淀んで染まるシリーズ   作:RASN_Pixiv1本になります

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カスミ編の続きみたくな感じです。


続・カスミ編

-茶熊学園 カティアの実験室- 

 

 

「おっほぉ?どうしたのかしらん…?」 

 

 

ここはある日の茶熊学園の化学の教科担当をしているカティアの実験室であった。 

 

 

そんな彼女は机の上のモニターを見て怪訝そうな顔をしたのであった。モニターにはカスミの顔写真とピコンと波が立っている心電図が映されていたのであった。 

 

 

「おかしいわねぇん…カスミから反応…?この前ちゃんと中和したはず…残ってたのかしらん?まぁ良いわ…それなら…」 

 

 

カティアは手前の端末を操作するとカスミの顔写真が映されていたモニターの映像を変えてインカムを装着したのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-茶熊学園 タラコ組の教室- 

 

 

「ほっほっほっ、午前中はこれで終わりじゃのそれじゃしっかりと宿題はやっておくのじゃよ。」 

 

 

教壇に立っていたユーリエは席に座る生徒らにそう告げると教室から去り、ピシャンと閉じる音が響くと丁度チャイムが鳴り生徒らの大半は席を立ち教室を出たりしたのであった。 

 

 

「……。」 

 

 

その中でRASN(最近黒くなれた主人公君)はふぅと息を吐いてノートや教科書をしまっていたのであった。 

 

 

「シショー!セッシャとディジュニィを一緒にしてほしいでござるー!」 

 

 

「フランさん!私もRASNさんと一緒にしてもいいですか?」 

 

 

「…!?」 

 

 

「ダコール!スイカも一緒にディジュニィでござる!」 

 

 

そして片付けた矢先にスイカとフランが弁当箱を乗せた机を引いてやって来てRASNの机の両脇にくっ付けたのであった。 

 

 

「オーララ?カモメ殿も一緒にするでござるかー?」 

 

 

「えっ…私はべっ別に…」 

 

 

「あっ!メアさんも一緒にですか?!」 

 

 

「えっ?!私も?!」 

 

 

するとこそこそRASNの席へと近寄ってくるカモメとメアをスイカとフランが声をかけ、二人は驚き手元ある何かを背中等に隠していた。 

 

 

「オッドウンスールはいかんでござる!一緒に楽しむでござる!」 

 

 

「はい!よいしょっと!」 

 

 

「あっ!ちょっと?!」 

 

 

そしてスイカとフランはカモメとメアの机を持ってきた自分の机の前に置いたのであった。 

 

 

「これで大丈夫でござる!」 

 

 

「はいっ!」 

 

 

「…はぁ…でもなんかこうだと形が悪いわね…?」 

 

 

「そうですね…五人だとなんか不揃いですね…。」 

 

 

カモメの言う通り五つの机の並びは凹型に並べられていたのであった。 

 

 

「オーララ!そうでござるな…どうしようでござろうか…。」 

 

 

「そうですね…カスミさんは…いませんね?」 

 

 

スイカは教室を見渡してカスミを探したがその姿は影も形も無かったのであった。 

 

 

「ウィ…授業中はいたはずでござるが…今はいないでござるな。」 

 

 

「何処に行ったのかしら…?」 

 

 

「はい…隅々探しても中々…あっ…!」 

 

 

「キキッ…!?」 

 

 

スイカは更に針に糸を通すような目でもっと辺りを見渡していた、するとこっそりと身を屈めながらRASNの席へから遠退くアピュトの姿を見て見渡すのを止めたのであった。 

 

 

「あっ!アピュトさんもRASNさんとですか!?」 

 

 

「ええっ?!私はそんなキッ…気はないわよ…?!RASN君と二人きりでお昼をしようと思ったら続々と来るから諦めようとした訳じゃ…」 

 

 

「大丈夫でござるよ、皆で一緒でござるから寂しくはないでござるよー。」 

 

 

「いや…私はRASN君と二人きりで…!」 

 

 

「アピュトさんの机ってこれですか?」 

 

 

「そうだけど…って?!なにしてんのー!?」 

 

 

アピュトがスイカの声に対して振り返るとそこには机と椅子抱えていたスイカが歩いてきたのであった。 

 

 

「何とは…アピュトさんも一緒にお昼を…よいしょっと!」 

 

 

「えっ…そこってRASN君の真ん前…!」 

 

 

そしてスイカは机をメアとカモメの間に置き、アピュトは口を塞いで小声でそう呟いたのであった。 

 

