RozenMaiden If 〜白薔薇は儚く〜 作:ЯeI-Rozen
ヲタクで性癖は人形フェチな冴えない男の非日常で突飛な世界に引き込まれる物語で御座います。
─────眠る。
私は眠る。
……正しくを云えば眠る仕草をする、と言った方が正しいのでしょう。
ショーケースの中で、私を物欲しそうに見詰める人々を遇う様に目線をわざと逸らす。目を見開き、命が無い様に振る舞う。
そう。私は『人形』。
何故、自我を持っているのか、ですか?
ふふふ……それは後程、直ぐに解る事で御座います。
私の目的は、素敵な御方と逢い、その方と契約を結ぶ事。そして私の悲願たる事象を完遂する事。
その為並ば素敵な御方の命等捨てる事さえ厭わない。
─────そう。
誰に恨まれ、憎まれ様とも。
─────目を覚ます。
変わらない日常。
そう、変わらないのだ。
そんな社畜の日常。
何時もの時間に目覚め、何時もの時間に食事を用意し、何時もの時間に食事を摂り、何時もの時間に身支度をして。
そして何時もの時間の定刻の列車に乗り込んで職場へと向かう。
僕はそろそろ二十歳も半ばに差し掛かると言うのに彼女は居ない。ご察しの通り、年齢に倣う様な年月で。
そんな僕にも趣味が有る。
ゲームとアンティークドール鑑賞だ。
僕は典型的なヲタクである。
休日には行き付けのアンティークドール店に通い、商品である人形を眺めて、気に入れば購入して……の下りを休日の1日は費やす。2日目はゲーセン等に行き、音ゲーなり格ゲー等を嗜む。そんなヲタクの男だ。
そんな僕がまさか、現実離れした物語に引き摺り込まれるとは今は夢にも思っていなかったのだ。
そんな僕は何時もの休日にアンティークドールを見に、行き付けの店に何時もの様に通う。
そんな中だった。
三軒目の店『Rose virgin』と言う名の店。直訳して、『薔薇の乙女』。
僕はそんな店でとある人形を見つける。
簡単に云えば、『一目惚れ』だ。
白い衣装。薄黄色の儚げな瞳。フリルの着いた動きやすそうで有り、上品さを醸し出すドレス。黄金に輝き波打つウェーブの髪が美しさを唆る。そして最大の特徴は右目に施された白い薔薇の意匠。
そんな人形には豪華で重厚な鞣し革の鞄、そして煌めく金の螺巻き。
とてもでは無いが手を出す事は不可能だと、簡単に察する事が出来る。推定では何百万、何千万とする人形だろうと、溜息を吐きながら『彼女』を眺める。
そして、その店を立ち去る。
他にも常連の店を回った。然し、『彼女』を忘れられない程目に焼き付いた。美しい。どんな人形を並べても負けぬ美しさを放つ『彼女』の虜になっていた。
そんなもやもやとしたやり切れない感情を抱えたまま、少々長めな家路に就く。道中、閑散とした公園で珈琲を飲んで一服をして。
そんなこんなで家賃6万程度のアパートで有る自宅に着く。
何時もの様に夜飯を作って今日は早々に寝る事にした。
翌朝、目覚めるとリビングの机に豪勢な手紙が置いてあった。その手紙の中身を見ようと開くと、
『まきますか』
『まきませんか』
と、だけ書いてあった。
最初は悪ふざけだろう、そんな風に思い乱雑に『まきます』に丸を付けた。
まさか、この選択が非現実的な日常を呼び寄せる選択だとは今の僕は気づかないまま。
どうも、ЯeI-Rozenで御座います。
プロローグの後書きまで読んで頂き有難う御座います。
ローゼンメイデンを知っている御方は若しかしてご察しなのではと思いますがヒロインはあの娘です。はい。
私が大好きなので、「この娘しかねぇ!」と選んだ娘です。
僕自身、重度の人形フェチなもので、この作品は非常に琴線に触れた物でもあります。敬愛するPEACH-PIT先生は何という神作を……と常日頃思っています。
原作はローゼンメイデン0(ゼロ)が刊行中では御座いますが、読ませて頂いております。
やっぱり人形は尊いぜ!
さてさて、この辺で切り上げてさっさと1話を書き始めようと思います。
では、1話の後書きにてまたお会いしましょう。