淀んで染まるシリーズ 作:RASN_Pixiv1本になります
(当時はオズワルドは飛行島に来てませんです。)
ここは茶熊学園。
そんな学園の放課後、外も暗く灯りの付く生徒会室には生徒会メンバーとそうではないのが数名炬燵を囲んでボードゲームを遊んでいたのであった。
「やったー!エシリアあっがりー!」
「やっぱ今日はダメだっー!」
「…ピョ…。」
「まーたエシリアかー…つえーなー!」
「えっへー、それじゃ終わるまで待ってるねー?どーん!」
「…?!」
エシリアは炬燵から抜け出すと机の方にへと向かいRASNの座る席に飛び座り、その下にて書類などを片付けていたRASNは突然のエシリアになんとか反応し受け止めたのであった。
「ないすきゃっちーにぃちゃん!エシリアまた勝ったよー誉めて誉めてー!」
「…!」
RASNは膝の上でバタバタと頭を差し出すエシリアに苦笑いしつつも頭を撫でたのであった。
「んー…もっと撫でてー…」
「ピィ…?!…ヒナも…!」
するとそれを見ていたヒナはに炬燵から這い出てにじにじと二人に近寄ったのであった。
「だめだよー?まだ上がってないからにぃちゃんは渡さないよー!」
「ピィ……」
「……!」
「…ピッ…!…パパ…!ヒナ頑張るね…!」
ヒナはエシリアにそう言われ落ち込んだ、だがRASNに空いていたもう片方の手で頭を撫でられにぱっと笑うと炬燵の方に戻ってゲームを続けたのであった。
「ぶー!にぃちゃん!」
「…?!」
「にぃちゃん!今はにぃちゃんはエシリアのだからエシリアだけを撫でてー!!」
エシリアはRASNの両手を掴んで自分の頭に乗せたのであった。
「あー…でもこっちがいいかなー…よいしょっと!」
「…!?」
だが少し考えてからエシリアはクルリと膝上で回って向かい合うと顔をRASNの胸に沈めたのであった。
「こっちの手はこっちでーそっちの手はそっちを撫でてー!」
「………!」
RASNは少し戸惑いつつも右手でエシリアの背中を支えながら撫で、左手で頭を撫でいるのであった。
「ふぃー…落ち着くー…ふぁぁ…」
エシリアは撫でられながら大きく欠伸をしたのであった。
「…?」
「んー…そだねー…にぃちゃんおねがーい…むにゃ…」
「……!」
RASNはやれやれとエシリアを抱えて立ったのであった。
「…?」
「あぁ、分かったぜ。また明日な。」
「…!」
ソウマの見送りにコクりと頷き生徒会室を出たのであった。
「あっ…パパ…でも約束守らないと…。」
そして出ていくRASNの背中にヒナは手を伸ばそうとしたが途中でその手を引っ込めたのであった。
「んんー…にぃちゃん…」
「…!」
RASNは道中抱えていたエシリアを背負って廊下を歩きこぐま館に入り、そしてエシリアとマールの部屋の前へとたどり着いた。
「…?」
「んにゅ?もう着いたのー?中までおねがーい…。」
「……!」
RASNは仕方無さげにドアに手をかけ中に入り灯りを付けた、部屋の中は可愛らしい小物が散りばめられていたのであった。そしてそんな部屋にエシリアを降ろしたのであった。
「ありがとにぃちゃん!あっ!そーだお茶をごちそになるー?」
「…!」
「えー?にぃちゃんノリ悪いよー?」
「…?」
「マールちゃん?大丈夫だよー今日はガレアせんせーのとこらしいから今日はエシリア一人なんだー。」
「…、…!」
「やったぁ!それじゃちょっと待っててねーにぃちゃん!」
そう言われRASNは部屋の真ん中付近のクッションに座らされ、エシリアはせっせと台所にてお茶を淹れていた。
「…。…?」
手持ち無沙汰なRASNは暇そうに色んな物が散らばる机の上を整理し始めた、机上には空のお菓子の袋やノートや空でラベルのないアンプル二本や真っ赤なテスト用紙など様々であった。