 

「…プルクワ?アピュト殿どうしたでござるか?」 

 

 

「いっ…いいえ!何でもないわよ?!ほら早く食べましょうよ!ほらほらほら!」 

 

 

アピュトは早口でそう言って置かれた席に着き可愛らしいバンダナで包まれた弁当箱を置いたのであった。 

 

 

「そうでござるな!」 

 

 

「はい!カモメさんもメアさんもどうぞ!」 

 

 

「わっ…分かったわよ…。」 

 

 

「は…はいっ…。」 

 

 

そうして四人も続々と席に座り弁当も出した、そしてRASNも弁当箱を取り出そうとした。 

 

 

「…!」 

 

 

「あら、こんなとこにいたのね?」 

 

 

「…?!」 

 

 

RASNが弁当箱の包みを取ろうとするとその手が不意に風呂敷で包んだ何かを持って現れたカスミによって掴まれたのであった。 

 

 

「オーララ?!カスミ殿いつの間にいたでござるか?!」 

 

 

「…ついさっきよ…それより早く行くわよ、待たせてるんだから。」 

 

 

「…?」 

 

 

「あれ?今日生徒会の集まりとかあったっけ…?」 

 

 

「そんなのは無いわよメア、ほら早く…!」 

 

 

カスミはメアの問いかけを軽くあしらってRASNの手を強く引くと教室を二人で後にしたのであった。 

 

 

「あっ…行ってしまいましたね?」 

 

 

「先約があったでござるか…なら仕方ないでござるな、セッシャらでディジュニィを食べるでござる!」 

 

 

「まぁ…そうね、お腹減っちゃったしね。」 

 

 

「はい、でもRASN君がいないのは少し寂しいですね。」 

 

 

「…………。」 

 

 

「あれ?どうしたんですかアピュトさん…?」 

 

 

取り残された面々は仕方なさそうに弁当箱の蓋を開いたりしていた、だがアピュトだけは蓋以前に包んでいたバンダナを開こうともしなかったのであった。 

 

 

「どうしたのアピュト…?何か具合でも悪いの?」 

 

 

「…いや…ゴメン!私も少し用事!」 

 

 

アピュトはそう言って立ち上がると弁当を携えて教室を出たのであった。 

 

 

「オーララ…アピュト殿もでござったか…?」 

 

 

そうして残った四人はぼーっとそれを見送るしかなかった。 

 

 

「まだそんなに遠くには行ってないはず…こっちかしら…?」 

 

 

廊下に出たアピュトは左右を確認しカスミとRASNが歩いていった方にへと駆け出したのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RASNはカスミに手を引かれ続け中庭にへと連れてかれていたのであった。 

 

 

「…?!」 

 

 

「大丈夫よ、それにもうすぐよ…」 

 

 

カスミは問いかけには答えているが歩みを止めなかった、そして中庭の中央付近にある噴水のある所に着くとカスミは歩みを止めた、そこにあるベンチにはヒナが待っていたのであった。 

 

 

「あっ…!ママ…!パパ…!」 

 

 

「ヒナちゃんお待たせ、見つけるのに少し手間取っちゃって…」 

 

 

「大丈夫だよ…それより早く…?」 

 

 

「そうね、ほらあなたはこっちよ。」 

 

 

「…………!」 

 

 

そうしてRASNはカスミに背を押されヒナの隣に座らされたのであった。 

 

 

「よいしょ…ピヨ…パパ…」 

 

 

RASNが座るのを見るとヒナはすかさずRASNの膝の上にへと移動し、空いたところにカスミが座ったのであった。 

 

 

「ふふっ…それじゃお待ちかねのお昼ね、はい…。」 

 

 

カスミは微笑みながら持ってきていた何かの風呂敷をベンチの前の机でほどくとそこには重箱が一つに紙皿と箸がそれぞれ三つがあった、そしてカスミは二人に箸と皿を渡すと蓋を開いて計三段の箱を展開したのであった。 

 

 

「ピヨ…!美味しそう…!」 

 

 

「…!」 

 

 

「丹精込めて作ったから自信作よ、それじゃいただきましょ?」 

 

 

「…うん!いただきピヨ!」 

 

 

「…?…!」 

 

 

RASNは何かを不思議に思いつつヒナはとても嬉しそうに箸を取り重箱の中を食べ始めたのであった。 

 

 

「もきゅもきゅ…美味しいね?パパ?」 

 

