キスから始まる異世界百合色冒険譚   作:楠富 つかさ

11 / 15
第十一話 顔合わせ

後から知ったことだが、風俗にかかるお金は一回で銀貨数枚。金貨1枚に銀貨100枚の価値があるそうなので、私が宿の主人に言った予算は銀貨700枚分ということになる。だから彼は思ったのだろう。私は奴隷を買おうとしていると。そう、私が訪れた店は風俗店ではなく奴隷販売の店だったのだ。どうにも私の顔にニヤつきがあったのか、ばっちり性奴隷専門店に通されてしまった。この世界では、権力者の男性に囲われている女性が、他の妾と肌を重ねることが多々あるらしく、女性同士で性行為が行われることは一般的らしい。

 

「と、いうことです」

 

今、私はことの顛末をレリエとステラに話し終えたところだ。勿論、傍らにはクレアもいる。書類への記名がまだとは言え、お金は払ったし個人的に気に入ったというのもあって、大声に驚いて現れた狐顔といくつか話をし、正式にクレアを買い取ったのだ。

 

「分かりました。では、クレアさん。宜しくお願いします」

「……クレア」

「ん?」

「クレアで……いい」

 

人見知りなのだろうか、レリエとステラに対して緊張している様子のクレア。ちなみに、あの店で一度だけ“楽しんで”きているので私に対しては、たどたどしさこそ残るが、心を開いてくれているように思える。まぁ、ご主人様という呼び方は治らなかったが。……それはそれで興奮するので構わないが。

 

「じゃあクレア、あたしはステラ。よろしくね」

「はい」

 

クレアは決して無愛想ではない。無表情でもない。やはり緊張が大きいのだろうか。それとも、何かしら心に傷を抱えているのだろうか。

 

「そういえば、結局ステラにもこの旅の目的を話していないんだよね。レリエ、話してあげて」

「分かりました」

 

私がレリエに頼むと、レリエは自分が魔王討伐を目的に旅をしていることを告げた。ステラもクレアも驚きを隠しきれていない。それもそうか。二人には悪いことをしたなぁ。一般人を巻き込むには、危険な旅すぎるもの。レリエが話し終えると、

 

「へぇ。アンタら、そんな大それたこと考えてたのか。面白い。やってやろうじゃん!」

「わたしはご主人様に従います」

 

今度は私が驚いた。ステラの反応は予想と真逆と言える。面白そう、そんな風に言われるなんて。クレアは……まぁ、予想の範疇だろう。言いそうだったし。

 

「では、クレアにも戦闘の経験をしてもらいます」

「ハンドメイスの経験なら……」

「明日の予定も決まりですね」

 

三人になった旅の仲間。これから、どんな毎日になるんだろう。




ユール 魔力量
火:26 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
水:44 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
風:44 ?:0 空:22 ?:0 ?:0
土:18 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0

―能力習熟度―
一般常識:★★★★★★☆☆☆☆
魔術知識:★★★★★★★☆☆☆
裁縫技術:★★★★☆☆☆☆☆☆
歴史知識:★★★★★★★☆☆☆
短剣技能:★★★★☆☆☆☆☆☆
長槍技能:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
金銭感覚:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ユ「★はないけど、新しい技能が追加されたね」
レ「はい。クレアさんから教えてもらう技能になります」
ス「金銭感覚かぁ。値切りスキルみたいなものか?」
ク「そう……です」
ユ「賑やかになってきたねぇ」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。