キスから始まる異世界百合色冒険譚   作:楠富 つかさ

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第八話 朝の習慣

「おはようございます……お姉ちゃん」

 

翌朝、ダブルベッドで目を覚ました私とレリエ。おはようのキスを交わす。

 

「んちゅ……じゅる」

「じゅぶ、んく……ぁあ」

 

目を開ければそこには蕩けた表情を浮かべるレリエと、私との間にかかる銀色の橋。どちらからとも言わずに再び唇を重ねる。じゅぶじゅぶと淫靡な水音が響く中、とうとう彼女の叫び声が木霊する。

 

「アンタらあたしのこと気にしなさすぎだろう!?」

 

そう、ステラである。やんちゃな見た目とは裏腹に純情な彼女はどうにも私とレリエのキスをただの愛欲によるものと思っている節がある。まぁ、完全に否定できないのが痛いところだが。

 

「おはようステラ。ちゅうする?」

「しねぇよ!?」

 

一緒のベッドで寝ようと誘ったのだが、ステラは結局ソファで寝てしまった。曰く、いつ襲われるか分からないとのこと。やはり住処なく暮らしていた少女にとって、警戒を怠らないことは重要らしい。そんなことを寝る直前―おやすみのキスの前―にレリエに話したら、勘違いをしていませんかといわれてしまった。どういうことだろうか。

 

「ステラさ……ステラはキスしないのですか?」

 

私とのキスが最早日常的になっているレリエからすれば、ステラがキスを拒むのは不思議に思えるようだ。

 

「え……だって……」

 

あからさまに目を泳がせるステラ。年下であるレリエに真っ直ぐに見つめられて、返答に困っている様子。

 

「ほら、キスって大好きな人とするものだろう?」

 

……どこまでも純情なステラ。

 

「私、お姉ちゃんのこと大好きですから」

 

流石レリエ。お姉ちゃん嬉しくてキスしたくなっちゃうよ。

 

「ステラは私とするの、イヤ?」

 

ここで畳み掛ける私。ステラは小声でイヤじゃないとだけ言って、私の唇にそっと触れた。もちろん、唇で。

 

「嬉しいよ、ステラ。さぁ、今日も頑張っていきましょう!」

 

二人の美少女からキスを貰い、元気百倍になった私。ただ、今日の予定を知らない。レリエの方に視線を移すと、レリエは私の言わんとすることを察してくれた。

 

「さて、今日こそは買い物に行きましょう」

 

レリエがそう言い、寝巻きであるローブから旅装束であるローブに着替える。二着の違いは生地にあるらしいが、私にはまだ分からない。ステラは寝るときもあの高露出な服だ。布の多い服は好かないらしい。ちなみに、私は下着姿で寝る。いつだって臨戦態勢だよ。どういう意味かって? 言わせないでよ。

 

「行くよ、ステラ」

 

まだ顔を紅くしているステラの手を引っ張って宿の部屋を出る。今の時間なら朝市ということで店にならぶ商品はさらに安くなる。ついでに、朝ごはんも食べちゃおう。




ユール 魔力量
火:22 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
水:38 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
風:38 ?:0 空:19 ?:0 ?:0
土:16 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0

―能力習熟度―
一般常識:★★★★★☆☆☆☆☆
魔術知識:★★★★★★★☆☆☆
裁縫技術:★★★☆☆☆☆☆☆☆
歴史知識:★★★★★★☆☆☆☆
短剣技能:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
長槍技能:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ユ「魔術知識、★が多くなってきたね」
レ「そろそろ内容がトップクラスの難しさになりますよ?」
ユ「レリエの教え方が上手だから平気」
レ「お姉ちゃん……」
ス「アンタらそう言って長ったらしいキスするから見てて恥ずかしいんだよ!」

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