 

「…!」 

 

 

「ありがとう、嬉しいわ。」 

 

 

そうして三人は楽しそうに昼飯を食べていたのであった。 

 

 

 

「…………。」 

 

 

一方そんな三人の傍にある樹の後ろにはアピュトがその光景をまじまじと見つめていた。 

 

 

「もー…見せ付けてくれちゃって…。」 

 

 

「でも…何かおかしいですよね…?」 

 

 

「そうよねー…」 

 

 

「あー…ヒナちゃんの位置が羨ましい…」 

 

 

「そうねー…?」 

 

 

「というか…お姉ちゃんを差し置いて羨ましい…」 

 

 

「そうよねー…てっ?…お姉ちゃん…?」 

 

 

アピュトは二回返事を返し三回目にて声の方を見るととそこにはエスメラルダ・オスクロル・フローリアが自身と同様に樹の後ろに隠れて観察していたのであった。 

 

 

「あー…えっーと御三人方々は何を…?」 

 

 

「私ですか…?私はカスミの様子見をしに…」 

 

 

「フローリアは相変わらずなのね…えっと、オスクロル先生は…?」 

 

 

「私はRASN君にまた癒されようかなって…」 

 

 

「…えっ?!」 

 

 

「あら…」 

 

 

「ええっ…?」 

 

 

オスクロルが恥ずかしそうに頬を掻きながらそう言うと三人は各々違う反応でオスクロルを見たのであった。 

 

 

「お恥ずかしながら先程の一年生の授業で失態をしてしまい…それで…頭を撫でて貰えれば立ち直れるかなって…」 

 

 

「…お姉ちゃんに内緒でそんな事を…後でしてもらおうかしらね…」 

 

 

「それはそうとエスメラルダさんはどうして?」 

 

 

「私?私はRASNと一緒にお昼をしようと思ってたのよ。」 

 

 

「そうなんですか…あっと…」 

 

 

「そうよ、これはRASNに頭撫で撫でで癒されようかしらねー?」 

 

 

「あっ、RASN君に撫で撫でされるのは私が先でいいですかー?」 

 

 

「アタシも…あれ?!」 

 

 

アピュトがそう言いながらベンチの方を見るとそこにカスミら三人はいなかったのであった。 

 

 

「あら…いつの間に…?」 

 

 

「話してる間にどこかに…?!って、フローリアもいないわ!?」 

 

 

「キキィ!?ほんとだわ?!」 

 

 

エスメラルダの言う通りに木陰に隠れていたフローリアも三人と同様に姿を消していたのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そうしてる中カスミら三人は屋上にと上がっており、RASNは寝てしまってるヒナを膝に置いていたのであった。 

 

 

「くぅ…ピョ…むにゅ……」 

 

 

「ふふっ、心地よさそうに寝てるわね?」 

 

 

カスミはそんなRASNの隣で寝ているヒナを眺めたり頬をぷにぷにと突々いたりしていた。 

 

 

「……!」 

 

 

「そうね、可愛いわね…あら?あなたもしてほしい?」 

 

 

「…?!」 

 

 

そう言いカスミは返答を待たずにRASNの頬を突々き、RASNはそれに驚いていた。 

 

 

「やっぱ柔らかいわね、ふふっ…こっちでも味わおうかしら…?」 

 

 

「…!?」 

 

 

そして今度は頬を近づけ頬擦りをし、顔を赤くしていたのであった。 

 

 

「………。」 

 

 

「…?」 

 

 

だが少しして頬擦りは止まりカスミは頬を合わせたままじっとRASNの目を見つめていた。 

 

 

「……?」 

 

 

「ん~…?何でもないわただ見てるだけよ、あなたをね?」 

 

 

「……。」 

 

 

RASNは困惑しながらも膝上のヒナを無理に起こすまいとじっとしていた。 

 

 

 

「………………。」 

 

 

そしてそんな三人をじっと扉の裏からインカムを付けていたフローリアが見ていた。目は閉じてはいるが。 

 

 

「あー…あー…もしもしー?フローリア?現場はどうかしらーん?」 

 

 

「あっ、はい。カティア先生三人は先程の報告同様に和やかムードですね…」 

 

 

するとインカムの耳からカティアの声が流れはじめてフローリアはそれに答えていた。 

 

 

「ふ~ん…あの薬の効果は執心って決めてたけど…これは撤回しないといけないかしらねん?」 

 

 

インカム越しのカティアは悔しそうな声を出していたのであった。 

 

