHRは8時45分からなのだが、学校までは30分かかるためそろそろ家を出ないと間に合わない。

 それにアイツらを待たせる訳にはいかない。

 

 そう思い、朝ごはんを抜き学校に向かうために鞄を持ち玄関へと向かう。

 

「兄さん!?もう行くんですか?朝ごはんは?」

「時間ないし、今日はいいよ。悪かったな作ってくれたのに。」

 本当はというと朝ごはん抜きになったのは凛の所為でもあるのだが、それでも毎朝作ってくれてることには感謝しているため、お礼を言う。

「いえいえ、私こそすみませんでした。変な意地はって……気をつけて行ってくださいね。」

 俺がお礼を言うと凛は一瞬パァっと顔に花が咲き、いい笑顔になるが、すぐにシュンとなり謝ってくる。その上、俺の心配までしてくれる。

 

「あと、今日の夜ご飯は、兄さんの好物の唐揚げにするので、楽しみしていてください。」

「あぁ、ありがとう」

(やっぱり、いい妹だな。俺は幸せ者だよ……)

 そう思い、家を出る前に凛の頭を撫でてやろうと手を伸ばす。

 だが、その手は凛の頭に届くことはなく、途中でピタリと止まることになる。

 

「だから、兄さん。早く帰ってきてくださいね。正妻の私の元に。浮気は許しませんからね…………フフッ」

「えっと………………じゃ行ってくるよ!」

 俺はすぐに手を引っ込め、勢いよく家を飛び出す。

 

「最後のは聞かなかったことにしよう。うん……そうしよう」

 

 そして俺は現実逃避をしながら、二人が待っている、いつもの待ち合わせ場所へと向け走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ……ハァ……わ、悪い、遅れて。ちょっと色々あってな。」

「よう!界人。今日は遅かったな!また、妹の凛ちゃんだっけ?その子絡みか?」

 御子柴は俺が見えた時から手を振り、近づくと笑顔で話しかけてくる。

「遅いよ!界人くん!」

 水戸は腕を組み、まさに、私は今怒ってますよ!と態度で表している。

 

 10日程前から、登下校もこの二人と一緒にしている。

 御子柴は寮、そして、水戸と俺は同じ中央5番地区で、お互い近いのと、今この待ち合わせしている場所がちょうどお互いの別れ道だと言うことで、なら一緒に登下校しようと御子柴言い出し、それに水戸が賛成した。

 もちろん俺は最初、渋り、断ったのだが、結局御子柴や水戸に押し切られこのような形に収まった。

 

 しかし、まぁ、嫌な気分ではない。

 今俺の目の前で何やら言い合っている二人を見ていると自然と笑みがこぼれてくる。

「フッ……ハハッ…」

「なぁ、界人!水菜さんの方がこの一週間俺たちを待たせることが多かったよな?」

「ねぇ、界人くん!陽くんの方がこの一週間私たちを待たせることが多かったよね?」

 この二人と一緒ににいると、ホント退屈しない。

 こんな毎日もいい物だと思える。

 中学の時はこんなことは無かった。いや、友達みたいな人たちと接していたことはあったが、こんな気持ちになったことは無かった。

 

(まぁ、この二人にこの気持ちは言えないけどな。今はまだ……な)

「おい、界人。何笑ってんだよ。」

「なんで笑ってるの?界人くん。」

 どうやら、笑みがこぼれて笑っていたところを、この二人に見られてしまったらしい。

 

「いや、別に。なんでもねぇよ。早く行こうぜ」

 俺はそう言い、二人の間を通り、先に学校に向かって歩き出す。

 もちろん置いていくつもりは全くないので、歩くスピードは遅い。

 

「ちょっ、ちょっと、待てよ界人!なぁ水菜さんの方が多かったよな?」

「界人くん、ちょっと待ってよ!さっきの質問だけど、絶対に陽くんの方が多かったよね?」

「さぁな」

 先を歩く俺に慌てて、追いついて来る御子柴と水戸。しかしそこで、どっちが遅れてきたのが多かったのかという言い争いは止むことなく、俺の少し後ろで、まだ言い争っている。

 どっちでもいいと思うのは俺だけだろうか。

 

「って言うかさ、一番遅れてきてるのって、界人だよな?界人が来るまでの間でどっちが後に来たか、って言うのなら、水菜さんだけど。」

「…………言われてみれば確かにそうね。……界人くんが来るまでの間では私より陽くんの方が遅れてくること多かったよけどね。」

「そ、そう、だったっけ?」

 俺はそう言われ、この10日間、学校のなかった土日を抜くと8日間だが、その時のことを思い出す。

 …………8日中、俺が遅れてきたのは、、5日。

 うん……一番遅れてきてるのは俺だった。

 

「そういや、界人も最初は一緒に登校するの渋ってたのに結局は一緒に登校してくれてるよな。」

「うんうん!そうだね。遅れてきたら必ず謝ってくれるし。」

「そ、それはあれだ……えっと……」

 言い訳する必要なないのだろうが、反射的に言い訳を考えてしまう。

 

「「やっぱり界人(くん)は捻くれ者だな(だね)!」」

「なっ!?………………先行く」

 自分で捻くれ者だと思う分にはいいのだが、なぜか人に言われると、よく思わない。

 