「…?!…?……?」
RASNは驚いたり首を傾げたりしながらも整理を続けて机上は粗方綺麗になっていた。
「お待たせー紅茶しかなかったけどー…あー!机綺麗になってるー!」
するとエシリアがトレイに紅茶の入ったカップ二つを乗せてやって来たのであった。
「…!」
「にぃちゃんがやったのー?あんがとー!それじゃねー…」
エシリアは喜びトレイを置いてまた台所に行ったのであった。
「…?」
「おっ待たせっー!そんなにぃちゃんにはご褒美あげるねー?」
そう言ってトレイの横にリスの様なプリンとうさぎの様なショートケーキを乗せた皿を一つずつ置いたのであった。
「…?」
「そーだよ!エシリアが作ったのー!すごいでしょー?」
「…!…?」
「えっ?エシリアにも?でもにぃちゃんへのご褒美だから食べていいよー。」
「…、…!」
エシリアがカップに口を付けるとRASNはショートケーキの方から口を付けたのであった。
「…………じー…。」
「……、…。」
そして暫くケーキを食べ進めていたがエシリアのカップ越しの目線が刺さってるのに気付きRASNはそーっとエシリアの前にプリンの乗る皿を移動させたのであった。
「……?」
「…いいのにぃちゃん?でも…。」
「……?」
「そうだね一緒に食べた方が楽しいもんね!」
するとエシリアはプリンを移動させてからRASNの膝上に座ったのであった。
「…それじゃ…あーん。」
「…?!…!」
そしてエシリアは口を開きRASNは最初驚いたがエシリアが移動させたプリンを一掬いして開いた口へと運んだのであった。
「んむんむ…おいしー!それじゃにぃちゃんにも…あーん!」
「…!」
今度はエシリアがショートケーキを少し取ってRASNの前に持っていきRASNはそれを頬張ったのであった。
「どお?おいしー?」
「…!」
RASNは頷いてエシリアの頭を撫でたのであった。
「えへへー、あっプリンもあーん!」
「…!」
そうして二人は互いに食べさせあったのであった。
「ふー、ごちそーさま!」
「…!」
二人が食べ終わるとRASNは立ち上がり食器をまとめて台所に運ぼうとしていた。
「あ!エシリアもするよー!」
「…!」
エシリアはRASNの後を追いかけ食器洗いを手伝ったのであった、そして助力もあってか素早く洗い物も終わったのであった。
「これで全部だねー?」
「……!」
「…あっ……。」
RASNがエシリアの頭に手を乗せようとしたがエシリアはそっと頭を動かして手を回避したのであった。
「…?」
「えっとね…撫でられるのは嬉しいけど…撫でる代わりにおねがいがあるの…。」
「…?」
「…一緒にお風呂入ろ…?」
「…!?…?!」
エシリアの提案にRASNは雷に打たれたように驚いたのであった。
「駄目かな…にぃちゃん…?」
「………………、……!」
「やった…!それじゃこっちこっち!」
「…?!」
エシリアは喜ぶながらRASNの腕を引っ張ると脱衣室に連れ込んだのであった。
「……。」
連れ込まれたRASNは複雑そうな顔で佇み、エシリアは脱衣室の外にて何かを探していたのであった。
「お待たせー。サイズは多分合ってるから大丈夫なはずだよー!」
「…?……?!」
エシリアから渡されたのは水着であったのだった。
「それじゃエシリアはお部屋で着替えるねー!にぃちゃん先に入ってていいよー!」
「…!?……、………。」
そうしてエシリアは脱衣室から去り、残されたRASNは渡された水着を見て不思議に思いつつもそれに着替え浴室へと入っていった。
「……。………!」
室内でのRASNは並んでいるシャンプーやらボディソープや自分たちの部屋の浴室より大きいと思いつつ眺めながらもシャワーのヘッドを手にし、二つ蛇口を捻って出る水を適温にしていたのであった。そしてウンと頷き水を止めるとガラりと浴室のドアが開いたのであった。