 

「…やっぱり何か納得いきませんね…」 

 

 

「そうよねー…この天才が薬の効力を間違えたなんて納得いかないわー…」 

 

 

「あっ、いえ…そっちではないです。」 

 

 

「…じゃ何かしら?」 

 

 

今度は不服そうな声をカティアは出していたのであった。 

 

 

「…あの雰囲気が何だか…」 

 

 

「雰囲気?あの和やかムードでしょ?良いじゃないの、アンタが望んだ事と違うのかしらん?」 

 

 

「…いえ、何かおかしいですよね…?」 

 

 

「おかしい…?まぁアタシに投薬されたんだしおかしくならないのは…」 

 

 

「そうなんですけど…違うんですよ…!」 

 

 

「…。」 

 

 

「私は…!あっ…!?」 

 

 

「…!?どうしたのフローリア?!」 

 

 

「すみません後で話します!」 

 

 

そう言うとフローリアはインカムを懐にしまった、すると覗いていた扉が開いてカスミが出てきたのであった。 

 

 

「あら?誰かと思えばフローリアじゃない?」 

 

 

「カ…カスミでしたか、急に扉が開いてビックリしましたよ…」 

 

 

「そう、ビックリさせてごめんなさいね。」 

 

 

「いえいえ、それよりカスミはここで何を…?」 

 

 

「何って営みね、何時もヒナちゃんが寝ちゃったらここに連れてるのよ。」 

 

 

「えっ…?何時も…」 

 

 

「…まぁフローリアならいいかしら、入ってきて良いわよヒナちゃんも喜ぶかもしれないし。」 

 

 

カスミはそう言って扉を開け放ちRASN達の元に向かい、フローリアは懐にしまっていたインカムを取り出したのであった。 

 

 

「…もしもし、聞こえてましたか…?」 

 

 

「パーペキよん、それにしても家族ね…まるでパン焼き人みたいな感じね?」 

 

 

「…?何を言ってるんですか…?」 

 

 

「…まぁいいわん…それより早く行きなさい、怪しまれるわよん?」 

 

 

「……はい…。」 

 

 

そうしてフローリアはインカムをまたしまうとカスミの後を着いていった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!」 

 

 

「…ピヨ…?…あっ、フローリアねーね!」 

 

 

「あらヒナちゃんおはようございます。」 

 

 

フローリアが屋上に入るとRASNの上のヒナは目を覚ましたのであった。 

 

 

「ピヨ…?あれ?…ここ屋上?」 

 

 

「そうよ、風が気持ちいいでしょ?」 

 

 

「うん…」 

 

 

ヒナは目を閉じて風に気持ち良さそうに髪を靡かせていたのであった。 

 

 

「ふふっ…あっ、フローリアこっちに座ってね。」 

 

 

「…はい、わかりました。」 

 

 

カスミはそう言いながらRASNの隣にへと座りフローリアを自分の隣に座らせたのであった。 

 

 

「…あっ、RASNさんよろしければですけどヒナちゃんをお借りしてもよろしいでしょうか?」 

 

 

「…?」 

 

 

「うん…いいよ?よいしょっと…」 

 

 

フローリアにそう尋ねられたRASNはヒナに尋ね、ヒナはコクりと頷くとカスミの膝を経由してフローリアの膝上に座ったのであった。 

 

 

「はい、いらっしゃいヒナちゃん?」 

 

 

「うん…、…フローリアねーねいい香りだね…?」 

 

 

「園芸部ですからね、そういえば最近綺麗な花が咲いたんですよあとで見に行きますか?」 

 

 

「うん…!」 

 

 

「…。」 

 

 

「……。」 

 

 

ヒナとフローリアが話してる姿をRASNは静かに見ていて、その間にいるカスミはまじまじと見詰めていたのであった。 

 

 

「…?」 

 

 

「んー…あなたの顔を見ているだけよ?」 

 

 

「………。」 

 

 

RASNはそう言われ少し困っていた。 

 

 

「…そう言えば今なら空いてるわね…よいしょ…。」 

 

 

「…!?」 

 

 

そしてカスミは空いているRASNの膝を見るとそこに頭を置いたのであった。 

 

 

「ふー…心地良いわ、眠くなっちゃいそうね…?」 

 

 

「………。」 

 

 

「…まだ時間もありますし寝てしまっても大丈夫ですよ?」 

 

 

「そうね…それじゃ少しそうしようかしらね…でもこっちがいいかしらね?」 

 