 俺は拗ねたように前を向き、さっきまでとは違い、後ろで少し騒いでいる二人を置いていくために、早歩きで学校に向かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あははははははははは……あー面白い……」

「プッ……陽、くん……わ、笑い…フフッ…すぎよ……あはははは」

 ただいまの時刻は12時15分。食堂で昼ご飯を食べているのだが……

 いま、目の前に座っている水戸と御子柴は腹を抱えて笑っている。

 

「………………」

「フゥ~……あーお腹いたい……まぁまぁそんなに睨むなよ界人。余計に怖がられるぜ」

「そうよ!界人くん、もともと目が鋭いんだから。」

 そう俺の目は鋭い。これは元々なのだが、これまで別に怖がられたりなどはあまりしなかった。

 

「まぁ、界人がAランクの水菜さんに勝ったのが、余計に怖がられてる要素なんだろうな。」

「まぁ、私をコテンパンにしたんだから。当たり前よ。」

 そう、俺は元々同じクラスの奴らには避けられていただけであって、怖がられたりなどはされなかった。

 しかし、俺が水戸に試合に勝ってからは同じクラスの奴らに、特に女の子に怖がられるようになった。

 まぁ理由はそれだけではない。それは…………

 

「それもあるだろうけど、次の日から俺に突っかかってくる他のクラスの奴らを水戸と御子柴が返り討ちにしてたからだろ……」

 

 そう、EランクがAランクに勝てるわけないと他のクラスの奴らが俺に突っかかってきたのを、すべて水戸と御子柴がボコボコにし、返り討ちにしている。

 そして、ある日水戸が一人の生徒をボコボコにし過ぎて泣かせたのだ。

 その時に水戸は……

『界人くんに喧嘩を売るからよ!界人くんに喧嘩売るものはこうなることを覚えておきなさいよ!』

 と言ったのだ。

 

 それからだ……俺が水戸と御子柴のリーダーで、俺に喧嘩を売ると俺が水戸と御子柴に命令しその相手をボコボコにしていると噂になったのだ。まぁ同じ学年の1年生の間にしか、この噂が出回っていないのが唯一の救いだ。

 

 

 まぁその上で、今日の四限目終了直後。つまり時間では12時過ぎの話になるのだが、俺の隣の席の女の子が何かに足を引っ掛け、俺の方へと倒れてきたのだ。

 そこで、それを避けるほど俺も薄情者では無いので、受け止めたのだが…………

『大丈夫か?』

『え、あ………ご、ごめんなさい!い、いえ、すみませんでした!わざとじゃないんです。本当にわざとじゃなかったんです。』

『いや、いいよ別に。気にしてないから。怪我とかしてないか?』

『あ、い、いいいいえ、本当にだ、だだ大丈夫です!すみませんでしたーーー』

『え、あ、おい!』

 こんな感じに、すごい勢いで謝られ、すごい勢いで逃げられたのだ。

 

 

 先ほど、水戸と御子柴が笑っていたのはこれを見ていたからという訳だ。

 

「なんで助けたのに………あんな勢いで逃げられないといけないだよ……噂の所為もあるだろうけど……目か?そんなに目がいけないのか?」

「まぁまぁ、落ち込むなって。界人!」

「そうそう、別にいいじゃない。私達は分かってるんだから。」

「ハァ~……」

 確かに友達のこの二人が分かってくれている。それでいいのだが……それでもやっぱり、女の子にあれ程の勢いで避けられるのは心にくるものがあるのだ。

 

 

 

 

 

 

「ちょっといいかしら!」

「ん?」

 あともう少しで、昼ご飯を食べ終えるという所で、横から声をかけられる。

「あなたが、八神界人くん?」

「ハァ……まぁ俺が八神界人ですけど……」

「へぇ~……」

 誰だがわからないが、女の子が俺の事を値踏みをするかのようにジロジロと見てくる。

「えと……なんですか?」

「ちょっと!あんた、失礼じゃない!」

「うん!噂通り、鋭い目付きだね!私は二年の高原美咲(たかはらみさき)。ヨロシクね!で、突然で悪いんだけど、今一年生の間で流れてる噂について本人から色々話を聞きたいの!やっぱりあの噂って本当なの?」

 噂。その単語が出た瞬間水戸の顔が険しくなり、先輩を睨みつけていた。あの御子柴でさえも、僅かではあるが先輩の事を睨んでいた。

 しかし、先輩はそれを気にもせず、俺に向けニコニコと如何にも作り物の笑顔を向けてくる……

 

 

 

「ハァ~~……」

 …………俺の感が告げている。

「絶対にめんどくさい事になるだろ……これ…」




捻くれ者の最弱最強譚#11
どうでしたでしょうか。
やっと、水戸と御子柴以外のキャラが出てきた……


登場人物
高原美咲
茶色の髪で、セミロング。顔は可愛いと言うより、美人。しかし、必ず、初対面の相手や、心を許していない人には素顔を見せない。
噂に目がなく、噂が耳に入ると、意地でもその情報を得ようとするほど、行動力は高い方。今回は界人の噂の件がものすごく気になり、界人に接触する。
情報収集力はとても高い。
体型はとても色っぽく、出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。
羞恥心はあるにはあるが、情報を得るためには、とてもいい外面で羞恥心を隠し、胸で誘惑をしたりする。
165cm 53kg スリーサイズ 98-58-88 Fカップ

界人の二人目のヒロイン(予定)

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