「にぃちゃんー着替え終わったよー!」
「…、…?!」
RASNが声に対して振り返るとそこにはスクール水着ではなくフリフリが付けられた薄めなピンク色の三角ビキニの水着を着たエシリアが立っていたのであった。
「どうかなこれ?似合ってるかなー?」
「………、…。」
エシリアはくるくるとその場で回りRASNはそれをまじまじと見つめて頷いたのであった。
「ありがとにぃちゃん!それじゃまずエシリアからだよー!」
そしてニコニコ笑うエシリアはRASNの前に回り込んでバスチェアに座り、RASNはボディソープを付けた濡れタオルでエシリアの背中を洗い始めたのであった。
「………、…!」
「わーい!わしゃわしゃー!」
RASNは体を洗い終えると次はエシリアの髪を洗い始め、エシリアは楽しそうにしていた。
「…!……?」
「ぶるぶる…!大丈夫だよにぃちゃん、そんじゃ今度はエシリアの番!」
髪を洗い終えエシリアが犬の様に体を震わすとエシリアはRASNの後に行って背中を洗い始めたのであった。
「どーですかー?痛いところはないですかー?」
「……!」
「そっかー、それじゃえいっ!えいっ!」
するとエシリアは自身の体にボディソープを塗って泡立てるとその状態でRASNの背中に小さな体を擦り付けたのであった。
「…!?!?」
「にぃちゃん!暴れないでよー!?上手く洗えないよー?!」
「…!……。」
RASNはほんの少し戸惑ったが大人しくそれを受け入れた、そしてRASNの体も髪も洗い終わったのであった。
「……。」
「それじゃ!にぃちゃん次はこっちー!一緒に入ろー!」
エシリアはそう言い風呂蓋を取っ払い浴槽に飛び込み、RASNはやれやれと思いながらも浴槽にお邪魔したのであった。
「ぽっかぽっかおっ風呂~にぃちゃんとお風呂ーごっくらくごっくらくー…ばばんばばーんー…」
「………。」
浴槽に入りピンク色の髪を湯に浮かべるエシリアはRASNの膝の上で楽しそうに歌のようなものを歌いながら浸かっていた。
「えへへー、にぃちゃんと一緒だから何時もより心地よくて蕩けちゃうよー…」
「…?」
「あっ大丈夫だよー、にぃちゃんも平気ー?」
「…!」
RASNはエシリアにのぼせていないか聞いたが聞き返されコクりと頷いたのであった。
「そっかー。」
そしてのぼせないうちに二人は風呂を上がったのであった。
「ぶわーん、暖かーい!」
「…!」
風呂から上がり着替えたRASNはエシリアのベッドの上に座っており、エシリアはパジャマに着替えて相変わらずRASNの膝上に乗っておりRASNにドライヤーをかけられていて濡れた髪を乾かしていた。
「……、…!」
「終わったー?ありがとにぃちゃん!」
「…?!」
するとエシリアはRASNに向き直るとぎゅっと抱き付いたのであった。
「ん~すんすん…にぃちゃんの今の香りエシリアと同じだねー?」
「…!」
「そうだね…でも元のにぃちゃんの香りもエシリア好きだなー…」
「…?」
「えっ?何でもないよー、それより早く寝よ!?」
「…?!」
「えー…一緒にお風呂入ったんだし一緒にベッドで寝よーよ?」
「……。」
RASNは少し悩んでから首を縦に降り同衾したのであった。
「ぬっくぬっくー…」
「…。」
消灯され暗い中エシリアはベッドに入り足をもぞもぞと動かしていた、だがRASNはエシリアとは向き合わずに寝転がっていたのであった。
「にぃちゃーん…こっち向いてよー?エシリア寂しいよー…?」
「………。」
「にぃちゃーんー…?あれー?寝ちゃった…?」
エシリアはRASNの背中を軽くトントンと叩いたりして確認していたがRASNは寝息を立てていたのであった。