 

カスミはむくりと体を上げるとRASNの体に寄っ掛かる様にして目を閉じたのであった。 

 

 

「ピヨ…?ママ寝ちゃった?」 

 

 

「そうですね…あっ、そういえばRASNさん。」 

 

 

「…?」 

 

 

フローリアはカスミに寄りかかられているRASNに声をかけたのであった。 

 

 

「お聞きしたいことがあるのですがこの様な事をなされるのは何時もですか?」 

 

 

「…?…!」 

 

 

RASNは首を傾げてから横へと振ったのであった。 

 

 

「そうですか、ヒナちゃんは?三人だけでお弁当とか何時もしているかな?」 

 

 

「…ヒナ、パパとママだけでお弁当は今日が初めてだよ…?」 

 

 

「やはりですか…ありがとうございますね。」 

 

 

「ピヨォ…」 

 

 

フローリアは今度はヒナに聞き、聞き終わると頭を撫でたのであった。 

 

 

「………。」 

 

 

そしてフローリアは隣で寝息をたてるカスミを見て閉じてる瞳を強く細めたのであった。 

 

 

 

暫くしてリンゴンと校内にチャイムが鳴り響いたのであった。 

 

 

「…!」 

 

 

「あっ、起こさないとですね…カスミー時間ですよー?」 

 

 

そしてフローリアはカスミを揺すり起こしたのであった。 

 

 

「んん…もう時間なのね、ありがとフローリア。」 

 

 

「いえいえ、親友ですからね?」 

 

 

「…そうね。さてとまずはヒナちゃんを送り届けようかしら?」 

 

 

「…………。」 

 

 

カスミにそう言われたRASNは少し間を入れてからコクりと頷いた。 

 

 

「それじゃ行こうかしら?」 

 

 

「うん…!」 

 

 

そしてヒナはフローリアの膝から降りて手を伸ばしていた二人の間に入り手を繋ぎ階段を降り始めたのであった。 

 

 

「……あー…もしもし、カティア先生ー?」 

 

 

「何かしらー?次はアタシの授業なんだし早く来なさいよー?」 

 

 

だがフローリアは階段を降りずにしまっていたインカムをまた出して話し始めたのであった。 

 

 

「はい、それは大丈夫ですが聞いてましたか?」 

 

 

「大丈夫よん、それにしても家族ねー…執心どころかこれじゃ錯覚ね…パンチでもされるんじゃないかしらん?」 

 

 

「何でパンチなんですか…?」 

 

 

「でもまぁ近くに寄ってくれて助かったわよん。お陰で研究が進めれるわ、ありがとねん。」 

 

 

「はい、カスミがバラされるのは勘弁ですからね…。それともう一つお願いがあるですが…?」 

 

 

「んん?まぁ良いけど?何かしら?」 

 

 

「はい…カスミの中にあの薬を完全に消すことは出来るでしょうか?」 

 

 

「…出来なくはないけど…いいのかしら?」 

 

 

「…はい、お二人があーなるのは少し望んだ事ではあるんですが…やっぱりしっかりと築き上げてほしいんです…!」 

 

 

フローリアはそう言いインカムを強く握りしめたのであった。 

 

 

「…分かったわ…作っておいてあげるから早く教室来なさいよ、また鳴るわよ?」 

 

 

「…はい!直ちに!」 

 

 

そうしてフローリアは階段を急いで降りたのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-茶熊学園 カティアの研究室- 

 

 

「……。」 

 

 

放課後になってからカティアの研究室にてフローリアは待っていた、ソファに座っていたりお掃除にやって来たミレイユとヨシュアのお手伝いをしたりカティアにハーブティーを振る舞ったりしていた。 

 

 

そして夜にもなり廊下も静かになった頃、ずっと試験管やビーカーと座りながらにらめっこしていたカティアが立ち上がりフローリアに近寄ったのであった。 

 

 

「お待たせしたわね。はい、これでSKM-MYは完全に無くせるわよ。」 

 

 

「…!ありがとうございます…!」 

 

 

フローリアはカティアから渡されたアンプルを受け取ったのであった。 

 

 

「取り合えずそれは飲ませるタイプじゃなくて注入タイプだからこれを忘れないでよ?」 

 

 

するとカティアはアンプルを持つフローリアの手にアンプルシューターも置いたのであった。 

 

 

「何から何まで…!では…いって参ります!」 

 

 

そうしてフローリアは踵を返すとカティアの研究室から出たのであった。 

 

 

 

-学生寮こぐま館 カスミの部屋- 

 

 

「…よし…侵入完了ですね…。」 

 

 

学生寮に入ったフローリアは足音を立てずにカスミの部屋に侵入した、部屋は廊下同様に暗くあった。 

 

 

「………寝てます…よね?」 

 

 

フローリアはそろりそろりとベッド歩み寄り顔を覗かせた、そしてフローリアは自分の前に三つ寝息が吹いているのを感じたのであった。 

 

 

「……右のはカスミで…もう二人は…ヒナちゃんにRASNさん…!?」 

 

 

予想通りにベッドにはカスミとヒナとRASNが川の字で寝ており、ヒナはRASNにカスミは二人に寄り添う様に寝ていたのであった。 

 

 

「……。」 

 

 

フローリアは唇を噛みながらも懐にしまっていたアンプルシューターを取り出してアンプルを装填したのであった。 

 

 

「…すみません…。」 

 

 

そしてカスミの首元にシューターを突き付け引き金を引いたのであった。 

 

 

「ん…RASN…ヒナちゃん…」 

 

 

撃ち込まれたアンプルはカスミの体内に注入され、カスミは寝言みたいな事呻いたのであった。 

 

 

「………。」 

 

 

そしてフローリアは去る間際カスミの頬を軽く拭ったのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、窓から陽光が差し込みまず目を覚ましたのはRASNであった。 

 

 

「…、……。」 

 

 

「……んん…あっ、おはようパパ…。」 

 

 

「…!」 

 

 

RASNは寄り添っていたヒナの頭を擦り、ヒナは目を擦りながら目を覚ましたのであった。 

 

 

「ん…ふぁぁ…」 

 

 

「あっ…!ママおはよう…!」 

 

 

「…おはよう?えっ…?!ヒナちゃん!?」 

 

 

すると少し崩れ気味にパジャマを着ているカスミも目を覚ましたが挨拶してきたヒナに驚きを隠せていなかった。 

 

 

「ピヨ?…どうしたのママ?」 

 

 

「いや…って?!何でRASNが私の部屋に…!?」 

 

 

カスミはヒナの向こう側で観ているRASNを見ると顔を赤らめて毛布を引き寄せて体を隠したのであった。 

 

 

「…?!……?」 

 

 

「えっ…?私が誘った?じょ…冗談言わないで…!」 

 

 

「…ピヨ、ヒナ…パパと一緒にママに誘われたんだよ…?」 

 

 

「……!」 

 

 

ヒナは控えめにそう言いRASNはコクりと頷いたのであった。 

 

 

「…そうなの…?」 

 

 

「ピヨ…!」 

 

 

「RASNが嘘つく訳ないし…ヒナちゃんがそう言うなら本当なのかしら…」 

 

 

カスミは顎に手を添えてそう言った。 

 

 

「…ともかく!この様子を誰かに見られでもしたら…!」 

 

 

「もうバッチリですよー?」 

 

 

そう言いながらシャッター音を切っていたのはカメラを持ったフローリアであり扉を半開きにして見ていたのであった。 

 

 

「フッ…?!フフ…フローリア…!?」 

 

 

「朝から良いものを見させてもらいましたよー…この写真はちゃんと現像してシェアしないと…」 

 

 

「ちょっ…?!待ちなさい…!」 

 

 

「おっと…?」 

 

 

カスミはパジャマのボタンを絞めるとフローリアに向かって行った、だがフローリアは突撃してくるカスミをコロリンと回避したのであった。 

 

 

「駄目ですよ、貴重な家族の思い出をみんなに知らしめることが出来るんですよ…?」 

 

 

「思い出はともかく撒くのだけはやめなさいって…?!恥ずかしいじゃない!」 

 

 

「………ふふっ。」 

 

 

カスミにそう言われたフローリアはカスミをじっと見つめてクスッと笑ったのであった。 

 

 

「な…何よ?何か可笑しいわけ…?」 

 

 

「いえいえ…それより取らなくて良いんですか?このままだと掲示板に貼っちゃいますよー?ではではー」 

 

 

「だからそれはやめなさいってー!?」 

 

 

そうしてカスミは逃げ出したフローリア を追いかけたのであった。 

 

 

「………?」 

 

 

「…ピヨォ…?」 

 

 

そしてカスミの部屋に取り残された二人はそれを唖然として見るしかなかったのであった。

 

 


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