「…んしょっと……ぷはぁ!」
そして確認をするとエシリアは潜り込んでRASNの正面に行ったのであった
「…本当に寝てる…にぃちゃんの寝顔可愛いー…ぷにぷにー」
「……、…。」
「……そういやにぃちゃん結局お風呂でエシリアのこと…」
エシリアは寝ているRASNの頬っぺたを突ついていたが口元へと指を運ぶとそこで突つくのを止めたのであった。
「別にエシリアは良かったんだよあの時に…その為にあんなことしたのに…」
「……。」
「にぃちゃん…エシリアのにぃちゃんはにぃちゃんしかいないの…でもエシリアは嫌なの…」
するとエシリアの眼からホロリと雫が垂れたのであった。
「エシリア…にぃちゃんがコヨミちゃんやヒナちゃんとかエクルちゃんとかからにーにとかパパとか呼ばれているのを見るとチクチクするの…」
「…。」
「にぃちゃん…エシリアのにぃちゃんだけでいて…そのためならエシリア良い子になるしにぃちゃんの生徒会も手伝うし何でもするよ…!」
「……。」
「…にぃちゃん…。」
エシリアは悲しそうな淀みのある目にRASNがめいいっぱい映せるように近寄ったのであった。
「エシリア…我慢してたけどもう…!にぃちゃん…!」
「…。」
「ふぇっ?!にっ…にぃちゃん…!?」
そしてエシリアが身を乗り出してRASNに近づいた、だが触れる前にエシリアの顔はRASNの胸にと軌道を変更させられた。
「にぃちゃん…?もしかして…起きてるの…?」
「…。」
「やっぱ寝てるの…にぃちゃん?」
エシリアは不思議そうに肩をトントンと叩いた、すると寝ているRASNはそんなエシリアの頭に手を置かれそのままエシリアの頭を撫で始めたのであった。
「にぃちゃん…?やっぱり…?…んむゅ…」
頭を撫でられるエシリアは特に抵抗する事もなく目蓋を閉じたのであった。
明朝となりエシリアの部屋には窓から日射しが入り、二人の顔を照らしたのであった。
「…んん…むにゃ…。」
「……!」
エシリアは受けた光に対し体を縮み込ませ逃げ、対してRASNはパチクリと目を覚ましたのであった。
「…?…!」
「んにゃぁ…あと五…いや十五分ー…」
「…!!」
そして起きれたRASNは何故か後ろではなく前にいたエシリアに首を傾げつつもエシリアを起こしたのであった。
「んんー…あー、にぃちゃんおはよー…すやぁ…」
「…?!…!!」
「そんなに揺らさないでよー今起きるよー…」
「…!」
RASNはエシリアがそう言ったのを聞き洗面台のある脱衣室へと足を運び顔を洗ったのであった。
「ふぁぁ…ってあれ?何でにぃちゃんエシリアの部屋にいんだろー?ふぁぁ…」
ムクリと起き上がったエシリアはそう呟きバタリとベッドに倒れ、またRASNに起こされるのであった。
-茶熊学園 カティアの実験室-
一方その頃…カティアの実験室ではカティアが五つのモニターを見ておりその一つにはエシリアが映されていたのであった。
「…何か微妙ね、数ヵ月前から仕込んでおいたけどそれっぽいのはやってくれたけど昨日ぐらいじゃない…それによく分からないうちに効果切れじゃないの?!…むっきぃ…!」
カティアはモニター横にある心電図の様なものを見ながらそうぶつぶつとぼやきながらカリカリと手元の書類に書かれていたSKM-MYⅢの文字に斜線を引いたのであった。
「まぁ改良の余地はまだあるから少し安心もしたわん…楽に出来ても面白くないものね、おっほっー!!」
妙な雌叫びを上げたカティアはエシリアが映されていたモニターのスイッチを消した、そして残されて映ってるモニターにはカスミやフランの顔写真と心電図の様なものが映されていた。
「それにしても再投薬してみたけど…免疫でもできたのかしらん?これは何時か新しい実験体も探さないとねん…。」